【DEEP JEWELS50】万智とリマッチ&初防衛戦、パク・シウ「2倍ぐらい強くなりました。RNCで勝ちたい」
【写真】試合の1カ月前から日本入りしている王者パク・シウ。インタビューでは韓国語の通訳なし、全て日本語で対応できるほど堪能だ(C)SHOJIRO KAMEIKE
7日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP JEWELS50のメインでパク・シウが、万智を相手に同ストロー級王座の初防衛戦を行う。
Text by Shojiro Kameike
昨年5月、パク・シウは万智を下してストロー級暫定王座を獲得した。その後、正規王者の伊澤星花がベルトを返上したことを受けてパク・シウが正規王者に昇格。そして今回、万智を相手に初防衛戦を行うに至った。
万智戦でヒザを負傷して以降、韓国に戻ってリハビリと練習に臨んでいたパク・シウが遂に復活する。「2倍ぐらい強くなった」というパク・シウの1年4カ月と、万智との再戦について訊いた。
今年はRTUに集中して準備していたいたんです。でも出ることができず、モチベーションも下がってーー
――万智戦を控えているパク・シウ選手です。今はまだ韓国にいるのですか(※取材は9月1日に行われた)。
「今は日本です。1カ月前から日本にいます」
――よく言われると思いますが、日本語がとてもクリアですよね。この取材も全て日本語で対応してくれています。以前、DEEPのテレビ解説を務めている時も「日本語が上手いし、分かりやすい」というコメントが多かったですし。
「えぇ、そうですか。ありがとうございます。でも自分は日本語の勉強はしていないです。2019年から日本と韓国を行ったり来たりして、まず聞き取ることが上手くなりました。そこから少しだけ喋ることができるようになったんじゃないかと思います」
――言語を習得するうえで自分が話すことより、まず聞き取ることから始めるというのは重要かもしれないですね。今回の万智戦は1年4カ月振りの試合となります。昨年の初戦でヒザを負傷し、韓国に戻っていたと聞きました。
「去年、試合が終わって怪我もあったので、すぐ韓国に戻りました。ヒザは手術していないですが、リハビリが長かったんですよ。それと実は眼窩底骨折もあって、手術しました」
――えぇっ!? 手術から体を動かすことができるようになるまで、どれくらいの期間を要したのでしょうか。
「2カ月のリハビリ期間は全く動けなかったです。そのあとは少しずつ良くなったけど、最初はヒザが曲がらない時期が長くて。でも全く動かない時が長すぎると、動かし始めてから元の状態に戻すまで時間が掛かりすぎますよね。だからヒザ以外――上半身だけ、太ももだけとトレーニングはしていました」
――まずは体を動かすことから始めて、コンタクトのある練習はいつから?
「手術から4カ月後か5カ月後ぐらいですね」
――その練習は、韓国のハバスMMAで行っていたのですか。
「はい。自分はだいたいハバスMMAのプサンで練習して、たまにソウルでも練習します」
――ここ最近、ハバスMMAの選手の活躍が著しいです(※囲み参照)。日本人選手との試合でも勝利することが多い。そんな練習仲間の活躍を見て、自分も早く試合をしたいという気持ちに駆られませんでしたか。
【ハバスMMAファイターの2025年トピックス】
コ・ソクヒョン(ウェルター級):DWCSを経てUFCと契約し、オクタゴン初戦も勝利
キム・サンウク(ライト級):Road to UFCで決勝進出
ソン・ヨンジェ(フェザー級):RIZIN韓国大会で中原由貴にKO勝ち
ユン・チャンミン(フェザー級): RTU準々決勝で青井人に勝利
「正直言うと、自分の夢はUFCに出ることでした。今年はRTUに出たくて、RTUに集中して準備していたんですよ。でも自分は今34歳です。RTUは経験や実力よりも若さ、伸びしろがある選手を欲しいみたいで。だからRTUに出ることがなくなった時、『自分はUFCと縁がないのかな』って」
――……。
「韓国の選手は、いろんな団体に出ながら最後はUFCに出たい選手が多いと思います。特にUFCは自分の夢だったし、RTUへのモチベーションもメチャクチャ高くて。1日1日、本当に練習も頑張ったんですよ。でもRTUに出ることができなくて、モチベーションも下がって試合をしたい気持ちもなかったんですよね。
だけど自分もひとつずつ年を取っていくし、時間が過ぎるのも速く感じます。選手としてもあと5年、10年と長く続けられない。だったら自分が試合できるかぎり――引退するまで1日1日を頑張るほうが良いんじゃないかと思って。そこでもう一度DEEPさんと話をして、私は今DEEPジュエルスのチャンピオンだから防衛戦をしてみましょうという話になったんです」
――そうだったのですね。RTUに出られないことが分かってから、気持ちを切り替えるまでに、どれくらいの月日が必要でしたか。
「RTUに出られないことが分かったあと、1カ月ぐらい日本に来ました。旅行したいという気持ちと、あとは日本に行って新しい練習をしたい気持ちがあって」
――パク・シウ選手にとって日本の拠点であったKRAZY BEEの練習環境も変わりました。現在はジムではなくチームとして皆が活動しています。そのことは日本で練習するうえで何か影響は及ぼしていますか。
「最初に聞いた時は残念な気持ちもありましたけど、皆とは仲も良いし、今も日本で一緒に練習していて。何か変わったことはないですね。コクエイさんって分かりますか?」
――トレーナーのコクエイ・マックスさんですか。
「はい。今はクロスポイントに集まって、コクエイさんのチームでグラップリングの技術を教わったり、スパーリングしたりしていますね。
いつも日本で筋トレするところもありますし、自分が持っている筋肉をMMAでうまく使うためのトレーニングをしたり、いつもセコンドについてくれているイチカワ先生(市川一大トレーナー)とキックボクシングの練習をしています」
――ここまでの期間、充実した練習をすることができているのですね。
「はい、今は完璧です。自分は今が一番強いです。気持ちもそうだし――自分は34歳だけど、だんだん強くなる選手じゃないかと思っています。それが良いところで、まだまだ強くなりますね。ただ、自分は今まで『今日の試合は本当に良かった』と思えるぐらいパフォーマンスを出せた試合がないんです。今回も自分がレベルアップした感じはあるけど、また上手く出せないと『自分はここまでなのかなぁ……』と思うかもしれない。上手く試合をしたいです」
前回は99パーセント上手くいかなかったです。自分が持っている武器を使って倒したい
――万智選手との初戦は、日本女子MMA史上に残る大激闘だったと思います。しかしパク・シウ選手の中では、「上手くできなかった」という気持ちのほうが大きいですか。
「まぁ、99パーセント上手くいかなったですね。アハハハ」
――試合で自分の実力を出し切れない理由を見つけることはできたのでしょうか。
「う~ん……自分は普段、優しいですよ」
――はい、それは分かっています(笑)。
「アハハハ。普段は優しいけど、試合になると優しくない。そういう気持ちが欲しいです。試合になると相手に打撃を当てたい、倒したいという気持ちが大きくなります。そのために体に力が入って、体より気持ちが前に行ってしまうので、上手くいかないと思っています。もっとリラックスして、余裕を持って試合したいですね。
相手が弱いから余裕を持つんじゃなくて、相手も強いから自分自身の中で余裕を持って動く。そうすれば、もっと良いパフォーマンスを出せると思います」
――万智選手とは一度対戦していますし、以前は一緒に練習もしている間柄です。初防衛戦が、その万智選手とのダイレクトリマッチになったことについては?
「本当は伊澤星花選手と対戦したかったけど、それができなくて。最初は正直、『また万智!?』って思いました(苦笑)。でも試合は実際にやってみないと、100パーセントはないです。万智は若いし、勢いもあるし、何より頑張る選手だから良いんじゃないかと思いますね」
――万智選手は前戦から、どのような点が強くなっていると思いますか。
「万智はパワーが強いです。パワーと勢い、若さがあって頑張る選手は、練習すればすぐに出来ることが多い。特に万智は何か学ぶと、成長が速いですよね」
――確かに。昨年パク・シウ選手に敗れたからこそ、今年はパワーや勢いだけでなく丁寧に戦う場面が増えたように思います。
「実際の試合にならないと分からないけど、万智……選手は最初、打撃で勝負に来るんじゃないかと思います。自分はできることをやって、万智選手の気持ちやダメージを削っていって、自分が持っている武器を使って倒したいです。
最近は私もグラウンドが上手くなってきて、RNCで勝ちたい気持ちはありますよね。フフフフ」
――初戦では万智選手がグラウンドで仕掛けて来ることを防いでいました。まずディフェンスが強くなったからこそ、オフェンスも強くなっているのかもしれません。パク・シウ選手が日本語を聴き取れるようになってから、話すこともできるようになったのと同じで。
「そうですね。私も強くなってきました。1年4カ月振りの試合ですけど、2倍ぐらい強くなったと思います。試合ではお互いに最高のパフォーマンスを出すことができたら良いですね。皆さん、応援よろしくお願いします!」
■視聴方法(予定)
9月7日(日)
午後5時10分~U-NEXT、サムライTV 、DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ
■対戦カード
<DEEP JEWELSストロー級選手権試合/5分3R>
[王者]パク・シウ(韓国)
[挑戦者]万智(日本)
<50キロ契約/5分3R>
富松恵美(日本)
ケイト・ロータス(日本)
<49キロ契約/5分2R>
桐生祐子(日本)
サラ(日本)
<50キロ契約/5分2R>
月井隼南(日本)
SAAYA(日本)
<ストロー級/5分2R>
ののか(日本)
堀内美沙紀(日本)
<キック 52kg契約/2分3R>
きたりこ(日本)
MANAKA(日本)
<フェザー級/5分2R>
谷山瞳(日本)
ぽちゃんZ(日本)
<ミクロ級/5分2R>
ジャカ季美香(日本)
大井すず(日本)
<アマチュア ストロー級/3分2R>
あきぴ(日本)
山吹マリン(日本)
<アマチュア 49キロ契約/3分2R>
せりな(日本)
横江明日香(日本)
<アマチュア 51キロ契約/3分2R>
須山ゆな(日本)
ちゃんりな(日本)
<アマチュア ストロー級/3分2R>
和智美音(日本)
谷山心優(日本)