【UFC93】ジョシュ・バーネットの裏技×アンドレイ・オルロフスキーの綻び──とは
【写真】打撃の圧力を与えることができれば、より戦いやすくなるジョシュ・バーネット (C)MMAPLANET
明日3日(土・現地時間)にドイツのハンブルクはバークレイカード・アレーナでUFC Fight Night93「Arlovski vs Barnett」が開催さ、メインでジョシュ・バーネットとアンドレイ・オルロフスキーのヘビー級戦が組まれている。
2014年6月のUFC復帰以来、4連勝を挙げタイトル戦線で浮上していたオルロフスキーだが、ステイプ・ミオシッチ戦、続いてアリスター・オーフレイム戦に敗れ連敗中。対するジョシュも先のベン・ロズウェル戦でキャリア初のタップアウト負けを喫しており、ハンブルクの地で再起を目指す。
37歳のオルロフスキーと38歳のジョシュ。ここで連覇を喫すと、キャリアがモノをいうMMAにあっても、再浮上は難しくなる。特にそのキャリアという部分でジョシュはこの試合が43戦目で、ヘビー級には珍しいトータルファイターとして戦い続けてきた。
打撃も組みもできる。それでもジョシュの武器はサブミッション。特にしっかりとポジションを奪って腕や絞めを極めるのが彼のスタイルだ。打撃に関しては、スイッチを駆使したりヒザ蹴りも使いこなすが、パワーという面では並みいるヘビー級ファイターのなかでは見劣りがする。
そんなジョシュは自分の庭へ相手を引き入れるために、クリンチ&首相撲で相手をケージ際で固定しておいての打撃、つまりダーティボクシングでアドバンテージを握ることができる。このMMA特有の組と打撃のコンビネーション、ヒザまで踏まえた部分で使いこなせる重量級選手はそうはいない。それこそジョシュが長いキャリアで研磨してきた裏・主武器といえる。
一方、オルロフスキーはMMA人生で2度目のキャリア3連敗の危機となる。ジョシュより4試合少ないとはいえ、この試合が39戦目。その代償としてダメージの蓄積が彼には見られる。
オーソの構えから鋭い左ジャブ、そして右ストレートと右フックは今も威力十分だ。相手が飛び込んできた時のカウンターを図るタイミングの素晴らしさからも衰えは見られない。それらの手の攻撃を弾き出す、強烈な右ローや嫌らしい関節蹴りも健在だ。さらに、仕留め入った時の右アッパーの凄まじさは現王者ミオシッチのソレを上回るといっても過言でない、
そんなオルロフスキーの強力かつ正確な打撃も、打たれ弱さが綻びになっている。5オンスの薄いグローブで拳が行き交うMMA。今のオルロフスキーは──これで倒れるのかというインパクトの打撃で、動きが完全に止ってしまう。
ドランカーという表現を使うのは正しくないかもしれないが、パンチを被弾してそのまま四つん這いになって背中を見せるという崩れ方は、ダメージの蓄積としか思えない。オルロフスキー自身が、その傾向にあることも分かっているのだろう。相手の打撃の圧力が増せば、途端に攻撃が粗くなってしまう。
そうなれば当然、攻撃を見る眼も正確性が減少し、パンチを被弾するケースが増える。この攻撃が粗くなった時、オルロフスキーはパンチを振り回しているので、当たれば流れを引き戻すこともあるが、それは作戦ではなく乾坤一擲、後の無い攻撃手段でしかない。
オルロフスキーの攻撃がスラッピーになった際、ジョシュがどのような判断にいくのか。打ち合うのか、詰めてケージに押し込むのか。ジョシュもまたパンチを被弾したり、攻撃一辺倒になった時は足が揃うという癖があり、オルロフスキーのパンチを受けるとダウンにつながる恐れがある。
ジョシュとしては、ケージに詰めてからの細かい打撃でも致命傷を与えることができるが、根底にある気の強さがどのように試合を左右するか。オルロフスキーは荒くならず、慎重に戦い続けること。どうあがいても試合中にパンチを被弾する瞬間は訪れる。それを踏まえて、パンチがラフにならなければ十分に勝機はある。
■ UFN93対戦カード
<ヘビー級/5分5R>
アンドレイ・オルロフスキー(ベラルーシ/6位)
ジョシュ・バーネット(米国/9位)
<ライトヘビー級/5分3R>
アレクサンダー・グスタフソン(スウェーデン/2位)
ヤン・ブラホヴィッチ(ポーランド)
<ライトヘビー級/5分3R>
ライアン・ベイダー(米国/4位)
イリル・ラティフィ(スウェーデン/12位)
<ライト級/5分3R>
ニック・ハイン(ドイツ)
バン・テヒョン(韓国)
<ウェルター級/5分3R>
イエシン・アヤリ(ドイツ)
ジム・ウォルヘッド(英国)
<ウェルター級/5分3R>
ペーター・ゾボタ(ドイツ)
ニコラス・ダルビー(デンマーク)
<女子バンタム級/5分3R>
アシュリー・エヴァンズスミス(米国)
ヴェロニカ・マシード(ベネズエラ)
<バンタム級/5分3R>
テイラー・ラピルー(フランス)
レアンドロ・イッサ(ブラジル)
<ヘビー級/5分3R>
ジャルジス・ダンホー(シリア)
クリスチャン・コロンボ(デンマーク)
<ミドル級/5分3R>
スコット・アスカム(英国)
ジャック・ヘルマンソン(スウェーデン)
フェザー級/5分3R>
マーティン・ブスカンプ(ドイツ)
アレックス・エンランド(英国)
<ライト級/5分3R>
ルスタン・ハビロフ(ロシア)
レアンドロ・シウバ(ブラジル)