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【UFC202】諦観。水垣偉弥、ガーブランド戦の敗北と今後<01>「今まで感じたことのない異質なパンチ」

Takezo【写真】本来は富士山も望める都内某所だが、露出が背景に合わないだけでなく、曇り空で隠れたまま。まるで水垣の心情を表しているといえば、言いすぎか(笑) (C)MMAPLANET

20日のUFC202「Diaz vs McGregor 2」コディー・ガーブラントの強打の前に48秒でキャンバスに沈んだ水垣偉弥。台風9号の影響でフライスケジュールが大幅に変更され、22日の夜に帰国した。

UFC期待の米国人ストライカーに打ち勝ち、タイトル戦線で大逆転昇格を狙った勝負に敗れた水垣。トップに立つ夢を諦めたというショッキングでいて、リアルな言葉で始まった今回のインタビュー。

世界の最高峰で7年に渡り戦い続けてきた水垣が考える、今後。その前にまずはガーブラント戦について振り返ってもらった。


──UFC世界バンタム級タイトルへ、大逆転を狙った試合で48秒でKO負け。終わった直後、どのような想いが水垣選手の胸を去来しましたか。

「もうチャンピオンを目指すのは無理なのかな。その夢は終わったのかなっていう感じですかね」

──リリースというシビアな状況も考えざるをえない状況でしょうか。

「まだ大丈夫そうなのですが、あとはどういう風に辞めていくかを考えながら、1試合1試合を戦っていく感じになるのかと……そういう気持ちです」

──なるほど。その部分はまた後程窺うとして。ガーブラント戦に関してですが、体調面などはどれぐらいの仕上がりだったのですか。

「メチャクチャ良かったです。ちょっとしか古傷もあったので、そこは気になっていたのですが、仕上がりは悪くなかったです。良い感じでラスベガスにも入ることができて、試合当日を迎えることができました」

──組みの練習も問題なくできていました?

「ハイ。できてしました」

──では改めて試合前の戦術はどのようなモノだったのでしょうか。

「まずは打撃を交えてみる。その感触をみて……とにかく前半は大きいのを貰わないで戦おうと思っていました。打撃だけでは厳しいと感じたら、テイクダウンや組んで四つの展開も織り交ぜて3Rを掛けて勝負する。あんなに早く終わってしまうとは思っていなかったので……。

ファーストコンタクトで受けたガーブラントのパンチが、今までの感じたことのない質のパンチでした。拳が硬くて、これヤバイな。コイツのパンチはヤバいと直感しました」

──それをガーブラントが水垣選手の拳で感じてくれることを願っていたのですが。

「そうですね。反対に僕が『コレ、ヤバイ』ってなっちゃいましたね。そこで僕の判断としては、先に良いのを当てないとやられるなってことでした。だから、先に当てようと短期決戦に賭けたんです」

──う~ん、あの結果になってしまった要因かもしれないですが、勝つためには間違った判断ではないと思われます。

「ステップとか踏んで戦えば、あんな風に短時間でKOされることはなかったかもしれないです。ただし、そうやっても勝てたということではないですし。勝負を長引かせる、延命できただけでしょうね。とにかく勝つには、僕が先に効かせるパンチを当てる必要があると考えました」

──水垣選手はやるべきことをして、ガーブラントが強かったということではないでしょうか。

「足を使って戦って延命しても、やっぱり後悔したと思います。自分の一番強くところを出して、そこで勝負したいという気持ちがこの試合にはもともとあったので、早く勝負を賭けようと気になったんでしょうね」

──最初にパンチを貰ったとき、一瞬下がり、そこから前に出ました。あの時は下がっちゃいけないという気持ちが見て取れました。ただし、パンチは小さく当てに行ったようにも感じられました。

「あぁ、そうなんですね。実は試合全体の映像がまだ見られていないんです。ダウンを貰ったパンチからストップされるまではチェックできたんですけど……。ただ、あのダウンをする一発の前にもう効かされていたんです」

──そうなのですかッ!!

「あの時点で効いていました」

──その前の攻撃は変則的な蹴りからサイドキック、そして水垣選手の右に対して、左と右のフックをガーブラントは放っていきました。

「アゴとかでなく、結構骨の固い部分……腫れてり、切れたりしても良いから受けようってところに当たって。それで、ヤバイってなって一度下がったんです。あの時点でガーブラントもコイツ、効いたなって分かったはずです。

詰めてきたから距離を取りたいとという気持ちで左ジャブを出したところに、完璧な右ストレートを合わされました。もう追い詰められて、やられるべきしてやられたということですね」

──その異質な拳は実際にパンチを喰らうまで、どれだけ試合映像をチェックしても理解できないモノなのでしょうね。

「向こうが『何だ、これは』って思うのを入れてやるつもりだったのに正反対の状況になってしまいました。硬かったですね。これまで戦ってきたフランシスコ・リベラら、ユライア・フェイバーともパンチの質が違いました。

しいていうなら、僕が一緒に練習していた頃、7、8年前の五味さんのパンチに近いかもしれないです。鈍器で殴られたような……」

──五味選手とは2階級違うというのに……。

「まぁ、そんな状態だったので足を使おうが、テイクダウンを狙おうが気にせずパンチを打ってきたと思います。延命はできても、どこからで倒されていたでしょうね。

トーマス・アルメイダも僕と同じだったんですよ、きっと。ファーストコンタクトで一発貰って、これはヤバいって感じ動きがおかしくなった。そして、ああいう試合になってしまったと思います」

──ではガーブラントの一発はドミニク・クルーズを倒す力もあるのでしょうか。

「そこ……聞かれると思って考えてきたんです(笑)。問題はレスリング、ドミニクのテイクダウンにどこまで対応できるか。何度もテイクダウンはされると思うんです。そこをある程度は対応できて、スタンドで打撃を使う時間をどれだけ作ることができるか。テイクダウンを防いで、打撃の局面を多く取れるようなら、可能性はなくはないでしょうね」

──というドミニク戦の予想をしていただいたところで、実は某TAM JAPANの某選手発信で、ガーブランドはケガが原因で2週間ぐらい前まで練習ができず、ほとんどミット打ちで水垣選手との試合に臨んだという話があるのですが、試合後に伝わってきたりしていましたか。

「エッ……、いや、知らなかったです。マジっすか?」

──また聞きなので絶対とは言えないですが、どうやら事実のようです……。

「……、いやぁショックですね……。僕が必死に100メートルを10秒台を切ろうと努力していても、流して9秒8ぐらいで走れるってことですよね……(苦笑)。絶望的ですが、今さらソレを聞いても、もう大丈夫です」

<この項、続く>

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