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【DEEP JEWELS51】ここでパク・シウ戦!! 彩綺「“頑張った”とか“出しきった”とか。もう、いらんわ」

【写真】気持ちも骨格も殴られ強そう。組みへの耐久もついてきた。それ故の抜擢(?)か(C)TAKUMI NAKAMURA

23日(日)に港区ニューピアホールで行われるDEEP JEWELS51で彩綺パク・シウと対戦する。
Text by Manabu Takashima

Text by Takumi Nakamura

9月に予定されていた海咲イルカ戦を肩の負傷により欠場を余儀なくされた彩綺。仕切り直しに一戦を想像していた彩綺のもとに届いたのは前王者パク・シウ戦のオファーだった。

これまで格上と言われる相手とのオファーを受けてきた彩綺は「“頑張った”や“出し切った”と言っても結局は負けている。そういうのはもう一つもいらないし、それだったら勝ちたい」と勝利への執念を言葉にした。


――試合まで2週間を切りました(※取材は13日に行われた)。今の練習の状況はいかがですか。

「今回は打撃で勝負する時間も長くなると思っているので、打撃の練習の頻度を上げて、レスリングは(大井)すずちゃんにやってもらいながら、グラップリングを調整しているイメージですね」

――9月の海咲イルカ戦は肩の怪我で欠場となってしまいました。あの時はどういう状況だったのでしょうか。

「練習中に右肩を怪我してしまって、大沢(ケンジ)さんと相談して欠場することにしました。肩の怪我はちゃんと治さないと、癖になって長引くこともあるので、海咲選手には本当に申し訳なかったのですが、欠場という判断をさせていただきました。今は万全な状態で試合に向けて準備できています」

――今大会では元DEEP JEWELS女子ストロー級王者のパク・シウ選手と対戦が決まりました。オファーを受けた時の心境は?

「最初に聞いたときは『うわー!』となりました。海咲戦を怪我で欠場しているにも関わらず、パク・シウ選手の名前が出てくるんだって」

――彩綺選手としては再スタートになると思っていたタイミングでビッグチャンスが来たという感覚ですか。

「そうですね。でも私は結構そういう試合を組んでもらうことが多くて、デビュー戦の相手がケイト・ロータス選手でしたし、5戦目でHIME選手とやった時も『ここで来るんだ!』と思いました。なんかいつも私の予想よりもワンテンポ早いタイミングで名前が出てくる感じですね」

――そういったチャレンジマッチ的な試合をやってきたことで自分が成長してきたという手応えはありましたか。

「手応えというよりも、こうやって試合をしていると良い時と悪い時があって、ずっと右肩上がりになることはないんだなということを学びました。結構私は何も考えずにワーッ!とやったら、自分の力を出せると思っていたんですけど、そうじゃないんだなと(苦笑)。勝っても負けても、自分の力を出しきれないことが一番不甲斐ないというか、出しきれなかったことが記憶に残ることも経験しましたね」

――今回のパク・シウ戦は彩綺選手にとってまた1つの大勝負だと思いますが、いいメンタルで準備は続けられていますか。

「だいぶメンタル的にもいいですし『私がここで勝ったらおもろいよな』と思う状況というか、ちょうどその境界線に立たされているんだなと思います」

――戦う相手としてパク・シウ選手にはどんな印象を持っていますか。

「全然リスペクトもあるし、色んな経験もしている選手ですよね。スタイル的には近距離で(打撃を)振り切れる選手だから、そこはファイターとしての勝負強さがある選手だなと思います」

――冒頭では打撃の時間が長くなることを想定しているとおっしゃっていましたが、かなり試合展開はイメージして準備されていますか。

「ここまで何試合かやってきて、いざ試合になると一切打撃に付き合ってくれない選手もいるし、打撃だけで来る選手もいるし、打撃も組みも混ぜてくる選手もいるから、結局、試合になったら何が来てもいいように準備しないといけないことを学んで、そのための練習をしています」

――彩綺選手のこれまでの戦績を振り返ると、本当に色々なタイプの選手と戦ってきましたよね。そこで積み重ねてきた経験値は多いのではないですか。

「そうですね。やりたいことをやらしてもらえないとか、一番イライラしますし(苦笑)」

――勝ち負け以外にもやりきれた試合・やりきれなかった試合、色んな試合がありましたか。

「本当にそうですね。青野(ひかる)戦やケイト・ロータス戦はマジでイライラしました。それも自分が悪いんですけど。ああなったら自分もちゃんと組みをやらないとダメですね」

――そういう経験をしてきたからこそ、全局面のスキルを上げる、自分の良さを出すために必要な部分を伸ばす…そういう部分も見えてきましたか。

「だいぶ見えてきました。結局自分は根っからのストライカーなんですけど、それを活かすためにどこをどう潰せばいいのかは明確で、打撃しかやらないみたいな変なこだわりを捨てました。打撃をやりたいなら、寝技もレスリングもちゃんと頑張りなさいよって」

――先ほど名前が出た大井選手は今の彩綺選手にとって、自分の足りない部分=レスリングを強化する意味でも非常にいいパートナーになっているようですね。

「すずちゃんは本場のレスリングの選手で、体は自分の階級よりは小さいですけど、レスラーならではの組み力は普通に男子選手より強いんですよ。練習としてはグラップリング&レスリングですけど、すずちゃんがまだレスリング色が強いんで、逆にそれが私にとってはいい練習になっていますね。今回はすずちゃんに完全に付き合ってもらってボコボコにしてもらって、本当にありがたいです」

――彩綺選手にとって今後のキャリアを左右するターニングポイントになる試合だと思います。どんな試合を見せたいですか。

「試合が決まった時から、ここで勝ったら今の女子格の状況が変わるのは確実だなと思っているんですよね。もし今女子格のスーパーアトム級にランキングがあるとしたら、結構上の方の選手が固定化されていると思うんです。でもここで私がパク・シウ選手に勝ったら一気にランキングが動き出すと思うし、きっとランキング上の方にいた人たちも焦り出すはず。『彩綺、ここまで来たんだ』って。スーパーアトム級はちょいちょい新しい選手が出てきているけど、ランキングの下の方にいる状態なので、私はパク・シウ選手に勝って一気にランキング中位には飛び込むつもりです」

――新しい選手が頭角を現すなか、誰が上位陣に食い込んでいけるか。自分がそこを突破する選手になりたい、と。そうすれば色んな景色が変わりそうですね。

「もちろんパク・シウ選手に勝つために作ってきているものもあるので、そこも楽しみにしていて欲しいです。あと、今までは試合後に“頑張った試合”とか“出しきった試合”と振り返ることもあったんですけど、もうそういう考えはいらんわと思っています。そう思うことは100パーセント無駄ではなくて、必要な考え方ではあると思うんですけど、自分はそれが結構嫌なんですよね。

“頑張った”や“出し切った”と言っても結局は格上相手に負けているわけじゃないですか。そういうのはもう一つもいらないし、それだったら勝ちたい。今はただただ勝って目の前の景色を変えて、スーパーアトム級のランキングを私がぐちゃぐちゃにする。それがこの試合に向けた気持ちです」

■視聴方法(予定)
11月23日(日)
午後12時05分~U-NEXT、DEEP/DEEP JEWELS YouTubeチャンネル メンバーシップ


■DEEP JEWELS51 対戦カード

<49キロ契約/5分3R>
浜崎朱加(日本)
イ・イェジ(韓国)

<49キロ契約/5分3R>
パク・シウ(韓国)
彩綺(日本)

<ストロー級/5分3R>
重田ホノカ(日本)
ののか(日本)

<49キロ契約/5分2R>
竹林エル(日本)
サラ(日本)

<ストロー級/5分2R>
月井隼南(日本)
成本優良(日本)

<ストロー級/2分3R>
堀井かりん(日本)
岡美紀(日本)

<ミクロ級/5分2R>
大井すず(日本)
小雪(日本)

<アマチュア ストロー級/3分2R>
山吹マリン(日本)
松村美直(日本)

<アマチュア ストロー級/3分2R>
あきぴ(日本)
谷山心優(日本)

<アマチュア49キロ契約/3分2R>
横江明日香(日本)
五十嵐莉子(日本)

<アマチュア49キロ契約/3分2R>
せりな(日本)
和智美音(日本)

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