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【RIZIN Y.E.S.P.Festival】福田龍彌戦に向け「用意し、それに拘らない。準備だけ」=安藤達也、戦いの流儀

【写真】ずっと笑顔を見せ続けている。拳を合わせるまでは、メローな安藤達也だ(C)MMAPLANET

31日(水)に埼玉県さいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで開催される「RIZIN 師走の超強者祭り」で、安藤達也” rel=”noopener” target=”_blank”>安藤達也が福田龍彌対戦する。
Text by Manabu Takashima

J-MMA界屈指の仕留める感性を持った両者の戦い。安藤は2015年のリアリティTV時代と、アジア太平洋の人材発掘トーナメント期の2つのRoad to UFCを経験。それだけUFCへの想いが強いなかでONEをターゲットとする時期もあった。

その安藤が最後の挑戦の場――RIZINで2試合連続フィニッシュ勝利し、大晦日出場&福田と戦う権利を手にした。「倒せる」と断言する福田との対戦に向け、復活の陰にある盟友との合流や互いの特徴を話す安藤から、独特の戦う流儀が感じられた


今の『外国人には敵わねぇ』なんて空気には染まっていないから

――会見中の安藤選手の表情がなんとも言えず興味深いモノがありましたが、ここに来て福田選手との一戦が大晦日に行われます。

「RIZINに来て2試合で追いつかせてもらったのは、それだけ評価してもらえているのかなって。俺と福田君は30代で、相当に苦労もしてきてますから。大人のやり合いを見せますよ。タイトル戦は負けちゃったけど、ぐっと来ていた福田君に俺が追いついた。ここで、交わることができるので」

――マゲラム・ガサンザデ、ヤン・ジヨンから連続一本勝ちです。それは評価されるだろうと。

「やっと、腹が括れたというか。ココを逃したら、『もう、ねぇぞ』っていう気持ちでしか、俺はなかったので。あそこでこけたら、もうダメでしたね。映画とかで、秘密基地みたいなところから逃げる時に、鉄の扉がドーンと落ちてくるじゃないですか。あれをギリギリで抜けた状態だなって。もうギリギリですよ、デキとしては。

ただ俺は今の『外国人には敵わねぇ』なんて空気には染まっていないから。ただ勝って当たり前とも思っていなかったです。マゲラムは未知数だし、ヤン・ジヨンはあれだけ勝っている選手で。その2人にああいう勝ち方ができたことは、俺も自信になりましたね。だからって、ずっと勝てるわけじゃないし。ずっと進化しないといけない。その時々で適したチョイスができるか。それが、必要になってくると思います」

――高野優樹選手と一緒に練習をするようになった成果といえるのでしょうか。

「アイツは国士館大の同期なんですよ。優樹は最初60キロ級だったけど、俺の階級に上げてきて。練習の時は互いにガチでガンガン当たって、学校の代表戦も絶対に優樹と試合をして、勝った方が代表になる――みたいなライバルでした。でも一番仲が良かったのがアイツなんです。しかも誕生日も一緒で。誕生日が一緒って、ヤバくないスか(笑)。

MMAを始める前から互いのことを知っている。練習面だけでなく、パーソナリティも。自分のことを一番理解してくれている相方なんで。それが今になってハマったスね」

――MMAを始めて歩んできた道は違うと思いますが、いつ頃からまた交わるようになったのでしょうか。

「実は優樹とは喧嘩しちゃって、完全に絶交みたいになっちゃっていたんですよ。アハハハハ。アイツが西谷大成って子ですかね、あの子に負けちゃって(※2023年5月)。その時の試合内容がクソ過ぎて……しっかりと練習をしていないのが、完全に試合に出ていたんですよ。

で、俺はアイツの練習も手伝っていないのにダメだししちゃって。そうしたら、もうアイツから何も返答がなくなって……。いや、俺がアイツと一緒にやって。どういう状況か分かってダメだしをしていたら、アイツも耳を傾けたはずなんです。でも、何も知らない俺が上から目線で、ダメだしをしちゃったもんだから」

――まぁ、こういうとアレですが……高野選手からすると、「なら、お前はちゃんと練習しているのか」と安藤選手に言いたくなりますよね。

「いや、ホントにそうなんスよ。マジ、それなんスよ(笑)。『練習してないのは、お前やろ』ってなりますよ。俺もソレに気づいて……。

去年の終わりとかですかね、日本でもう一回やるんだったら優樹と一緒にやりたいと思って俺の方からコンタクトをとりました。でも連絡をしてもずっと無視されていて(笑)。着信拒否されていたんですよ。アハハハハハ。で、共通の先輩に相談して間に入ってもらって」

――そこまで高野選手と一緒に練習をしたかったのは?

「これが最後の挑戦になるかもしれないから。で、『あん時はゴメン。俺は手伝ってもいなかったのに、お前にチョー文句言っちゃって』みたいに謝って。そこから一緒に練習するまで3カ月掛かりました。

でも俺も本気になっているのをアイツも感じてくれたみたいで。この2試合、一緒に対戦相手のことを分析して、意見交換する。それをトレーニングに取り入れるようなことをやって、それが試合で実行できたことは本当に大きいです」

福田君は緻密ですよね。でも、その緻密なことを感覚でやっている

――そこで迎える福田龍彌戦です。まず、このオファーが来た時はどのような気持ちに?

「もう、やりたかったわぁ。俺は絶対KOできるって。絶対、絶対、絶対に決着をつける。そう思っているし。直感でそう思うところを優樹と話して、倒すパターンをいくつか用意しています。ただ勝つ方だけでなく、負ける時はこうだというパターンも頭に入れて。

それだけ用意し、試合になると特にそれに拘らない。準備だけしておくんですよ。自然と出るぐらいまで練習で落とし込んで。俺は性格的にも、〇〇をやらないといけないって思っちゃうとデキなくなるで」

――安藤選手はパターンが崩れた時、前に出るという手段に出ますよね。それが良い結果をもたらす時もあるし、功を奏さないこともある。

「アハハハハ。いっちゃいますね」

――その辺りは福田選手とは違う点かと。

「福田君は緻密ですよね。でも、その緻密なことを感覚でやっている。で、危ないと思ったら出ないですね。それは前回の井上(直樹)選手に挑戦した試合でも、その通りでした。同時に、あの試合は彼のなかで行けると思っていたことを読み違えていた。そんな試合に見えました。井上選手はジャブでコントロールできていて、対して福田君は何かを変えないといけないけどそのままで。確かDEEPの防衛戦(×牛久絢太郎戦)でもそんな感じでしたよね。

ファンは綺麗に戦うんじゃなくて、爆発力を求めていると思うんですよ。爆発できない、完全燃焼できていない試合が2度続いているから、俺との試合では爆発してきそうですよね(笑)」

――その方が戦いやすいですか。

「来ても、待たれても崩せる自信はあります。むしろ待つようなことがあると、こっちの試合になる。攻めてくると、噛み合って向うにもチャンスが広がるんじゃないかと……俺は思います」

――福田選手はカウンターの名手かと思いますが。

「その辺は、俺はジャブをつくのが得意だから。正直、ヤン・ジヨンの方が攻撃力は高いんじゃないかというのがあって、パワーで言ったら。キレやスピードは絶対に福田君の方だけど。もともとフライ級だから速いし、技術的には絶対に上だけど、一発はヤン・ジヨンの方が強いと思うから。

最悪、パンチの筋が見えなかったら、相打ちでいきます。同じ回数、強いパンチを当てていくと『俺の方が倒せるぜ!!』って(笑)」

――それが正に功を奏すか、そうではないのか……。

「でも福田君って、結構頑丈そうですよね。アハハハハハ。まぁ、相当に打撃の削り合いになります」

――レスラーが、殴り合いで削り合うと。テイクダウンという選択肢の方は?

「簡単じゃないですよ。テイクダウンディフェンスは強いし。上でやり合わないと、下にはならない。それがMMAで。しっかりと、膨らみがあるんですよ」

ベルトを巻き……もう1回、日本代表になれれば最高だなって

――それがMMA、そして膨らみのあるモノだと。会見後の囲み取材で榊原CEOが「安藤選手が良い試合で勝てば、タイトル挑戦も見えてくる」というような発言をされていました。

「まぁ、今回もサバイバル戦ですけど、最悪の状況はここ2つの勝利で脱することはできたかと思うので。ここを超えても、強いヤツはわんさかいるから。ダニー・サバテロ、(佐藤)将光さんがいて。(後藤)丈治も俺とやりたいって言ってくれているし」

――後藤選手のアピールは届いていると。

「ありがたいことです。ただ俺もまだRIZINで2試合しか戦っていなくて、絶対の評価もない。追いかけている立場だから、丈治より戦いたい相手がいます。それが福田君であり、サバテロ、将光さんだから。丈治も、俺を目指すんじゃなくて、そこを目指すうえで俺と交わることになる。

そういうなかでベルトを巻き……もう1回、日本代表になれれば最高だなって思っています。RIZINのベルトを巻いて、海外の強豪と戦っていきたいですね。俺、今でも思うんですよ……Road to UFC、なんでフェザー級に飛びついちゃったんだろうって……。ちゃんとバンタム級で世界と戦いたいです」

この空気。小学生に見せることができるフェイスオフ

――とにかく溌剌としている安藤選手でした。

では、最後に福田選手との試合に向けて意気込みのほどお願いします。

「こうやって大晦日に呼んでもらって……皆に期待してもらっているうちが花なんで。しっかりと追い込んで、大晦日、熱い試合をして『ここは安藤だな』って思ってもらえるよう絶対に勝ちます」

■視聴方法(予定)
12月31日(水)
午後12時~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!

■RIZIN Y.E.S.P.Festival対戦カード

<RIZINフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者] ラジャブアリ・シェイドゥラエフ(キルギス)
[挑戦者] 朝倉未来(日本)

<RIZINライト級選手権試合/5分3R>
[王者] ホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル)
[挑戦者] イルホム・ノジモフ(ウズベキスタン)

<RIZINフライ級王座決定戦/5分3R>
扇久保博正(日本)
元谷友貴(日本)

<RIZINバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者] 井上直樹(日本)
[挑戦者] ダニー・サバテロ(米国)

<RIZIN女子スーパーアトム級選手権試合/5分3R>
[王者] 伊澤星花(日本)
[挑戦者] RENA(日本)

<フェザー級/5分3R>
クレベル・コイケ(ブラジル)
ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)

<バンタム級/5分3R>
福田龍彌(日本)
安藤達也(日本)

<フェザー級/5分3R>
新居すぐる(日本)
秋元強真(日本)

<フェザー級/5分3R>
カルシャガ・ダウトベック(カザフスタン)
久保優太(日本)

<フライ級/5分3R>
神龍誠(日本)
ヒロヤ(日本)

<バンタム級/5分3R>
後藤丈冶(日本)
ホセ・トーレス(米国)

<フライ級/5分3R>
篠塚辰樹(日本)
冨澤大智(日本)

<73キロ契約/5分3R>
雑賀“ヤン坊”達也(日本)
“ブラックパンサー”ベイノア(米国)

<バンタム級/5分3R>
芦澤竜誠(日本)
ジョリー(日本)

<RIZIN甲子園決勝フライ級/5分2R>
須田雄律(日本)
ヤマザト・エンゾ・マサミ(ブラジル)

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