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【Pancrase361】Mr.Pancrase=雑賀ヤン坊達也が話す防衛戦&濱田巧問題「ちゃんとケージのなかで」

【写真】しっかりと計量をクリアし、地元と言っても過言でない横浜での防衛戦に臨む (C)PANCRACE

14日(土)、横浜市中区の横浜武道館で開催されるPancrase361で、雑賀ヤン坊達也がラファエル・バルボーザの挑戦を受け、ライト級KOPCに臨む。
Text by Manabu Takashima

パンクラスでは6連勝、何よりも結果が残せなかったRIZINで大晦日に初勝利を挙げたヤン坊は、憑き物が落ちたかのような晴れ晴れとした表情を防衛戦の3日前でも浮かべていた。

そんななか、自信を持って挑むバルボーザ戦を前にして――降ってわいたパンクラス王者のベルト剥奪劇。ミスター・パンクラスが、自らのベルトを守る戦いと、自らの聖域を守る心持ちを話した。


不器用は不器用なりに戦おうと

パンクラスポーズのヤン坊(C)MMAPLANET

――宜しくお願いします。

今日は背景からして職場ではないようですね(※取材は11日に行われた)。

「今日は長男の中学の卒業式だったので、仕事は有給を取りました」

――おお、それはおめでとうございます。

「ありがとうございます」

――今回のタイトル戦は土曜日、いつものように日曜日でない。そこに卒業式で有給と通常とは違うファイトウィークになっているのではないでしょうか。

「明日、もう一度働いて金曜日は有給を取って計量に行きます。今日、こうやって卒業式後に家で過ごせるのは楽といえば楽ですね。塩抜きが始まって仕事をしていると、けっこうきつく感じることもあるので。

普段は週休2日でも、土曜日に働きに出ることが多いのですが、試合が日曜日だと計量の日も有給を取る必要がなくて。でも今回は金曜日なのでそれが必要になる。最終調整もいつもと違う流れになって、少し面倒くさかったです(笑)。僕としては日曜日に試合の方が、予定が組みやすいというのはあります。

でも横浜で試合ができるのが、良いですよね(笑)。立川は遠くて(苦笑)。途中から下道で行くので腰が痛くなってしまうんですよね。信号に止まりながら、90分以上はしんどくて。さいたまスーパーアリーナはずっと高速でいけるので、全然楽なんですよ」

――確かに。試合は横浜でも、計量は新宿ですし。いやぁファイターは大変ですね。ところでスクランブル発進の大晦日。ベイノア戦でRIZIN初勝利を挙げた後、家族旅行の方は?

「ハイ、年が明けて鬼怒川温泉や日光、それと手塚裕之選手のご実家に寄せてもらいました。川でドラム缶風呂とかやらしてもらって(笑)。凄く良くしていただいて、本当に楽しかったです」

――そこにもMMAの影が。奥さまは大丈夫でしたか。

「これまでにない新鮮な旅行で、楽しそうでしたよ(笑)。3月に次の試合が決まっていることには『勘弁してよ』とは言っていましたけど(笑)」

――ハハハハ。もともとRIZIN大晦日が予定外で、このタイミングで防衛戦を行うことはもう決まっていたのですか。

「僕のなかでは3月に横浜で大会があるから、そこでラファエルの挑戦を受けようとは決めていました」

――ところで4月に天弥選手が、ヌルハン・ズマガジーとRIZIN LANDMARKで戦います。この試合に関して、何か想うところはありますか。

「正直、ビックリしました。天弥君はUFC志向だと思っていたので、RIZINにも興味があったのかと。で、相手がズマガジーというのは、『マジで?』となりました」

――自分に勝った相手と、天弥選手が戦うことは複雑ですか。

「いえ、楽しそうな試合ですし。基本、日本人選手を応援しているので天弥君に勝ってほしいです」

――自らリベンジをする前に、天弥選手がズマガジーを倒しても構わないと。

「ハイ。むしろ、そうなれば天弥君に勝ったヤン坊は強いんだと――となるので。あのアナコンダでの一本負けは帳消しになります(笑)」

――ハハハハ。RIZINで待望の白星を得たことで、精神的に絶好調さがキープできているようですね。

「あの勝ちはデカかったです。まだやれると思えましたし、自分がやってきたことが間違っていなかったと安心もできて。ズマガジー戦は最強の自分で挑んだつもりでしたけど、普段と違っていました。考え過ぎてしまっていたことがあって、プレッシャーが凄かったです。大晦日もプレッシャーはありましたけど、もう当たって砕けろと。

なんか、もう色々なことを考えるのではなくて、やれることをやろうと思って戦うことができました。だから、考え過ぎずに自分らしく戦うのが一番合っているのだろうと。僕は器用じゃないんで。井上直樹君のように色々できない。不器用は不器用なりに戦おうと」
ラファエルの打撃は、倒す打撃じゃない。独特な感じがしますけど、怖いイメージはない
――ではバルボーザの力量をどのように評価していますか。

「粕谷(優介)さんから一本取るのは、素直に凄いです。鈴木(悠斗)君の圧力を掻い潜って一本を取り切ったのも凄い。アナコンダは当然気を付けないといけないし、強いことは分かっているのですが、俺の方が強いんじゃないかと(笑)。

時間がないなかで、そんな風に大晦日も戦って。それがハマったので、今回も同じような気持ちで行こうかと思っています」

――正直、パンクラス初戦で戦った粕谷選手は空手出身のストライカーだと思って戦っていたのではないかと。なので、2試合を見ることができてヤン坊選手にとって、都合が良かったのかと思いました。

「そうッスね。粕谷さんはアレってなったと思います。マチダ空手所属で、バリバリのストライカーかと思っていたら、そうでもない。なんなら鈴木君との試合では、下がっていたじゃないですか。で、結果があれで。『グラップラーかよ』みたいな(笑)。ラファエルの打撃は、倒す打撃じゃない。独特な感じがしますけど、怖いイメージはないですよね。

結構、打撃で誘っている部分はあるので、熱くなり過ぎないように戦おうと思います。自分もそれなりにテイクダウンディフェンスは自信があるので、そこも自分のことを信じようと思います。まぁ、組み技や寝技に付き合わないのは、いつも通りですし(笑)。深く考えない。それが一番です。自分らしく、良いところを出して、気を付けるところは気を付ける。そんな感じで行こうかと思います。その方が熱くなりすぎずに、冷静に戦えたので。大晦日の感覚で戦おうと。試合間隔が空いていないから、まだあの感覚を覚えているので。そこを生かして戦おうと思います」

――自信に満ち溢れていますね。

「なんか、めちゃくちゃ自信があります(笑)。油断をしているとかでなくて、やっぱりパンクラスは俺のホームだという安心感と、チャンピオン足る者としてホームで負けるわけにはいかないという気持ちが、良い感じで混ざり合って精神的なバランスが取れているのかと思います」

――凄く良い精神状態に感じられるヤン坊選手ですが、ここでパンクラスのチャンピオンとして一つ伺いたいことがあります。

「やっぱり、来ましたね(笑)。それは聞かれると思っていました」

なんか荒れたけど、だからこそ『お前ら、見てみぃ』って。『俺を見ろ』。『俺が見せてやるぜ』という気持ちです

――ハイ。濱田巧選手が他団体にパンクラスの了解を得ずに交渉&出場したということで、フライ級王座を剥奪されました。

「まずビックリしました。『なんで、行ったんだろうな』とは思います。周りの人たちは止めなかったのか、とか。色々と気になります。でも、それこそ色々な事情があるんだろうし。

もう、僕としてはXとか荒れていますけど、何があろうが濱田選手に対しても、パンクラスに対しても、心無いことを言っていっている奴らに『とりあえず、パンクラスの試合を見ろよ』って気持ちでいます」

――本当に周囲も含め、個人の判断。パンクラスに話せない事情があったのかもしれないし。事情が分からないのに、パンクラスのチャンピオンになっても食べられない。MMAのチャンピオンになっても食べられない、業界が云々という意見が凄く嫌で。スミマセン、これは自分の意見になってしまうので、雑賀選手のインタビューのなかで意見をいうモノではないかと思うのですが……。

「事情が分からないですし。僕もXで何か言おうかと思ったけど、それで色んな面倒な反応があるのが嫌でした。本当は『良くも悪くも、盛り上がっていますね。取り敢えず、俺を見ておけば間違いないよ。土曜日は』って書こうかと。でも止めました。

そんなことをすると、顔も見えない奴らがピーチク・パーチク言い始めるじゃないですか(笑)。試合前に、そんなの気にしていられない。試合に集中しようと。それにインタビューがあるから、そこで気持ちを話せば良いやと思ってXには投稿しなかったです。話すのは全然良くて、でも書くのは面倒だなって」

――「MMAのチャンピオンになっても食べられない」とか元MMAファイターが言う。そんなもん、UFCチャンピオンになったのか。PFLやRIZINのチャンピオンになったのか、と。実力もそこに達せず、ビジネスとして利益を生めない状態で戦っている分際で。それだけで食っていけるなら――MMAは楽なプロスポーツですよ。働きながら、プロとしてスポーツの試合に出る。そんなもん、他の競技でもナンボでもあるわけで。

「……」

――それにパンクラスの発表の仕方にしても、自分は言いたいことがありました。無断で、他団体に――と。いや、あそことパンクラスは同じなのかと。それを自ら認めるのかと。

「あぁ、なるほどですね」

――あそこに出るのも自由、イベントを開いてビジネスにするのも自由。でも他団体でなく、他業種ですよ。格闘技に似せたビジネスの。映画や大道芸に出ようとするのと同じ。他業種に出て、そこの枠の人もいるし。RIZINで与えられた役割を果たし、居場所を創れるだけ努力をしている選手もいる。

「それは分かります。有名になりたい、お金が欲しい。それなら他のことがあるわけですからね。凄く良い選手だから、本当に何があったのかなと。僕はパンクラスで戦って、強くなった。だからパンクラスではお金がもらえないとかっていう書き込みを見ると、悲しくなりましたね」

――UFCより、パンクラスのファイトマネーが安い。それは比較対象として有りで。同じ世界観のなかでの比較。でも、違うモノと比較するなら、パンクラスとF1,パンクラスとグラミー賞俳優、M-1の優勝賞金と比べるのかと。有名にならなくても、ナンボでも金儲けの手段はありますし。

「結局、そんなのは濱田選手がどう思ったのか、そういうことじゃないですか。他の人があれやこれや言うことじゃない。そこは自分次第。だから、俺はパンクラスで戦うし。ベルトも防衛する。今回のことも、それで話題になって俺の試合を見てくれる人間が増える。やったぜ、と捉えるようにしています。だから話題にするために、ここで言ったことも記事にしてもらって良いですし」

――分かりました。ありがとうございます。なら、その言葉が雑賀選手の口から出てきた経緯である、自分の言葉も記事に使うようにします。

「ハイ。なんか荒れたけど、だからこそ『お前ら、見てみぃ』って。『俺を見ろ』。『俺が見せてやるぜ』という気持ちです」

――俺の何を見せたいですか。

「俺がパンクラスだ、ということを見せたいです。凄く抽象的ですね(笑)。でも、やっぱりパンクラスは俺のホームで。俺が主役ですし。俺がミスター・パンクラスなので。変なことで話題になっているからこそ、ちゃんとケージのなかで俺がわかせます。それこそが僕の仕事です。あの騒ぎも、そのためにあったんだという試合をします」

――おお。パンクラス王に続き、ミスター・パンクラスも登場ですね。

「皆、パンクラスを見てもらいたいです。俺の試合中の閃きを楽しみにしてほしいです。練習でも出していないような技で、勝つこともあるので。そしてパンクラスのベルトを持って、RIZINでパンクラスが一番だと証明していきたい。そういう真っ当な流れで、パンクラスを話題にしたいです。

土曜日にパンクラスでブラジル人をやっつけて、ブラジリアン・キラーとしてRIZINでもこの前に桜庭大世君を倒したブラジル人をやっつけたいと思います」

――RIZINでは意外と、韓国人が用意されるかもしれないですよ。

「あぁ、アレは強いですねぇ。でも、グスタボでもキム・ギョンピョでも全然構いません。強い選手と戦って、倒したいだけなので」

――では最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。

「どうも、ミスター・パンクラスです。熱い試合をして、ベルトを防衛してパンクラスが日本一だというところを皆さんに見てもらおうと思います。応援、宜しくお願いします」

■視聴方法(予定)
2026年3月14日(土)
午後1時45分~ U-NEXT


■Pancrase361 計量結果

<ライト級KOPC/5分5R>
[王者] 雑賀ヤン坊達也:70.15キロ
[挑戦者] ラファエル・バルボーザ:69.9キロ

<フライ級QOP決定戦/5分5R>
杉山しずか:56.55キロ
和田綾音:56.65キロ

<ストロー級KOP決定戦/5分5R>
船田電池:52.1キロ
宮澤雄大:52.2キロ

<フライ級/5分3R>
大塚智貴:57.0キロ
猿飛流:56.95キロ

<ウェルター級/5分3R>
内藤由良:77.45キロ
ガブリエル・レーベン:77.0キロ

<バンタム級/5分3R>
山木麻弥:61.6キロ
荒田大輝:61.4キロ

<ライト級/5分3R>
神谷大智:70.55キロ
葛西和希:70.55キロ

<70キロ契約/5分3R>
透暉鷹:69.75キロ
ギレルメ・ナカガワ:69.7キロ

<フェザー級/5分3R>
木下尚祐:65.75キロ
シン・ジェヨン:65.8キロ

<フライ級/5分3R>
岸田宙大:57.0キロ
眞藤源太:57.05キロ

<フェザー級/5分3R>
岡田拓真:65.95キロ
清水博人:65.75キロ

<フライ級/5分3R>
菅歩夢:57.05キロ
谷村泰嘉:56.9キロ

<ミドル級/5分3R>
平田旭:83.8キロ
林源平:84.1キロ

<ストロー級/5分3R>
リトル:52.5キロ
佐々木瞬真:52.55キロ

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