【ONE173】スーパーボンが野杁正明を下してキック・フェザー級王座統一、グレゴリアンとの2強時代は継続
【写真】スーパーボンが野杁、グレゴリアンが安保を撃破。ONEフェザー級キックにおける存在感を見せつけた(C)ONE
16日(日)有明アリーナで開催された「ONE173」。今大会のメインイベントではフェザー級(70.3キロ)キックボクシングの世界王座統一戦で正規王者スーパーボン・シンハ・マウィンが暫定王者・野杁正明に勝利して統一王座となり、マラット・グレゴリアンもONE初参戦・安保瑠輝也から判定勝利を収めた。
Text by Takumi Nakamura
<キック・フェザー級/3分3R>
マラット・グレゴリアン(アルメニア)
Def.3-0
安保瑠輝也(日本)
ONE初参戦で事実上のフェザー級ランキング1位のグレゴリアンと対戦した安保。キックルールの試合は2023年9月以来となったが、序盤はグレゴリアンのプレッシャーに押し負けることなく、この期間に磨いたパンチと本来得意にしている蹴り技を織り交ぜてテンポよく自分の攻撃を当てていく。
しかし試合が進むにつれてグレゴリアンがプレッシャー勝ちするようになり、近い距離でのボディブローとローキックを交えたコンビネーションで攻め込み、徐々に安保が守勢に回る場面が増える。試合はこのままグレゴリアンが攻め続ける形で終了となり、グレゴリアンが持ち前のブルファイトで安保を判定で下した。
<ONEキック世界フェザー級王座統一戦/3分5R>
[正規王者]スーパーボン・シンハ・マウィン(タイ)
Def.3-0
[暫定王者]野杁正明(日本)
そしてスーパーボン×野杁の王座戦はスーパーボンが左ミドルや前蹴りで距離を取り、野杁が圧力をかけてローや奥足への与座キック(相手の太ももへの三日月蹴り)を蹴る展開で試合が始まる。3Rに野杁が奥足への蹴りでスーパーボンの足を止める場面を作ったものの、ここからスーパーボンは蹴りのフェイントから右のテンカオを突き刺して野杁の動きを止め、アッパーやフックなど近距離のパンチを当てる。
4R以降はビッグヒットはなかったもののスーパーボンが手数で野杁を上回る流れとなり、スーパーボンが野杁を判定で下して王座統一を果たした。
<キック・フェザー級/3分3R>
ナビル・アナン(アルジェリア)
Def.3-0
和島大海(日本)
またジョナサン・ハガティーの負傷欠場を受けて急遽出場となった和島大海は195㎝を誇るナビル・アナンを得意のローキックで攻めたものの、アナンの右ストレートや派手な蹴り技を受ける場面もあり、判定負けでONEデビュー戦を勝利で飾ることは出来なかった。
今大会では野杁・安保・和島の日本人3選手が揃い踏みしたものの、いずれも勝ち星を上げることができず。和島は代打出場で本来は一階級下のアナンと対戦するというイレギュラーな形だったが、改めてフェザー級キックボクシングにおける海外勢の強さを感じる大会となった。
特に長らくONEのフェザー級キックボクシングの最前線で戦っているスーパーボンとグレゴリアンの強さは健在。ファイトスタイルの相性的にスーパーボンがグレゴリアンに2戦2勝と勝ち越しているが、この両者がONEフェザー級のキックの2強として確固たる地位を築いていると言えるだろう。
これからは日本人3選手の巻き返しはもちろん、ムエタイルールでスーパーボンに2戦2勝のONEムエタイ王者タワンチャイ・PK・センチャイ、野杁に勝利した実績が光るリウ・メンヤン、ラジャダムナンスタジアムでの活躍を経て2024年からONEに参戦するシャドウ・シンハ・マウィン、リウ・メンヤンと海人に勝利している技巧派モハメド・シアサラニらの中から誰がタイトル戦線に浮上してくるか。
またムエタイで戦っていたタワンチャイやシャドウがキックルールにチャレンジしたように、ハードパンチャーのニコ・カリロのようなムエタイファイターたちがキックルールでも試合をするようになれば、より選手層も厚くなってくるはずだ。
スーパーボン・グレゴリアンの2強時代は継続、今後のONEフェザー級キックも誰がスーパーボンとグレゴリアンの牙城を崩すかを軸に回っていくことになる。



















