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【UFC202】諦観。水垣偉弥の今後<03>「このままトップ選手の調整相手、若手の腕試しで終われない」

Takeya Mizugaki【写真】ぶっちゃけトーク。自己発信が当然の世の中になった今、請われて話す重要性を再発見。水垣偉弥だからこそ人前で話す価値があり、耳を傾ける意義がある(C)MMAPLANET

20日のUFC202「Diaz vs McGregor 2」でコディー・ガーブラントに敗れた水垣偉弥インタビュー第3弾。

UFCとの契約は継続中だ。まだ、何も終わっていない。しかし、ガーブランド戦の敗北以前から、自身の終焉については考えてきた。そして、UFCで現役生活を終えることができない場合──水垣の口から、恐らくは公の場で初めてBellatorというプロモーションについて、どのような考えでいるのかが初めて訊かれた。

<水垣偉弥インタビューPart.01はコチラから>
<水垣偉弥インタビューPart.02はコチラから>


──現状からMMAを続けていくことに、ポジティブな要素を拾い集めていくという状況でしょうか。

「何でしょうね……。非常に難しい質問ですね。だだ、やっぱりまだ試合を戦いたいという気持ちがあるんでしょうかね? 結局は。ここから5連勝とかすれば、また『俺、トップ目指せるじゃん』ってなるかもしれないですし」

──そこを実践していく場はUFC限定ということですか。

「現実問題として、UFCでないと稼げないですから。専業格闘家としては、UFCをリリースされると非常に厳しいと思っています。UFCが強制終了の場になるのが、一番良いと考えています」

──つまり引退までUFCで戦いたいと。

「UFCでなくなると、戦いたいと思っていても生活ができなくなってしまいますからね。引退後に何をやっていくかなんて考えてないですけど、お金を稼がないといけないのは絶対ですし。

UFCだとファイトマネー以外にリーボック・マネーで1万5000ドルも固定収入がありますしね」

──1年に3試合戦えば、リーボックから支給される額だけで、水垣選手と同い年の日本のサラリーマンの平均年収445万円を超える、と。

「だから円安でないといけないんです(笑)」

──出たッ!!  戦う為替相場師の本領発揮ですね(笑)。UFCもオーナーが代わり、よりグローバル化を目指すなか、なんとしても踏みとどまらないと。

「米国以外での大会が増えるなら、アジア王座とか創ってくれれば良いのに(笑)。ファイトマネーは据え置きで。北米基準のまま。そうしたら、また俄然やる気ができていますね」

──本当に現金ですね(笑)。

「アジア・チャンピオン創りましょうよ。規模的に可能性があるのなら」

──う~ん、話を聞く限り水垣選手はMMAを引退してもしっかりとやっていけそうです。ガーブランドに敗れて、まだ5日しか経っていないというのに……。

「バッサリ斬られたので、思い悩んでもしょうがないです。ここもドミニクの時とは違うんですよね。ドミニクに勝てば、人生が一新できるチャンスでした。それこそ、何もかも変わる。それが見えているなかで完敗して。

でも、まだ何か残るモノがありました。今回は、何もない。全部、ぶった切られましたから。なんかスッキリしていますね」

──スッキリし、頭を切り替え……。

「金を稼ごうと」

──若い選手のモチベーションにならないインタビューになりつつあります(笑)。

「そこは記事を書く人として、腕を発揮してください(笑)」

──ハハハ。自分は情報操作もイメージの操作も記者はすべきでないと思っていますから。水垣偉弥といえば──。

「守銭奴、ですか(笑)」

──水垣選手の敗北に我がごとのように落ち込んでいた関係者の人々には読ませることができないインタビューになってしまいますよ(苦笑)。

「皆さんが心配してくれていることは、本当に感謝しています。だからこそ、いつまでも落ち込んでいられないし。あとのことを考えないと。

そのなかで自分が戦っていくのは、やはりUFCだと思っていますし」

──青木選手のようにONEでセルフマネージメントをして、戦っていくという前例もあります。

「う~ん、僕のなかではONEはないです。やはりモチベーションの有無は重要ですし。UFCをリリースされたら格闘技を辞めるのか、続けるのか──は、実はもうずっと真剣に考えてきました。ドミニクに負けた時から、ずっとです。

その時に北米のMMAで戦ってきて何も結果を出していない。何も爪痕を残せていないって気付いたんです」

──……。

「何か爪痕を残したいと考えた時、UFCでなければBellatorまで。Bellatorまでは──というのは、ぶっちゃけのぶっちゃけであります。ベラトールで、タイトルにからめるようなチャンスが巡って来るなら、最後にそこで挑戦するのも良いかもしれない……というのはあります。

WSOFにはマルロン・モラエスがいますが、いつまでWSOFにいるのか分からないし。それ以外は国内もアジアも含め、モチベーションは上がらない気がします」

──北米MMA界への想い入れが存在するのですね。

「このままだとトップ選手の調整相手、若手の腕試しというままで終わってしまいます。なので何か爪痕を残さないと……。実際にそういう状況にならないと、何とも言えないのですがUFCがダメだと、ベラトールの世界戦ならスイッチが入るかなぁとは思っています。

それは本当に分からないですが、そこは考える──かもしれないです」

──アジア、国内が入り込む余地はないと?

「そうですね。キツイですね。自分を今のように追い込むことができなくなると思います。今と同じ練習はきっとできない。自分に必要な練習ができない状況で、戦い続けたくはないです」

<この項、続く>

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