【RIZIN Y.E.S.P.Festival】急遽ライト級王座挑戦、イルホム・ノジモフ「打撃は僕の海だ。僕は海に棲むサメ」
【写真】スクショを撮る際には、クールかつ目力が強くなりました (C)MMAPLANET
31日(水)に埼玉県さいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで開催される「RIZIN 師走の超強者祭り」で、イルホム・ノジモフがホベルト・サトシ・ソウザの持つRIZINライト級王座に挑戦する。
Text by Manabu Takashima
もともとは“ブラックパンサー”ベイノアと戦う予定だったがノジモフだが、野村駿太の負傷欠場で急遽サトシの持つベルトに挑むことになった。
これまでアゼルバイジャン大会を含め、RIZINで挙げた3つの白星は全てフェザー級だった。試合機会を増やしたい一心でライト級で戦うことを決めたノジモフに、急転直下のタイトル挑戦。人生を変える機会が巡ってきたノジモフに、その心境を尋ねた。
急に人生の岐路を迎えるような出来事が、我が身に起こる
――イルホム、ベイノア戦から急転直下のライト級王座挑戦となりました。今の気持ちを教えてください(※取材は20日に行われた)。
「最高の気分だよ。ベイノア戦に向けて、体調もバッチリだった。これまでの試合もタイトルマッチを戦うつもりで体調は整えてきたけど、今回は本当にタイトル戦を戦うことになった。もう準備はできている」
――これまでRIZINではフェザー級で戦ってきました。今回はベイノア戦を受けた時点でライト級に階級が上がっていたわけですが、これは大晦日に戦うために一時的な階級変更だったのでしょうか。それとも今後はライト級で戦うことを決めてのベイノア戦だったのですか。
「ライト級でも戦うことにしたんだ。理由はフェザー級のファイターは、僕と戦いたがらないから。フェザー級でもライト級で戦えるから、より試合の機会を増やしたくてライト級でも戦っていくんだよ」
――フェザー級には中央アジア、ロシア、アゼルバイジャン勢と外国人選手が多いことも影響したのでしょうか。
「ノー(苦笑)。それは関係ない。さっきもいったけど、フェザー級だと多くのファイターが僕と戦うことに難色を示す。僕は常に試合を戦っていたい。ライト級で戦えるなら、チャンスが増えると思った。ベルトを狙うなら、ライト級でもフェザー級でも構わない。可能性のあるベルトを狙う」
――レコードを見るとキャリアの序盤はライト級で戦うだけでなく、バンタム級でも試合をしていましたが、さすがにバンタム級で戦っていたことには驚かされました。イルホムのフェザー級での体格を見ているので。
「ライト級で再び戦うことにして、大幅な減量の必要がなくなったことは好ましいよ。計量ミスの心配がなくなった。そしてライト級では、より力が漲っていると感じる。パワーのある動きができるだろう。
バンタム級はマネージャーからグランプリ形式の試合だからと勧められて、試合に出た。でも、自分が戦うべき階級じゃないとすぐに分かったよ(笑)。バンタム級で戦うのは、もう嫌だと思った」
――ライト級で戦える体格ですし……。ところでフェザー級ではフィジカル面でアドバンテージがあったかと思いますが、ライト級では対戦相手も大きくなります。その辺りはどのように考えていますか。
「ここタイガームエタイでライト級のファイターとレスリングのスパーリングをしてきた。そしてMMAでも彼らとやり合えると自信を持っていえる。少しもディスアドバンテージはない。今ではフィジカル的にも不利なことは一切ないぐらいで、今後ライト級に専念するならもっと力強くなれるだろう」
――ライト級で戦うことを決めた経緯が分かりました。そのなかで、今回タイトルショットのオファーが来たのはいつだったのでしょうか。
「1週間前にマネージャーから『今、凄く興味深い提案がRIZINからあったんだ』というメッセージが来た。その瞬間に、これがタイトルショットのオファーだなと思った。すぐに電話で確認したよ。全くためらうことなく、即答で受けると伝えたよ。なんか、そういう時ってあるんだよ。急に人生の岐路を迎えるような出来事が、我が身に起こる。それを知っていたから、メンタル面では常に準備はできている。
実際、数週間前までRIZINのニューイヤーイブ・ショーで戦う話すら、僕の元には届いていなかったんだよ。何かね、いろんなモノが並んでいる店の前で、黙って佇んでいる状態だった。それが今やベルトを賭けて戦う。それこそ、僕が待ち望んでいた瞬間だった。その日のために、ずっと準備をしてきたわけだからね」
やることはベイノア戦と概ね変わらない
――それは即答できますね。ただベイノアというストライカーと戦う準備をしていて、全く違うタイプのサトシと戦うことになります。
「ベイノアとの試合が、打撃戦になるなんて思っていなかったよ。どのストライカーとの試合でも、僕に打撃で挑んでくる相手はいなかった。僕が相手になると、誰もが組んでテイクダウンを狙ってくるからね。皆、スタンドでは不利だって分かっているんだ。
だから常に試合に向けては、全局面を考えて練習をしている。対戦相手がサトシになっても、やることはベイノア戦と概ね変わらない。ちょっとした細やかな部分を微調整するだけで。自分がどう戦うのか、出来上がっていたシナリオに手を加える必要はない。少し練習に変化を加えるだけで済んだよ。だから、何も問題はなかった」
――とはいえサトシのグラップリングは、次元が違うかと思うのですが。
「サトシが優れたグラップラーであることに関して、全く異論はない。否定しないよ。同時に僕は優れたストライカーだ。この試合はグラップリングでなく、MMAだ。MMAはスタンドから試合が始まる。どっちが、自分の戦いを全うできるから見て欲しい」
――サトシは打撃も使います。彼が打撃戦を恐れていては、自分のタイミングで組むことができないと思います。と同時に、打撃を見せると攻撃を受ける可能性もある。
「サトシが僕とパンチの交換がしたいなら、すぐに試合は終わってしまうだろうね。打撃は僕の海だ。そして僕は海に棲むサメだからね。ただサトシが打撃を見せるのは、テイクダウンのためだ。打撃で僕に勝とうなんて、無茶なことをするわけがない。彼の視線は、組んでフィニッシュする方向を向いている」
――9月の防衛戦では、ダブルレッグでテイクダウンし一瞬のスクランブルでバックを奪取しました。あのタイミングとスピードに、反応できる自信は?
「サトシがバックを取れるのは、対戦相手が背中を譲っているからだ。あんなミスを僕はしないよ」
――イルホムにとってベストの流れは組まれないこと。組まれても倒されないことです。ただし、テイクダウンを取られる可能性はある。そうなった場合、スクランブルとは違う選択をするということでしょうか。
「毎日のようにサトシの試合をチェックして、研究している。つまり、彼が見せる仕掛けとその連係も頭に入っている。サトシの動き、仕掛けにしっかりと対応してみせるよ」
――サトシの柔術に対抗する自信がある?
「何か問題があって、打撃が思ったように機能しない時、僕はテイクダウンしてチョークを極めてきた。自分の寝技に自信を持っている。それなのに立ち技で戦っているのは、寝技で勝ってもボーナスがもらえないからだ。立って、倒せばボーナスを手にできるからね(笑)。ハイライトリール映像は、打撃で倒した場面ばかりじゃないか」
PRIDE時代の大晦日に負けない戦いを
――なるほど、です。では改めて日本で最大かつ特別なショーで、タイトルに挑戦する意気込みをお願いします。
「子供の頃から、さいたまスーパーアリーナの大晦日ショーで戦うことが夢だった。今回はそんな場でベルトを賭けて戦うことができる。『タイトル戦かどうかは関係ない』というファイターもいるけど、僕はタイトル戦になったことで、さらにモチベーションが上がった。夢が叶う。会場のファン全員が、僕のファンになるよう全力で戦うよ。
タイトル戦だから、いつも以上にリスクをおかして戦う。通常の試合は、勝利を手にするためにリスクをおかさないよう戦う必要がある。でも、タイトルファイトは別だ。絶対にこの機会を生かさないといけない。リスクをおかして、前に出て戦う。そのために日々を過ごしてきたのだから。
PRIDE時代の大晦日に負けない戦いを、ファンに見てもらう。そして、ベルトをこの手にする」
――イルホム、今日はインタビューを受けていただきありがとうございました。インタビュー中、ずっと笑顔を浮かべていたことが印象深いです。
「最高の人生だと思っている。夢だった場所で戦う。今回の試合は僕の人生で、とても大切な転機になる。自分の好きなスポーツを戦って生きてきて、最高の機会を得ることができた。ハッピーだから笑顔になるんだ。日本のファンも僕を応援してほしい。皆に喜んでもらえるよう、全力で戦うよ」
■視聴方法(予定)
12月31日(水)
午前11時~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!
■RIZIN Y.E.S.P.Festival対戦カード
<RIZINフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者] ラジャブアリ・シェイドゥラエフ(キルギス)
[挑戦者] 朝倉未来(日本)
<RIZINライト級選手権試合/5分3R>
[王者] ホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル)
[挑戦者] イルホム・ノジモフ(ウズベキスタン)
<RIZINバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者] 井上直樹(日本)
[挑戦者] ダニー・サバテロ(米国)
<RIZIN女子スーパーアトム級選手権試合/5分3R>
[王者] 伊澤星花(日本)
[挑戦者] RENA(日本)
<RIZINフライ級王座決定戦/5分3R>
扇久保博正(日本)
元谷友貴(日本)
<フェザー級/5分3R>
斎藤裕(日本)
YA-MAN(日本)
<フェザー級/5分3R>
クレベル・コイケ(ブラジル)
ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)
<フェザー級/5分3R>
カルシャガ・ダウトベック(カザフスタン)
久保優太(日本)
<バンタム級/5分3R>
福田龍彌(日本)
安藤達也(日本)
<フェザー級/5分3R>
新居すぐる(日本)
秋元強真(日本)
<バンタム級/5分3R>
後藤丈冶(日本)
ホセ・トーレス(米国)
<ライト級/5分3R>
雑賀“ヤン坊”達也(日本)
“ブラックパンサー”ベイノア(米国)
<バンタム級/5分3R>
芦澤竜誠(日本)
ジョリー(日本)
<RIZIN甲子園決勝フライ級/5分2R>
須田雄律(日本)
ヤマザト・エンゾ・マサミ(ブラジル)















