【UFC319】朝倉海、UFC二連敗。スクランブルにギロチンを合わせたティム・エリオットが一本勝ち
<フライ級/5分3R>
ティム・エリオット(米国)
Def.2R4分39秒by ギロチンチョーク
朝倉海(日本)
−300=朝倉。+240=エリオット。朝倉がフェイバリットで、エリオットがアンダードッグというオッズだ。後ろ回し蹴りの動きを見せたエリオットが、スイッチしてサイドキックを放つ。朝倉はスピードの乗ったワンツーを伸ばし、観客席がわく。ジャンプしたり、手を小刻みに動かすエリオットに対し、朝倉は左ボディを入れ右を伸ばす。さらにワンツーからスリーを見せた朝倉が、距離を詰めてパンチを振るう。エリオットもパンチを返すが、これは朝倉にとってチャンスだ。
変則的な動きを続けるエリオットの最初のテイクダウン狙いを切った朝倉が、左を入れる。さらにボディを殴った朝倉がジャブを当てる。ボディを織り交ぜ、顔面を狙う朝倉に対し、エリオットは組みにはいかない。ヒザ蹴りの朝倉、エリオットが左を返すが構わず前に出て圧を掛けていく。エリオットが右リードフックを当てても、朝倉は落ち着いている。と左ハイを蹴った朝倉。首筋に足は届いたが、エリオットがキャッチしてテイクダウン。サイドで抑えるエリオットに、館内は大きなブーイングが起こる。ワキを差したエリオットは、ブリッジを潰してエルボーを落とす。シングルから朝倉が立ち上がり、時間となった。
2R、いきなり前転したエリオット。朝倉はワンツーを伸ばし、エリオットが左を返す。さらにワンツーで左を放ち、打ち合いに応じるエリオットはローを蹴られる。エリオットはステップインから左を当て、もう一発左をヒットさせ跳びヒザをかわす。朝倉は右を伸ばし、右に回るがワンツーは空振りに。左のオーバーハンドにカウンターを当てた朝倉は、右が大振りに。朝倉はジャブを再び見せ、ワンツーを繰り出す。エリオットは組みついてバックに回るが、朝倉は即正対して離れる。
残り90秒、ワンツーにダブルレッグを合わせたエリオットがテイクダウンを決める。朝倉はクローズドガードで背中をつける。エリオットのエルボーに体を起こした朝倉だが、その刹那ギロチンに捕らえれる。後転してマウントから絞めるエリオットが、ブリッジを潰す。と、朝倉は右手でタップし――オクタゴン二連敗となった。
「素晴らしい対戦相手と戦えた。KOを狙ってくる。危険だけど、一番大切なのはそれを楽しむこと。この勝利がベスト? そんなことはない。全ての勝利が僕にとってはベストだから。敗北を経験しても、MMAを愛しているから練習を続けた。この試合に勝ったことで、契約を更新できるだろう。皆にこれからもティム・エリオットを見てもらえるよ」と勝者は話した。
J-MMA界、再浮上の切り札がオクタゴンで二連敗。最高の打撃が、世界最高の組み技を知り、研究することで削がれた。課題は寝技の防御力もそうだが、組み技の体力。この敗北をしっかりと見つめ、自信と不安のバランスに折り合いをつけた朝倉の――3度目の正直に挑む時を待ちたい。