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【ONE FN40】キャリア初黒星から3カ月、エイドリアン戦へ。磯嶋祥蔵「ライト級の序列が決まる分かれ目」

【写真】取材当日は柔術クラスに参加していた磯嶋(C)NavE

14日(土・現地時間)にタイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE FN40で、磯嶋祥蔵がエイドリアン・リーと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

グラジエイターで5連勝したあと、2025年に入りONEへと戦いの場を移した磯嶋。10月の初戦こそニコラス・ビグナをTKOで下したものの、翌月のタイ・ルオトロ戦では1RにRNCを極められ、キャリア初黒星を喫した

ONE戦績1勝1敗となって迎える3戦目の相手はエイドリアン・リーだ。磯嶋は当初、ONE初戦となる昨年3月の日本大会でエイドリアンと対戦予定だった。しかしこの試合は磯嶋が負傷欠場となり、約1年の時を経て改めてマッチアップされている。ルオトロ戦の敗北から磯嶋は何を学び、取り組んできたのか。ルオトロ戦の振り返りと、3カ月間の練習について訊いた。


(ルオトロ戦は)すぐ突っ込んできたので、自分も『どうしようかな……』と思っているうちに飲まれてしまった

――前回のルオトロ戦から3カ月のインターバルでエイドリアン・リーと対戦します。

「そうですね。ルオトロ戦が終わってから割とすぐオファーをもらいました。試合まで日数もあるし、しっかり準備していこうと」

――敗戦からすぐにオファーがあるのは、意外ではなかったですか。

「すぐオファーが来たのは意外でしたけど、次の試合があるとすれば『対戦相手はそうなるだろう』と思っていましたね。予想はしていて、その点は意外ではなかったです」

――ルオトロ戦の内容を考えると、どうなるのだろうかと思っていました。

「結果としてはボコボコにされて、惨敗でした。言い訳になりますけど、やっぱり準備期間が短くて、ベストコンディションではなかったです。自分としては『もうちょっとやりたかったな』というのが正直な感想ですね」

――ルオトロもそう考えていたからなのか、想像以上に最初からガンガン攻めてきました。

「あれだけ最初から飛ばしてきていたのは――試合映像を視返すと、やはりルオトロといえども試合となれば必死で。それは表情からも分かります」

――磯嶋選手としては、ダメージはあったのでしょうか。

「ダメージは、そんなになかったです。始まってすぐ突っ込んできたので、自分も『どうしようかな……』と思っているうちに飲まれてしまったような感じでした」

――テイクダウンを奪われた瞬間、もうルオトロがサイドについていた。あれこそルオトロの巧さですし、そこで『どうしようかな……』と考えざるを得ない場面でもあるとは思います。

「アハハハ、そうなんです。当たり前のことですけど、『やっぱり巧いな』と考えてしまいました(苦笑)」

――確かに結果は1Rに一本負けです。ただ語弊を恐れずにいえば、磯嶋選手は三重という場所でMMAを続けています。そんななかONEという大舞台でルオトロと対戦できたことは、今後のキャリアを考えると非常に大きな経験だったのではないかと思います。

「はい、『こんなところで試合ができるんだ……』という感情もありました。今まではキャリア的にうまいこと上がってくることができて。でもまさかルオトロと戦えるとは――という感じやったので。地方からでもその場所に行くことができるし、実際に試合してみて『もうちょっとできたな』と感じることはできましたから。負けはしましたけど、全体的に考えてみると良かったと感じています」

世界と戦うためには生活自体を変えていかないと、いろいろと追いついていかない

――学校の生徒さんたちの反応は……。

「負けると結構ドライですよね(苦笑)」

――えぇっ!?

「気を遣われているのですかね、アハハハ。勝った時はワーッとなっていましたけど、負けたら『あぁ、お疲れさまでした……』という感じで」

――初黒星ですから、生徒さんも何て声を掛けてよいのか分からなかったのかもしれません。

「そうですよね。そこで生徒から変に慰められても、どうかと思いますし(笑)」

――東京まで観戦に来ている生徒さんはいたのでしょうか。

「生徒はいないと思います。ウチの学校は寮生が多いので、もしかしたら関東にいる親御さんはいらっしゃっていたかもしれません」

――関東から進学している生徒さんもいるのですね。

「関東だけでなく名古屋、大阪、全国から来ています。……日生学園ってご存じですか」

――はい。ダウンタウン世代であれば多くの人が知っているかと思います。

「僕が勤務しているのは、もともと日生学園だった学校なんですよ」

――そうなのですか!

「校名も校風も変わりましたが、今は不登校の生徒を預かり、学校生活を送ってもらうこともありまして。もともといた学校から環境を変えて、ウチで再スタートを切る。そういう子たちの9割は寮に入って生活しています」

――そうなると学校の授業だけでなく、寮での生活面も教師の皆さんが担当するのでしょうか。

「担当します。シフト制ではありますけど、寮監の先生は24時間勤務で。僕も昨年度——去年の3月までは寮監に入っていました」

――寮監としての勤務から離れた昨年の4月以降は、練習時間を増やすこともできましたか。

「そうですね。定時を過ぎたあたりで上がることができるようになったので、練習時間は増えました。ONEで試合をしたことで、世界と戦うためには生活自体を変えていかないと、いろいろと追いついていかないと感じていて」

どんな展開であれエイドリアンはフィニッシュを狙ってくる。僕もしっかりとフィニッシュを狙います

――年明けには大阪のチーム吉鷹と、神戸リライアブルの練習に参加したと聞きました。

「年末年始はだいぶ詰め込んで練習しました。前の試合で負けてからNavEさんと『同じぐらいのサイズでもっとレベルが高い選手と練習したほうが良い』という話をしていて。仕事が休みになる年末年始に練習に参加させてもらったんです。他にも大阪で行われた柔術の大きな練習会に参加したり、奈良のM3FITさんの練習に入ったりとか。そうやって年末年始に追い込み期間をつくっていましたね」

――大阪で柔術の練習会というのは、1月25日に豊中市で行われた「柔術で充実」ですか。

「そうです、そうです。300人ぐらい参加していて凄かったですよ」

――毎回、三重から現地まで?

「チーム吉鷹さんとリライアブルさんの時はホテルを取って、泊まりで行きました。あとは大阪なら車で、1時間半ぐらいで行けます」

――所属するN☆TRUSTがある名張から難波までは、近鉄特急で1時間ぐらいですし。

「今までも出稽古に行っていなかったわけではないんです。出稽古に行くと思うのは、やっぱりNavEさんって強いんだなと(笑)」

――アハハハ、旅先で故郷の良さを感じるわけですか。時に環境を変えて、普段やっていることを試したり確認することも大切だと思います。

「出稽古先で得た感覚をジムに持ち帰って、調整して練習するという形でした。その出稽古の頻度は高くなくて良いのかな、と思っています。

試合に関してもルオトロ戦は、もう一度MMAというものを考えるキッカケになりましたね。自分の得意な組みの展開で、少し分が悪くなった時に動きが止まってしまうところもありましたし。やっぱり自分が押されている時の展開は、普段の練習からやっておかないといけないものだと思いました」

――ルオトロ戦から3カ月の間に、何か変化してきた部分はありますか。

「その期間だと、技術的な部分は大きく変わっていないと思います。ただ、前の試合は相手のことを大きく見すぎた面はありました。今回はそういうことを考えないようにして、良い練習ができていると思います」

――改めて今回対戦するエイドリアン・リーの印象を教えてください。

「エイドリアン・リーもまた去年のルオトロ戦(9月に2R、RNCで敗退)で、成長しなきゃいけない部分も見えたと思うんです。あの試合がなかったら僕と対戦しても、それまでどおり最初から突っ込んできて、フィニッシュを狙ってきたはずです。次の試合ではそこまで突っ込んでくることはなく、落ち着いて攻めて来るんじゃないかな――と考えていますね」

――突っ込んでくるか、落ち着いて攻めて来るか。磯嶋選手としては、どちらのほうが自身は戦いやすいですか。

「落ち着いてくるほうが僕としては戦いやすいですね。もちろん突っ込んできた場合の対策もやっていますけど、互いに読み合う展開も好きなので」

――なるほど。ONE戦績は1勝1敗という現在、自身はONEライト級でどういったポジションにいると思いますか。

「ONEライト級は選手が少ないこともあって、今回エイドリアン・リーと僕が戦うことで新しい序列も決まって来るんじゃないかと思います。ここで勝てば、もっと上の選手と戦うことができる――その分かれ目となる試合ですね。

次の試合も、どんな展開であれエイドリアンはフィニッシュを狙ってくる。僕もしっかりとフィニッシュを狙います。タフなファイトになると思いますけど、勝ち切りたいです」

■放送予定
2月14日(土)
午前11時00分~U-NEXT

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