【RIZIN Y.E.S.P.Festival】ベイノア戦にスクランブル発進、雑賀”ヤン坊”達也「笑って帰りたいです」
【写真】取材のあった26日が仕事納め――いや、本当の仕事納めは31日になったヤン坊 (C)MMAPLANET
31日(水)に埼玉県さいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで開催される「RIZIN 師走の超強者祭り」。同大会で雑賀“ヤン坊”達也” rel=”noopener” target=”_blank”>雑賀“ヤン坊”達也がスクランブル出場で、“ブラックパンサー”ベイノアと対戦する。
Text by Manabu Takashima
11月の神戸大会で、満を持してRIZIN初勝利と中央アジアの壁を超えるべきヌルハン・ズマガジーと対戦も、まさかの60秒一本負けを喫した。どれだけ努力をしても報われないことがある――そんな無力ささえ感じた敗北から3カ月。野村駿太の欠場でイルホム・ノジモフがライト級タイトルチャレンジャーとなり、ノジモフと戦う予定だったベイノアの対戦相手という枠が空いた。
その席に着く権利を得たヤン坊は、ショートのティスで夢の舞台で戦うことを「格闘技の神様が、僕に何かを求めているのかもしれない」と捉えていた。
「これだけやってきても、ダメなのか」、「ちょっと、もうできないな」と思っていました
――雑賀選手、その服装と背景を見ると勤務時間中ですか。
「そうなんですよ。本当は昨日で仕事納めだったのですが、急に仕事が入ってしまって。でも普段は計量の前日まで働いていますし、逆に年末年始ということで早めに切り上げることができています」
――仕事は仕事、ファイトはファイトと頭も気持ちも切り替えているのでしょうか。
「まぁ、お腹がすいたというのは感じますけどね(笑)。あとは特に試合の影響が仕事に出ることはないです」
――なるほどです。このタイミングですが、11月のヌルハン・ズマガジー戦について話を伺わせてください。
「ハイ(苦笑)」
――正直、あの試合タイム1分の敗北を見て「ヤン坊選手は引退かも」と思いました。
「僕自身、『これだけやってきても、ダメなのか』、『ちょっと、もうできないな』と思っていました。落ち込み方も、かなりヤバかったですね。もうできないという気持ちが、凄くて」
――会見でも涙を見せていました。
「(苦笑)。そうッスね。凄く賭けて、創っていたので。しっかりと準備して負けたのが、初めてで。自信もあったし、勝てば道が開くと期待していたし。賭ける想いが半端なかったのに、あんな結果に終わってしまって……」
――RIZINで敗れ、積み直した。Road to UFCで敗れ、積み直した。そのように積んだ日々の結果、過去最強の状態でズマガジー戦を迎えていたと思います。それなのに、あの左ハイが当たってしまうのかと……。
「本当にその通りなんですよねぇ……。僕自身、過去最強。そのつもりで、試合に挑むことができていました。なんか……、考えすぎちゃったのかなぁっていうのはありますね」
――凄くおかしな言い方かもしれないですが、MMAの魅力と強さの追求を断ち切るには、良きタイミングかとも感じていました。
「だからこそ、精神的に参っちゃっていました。言葉で『また頑張ります』っていうのは簡単なんです。だから、自分のことを想ってくれる人達には、そういう風には言ってはいました。でも、1人になって考えると『やっぱ、できない』って思うことが多くて。妻も『辞めたいなら、辞めれば。自分の想うようにして』という感じでしたし。それでも『やっぱりRIZINで勝つ姿は見たい』とは言ってもらって」
――戦い続けようと思うようになったのは?
「ジムの後輩で清水博人っていうのがいて。ネオブラを優勝して、11月9日にランカー戦(※糸川義人戦)で勝ちました。アイツの試合を見に行った時に、『ちょっと、まだ辞められないな』と。ファイトスタイルも僕と同じだし、『背中見せないといけない』と思って。だから落ち込みまくって、考えまくっていたのは1週間程度でした。それから1、2週間で練習も再開して」
断ると絶対に後悔することになる
――とはいえ、大晦日に試合があるとは思っていなかったですよね。いうとパンクラスの立川大会が5大タイトルマッチだったのは、ライト級選手権試合を組むことをしなかったからで。
「そうですね。パンクラスから僕には12月の話もなかったです。なので、普通に3月にラファエル・バルボーサと防衛戦をするつもりでいました。相当ラブコールを貰っていたので、『3月にやるぞ』って返答もして。ズマガジーにやられて、世界に跳ね返されている。仕切り直すにはブラジル人をしっかりと倒すことからだという気持ちでいました。
ただ練習を再開してから佐世保の方に1週間ほど出張があり、その間は練習もできていなかったので本格的に練習を再開したのが12月の頭からで。パンクラスの話がなくて、もちろん大晦日に出るなんていうことは頭になかったです」
――前回は試合の2カ月前にインタビューをさせてもらって、あの時の体重は85キロでした。今回はオファーがあった時は、どれぐらいの体重だったのでしょうか。
「話を貰ったのは、忘年会の次の日でした(苦笑)。二日酔いで頭が痛いと思っていたら、話を頂いて。目がパチっと開きました。体重は実際85キロありましたけど、断る理由はなかったです。断ると絶対に後悔することになると思ったので。
小さい頃からずっと見ていた夢の大舞台で、いうとRIZINの10周年締めの大会。さいたまスーパーアリーナも改装されるので次はいつか分からない。それで、前の試合に負けているのに、声が掛かった。普通はこんなのなくないですか?」
――野村駿太選手の欠場を受けて、逆ドミノというか。棚ぼたの棚ぼたでの出場かと。
「逆に俺、持っているなって(笑)。格闘技の神様が、僕に何かを求めているのかもしれないなと」
――しっかりと、周囲にケジメをつけなさいと言っているのかしれないですね。
「完全にその通りだと思います。だから、『よしっ!! やったるべ』という気持ちだけでしたね。ただ体重に関してはライト級ではなくて、73キロか74キロでないと厳しいですという風には伝えていました。そうしたら73キロになるということだったので、『なんとか落とします』と。で、何とかなりそうです。いつも計量の1週間前に7キロ落とす状態にしているのですが、そうなっています(※取材は26日に行われた)」
――それにしても短期間で、85キロから73キロまで落とす。技術的には持っているモノがあると思いますが、練習は体重を落とすことがメインになったかと。結果、持っているモノを出せるだけ創ることができるのか。スタミナ面に不安はなかったですか。
「ズマガジー戦前の80パーセントまでは戻せています。今回は創るよりも、戻すことにフォーカスして追い込んできました。話が来た日から、全開で上げてきました。実際、この間はしんどかったです。本当にしんどかった(笑)」
――そのしんどい練習の相手を務めてくれたのは?
「最近は内藤由良君と練習をしていて。あとは変わらず関鉄矢と井上直樹、DOBUITAのチームメントとやってきました。無駄なことは一切考えずに、できることをとにかくやるという気持ちで」
――ここに勝って乗り越える。そういう心境ではないRIZIN出場になるかと。
「あぁ、そうですね。キャリア的に負けたら、失うモノは大きいです。でもそういうことよりも、本当に色々なことを考えずに『勝つしかない』、『やるしかない』、『ひっくり返すしかない』という想いです。とにかく勝つ姿を皆に届けたい。前回の敗北を拭えるのは、勝つしかない。もう世界だとか、そういうことも頭にないです。勝ち以外は考えていないです」
積み上げてきたモノをぶつけます。とにかく勝つ
――その気持ちで臨む相手は、ベイノア選手です。ノジモフ戦を失ったとはいえ、彼もまたここで戦わないという気持ちにならなかったと思います。
「もう絶対に創っていますよね。僕とノジモフは身長も変わらないので、やってきた対策がハマるぐらいでいるんじゃないですか(笑)」
――ベイノア選手からすると、食って上へという部分は同じかもしれないですね。
「そこもRIZINという舞台ならではだと思います。彼からすると、僕はおいしい相手かもしれないです。パンクラスの選手がチャンピオンと戦うには、そこまで積んでいく必要があります。でも、それをスキップという言い方は変かもしれないですけど、RIZINだとパッと組まれる。
ただ最近の試合を見ると、ベイノアさんもしっかりと強くなっているので全く油断はできないです。凄く試合中も頑張るようになっていて。それがAKAスタイルというのか、以前のようにサークリングを続けるという戦い方とは全く違います。僕と戦い方も近いし、噛み合う試合になると思います。
だからこそ、しっかりと打ち込まないといけない。積み上げてきたモノをぶつけます。とにかく勝つ。もう『パンクラスでは勝てるけど、他では勝てない』と言われないようにしないと。本当にパンクラスに申し訳ないし、自分でも情けない。パンクラスのチャンピオンなのに……。この呪縛から早く抜け出して、スッキリしたい。
その機会を天から与えられたので、全てをポジティブに考えて今度こそ見せてやりますよ」
――では改めて、意気込みの方をお願いします。
「今年は1勝1敗、中途半端な気持ちだったので最後にバシっと決めて『雑賀”ヤン坊“達也、ライト級にあり』というのを皆に見せられるような試合を届けたいと思っています。応援よろしくお願いします。
そうッスね。笑って帰りたいですね」
■視聴方法(予定)
12月31日(水)
午後12時~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!
■RIZIN Y.E.S.P.Festival対戦カード
<RIZINフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者] ラジャブアリ・シェイドゥラエフ(キルギス)
[挑戦者] 朝倉未来(日本)
<RIZINライト級選手権試合/5分3R>
[王者] ホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル)
[挑戦者] イルホム・ノジモフ(ウズベキスタン)
<RIZINフライ級王座決定戦/5分3R>
扇久保博正(日本)
元谷友貴(日本)
<RIZINバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者] 井上直樹(日本)
[挑戦者] ダニー・サバテロ(米国)
<RIZIN女子スーパーアトム級選手権試合/5分3R>
[王者] 伊澤星花(日本)
[挑戦者] RENA(日本)
<フェザー級/5分3R>
クレベル・コイケ(ブラジル)
ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)
<バンタム級/5分3R>
福田龍彌(日本)
安藤達也(日本)
<フェザー級/5分3R>
新居すぐる(日本)
秋元強真(日本)
<フェザー級/5分3R>
カルシャガ・ダウトベック(カザフスタン)
久保優太(日本)
<バンタム級/5分3R>
後藤丈冶(日本)
ホセ・トーレス(米国)
<73キロ契約/5分3R>
雑賀“ヤン坊”達也(日本)
“ブラックパンサー”ベイノア(米国)
<バンタム級/5分3R>
芦澤竜誠(日本)
ジョリー(日本)
<RIZIN甲子園決勝フライ級/5分2R>
須田雄律(日本)
ヤマザト・エンゾ・マサミ(ブラジル)

















