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【UFN269】Lady GOAT、UFC二戦目へ。ビア・メスキータ「MMAだけを戦っている他の女子選手とは違う」

【写真】「一度だけ行った日本が忘れられない。絶対にまた日本に行きたい」とビアは言っていた(C)MMAPLANET

14日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのメタAPEXで開催されるUFN269「Emmett vs Vallejos」でビア・メスキータが、オクタゴン2戦目でモンセラート・レンドンと戦う。
Text by Manabu Takashima

レディGOAT、ムンジアルで獲得したタイトルは実に10。うち7つの優勝が、黒帯での戦いだ。ADCCも制したIBJJF殿堂入り柔術家は、MMAに転向後6戦目でLFA女子バンタム級のベルトを巻き、7戦目でUFCデビューを果たした。

チームメイトにUFC世界女子バンタム級王者ケイラ・ハリソンをはじめ、最高峰の同じ階級で戦うファイターを多く持つ。そんな環境で目指す、世界の頂点。ビア・メスキータに、自らの練習環境とレンドン戦について尋ねた。


キョージとパントージャのように私たち4人もタイトルを賭けて戦うことは頭にいれておく必要がある

――去年の10月に故郷リオデジャネイロでUFCデビューを果たし、一本勝ちでパフォーマンス・オブ・ザ・ナイトも獲得。どのような気分でしたか。

「本当に最高の気分だったわ。ホームのリオならではの雰囲気で、ファンの皆が私の勝利を喜び、名前を叫んでくれた。試合内容も最初からプレッシャーを掛けることができて、初回を取った。2Rにフィニッシュできたように、流れも凄く良かったわ。全てが完璧だったと思う」

――会場の雰囲気など、鳥肌モノだったのではないでしょうか。同時に大観衆の地元ファンの前でナーバスになることはなかったですか。

「凄い盛り上がり方だったと思うけど……本当のところは入場する時も戦うことに集中していたから、どれほど多くの観客が私に声援を送ってくれているのかも分かっていなかったの。あとから動画を見て、あんなに応援をしてもらっていると知って驚いたぐらいで。

『えぇ、あんな凄い雰囲気のなかで入場していたの? 全く記憶にないわ』っていう感じで(笑)。とにかく、あの時はケージのなかでどう戦うのか、それだけしか頭になかったから。でもあの声援も聞こえていなかったって、精神的にどんな状態だったのか逆に自分でも興味深いわ。

それだけ集中していたからプレッシャーも感じていなかったし。ナーバスにもなっていなかった。試合中もコーナーの指示以外は耳に入っていなかったから、これもあとから映像を見てテイクダウンダウンしたら、物凄く客席が盛り上がっていて。パウンドを打っている時、RNCに取った時はもうお祭り騒ぎで。あれだけの母国のファンがエキサイトしてくれてことも、凄く嬉しく思ったわ」

――凄まじいですね。ゾーンに入っているというか、やるべきこと完全にこなすコマンドのようですね。

「アハハハハ、コーナーの言う通りに動くビデオゲームみたいで(笑)」

――そんなビアのデビュー戦の2週間ほど前にATTの練習仲間ミッシェル・モンタギューもUFCデビューを果たしました。彼女にインタビューをした時にビア、ヤナ・サントスと同じ階級で凄く良い準備ができたと話していました。

「ミッシェルの言うとおりね。同じ階級の素晴らしい女子選手がジムにいて、お互いサポートし合えるのは最高よ。あの時はミッシェル、ヤナ、そして私という順で3週連続で試合があって。本当に3人で協力し合ってファイトウィークを迎えることができたの。今回も良く似た状況だったけど、加えてクラウディア(セグーワ※ポーランド人UFC女子バンタム級王者)もいて。来月になると、またミッシェルも試合がある。本当に良いファイトキャンプを過ごすことができたわ。

男子選手とも練習をするけど、女子選手との練習の方がより実戦に近い感覚になれるの。男子選手とやるときは、もっとハードな状況に自分を追い込む時が丁度良い感じで(笑)。普段は女子選手の方が試合に向けて、良い練習になるように思う」

――ケイラ・ハリソンというUFC世界女子バンタム級チャンピオンも同じジムです。前回の世界戦を負傷でキャンセルしましたが、普段はケイラとも練習をしているのですか。

「ホント、残念なケガだったわ。ケイラはまだ練習に戻っていないけど、普段はケイラも一緒に練習をしている仲間よ。身近にUFCの世界チャンピオンがいる。チャンピオンになるプロセスも、近くで見ることができた。これは私たちだけに許された特権ね。彼女のやってきたことに、私たちも続こうと練習に力がはいる。そこも含めて、本当に良い環境でトレーニングができているわ」

――互いの存在が刺激にもなりそうですね。

「本当に刺激し合い、影響を受け合っている。特に私たちはバックグラウンドが違っていて。ミッシェルはレスリング出身で、私は柔術。ヤナはストライカー、ケイラは柔道。皆が自分の得意なところと、苦手なところが違っていて。協力し合って、穴を埋めることができる。互いが支え合って、完璧になれる。それに4人とも違う国で生まれ育っていて、色々な面で互いの経験をシェアして成長にできている。そのうえで同じUFCで戦い、同じゴールを持っている。共通点と違うところと、とにかく噛み合っている感じで。彼女たちと一緒にいることができて、本当にハッピーだわ」

――とはいえ、全員のゴールがケイラの持つベルトということになります。まるで堀口恭司選手とパントージャの関係が、巨大&複雑化したような。

「私とミッシェルはまだランカーにもなっていないから、ベルトを目指せる場所まできていない。でもヤナは5位でベルトが見えてきている。キョージとパントージャは、さらに現実的よね。いつも一緒に練習をしている友人で、互いの成功を願っている。でも、あの2人は近いうちにベルトを賭けて戦うことになるでしょうね。にしても、本当に仲が良くて。

ジムで顔を合わせると、「お前、スパイだろ。俺の練習を探りに来たのか」と言い合っていて(笑)。本当におかしいわ。挙句、パントージャがヒジをケガして。今度はキョージが拳を折ってしまって。そうしたら「お前がケガなんかしやがって」、「お前もだろ!!」とかやっているのよ(笑)。でも、本当に最高の2人だわ。

まぁ、キョージとパントージャのように私たち4人もタイトルを賭けて戦うことは頭にいれておく必要がある。ハードだけど、それが世界一のジムで練習するということだと受け止めないとね。でも、その日がくるまで協力し合って、互いの勝利を喜んでハッピーに過ごしたい。将来は将来、その日が来るまで今、必要なことを一緒にやっていくだけで。一緒にトップを目指していくわ」

マッケンジーの意志の強さは群を抜いている

――柔術レディGOATと五輪柔道2度の金メダリストがMMAで戦う。これも夢のような話ですね。

「それはいずれ、ね。今はケイラと一緒にいて、彼女のトレーニングに向かう姿勢やトレーニング方法をつぶさに見て、勉強になることばかり。それが無理なく自然にフォローできるというか。オリンピックで2度も金メダルを取るって、本当にスバ抜けた金字塔だけど。きっと私たちはMMAに転向する以前に経験したことが、似ていると思う。ケイラはずっと柔道の世界で頂点に君臨しているわけで。

私の場合は柔術だけど、10度ワールドタイトルを手にしてきた。10年近く、世界タイトルを手にし続けた。本当に色々なことがあっても、一つことを追求してきた結果で。ただ単にMMAだけを戦っている他の女子選手とは、違う経験をしてきたと思う。ケイラが柔道で経験したこと、私が柔術で経験してきたこと……ケイラと私の練習に向かう姿勢、メンタルの保ち方なんかは、早くからMMAで戦っている選手たちには理解が及ばないことだと思う」

――深いですね。一芸を究め、さらに新しいチャレンジするということは。ところで階級は違いますが、マッケンジー・ダーンがムンジアル、ADCCに続きUFCでも頂点に立ちました。レディGOATとして、どのような気持ちでしょうか。

「本当に嬉しいわ。私とマッケンジーは青帯、紫帯を巻いていた時に一緒に練習をしたこともある仲だから。実際にコンペティションで戦ったこともあるけど、彼女がどれだけ精神的に強い人間か私は知っているつもりだし。マッケンジーがUFCチャンピオンになったことは、ただただハッピーよ。彼女はゴールを定めると、本当に凄い集中力を持って目標を達成できる人なの。

紫帯の時にマッケンジーだけでなく、(ヴィルナ)ジャンジローバとも柔術の試合で戦ったことがあって。あの2人がUFCのベルトを賭けて戦うのを見て、凄く感慨深いモノがあった。技術的にマッケンジーもジャンジローバも差はない。でも、マッケンジーの意志の強さは群を抜いている。そこに2人の差があったわ。

もちろんマッケンジーがやり遂げたことは、凄く刺激になっている。柔術、アブダビ、そして母になった。それからUFC世界チャンピオンに――。私はこれから、だから。まだUFCでは1度しか戦っていないわけで」

――オクタゴン2戦目、対戦相手のレンドンにはどのような印象を持っていますか。

「1敗しかしていない、タフな相手ね。彼女の大きな特徴は、いつも3Rの最後まで戦っていること。ほとんどの試合が判定勝ちで(※7勝1敗。全て判定勝ち)、フィニッシュがない。それだけ体力があるんだと思う。

でも、私とは正反対ね。私は常にフィニッシュを狙って戦い、そうやってきたから。まるで違うタイプのファイターと戦うのは楽しみだわ」

――長いリーチを生かしたブロウラーで、打撃は粗い。あとコンバット柔術ルールの試合では、ビアを前にしていうべきことではないかもしれないですが、バックエスケープが巧みで勝利を手にしていました。

「フフフフ。彼女はボディロックテイクダウンから、トップを狙っている。でも、凄くミスが多い。もうちょっとタイトなコントロールができれば、フィニッシュに近づくはず。私の柔術は、彼女のグラップリングの上をいっている。狙いは寝技で一本勝ち。彼女がこれまで通り、寝技の展開を望むなら、それほど苦労することはないかな。チェックした彼女のファイトを見る限り、私の柔術はどの局面でも上回っているから。5分×3Rも戦いたくない(笑)。タフで荒い。そんな選手と楽しむのは、とても楽しみよ」

――では、どのようなファイトをしたいと考えていますか。

「腕十字で一本勝ちね。アハハハハハ」

■視聴方法(予定)
3月15日(日・日本時間)
午前7時00分~UFC Fight Pass
午後6時45分~U-NEXT


■UFN269対戦カード

<フェザー級/5分5R>
ジョシュ・エメット(米国)
ケヴィン・バジェホス(アルゼンチン)

<女子ストロー級/5分3R>
アマンダ・レモス(ブラジル)
ジリアン・ロバートソン(カナダ)

<ライトヘビー級/5分3R>
ウマル・シ(フランス)
イオン・クテレバ(モルドバ)

<フェザー級/5分3R>
アンドレ・フィーリ(米国)
ホセ・デルガド(米国)

<フェザー級/5分3R>
マーワン・ラヒキ(豪州)
ハリー・ハードウィック(英国)

<ヘビー級/5分3R>
ヴィトー・ペトリーノ(ブラジル)
スティーブン・アスプルンド(米国)

<フライ級/5分3R>
ブルーノ・シウバ(ブラジル)
チャールス・ジョンソン(米国)

<ミドル級/5分3R>
ブラッド・タヴァレス(米国)
エリク・アンダース(米国)

<ウェルター級/5分3R>
クリス・カーティス(米国)
ミクティベク・オロルバイ(キルギス)

<ライト級/5分3R>
ブラジ・オキ(ベルギー)
マノエル・ソウサ(ブラ時rう)

<バンタム級/5分3R>
ルアン・ラセルダ(ブラジル)
エフェル・ソサ(スペイン)

<女子バンタム級/5分3R>
ビア・メスキータ(ブラジル)
モンセラート・レンドン(メキシコ)

<バンタム級/5分3R>
アライジャ・スミス(米国)
ユ・スヨン(韓国)

<女子ストロー級/5分3R>
ピエラ・ロドリゲス(コロンビア)
サム・ヒューズ(米国)

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