この星の格闘技を追いかける

【Special】月刊、水垣偉弥のこの一番:1月 ミラー×ベニテス「関脇が関脇として居続ける味わい深さ」

【写真】UFC100、UFC200、UFC300まで来たら、ぜひUFC400も目指してほしいジム・ミラーだ(C)Zuffa/UFC

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。
Text by Takumi Nakamura

大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾というJ-MMA界の論客をMMAPLANET執筆陣がインタビュー。(担当・中村が月を跨いで取材する凡ミスをしたため、12月&1月の2部作として)今回は水垣偉弥氏が選んだ2024年1月の一番──1月13日に行われたUFN234のジム・ミラー×ガブリエル・ベニテス戦について語らおう。


──それは水垣さんが言うことに意味がありますね。そして1月はUFN234:UFN on ESPN+92「Ankalaev vs Walker2」のジム・ミラー×ガブリエル・ベニテスを選んでいただきました。この試合はジム・ミラー40 歳、恐るべし!という試合でした。

「普通は年齢と共に反応速度が遅くなるので、打撃系の選手は年齢を重ねると組み技も交えたスタイルを模索するというのがよくあるパターンなんですよ。その逆で組み技の選手が年齢を重ねて打撃系に変わっていくというのはあまり聞いたことがないので、ジム・ミラーを見ていると『どういうこと?』と思っちゃいますね(笑)」

──平良選手とは違う意味で想定できない強さです。

「しかも相手の打撃に対する反応も良くなっていたり、動きそのものが良くなっている印象があります。体つきも以前は組み技選手らしいガッチリした筋量の多いタイプだったのが、今は筋量は落ちているけど力みがない体つきになってきて。力が抜けることによって、今まで反応できなかった打撃にも反応できるようになっているのかなと思います。純粋な反応速度は落ちいていたとしても、そのマイナスを補ってプラスにまで持っていっている……というのが僕の見解なんですけど、実際どうなのかは分かりません(笑)!」

──一時は4連敗も喫していたのに、そこから復活していますからね。

「しかもスタンドのKO勝ちが増えているという(笑)。ジム・ミラーはUFC100に出て、UFC200に出て、UFC300にも出ると言ってるじゃないですか。それを聞いてそれぞれの開催年を調べたんですけど、UFC100が2009年で、UFC200が2016年なんですね。ちょうど僕がWECと契約したのが2009年で、UFCの最後の1年になったのが2016年なんです。僕もUFCでは長く戦ってきた方ですが、その僕がWEC&UFCで過ごした格闘技人生がUFC100~UFC200の間とするなら、単純計算でそれを倍やっているってことじゃないですか。しかも時代も変わって、明らかにMMAのスタイルも進化しているなかで、それをやっているというのは…すごいの一言しかないし、頭が下がります」

──MMAも色んな形で進化していますが、ジム・ミラーのような選手がいることも面白いです。

「さすがにUFCチャンピオンになるというのは難しいと思うんですよ、本人がその気だったら失礼な感じになっちゃいますが。でも色んなファイターがいるなかで、関脇が関脇として居続けるみたいな、こういう選手がいるというのは非常に味わい深いですね」

PR
PR

関連記事

Error, no Advert ID set! Check your syntax!

Movie