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【KNOCK OUT65】小森とBLACK王座戦、龍聖「僕はジャンルを引っ張る選手になる。その違いを見せたい」

【写真】5月30日の公開練習ではトレーナーのノッパデッソーンとミット打ちを披露した龍聖。恩師と二人三脚で作り上げてきたファイトスタイルでKNOCK OUT-BLACKのベルトを目指す(C)KNOCK OUT

21日(日)、東京都渋谷区の国立代々木競技場第二体育館で開催されるKNOCK OUT.65「THE KNOCK OUT 2026」で、龍聖が小森玲哉とKNOCK OUT-BLACKスーパーフェザー級(60キロ)王座決定戦で対戦する。
Text by Takumi Nakamura

昨年6月の代々木大会では久井大夢とのリマッチに敗れ、BLACKフェザー級のベルトに手が届かなかった龍聖。その後は3連勝と着実に勝ち星を積み重ねて、1年越しにBLACKのベルトをかけた戦いに挑むこととなる。

今回のインタビューでは格闘技マニアを自認する龍聖の技術論に始まり、久井戦をきっかけに変化した試合に向かう心境、そしてベルトにかける想いを語ってくれた。


試合よりも練習動画の方が参考になる。最近は海外選手のセミナー動画を見るのが好き

――今日はU-NEXT格闘技YouTubeチャンネル出演後のインタビューありがとうございます(取材日は6月8日)。取材前に龍聖選手のSNSを拝見させてもらったのですが、元同門で現在はteam VASILEUSに所属している田丸辰選手と一緒に練習していたそうですね。

「ちょうど辰が4月のONE日本大会で試合をして、ムエタイ的な採点の仕方や色んなことを学びたいということで、自分が練習している伊原道場越谷に来て一緒に練習しました。僕も試合前で追い込んでいる時期でしたし、辰がうちに泊まって朝と午後の2部練の合宿みたいな感じでやっていましたね」

――龍聖選手の今の練習の拠点は伊原道場越谷になるのですか。

「試合がない時は都内を中心に練習するんですけど、試合が決まるとファイトキャンプという形で越谷で練習しています。タワンチャイ(・PK・センチャイ)が普段はパタヤにいて、試合が決まるとPKセンチャイでトレーニングするのと同じですね(笑)」

――早速格闘技マニアの龍聖選手らしい例え話ですね(笑)。龍聖選手は幾つか練習環境を変えていますが、ノッパデッソーン(ノップ)さんのもとで練習する今の練習環境に落ち着いたようですね。

「はい。やっぱり自分の中ではノップさんの考えるメニューで練習して、ノップさんの言うことが100%正しいと思っているので、それを軸に練習しています。ノップさんと一緒に強くなっていくというのが自分には一番合っているし、ノップさんは僕が一番信頼できる、信じることが出来る先生です」

――ノップさんからは子供の頃か指導を受けていると思いますが、練習内容や指導内容も徐々に変わっているのですか。

「基本的な僕のファイトスタイルや大枠の戦い方は同じなんですけど、細かい構え方や足の使い方…そういう部分は昔とは全然違いますね」

――例えばカーフキックは今やポピュラーになっていますが、以前はほとんど使っている選手はいなかったと思います。ノップさんは積極的に新しい技術やテクニックも取り入れているのですか。

「ノップさんは指導以外にもレフェリーだったり色んなことをやっていて、昔『何のために色々やっているの?』と聞いたら『勉強のためだ』と言っていたんですよ。ノップさんは自分が指導するうえで、色んなものを見て学んで、その知識を僕たち選手に共有してくれています。あとは僕自身も格闘技が大好きで、普段から色んな試合や選手の練習動画を見ているので、ノップさんに『このテクニックはいいと思うけどどう?』や『こういうスタイルはどう思う?』ということを伝えて、そこにノップさんの意見や知識をミックスして、自分のファイトスタイルを作っているイメージですね」

――龍聖選手は試合だけでなく練習動画もチェックしているのですか。

「はい。僕はむしろ試合より練習動画の方が参考になります。最近、ムエタイやキックのレジェンドたちが世界各国でセミナーをやっていて、そのセミナーの一部を動画でアップすることが多いんですよ。そのセミナー動画を見るのが好きですね」

――僕も比較的試合以外の動画もチェックしている方だと思いますが、セミナー動画はノーマークでした。

「例えばチンギス・アラゾフのセミナー動画を見ると、アラゾフ本人が技術解説しているんですよ。日本ではあまり馴染みがないですけど、海外ではレジェンドたちが世界を回ってアマチュア選手を対象にしたセミナーを開くのが一般的で、そこで教えている内容がめちゃくちゃヒントになりますね」

――ONEの選手たちがセミナーで世界各国を回っている様子を目にしますが、日本以外ではセミナー文化が定着しているのかもしれないですね。

「試合でやっている動きを見ているだけだと、なんとなくこんな感じなんだろうなで終わるんですけど、本人たちの説明付きで見ると、こういう理屈でやっていたんだというのが分かって理解度が深まるんです。それを練習に取り入れて、自分に合う・合わないと取捨選択していますね」

ノップさんからはよく『リュウセイ、ジブン!』と言われていた。それは『自分で考えなさい』という意味

――ノップさんは龍聖選手の意見も取り入れて、そのうえでアドバイスしてくれるイメージですか。

「ノップさんは絶対に『それは違う』や『こうじゃなきゃダメだ』といって否定することがないんですよ。まだノップさんが今ほど日本語が上手くない頃、僕が子供の頃にノップさんと練習していて、よく『リュウセイ、ジブン!』と言われていて、ノップさんは“自分”という言葉を使うことが多かったんです。当時の僕はどういう意味かピンと来ていなかったんですけど、僕も選手としてキャリアを積んで、ノップさんも日本語が上達してきて、どういう意味で“自分”という言葉を使っていたかというと『自分で考えなさい』や『自分の感覚を大事にしなさい』という意味だったんです」

――なるほど。あくまで試合をする・動くのは“自分”だ、と。

「例えばノップさんがセコンドにつくと『フックを打て』や『ワンツーを出せ』という指示はあまり言わなくて『自分でどんな技が当たるかを考えなさい』とか『自分で当たると思う技を選びなさい』とか、そういうことを言われるんです。もちろん注意しなければいけない相手の技やこういう技も当たるぞというアドバイスもあるのですが、最終的には自分で考えなさいという言い方をするんですよね。僕はそこがすごく大事だと思っています」

――選手によっては1から10まで指示されて、指示通りに動くことで勝つタイプもいると思いますが、龍聖選手のように研究熱心な選手の場合はノップさんのように自主性を大切にしてくれる指導者の方が合っていると思いました。

「仮にそう指示されたとしても、最終的に自分でやることや技を選択して試合で出すわけだし、やっぱりどのトップ選手を見ても、セコンドに操縦されるだけでやっている選手は絶対にトップ選手には勝てないと思います。やっぱり何かしら自分で考えながらやらないと。自分のなかでは考えて戦わない選手は絶対に上にはいけないと思います」

――またフェザー級(57.5キロ)時代はライバル視していた軍司泰斗選手は今や練習仲間としてお互いに信頼している間柄です。収録では軍司選手の練習熱心さや格闘技に対する真面目さについてコメントしていましたね。

「格闘技に対するモチベーションの維持の仕方や練習に対する姿勢など、本当に格闘技に対して真面目だし、見習うべきところや尊敬するところはたくさんあります」

――軍司選手は10代でデビューしていますが、格闘技や強さに対する探究心は衰えないですよね。

「軍司くんはいい意味で変わらないんですよ。ずっと淡々と練習し続ける。試合が決まったら100%全力でやって試合が終わったら休んで…ではなくて、90%くらいで毎日練習し続ける。僕はそれが一番強いタイプだと思いますし、相手からしても一番嫌なタイプだと思います」

――そういった選手が身近にいることも刺激になりますよね。

「軍司くんは心強い存在ですし、色んなボクシングの技術も教えてもらって、そこはすごく今の自分の武器になっているところだと思います」

ここで負けているようでは話にならないし、早い段階でやめた方がいいと思っている

――今回は小森玲哉選手とKNOCK OUT-BLACKスーパーフェザー級王座決定戦で対戦することになります。今回の試合では久井大夢選手とのリマッチ、ONEでのスリヤンレック戦、GOATでのロムイーサン戦といったチャレンジマッチ的な試合とは違い、小森選手を受けて立つ立場での試合だと思います。試合に向けたモチベーションがvs対戦相手ではなく、龍聖選手自身がどんな試合をして結果を残すかがテーマの試合だと思います。

「本当にそうですね。僕がいろんな雪辱を晴らして、KNOCK OUT-BLACKの60キロのベルトを巻くということが、自分の悲願でもあるし、あの黒いベルトを僕が巻く姿をファンのみんなにも見てもらいたいです。あとは自分が小森選手に勝ってベルトを巻くことは、自分がやるべき仕事だと捉えているので、そういった方向にモチベーションを向けていますね」

――最近の龍聖選手は「カリスマ継承」というテーマも掲げていますが、小森選手のことを下に見ているわけではなく、自分が目指すものを考えると、ここで躓いてはいられないという捉え方ですか。

「小森選手は素晴らしい選手だし、すごくいい選手だと思います。ただ彼のことを馬鹿にするわけじゃないけど、彼はこのベルトを巻くことがゴールで、KNOCK OUTのビッグマッチのメインでタイトルマッチをやるようなチャンスは今回が最初で最後かもしれない。でも僕はそういう選手ではなくて、これからKNOCK OUTのチャンピオンとして団体やキックボクシングというジャンルを引っ張っていく選手になりたいので、その違いを見せないといけないし、それを考えたらここで負けているようでは話にならないし、早い段階でやめた方がいいと思っています」

――今の龍聖選手は自分がこういう試合を見せなければいけないということを自分を追い込むのではなく、ポジティブな目線で見ているように感じます。

「今は変に何かを背負うのではなくて(主語が)自分になってきていて、今はいい意味で自分のことで精一杯なんですよ」

――自分主体で考えていることがファンのみなさんと共有できれば最高ですよね。

「最近は元K-1ファイターの尾崎圭司さんによくしてもらっていて、去年3月にONEの日本大会に出た時も、世界規模のビッグマッチで第一試合を任されて、試合前にめちゃめちゃ緊張していたんですよ。それでちょっと変な感じになっていたら、尾崎さんがマインドセットしてくれて、すごくいいメンタルで試合が出来たんです。去年6月の久井大夢戦で負けた時は、負けちゃいけないとか絶対に勝たなきゃいけないという気持ちが強すぎて、自分で振り返っても窮屈なまま戦っていて、のびのびと戦えていなかったと思うんですよね。それは武尊さんや松倉(信太郎)さんにも指摘されたし、尾崎さんも色々と相談に乗ってくれて、尾崎さんからは『勝ちたいと負けたくないは表裏一体なんだから、自分(のパフォーマンス)を見せる、龍聖を見せることを一番に考えてもいいんじゃない?』とアドバイスしてもらったんですよね。で、自分を見せることを意識して臨んだのが、10月のGOATのロムイーサン戦だったんです」

――そういった変化があった試合だったんですね。

「はい。ロムイーサンを倒すことはできなかったけど(※龍聖が3Rにダウンを奪って判定勝ち)、今までの自分とは違う、リスクを負ってでも倒しに行くじゃないけど、今日は自分で殻を破るんだという気持ちで試合が出来て、そのマインドを習得した気がしました」

――1年前とは色々な面で変化している龍聖選手ですが、今回はどんな試合を見せたいですか。

「ロムイーサン戦も含めて、最近は自分の(試合や相手に対する)気持ち云々や感情がどうこうではなくて、プロファイターの仕事として、エンターテイナーとして、アスリートとして戦う感覚になりました。だから今回もその感覚で試合をして、小森選手に勝ってKNOCK OUTの黒いベルトを巻きたいと思います」

■視聴方法(予定)
6月21日(日・日本時間)
午後12:45~U-NEXT

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