【UFC202】諦観。水垣偉弥の今後<04>「稼ぎが悪すぎるので、なんとか12月の大会に潜り込みたい」
【写真】結論──好きに話せば、話すほど図太さが伝わってきた水垣だった……(C)MMAPLANET
20日のUFC202「Diaz vs McGregor 2」でコディー・ガーブラントに敗れた水垣偉弥インタビュー最終回。
ぶっちゃ過ぎという反応があるなか、いよいよぶっちゃけ度合は最高潮に。この人、こんなに図太いからあれだけ世界で結果を残せたんだ──という結論になってしまいそうな脱線インタビュー。まるでウェットでも、ハートウォーミングでもないリアリストの言葉を拾ってください。
<水垣偉弥インタビューPart.01はコチラから>
<水垣偉弥インタビューPart.02はコチラから>
<水垣偉弥インタビューPart.03はコチラから>
──キャリアの終焉の際、日本のファンの前で試合をするという選択肢も、その想いの前には実現することは難しそうですね。
「それは気持ちとしては、やはり応援してくれたファンの皆さんの前でもう一度……という気持ちはあります。ただし、日本に戻って来てどこかの団体の試合に継続的に出ていくという姿は自分でも想像できないです」
──ではUFC残留&UFCで引退、もしくはBellatorというのが水垣選手が現状で考える将来像ですね。
「ベラトールまでですね。自分のモチベーションが上がるのは。でも、こんな話になるとは……。ベラトールだと、自分の経済力のなかで我慢できる条件なら戦うかと思います。で、それでダメだとなったらもう辞めるだけですから。第一、そうなった時は既にUFCにいないということですからね」
──ベンソン・ヘンダーソン、ローリー・マクドナルドなどはより良い条件でベラトールへ移ることを決めたかと思います。
「僕は条件ではなくて、やっぱりやり残したことがある。そこを埋めるにはUFC、UFCでないとベラトールまで……ということになります。
もう、色んなことを考えてしまうのですが、ベラトールからUFCより良い条件が来て、でもUFCでは条件は下がるけど戦い続けられる──こういう状況になったら、自分がどういう判断のするのか……って。
それを考えた時に──もう諦めたとか言っていても、まだ隕石が落ちてくる日があるんじゃないかって期待している部分が残っていることが分ったり(笑)。
ベラトールで戦う、UFCでなくフリーエージェントになるということは隕石が落ちる可能性も捨てることになります。だから、そこは迷いますね」
──この話題でそこまで水垣選手が多弁になるということは、どれだけ将来を考えているのかが伝わってきます。
「いや、人生ですから。めっちゃ考えていますよ。どうやって最後、終わろうかというのは。終わり方は大切です。でも、高校生の時に八景ジムに入門して……何となく格好良いから始めた格闘技が、ここまで自分の人生の中心を占めるようになるとは考えていなかったことです」
──錚々たるメンバーと戦ってきた。こんなMMAファイター人生を送った選手も日本にはそうそういません。
「僕以外だと植松(直哉)さんが65キロで戦っていてジェンス・パルバー、ジョン・ホーキ、ユライア・フェイバー、ギルバート・メレンデスと戦っているんですよね。
僕はバンタム級でミゲール・トーレス戦、ユライア戦、ブライアン・ボウルズ戦、そしてドミニクと戦うことができた」
──植松さんは自分に『一つも勝ててない』と、そういう話題になると必ず自嘲気味に言っています。
「そう、ホント同じです。僕も……そうなんです」
──それだけの強豪と戦うことができるのも、なかなかないことだというのは慰みにならないです……よね?
「格闘家ですからね。この一戦で勝てば……という試合をモノにしていれば……。ことごとく、そういう試合で負け続けたんです。WECとUFCのチャンピオン経験者と試合ができたけど、勝てなかった。
もうなんかねぇ……、皆、強過ぎですよ(苦笑)。ぶっちゃけて言うと。でも、僕の世代だと自分は行けるというところからスタートを切れたんです。それが今の子たちは、その現実を知って挑むわけですからね。
最初、ミゲール・トーレスと戦った時、3Rぐらいまではソコソコ試合になっていて。4Rと5Rはばててしまったんですけど、世界の頂点まで『これぐらいの距離なんだ』っていうのがあったんです。だから、ここまで頑張れたというのはあります。ただし、結果論でいえばあの試合が一番世界の頂点に近かった(苦笑)。そこから、段々と離されていったんです。WECからUFCに移行して、選手層が一気に厚くなり強い選手が出てきました。
それでも、もう一踏ん張りで可能性があると思えたので……今日までやって来ることができたんです」
──水垣選手……もうほとんど引退記念インタビューになってしまっているじゃないですか(苦笑)。
「ハハハハ。ホントだ。でも、もう全部持っていかれていますからね」
──いや、そこは『まだ続けますから』と反論するところではないですか。
「う~ん……でもなぁ……」
──そういう気持ちで、先ほど言われたような満足いくトレーニングはできるのでしょうか。
「そこは変わらないと思います。僕はまぁバランスとって、誰とも喧嘩せずにやっていける性格だから、『この人とだけ』っていう厚い信頼感を根拠に練習をしている人は、こんな風にならないでしょうね。
何て言うんですかね、自分の感情は何とでもコントロールできるんですよ(笑)。とにかく次にUFCから、どのようなコンタクトがあるのか。年内にもう1試合戦いたいと思っていますし(笑)。
今年の稼ぎが悪すぎるので、なんとか12月の大会に潜り込みたいです。12月は5大会ぐらいあるらしいし、機会が回って来ることを願っています。
まぁ、KO負けしているので──このインタバーバルで大丈夫か八景ジムの渡辺会長とも相談しないといけないですが」
──割り切っているのか、ドライなのか、悔いなくやっているのか……何だかんだと言って、水垣偉弥は大丈夫。そんな気がします。
「こんな思いをするだけ、UFCで戦い続けることができている。それは幸せだと思っています」
──では、次の試合が決まったという朗報をお待ちしています。
「あっ、でも、もうそんなに僕のことは期待しないでください(笑)。有終の美を目指しての戦いなので」
──ふざけるなっ……チャンチャンって感じですね(苦笑)。