【ONE173】初めてのケージMMAに挑むタイ・ルオトロ「ケージを蹴ってハイキックを狙ってみようか」
【写真】ファイトウィークに入っても、明るく元気(C)MMAPLANET
いよいよ明日 16 日(日)に開催が迫ったONE173。東京都江東区の有明アリーナで行われる同大会ではタイ・ルオトロが、磯嶋祥蔵を相手にMMA第2戦を戦う。
Text by Manabu Takashima
ケイドとルオトロ・ツインズとして柔術、グラップリング界で世界の頂点に立ち続けてきた22歳のタイは、今年の9月にエイドリアン・リーを相手にMMAデビュー。RNCで一本勝ちしたものの19歳の超新星の粘りもあり、グラップリングと柔術の違いを経験した。
それでも一たび組みついて、グラウンドに持ち込んだ際の強さは際立っている。磯嶋戦を前に、なぜMMAで戦うことを決めたのかをタイに改めて尋ねた。すると「アンデウソン・シウバの大ファンだった」という意外な過去が明らかとなった。
やるべきことをやり切るという点において、柔術もMMAも変わらない
――タイ、日曜日にMMA第2戦を戦います。今の気持ちを教えてください。
「このタイトルマッチが揃ったイベントのなかで、そして日本で戦えることに最高にエキサイトしているよ」
――グラップリングを戦う時と、ファイトウィークに入って気持ちの違いなどはありますか。
「少し違うね。試合に向けての準備が違うから。でも結局のところは相手と競い合うわけで。そうなると自分のパフォーマンスを見せるだけだよ。柔術もMMAもその点では違いはない。なるべく落ち着いて戦い、その時が来るのを待つ点も変わらないからね(笑)」
――これまで柔術家がMMAを戦う時はナーバスになり、MMAファイターがグラップリングマッチに出る時はリラックスしている。そういう姿は何度も見てきましたが、タイは余り変わりないですね。
「絶対的にMMAは、重みがあるよ。何が起こるか分からないという点においてね。ミスが許されない。一つのミスでKOされる戦いだから。ただ、僕にとって戦いは戦いで。自分のやるべきことをやり切るという点において、柔術もMMAも変わらない。そして、自分が何をやるべきか分かっていることも変わらないんだ」
――今回はMMAは2戦目なのですが、初戦の前にインタビューをする機会がなくて……なぜ、MMAを戦うことを決めたのかをタイに聞くことができなかったです。改めて教えてもらえないでしょうか。
「僕はずっとMMAが好きで、MMAを視て育った。そして、いつかMMAを戦いたいと思っていたんだ。ケイドとずっと、MMAを視ていた。僕らは柔術を続けてきたけど、大人になって時がくればMMAを戦おうと決めていたんだ。柔術とMMAを戦うことで、技術が統合できてシャープにもなるしね」
――とはいえ、ルオトロ兄弟が柔術と共に育った時代はモダン柔術の時代になっており、バーリトゥードや護身から離れていたかと思います。
「スポーツ柔術だったよね。確かに僕らの時代の柔術は、それほどMMAとコネクトしていなかった。でも僕もケイドも、柔術であっても常にテイクダウンをして極めてきた。ガードプレーをそれほどやることはなかった。下になった時でもバギーチョークとかオプションはあったけど、ゴールはいつもテイクダウンからパス、そしてサブミット。MMAに移行しやすいスタイルだったと思うよ。
アンドリュー・タケットとか、ハイレベルな柔術家は今や僕らに似たスタイルで柔術を戦っている。僕らの柔術は座って、バットスクートするようMMAに向いてないモノでなくて、凄くアグレッシブだからね。柔術は掴むことが前提で、そこに打撃が入るとまるで違ってくるんだ。スピードが違うから、学べることも本当に多い。結果、凄く楽しめているよ」
――ところでMMAを視ていて、誰かアイドルはいましたか。
「もちろんだよ。僕が初めてMMAを視たのは、DVDのホイス・グレイシーの試合だった。めちゃくちゃ夢中になったよ。でも一番好きだったのは、アンデウソン・シウバだ」
今では、打撃でも青帯を巻いても良いんじゃないかな(笑)
――!! まったく想像できないです。
「アハハハハ。そうなるよね。アンデウソンの試合は、特に必死になって視ていた。いつかアンデウソン・シウバのようになりたいと思ってね(笑)」
――スタイルは違っても、強さという点ではアンデウソンに匹敵するMMAファイターになれる可能性は十分にあるので、期待しています。
「おお、ありがとう。もちろん僕のMMAの軸は柔術だよ。ただ、誰とでも戦えるようになるために打撃を磨かないといけない。そして、ジムでの練習でしっかりとシャープになっている。なんか、また白帯に戻ったみたいで凄く打撃の練習が楽しんだよ。今では、打撃でも青帯を巻いても良いんじゃないかな(笑)」
――エイドリアン・リーとのデビュー戦で、MMAにおけるグラップリングの違いを何か感じることはありましたか。
「やはり違いはある。試合開始30秒でグラウンドに持ち込んだ。でも、僕の柔術が全でどこかに飛んでしまったんだ」
――えっ?
「真っ白になったというやつだよ(笑)。『ちょっと待て』、『待ってくれ!!』ってね。アドレナリンが出まくって、エネルギーのコントロールができなかった。落ち着き直して、柔術を取り戻したんだ」
――デビュー戦なので当然かもしれないですが、タイ・ルオトロにそんなことが起こるとは驚きです。ところでグラップリングの時は84キロで戦っていますが、MMAでは77キロですね。
「185ポンドで戦っているのは、ケイドが170ポンドで戦っているからで。同じ階級で戦いたくなかったんだ。結果、ケイドはライト級で、僕はウェルター級でサブミッショングラップリングのベルトを巻くことができた。
基本、僕の体重は170ポンドを少し上回るぐらいで。175ポンドから180ポンド程度なんだよ。170ポンドにすることは全く問題ないよ。プリティ・イージーだ」
――今回の試合はケージで行われます。リングと違い、タイが金網を使ってイマジネーション溢れる攻撃を見せてくれるのではないかと期待しています。
「グラップリングだけど、ケイドがシンヤ・アオキとの試合で見せたようなケージキックからの柔術だね(笑)」
――まさに。あのバックテイクこそ、ファンタジスタでした。
「ONEのグラップリングでマラット・ガフロフと戦ったけど、柔術で1度か2度しかケージは経験していないんだ。もちろん、MMAでは初めてだ。何を見せることができるか、楽しみだよ。そしてベストを尽くす。ひょっとして、クレイジーな動きを見せるかもしれないよ。ケージを蹴ってハイキックを狙ってみようか(笑)」
――おお、タイのショータイム・キック。楽しみにしています(笑)。では磯嶋祥蔵選手の印象を教えてもらえますか。
「ボディロックが強い。柔道家だと思うんだけど、グラップリングも上手い。MMAでは6勝0敗だし、勢いがあるに違いない。強い相手と戦えて嬉しいよ。
ショーゾーを相手に日本の皆に、美しいと思ってもらえるような動きを見せたい。そのために日本にやってきたのだから」
家族の生活と健康を守る。経済的にも家族を守りたい。究極、そのためにマーシャルアーツって存在していると思う
――MMAファイターとしてのゴールをどこに追いているのでしょうか。
「僕自身、どれだけMMAを戦うのかは分かっていないんだ。ただ、MMAでもベルトが欲しい。確かなことは、そんなに多くMMAを戦うことはないということだよ。40歳になって、動きが遅くなったりしたくない。ずっと家族と一緒に健康な生活を送りたいと思っているから。
可能な限り早くトップに立ち、ベルトを巻きたい。そしてマーシャルアーチストとして、家族の生活と健康を守る。経済的にも家族を守りたい。究極、そのためにマーシャルアーツって存在していると思うんだ。
ジークンドーを習ったりしてね。最高だよ。MMAでベルトを獲っても、僕のマーシャルアーチストとしての旅は続く。MMAを戦うことで、マーシャルアーチストとしても得られるモノは本当に多い。初戦で経験したエネルギーの生かしようだとかね。これからもケージに入るたびに、何かを学べるはずだ。MMAを戦うという特別な人生を送ることができて、凄くハッピーだよ。トレーニングをすることも含めて、ね」
――では日本のファンに最後に一言メッセージをお願いできますか。
「コンニチハ、ジャパン。アリガトーゴザイマース。日本で戦えることは最高に幸せだ。僕はここ日本が大好きだから、良い試合を皆に見せたい。絶対に最高のタイ・ルオトロを見てもらいたい。皆の幸運を願っている。タノシンデ!!」
■放送予定
11月16日(日)
午後12時00分~U-NEXT PPV
■ONE173対戦カード
<ONEキック暫定世界フェザー級王座決定戦/3分5R>
スーパーボン・シンハマウィーン(タイ)
野杁正明(日本)
<ONE世界フライ級(※61.2キロ)選手権試合/5分5R>
[王者] 若松佑弥(日本)
[挑戦者]ジョシュア・パシオ(フィリピン)
<ONEムエタイ・アトム級王座決定戦/5分3R>
吉成名高(日本)
ヌンスリン・チョー・ケットウィナー(タイ)
<ONEムエタイ世界フライ級王座決定戦/3分5R>
ロッタン・ジットムアンノン(タイ)
ノンオー・ハマ(タイ)
<ONE世界ライト級(※77.1キロ)選手権試合/5分5R>
[王者] クリスチャン・リー(米国)
[挑戦者] アリベク・ラスロフ(トルコ)
<キック・フライ級/3分3R>
武尊(日本)
デニス・ピューリック(カナダ)
<キック・フェザー級/3分3R>
マラット・グレゴリアン(アルメニア)
安保瑠輝也(日本)
<キック・バンタム級/3分3R>
与座優貴(日本)
スーパーレック・ギアットムー9(タイ)
<キック・フェザー級/3分3R>
ナビル・アナン(アルジェリア)
和島大海(日本)
<キック・女子アトム級/3分3R>
スタンプ・フェアテックス(タイ)
KANA(日本)
<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
タイ・ルオトロ(米国)
磯嶋祥蔵(日本)
<サブミッショングラップリング・ミドル級(※93.0キロ)/10分1R>
ジャンカルロ・ボドニ(米国)
ラファエル・ロバトJr(米国)
<ムエタイ・バンタム級/5分3R>
ジェイク・ビーコック(カナダ)
スアキム・ソー・ジョー・トンプラジン(タイ)
<ヘビー級(※102.01キロ)/5分3R>
竹内龍吾(日本)
シャミル・エルドアン(トルコ)
<ライト級(77.1キロ)/5分3R>
青木真也(日本)
手塚裕之(日本)
<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
澤田千優(日本)
平田樹(日本)
<キック・バンタム級/3分3R>
ウェイ・ルイ(中国)
秋元皓貴(日本)




















