【RIZIN Y.E.S.P.Festival】ホセ・トーレス戦へ、後藤丈冶「フィニッシュ・ファーストに帰ってきました」
【写真】この3年間の全てをぶつける戦いに向け、いざ!!(C)SHOJIRO KAMEIKE
31日(水)に埼玉県さいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで開催される「RIZIN 師走の超強者祭り」で、後藤丈冶がホセ・トーレスと対戦する。
Text by Shojiro Kameike
後藤は2024年、イリアス・エジエフ、マンド・グティエレスを相手に国際戦で2連敗を喫していた。今年に入り国内再起ロードで合島大樹、鹿志村仁之介、中島太一と戦って全て勝利。そして大晦日、強豪トーレスとの一戦に臨む。
4日(木)、ABEMA TVのRIZIN大晦日大会特番で、後藤×トーレスが発表された。番組内でもそうだが、後藤は自身のSNSでも大晦日出場に対して喜びを語っている。その喜びの理由は「大晦日のイベントに出場できる」というものだけではない。2023年の2連勝から2024年の2連敗、続く今年の3連勝と後藤のMMA人生が現れていた。
グティエレス戦で負けたあと、一人で翌年の計画を考えてみたんですよ。『思うものは実現する』と考えていたので
――今回の試合が発表された時から、大晦日出場の喜びが溢れ出していますね。
「本当ですか、アハハハ」
――後藤選手の中ではRIZINに出場するうえで、ずっと大晦日に出たいという気持ちを持っていたのですか。
「RIZINに出場するうえで、といいますか……。自分の場合は2023年6月に初めてRIZINに出させてもらい、次試合は同じ年の10月でした。その時にツイスターで2連勝して『これは大晦日、あるだろう』と考えていたんです。もし大晦日がなくても、翌年にはすぐRIZINで試合が組まれるだろうと。
でも2024年に入り2月、3月と過ぎていくなかで、なかなか次の試合が見えない。結局は数字がないとダメなのか、実力だけでは試合が組まれないのかと思って……。その頃がRIZINの大晦日を意識したキッカケではありました」
――つまりツイスターで連勝後、2023年の大晦日に試合が組まれなかった悔しさから、ということですね。
「はい、そうです」
――よく言われる「数字」というのも様々なものがありますが、ファイターとして「ツイスターが得意技」というイメージは、キャッチコピーもつきやすいかと思います。
「そのイメージがついたのは良かったと思います。そこから考えたのは――たとえば朝倉未来選手や平本蓮選手、あとウチのジムで練習している萩原京平は凄いじゃないですか。華も人気もあることはもちろんですけど、RIZINが求めているタイミングで彼らの役割がハマッたというか。その役割を果たしたから注目を浴びている、と思いました。そこで今回はRIZINが求めている役割と、今の自分の立ち位置などがフィットして大晦日の試合があるのかと思っています」
――2023年大晦日に試合がなく、翌年はONE FFとDEEPで国際戦を経験しました。いずれも黒星となり、RIZINにフィットするための道は途切れたように感じましたか。
「RIZINの路線から少し外れたような感じはしましたね」
――そこから2025年に入り3連勝。次のトーレス戦が年内4試合目と、1年の試合数としては多い部類に入ります。
「マンド・グティエレス戦が2024年12月8日なので、実質1年で5試合しています(笑)。まず自分が2025年は2月か3月に試合がしたいと希望しました。
グティエレス戦で負けたあと、一人で翌年の計画を考えてみたんですよ。いろんなプランがありましたけど、『思うものは実現する』と考えていたので、その計画を書き出してみました。2月か3月に試合をした後、次に6月にはRIZIN北海道大会があるんじゃないかと思って。さらに9月か10月に試合をして大晦日へ――というプランを立てていたんですよね」
――ほぼドンピシャで実現しているではないですか!
「プランどおり進めるために、大晦日から逆算して2月か3月に試合をしたいと思いました。そこからほぼプラン通りに進んでいます」
――ファイトスタイルでいえば、もともとは打撃を得意としていた後藤選手です。そこからMMAのキャリアを積むにつれ、ツイスターに代表されるようにグラウンドで勝つことも多くなってきた。そんななか今年に入り、打撃でフィニッシュするスタイルに戻しているように感じます。
「そうなんです。原点回帰というか、自分が得意なのはソレだなって。特に左のパンチですよね。それこそ原点に戻ったという感覚はあります」
――多くの選手が「どのような場面でも対応できるように」と言い、特に後藤選手はグラウンドでもスタンドでも勝負できるようになった。しかし11月の中島太一戦は、まず左のフックによるフィニッシュに定めて試合プランを構築してきたのだろう、と。
「まさにソレなんですよ。グティエレス戦の判定に納得がいかず、自分が勝っていたと言ってくれるジャッジの人もいて。でも長南(亮TRIBE代表)さんとも話をして、やっぱりフィニッシュしないと――自分自身の苦い経験も踏まえて、フィニッシュ・ファーストに帰ってきました」
カッコイイ生き方を突き詰めていく。その結果として数字ができていく、という生き方をしたい
――そのフィニッシュ・ファーストはツイスターのような寝技ではなく、打撃によるフィニッシュを増やすために取り組んできたものはありますか。
「練習内容自体は、ほとんど変わらないです。変わったのは意識の面ですね」
――ただスパーひとつとっても、「寝技でフィニッシュしても良い」と考えている時の動きと、打撃によるフィニッシュを目指している時の動きは違うかと思います。
「そこは変わってきます。自分は必ず左のパンチをセットして、それでフィニッシュできるという意識で練習してきました。たとえスクランブルの中で下になっても、立ち上がって左でフィニッシュする。そのゴールに向かって動くし、ゴールに向かう過程で『グラウンドでもフィニッシュできる』という意識も持っています。
やっぱりゴールを定めて動くことは重要だし、何よりそのゴールを自分で選択しているという意識が一番大事だと思っています。たとえば初めてやる運動だと先が見えなくて、思ったよりも疲れてしまうことってあるじゃないですか。でも自分はMMAにおいて全て自分で選ぶ。苦しい場面でも自分でエスケープして、立って自分のゲームをすることを選んでいる。そのイメージを持っているから、自分で試合をつくることができていると思っていますね」
――結局は相手がどうであろうと、まず自分のことを客観的に見て、自身の中の精度を高めていく。それは一つの職人といいますか。
「そのほうが格闘技をやっていて絶対に楽しいですよ。その点は長南さんの存在も大きくて。特にお互い何も言わなくても、長南さんが思っていることを自分も分かるようになってきたし、自分が考えていることを長南さんも分かってくれている。
中島戦の前も長南さんは『何も言うことはない。お前が思っているとおりやれば勝てるから』と。もちろんお互いにそう感じる関係になるためには、普段の練習があって。その中で『こういう感じで打ち分けて、こういう感じで試合をつくっていこう』と互いに考えている。そういう信頼関係が、今の自分の強さに繋がっていると思います」
――中島戦でKO勝ちを収めた時、「これは大晦日あるぞ」と思いましたか。2カ月弱の試合スパンではありますが……。
「いや、大晦日はないかもしれないと思っていました」
――2023年のことがあるから確信できなかったのでしょうか。
「それもありますね(苦笑)。でも自分の勝ち方と『安藤達也を狙っていく』というストーリーが、たまたまRIZINが求めるストーリーにハマッた。だから自分に番が回ってきたのかなって思いましたね」
――では大晦日の相手が安藤達也選手でなかったことについては?
「それは全然、気にしていません。自分がアピールした時にはもう次の試合(福田龍彌戦)が決まっていたかもしれないですし、それなら仕方ないと思っています」
――RIZINとしても数字というより、選手サイドからの明確なアピールを欲しているのかもしれません。
「単に『大晦日に出してください!』と言って、そう簡単に出られる場所ではないですしね。ただ、これは自分の考えとして――『どうすれば数字をつくれるかな』と考えて大衆に向けてMMAを続けていくよりも、自分がカッコイイ生き方を突き詰めていく。その結果として数字ができていく、という生き方をしたい。その部分だけはブレたくないです」
トーレスといえば海外でも名前を知られているファイター。ここでKO勝ちしたら世界中から自分の首を狙いに来てほしい
――自身が対戦を目指す安藤選手と福田選手の試合、そしてバンタム級チャンピオンシップは意識しますか。
「もちろん意識しています。でもこの2試合を意識しているから自分の試合内容が変わることはないです。どうあろうと自分はフィニッシュに向けて動く試合をする。完全決着を狙っていますね」
――トーレスがバンタム級でどのような動きを見せるかも、試合のポイントの一つです。
「フライ級で十何キロも減量していましたよね。その減量を日本で行って、コンディションを創り上げていた。今回は4キロぐらいプラスされるので、バンタム級のほうが動きは良くなる可能性も高いと思っています」
――過去にBRAVE CFでバンタム級の試合に出ていた時は、結果は負けていても動きは落ちないどころか、むしろさらに激しくアクションを起こしていました。
「その試合も視ました。バンタム級のほうが良いんじゃないか、と思うぐらいで」
――トーレス戦を控えた今、すでに2026年のプランは書き出していますか。
「まだ書き出していないけど、考えてはいます。来年はRIZINのベルトも狙いたいですね。もちろんMMAではUFCが一番凄いですが、それ以外の団体も競争が激しくなっていて。その中でRIZINのブランドも良い意味で変わってくると思います。良くなっていく未来が見える。自分もそこで対世界、国際戦をやっていきたいです。
中島戦で『後藤、倒せるんだな』という印象を与えたことで、今回の大きな仕事を任せてもらえたと思っています。大晦日はトーレスをKOか一本で倒すことはもちろん、『コイツならバンタム級で一番になる可能性がある。ベルトに挑む価値がある』と思わせるような試合をします」
――トーレスを相手に、どう完全決着するか。とても楽しみです。トーレスはこれまでTKO負けが一度ありますが、それも棄権による決着です。つまり完全にノックアウトされたことのないトーレスをフィニッシュすると、世界的な知名度に結びつくかもしれません。
「はい。トーレスといえば海外でも名前を知られているファイターなので、ここでKO勝ちしたら、世界中から自分の首を狙いに来てほしいです。
自分も被弾することは覚悟しています。絶対にチョコチョコとした打撃では倒れる相手ではないファイターだと思っています。気持ちも強いし、向こうからプレッシャーもかけてくるでしょうから。リングの特性上、角に詰められたら不利になる。でもそういうことも含めて、自分が勝つと思っています。期待していてください!」
■視聴方法(予定)
12月31日(水)
午前11時~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!
■RIZIN Y.E.S.P.Festival対戦カード
<RIZINフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者] ラジャブアリ・シェイドゥラエフ(キルギス)
[挑戦者] 朝倉未来(日本)
<RIZINライト級選手権試合/5分3R>
[王者] ホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル)
[挑戦者] イルホム・ノジモフ(ウズベキスタン)
<RIZINバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者] 井上直樹(日本)
[挑戦者] ダニー・サバテロ(米国)
<RIZIN女子スーパーアトム級選手権試合/5分3R>
[王者] 伊澤星花(日本)
[挑戦者] RENA(日本)
<RIZINフライ級王座決定戦/5分3R>
扇久保博正(日本)
元谷友貴(日本)
<フェザー級/5分3R>
斎藤裕(日本)
YA-MAN(日本)
<フェザー級/5分3R>
クレベル・コイケ(ブラジル)
ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)
<フェザー級/5分3R>
カルシャガ・ダウトベック(カザフスタン)
久保優太(日本)
<バンタム級/5分3R>
福田龍彌(日本)
安藤達也(日本)
<フェザー級/5分3R>
新居すぐる(日本)
秋元強真(日本)
<バンタム級/5分3R>
後藤丈冶(日本)
ホセ・トーレス(米国)
<ライト級/5分3R>
雑賀“ヤン坊”達也(日本)
“ブラックパンサー”ベイノア(米国)
<バンタム級/5分3R>
芦澤竜誠(日本)
ジョリー(日本)
<RIZIN甲子園決勝フライ級/5分2R>
須田雄律(日本)
ヤマザト・エンゾ・マサミ(ブラジル)

















