【RIZIN Y.E.S.P.Festival】バンタム級で後藤丈治と対戦、ホセ・トーレス「絆を教えてくれた皆のために」
【写真】ここまで思ってもらえる。日本のファンは世界で一番幸せかもしれない(C)MMAPLANET
31日(水)に埼玉県さいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで開催される「RIZIN 師走の超強者祭り」。同大会ではWORLD GPフライ級トーナメントに出場したホセ・トーレスが、バンタム級で後藤丈冶と対戦する。
Text by Manabu Takashima
昨年の大晦日大会で初めてRIZINで戦ったトーレスは、TVで視てきたジャパニーズMMAをリアルに感じた。それはファンとの絆、ファンのために存在する大会ということだった。
そんな日本、RIZINで戦い続けるために出場がデフォルトでなかった大晦日の大会に向けて調整を続けてきたという。後藤の志と実力を認めたうえでホセ・トーレスは接近戦で打ち勝つことを明言した。
RIZINって会場にいるファンのためのショーなんだ
――――ショーティー、ニューイヤー・イブ・ショーへの参戦が決まりましたね(※取材は3日に行われた)。
「また大晦日に日本で戦えることが決まって、本当に嬉しいよ」
――UFC一択のような米国ですが、ショーティーにとって日本で大晦日のイベントで戦うことの意義とは?
「米国にいるとUFC一色だ。僕がTitan FCで二階級を制覇した時も皆が『いつ、UFCで戦うんだ?』と尋ねてきた。セルジオ・ペティスにしても、パッチー・ミックスにしてもBellatorで世界チャンピオンになっても、同じようなことを尋ねられ続けただろう。僕はUFCを経て、違う世界に触れることができた。UFC以外でもオウギクボと戦えた。モカエフと戦いたいと思っている。少し前までならキョージ・ホリグチと戦う機会を探ることができた。
実は僕自身、PRIDE、HERO’S、パンクラス、RIZINと日本のMMAをチェックしてきたけど、実際に去年の大晦日に、RIZINで戦うまでそのスケールを理解できていなかった。入場前にビッグスクリーンに映像が流れ、僕のことを知らないファンにしっかりと情報が伝えられていた。入場も時間を掛ける。ファイターはリングに向かいながら、ファンの気持ちを盛り上げる。それが分かったから僕自身、去年の大晦日より今年の7月の方が良い入場ができたと思う。
RIZINって会場にいるファンのためのショーなんだ。UFCは本当にオーガナイズされているよ。全てにおいて、決められた時間通りに、物事が進んでいく。ファイトが終われば、すぐに次の試合が始まる。RIZINはTVセールスやコマーシャルのために、イベントの流れができているわけじゃない。
20試合とかあって、その全試合にエンターテインメント性が求められている。あの長い休憩時間もあって、凄く長い夜になる。
だから世界は知らないだろうけど、4万人もファンが会場に集まる。そして試合中は、その4万のファンが静寂を守って試合を見ている。リングの上で何かが起こると、歓声が沸き起こる。ここは本当にUFCと違うところだ。米国やメキシコの大会では会場のどこかしこで、ファンが叫びまくっているからね。
UFCは全てがオンタイム。ビジネスの基本が違うんだろうね。RIZINは会場のファンが喜ぶために、運営されていることを知った。あのファンの前で、また戦いたいとずっと思い続けていた。再びRIZINで戦える。それこそ、僕にとってクリスマス・ウィッシュなんだ。試合に勝とうが、負けようがね」
まだ正式に試合が決まる前からトレーニングは続けていた
――怒涛の日本へ想いが籠った言葉、ありがとうございました。ところで今さらながらですが、ショーティーは今回どこでインタビューを受けてくれているのでしょうか。
「アハハハハ。いつもインタビューがあるたびに、どこか新しい街にいることが多かったよね。確か最初にインタビューを受けたのはニューメキシコのジャクソン・ウィンクMMAだったはずだ。それからアメリカン・トップチームから色々な場所でインタビューを受け、前回はメキシコだった。
どの場所にいても、最高のトレーニングができていた。ただ僕としては色々な場所で、色々な人達と交わっていたいんだ。そして今はフロリダに戻ってきた」
――フロリダはMMAジムだらけですが、今回はどこのジムで練習をしているのですか。
「マイアミのゴート・シェッド・アカデミーと、サンライズのMMAサイエンス・アカデミーで、ディーン・トーマスやチャールズ・ロサという以前のコーチや練習仲間に合流した。それとケイラ・ハリソンと戦うアマンダ・ヌネスのサポートをしているんだ」
――ヌネスのサポートをしているということは、自身の練習のためのフロリダ入りではなかったとういうことですか。
「正式なオファーは先週かな。それ以前からRIZINには『大晦日に戦えないか』という話はしていた。7月のフライ級GPも最初は僕のスポットはなくて、その話をしてから2週間後にオファーが来た。あの時のように準備が十分でない状態で試合はしたくなかったから、まだ正式に試合が決まる前からトレーニングは続けていたんだ」
――正式なオファーがなくても、大晦日をターゲットに練習をしていたのですか。
「やっぱり7月の負けがあるからね。あの敗戦には、本当に落ち込んだ。ベストを尽くし、良い戦いができた。多くのファンは僕が勝っていたと言ってくれたように。でも、あと一押しが足らなかったのは、事実だ。短期間の厳しい減量の影響だと思っている。だから、そういう風にならないよう言い訳ができない状態で、今回の試合は臨みたかったんだ」
――ではコンディションは問題ないと。
「今日なんて5分10Rのスパーリングをこなしたよ。5Rは自分のためのスパーをした。休憩タイムにシュガーレスのグラノーラと炭水化物を摂って、アマンダのジムに移動して彼女のための5Rのスパーをした。2つのジムでキャンプを行っているから、技術的にも上達しているしバンタム級として、過去最高の状態にあるよ」
――今ショーティーが言ったように、今回はフライ級ではなくてバンタム級で戦います。
「そうだね……そこ関していうと、僕はBRAVE CFと契約があるからBRAVEと話をしていたんだ。でも彼らは僕の試合がすぐに組める状態ではなく、正確なプランはまだなかった。そんななか、RIZINの大晦日大会に出場予定だったライアン・ベイダーが欠場すると知った。あの時、ソーシャルメディアで『スーパーファイトで、RIZINヘビー級GPチャンピオンをぶっ飛ばす』と投稿したんだ。日本のファンが盛り上がってくれて、2日後にRIZINからコールがあった。
『体を大きくして、違う階級でタフな相手だけど戦うかい』ってね。『誰だろうが構わない。契約書を送ってくれ。僕は大晦日のショーに戦う』と即答した。これが人生で2度目の大晦日ショーだ。物凄く楽しみだよ」
希望をいえばフライ級GPのウィナーと3月、それが難しくても来年の早いタイミングで戦いたい
――本来はフライ級で戦いたいという気持ちはありましたか。
「ただ試合がしたかった。例え僕がフライ級で試合を組んでほしいといっても、フライ級GPが決勝を迎えて良い相手もいなかったに違いない。シンリューがATTに来ているということは、彼の試合は組まれるだろう。でも、僕はもう彼とは去年の大晦日で戦った。なら、僕の相手にはならない。RIZINも決勝に力をいれるだろうし、他のフライ級ファイターは、もうお呼びがかからないに違いない。来年になるとフライ級で戦う機会が訪れるだろうけど、大晦日はない。だからバンタム級でも構わなかった。とにかく日本で試合がしたかったんだ」
――では今後ということでいえば、ショーティーはフライ級で戦う気持ちがあるということですね。
「イエス、イエス。フライ級でもバンタム級でも戦っていきたい。バンタム級では対戦相手は大きくなる。でも、減量を考えると快適だ」
――バンタム級だとドーナツを食べることができるのでしょうか(笑)。
「悲しいけど、ドーナツは食べられないよ(笑)。サンクスギビングデーも、クリスマスも僕にはない。それなのにマネージャーは平気でドーナツやクッキー、パイを食べまくっているんだ。そんな時、僕は部屋に閉じこもって我慢するだけで(笑)。今回は正式オファー前からトレーニングをしてきたし、上の階級だろうが何も言い訳がない状態で戦う。そして、アマンダ・ヌネスのサポートのためにすぐにフロリダに戻る。希望をいえばフライ級GPのウィナーと3月、それが難しくても来年の早いタイミングで戦いたい。
若くて強い意志を持っている相手を倒して、今もチャンピオンになれる力があることを証明しなければならない
――では後藤選手の印象を教えてください。
「彼はショーティー・トーレスを倒して、輝く存在になりたいはずだ。日本のファンは、誰が次のキョージ・ホリグチになるのか、そこを求めていると思う。そしてRIZINはその機会をファイターに与えている。世界に飛び出す力をつけ、ファンの支持を得られるか。本当にMMAはハードで、辛いことが多い。そのなかで成功を収めようというファイターがいる。ジョージ・ゴトーもその1人だと僕は思っている。
背が高く、リーチも長い。強烈な左の拳を持っている。彼の左は一撃で7人のファイターを倒してきた。そんな彼のエリアに入って、戦いたい。そうでないと僕の攻撃は当たらない。僕は小さいからこそ、テイクダウンを含め距離を詰めて、ファンが喜ぶ戦いがしたい。近距離で戦わないといけない。そういう相手にパンチを打ち込もうというのが、ジョージ・ゴトーだ。強い相手だからこそ、どんな試合になるか楽しみだよ。デンジャラスな相手だけど、勝つのは僕だ」
――後藤選手に対し、ショーティーのアドバンテージは?
「近い距離での戦いは、彼を苦しめることになるだろう。そして寝技でもね。彼の寝技は、トップはできているけどボトムはそうでもない。だからすぐに立ち上がろうとする。安全面を考えると間違った選択じゃないけど、あれを続けるとガスタンクは急激に空に近づいていくからね。
彼が試合で負けるのは、寝技のプレッシャーを受けた時だ。相手のペースで戦われると、接戦を落とす。僕としては初回からペースを握って、2Rか3Rに仕留めたい。アマンダ・ヌネスのために無傷でフロリダに戻ってきたいんだ。
なにより今、結果的に僕は連敗中だ。ジョージ・ゴトーという若くて強い意志を持っている相手を倒して、今もチャンピオンになれる力があることを証明しなければならない」
――この試合の結果と内容によっては、バンタム級でもチャンスが増えるかもしれないです。
「どちらの階級でも戦っていける。オウギクボやキョージ・ホリグチがそうだったように。ファンが喜ぶ試合をして、フライ級だろうが、バンタム級だろうが……そうダブルチャンプを目指す。Titan FCでフライ級とバンタム級の二冠王者になった時のようにね」
――ショーティー、では最後にRIZINファンに一言お願いします。
「僕がRIZINで戦うのは100パーセント、皆の存在があるからだ。皆が僕をRIZINに帰してくれた。それこそが、僕がRIZINで戦う理由だ。RIZINとファンの繋がりを分かってなかった僕に、その絆を教えてくれた皆のためにも、絶対に良い試合をする。その日が待ちきれないよ」
■視聴方法(予定)
12月31日(水)
午後12時~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!
■RIZIN Y.E.S.P.Festival対戦カード
<RIZINフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者] ラジャブアリ・シェイドゥラエフ(キルギス)
[挑戦者] 朝倉未来(日本)
<RIZINライト級選手権試合/5分3R>
[王者] ホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル)
[挑戦者] イルホム・ノジモフ(ウズベキスタン)
<RIZINフライ級王座決定戦/5分3R>
扇久保博正(日本)
元谷友貴(日本)
<RIZINバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者] 井上直樹(日本)
[挑戦者] ダニー・サバテロ(米国)
<RIZIN女子スーパーアトム級選手権試合/5分3R>
[王者] 伊澤星花(日本)
[挑戦者] RENA(日本)
<フェザー級/5分3R>
クレベル・コイケ(ブラジル)
ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)
<バンタム級/5分3R>
福田龍彌(日本)
安藤達也(日本)
<フェザー級/5分3R>
新居すぐる(日本)
秋元強真(日本)
<フェザー級/5分3R>
カルシャガ・ダウトベック(カザフスタン)
久保優太(日本)
<バンタム級/5分3R>
後藤丈冶(日本)
ホセ・トーレス(米国)
<73キロ契約/5分3R>
雑賀“ヤン坊”達也(日本)
“ブラックパンサー”ベイノア(米国)
<バンタム級/5分3R>
芦澤竜誠(日本)
ジョリー(日本)
<RIZIN甲子園決勝フライ級/5分2R>
須田雄律(日本)
ヤマザト・エンゾ・マサミ(ブラジル)















