【UFC323】ブランドン・モレノ戦に向けて、平良達郎「リスペクトがあるからこそ本当に超えたい」
【写真】悠然と構えている。そんな風に写るほど、落ち着いてた平良だ(C)TAKUMI NAKAMURA
12月6日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガス近郊エンタープライズにあるTモバイル・アリーナで開催されるUFC323「Dvalishvili vs Yan 2」。同大会のメインカードで平良達郎が、ブランドン・モレノと対戦する。
Text by Takumi Nakamura
7月にアミール・アルバジの代役パク・ヒョンソンからダウンを奪ったうえでの一本勝ちと完勝した平良が、ついに世界のベルトを巻いた漢と相対する。
世界に匹敵する大切な、そして想いが強いファイトを前にラスベガス入り直前、デンバーでの練習も最終段階に来ていた平良をインタビュー。平良をして「来るべきして来たファイト」というモレノ戦の意味合いとは――。
扇久保さんとの練習は僕にとって特別な時間
──ブランドン・モレノ戦に向けてデンバーでトレーニングキャンプ中の平良選手です。今回はどのくらい前からデンバー入りしているのですか。
「試合の5週間前にデンバーに入って調整しています。今がちょうど4週目が終わる時期で(※11月28日に行われた)、5週目のファイトウィークに入ったらラスベガスに移動する予定です」
――デンバー入りしてからの練習メニューは現地入りしてからコーチ陣と話すのですか。それとも渡米前にある程度やりとりしてから行くのでしょうか。
「コーチに米国に入る日を伝えておいて、少しやりとりしてから行く感じですね。ただ今回は9月の終わり頃に一度デンバーに来ていて、その時点でモレノと戦うことを話していて、次は試合の5週間前の11月に行くということも伝えておいたんですね。だからデンバーで最初の練習を終えて日本でも練習して、もう一度デンバーで練習して試合に臨むことになるので、モレノと戦うことを長い目で見ながらキャンプを詰めています」
──なるほど。モレノ戦に向けて準備する時間は十分取ることが出来たわけですね。
「今回はオファーが早かったので、3カ月ぐらいはモレノと戦うためのトレーニングをしているので、いつも以上に準備期間がありました」
──今回は渡米前に扇久保博正選手とも練習されたそうですね。
「扇久保さんとの練習は僕にとって特別な時間なんです。扇久保さんは日本、そして世界でもトップの選手だと思っていますし、扇久保さんと練習することで×世界という部分で、自分に自信を持って挑むことが出来ます。扇久保さんと練習した事実があることで、自信を持って米国や海外でも練習に行けますし、試合に対しても凄く自分のプラスになっていると思っています」
──前回のパク・ヒョンソンが終わったあと、次はモレノなど上位ランカーとの対戦は想定していましたか。
「そうですね。僕自身、タイミングが合えば戦いたいと思うぐらいモレノとは戦いたかったですし、チャンピオンのアレッシャンドリ・パントージャを抜きにして一番戦いたかった相手がモレノだったので、オファーが来た時は凄く嬉しかったです」
――なぜ、そこまでモレノと戦いたいという想いを抱いたのですか。
「僕はTUFの頃からモレノを見ていたし、彼がチャンピオンになるまでのストーリーやデイヴィソン・フィゲイレドと2人でフライ級を引っ張っていた時代も見てきて、この選手に勝てば自分も本当にトップ選手と言えると思える選手がモレノだったんです。漠然と僕がチャンピオンになってモレノと防衛戦をやるとか、色々と想像もしていたんですけど、今はチャンピオンになる前に超えなければいけない存在だなと思っています」
──モレノはTUF出場を経てUFCに参戦するも、2連敗してリリースを経験。LFAでチャンピオンになってからUFCと再契約して……と紆余曲折がある選手ですね。
「若い時期に一度UFCを経験してから今の地位を築いて、モレノの名言も好きですし、リスペクトがあるからこそ本当に超えたいと思える選手です」
僕とモレノの試合は次の挑戦者を決める戦い
──最近UFCを見るようになったMMAファンにとってはUFCフライ級王者=パントージャの印象が強いと思いますが、それまではモレノ・フィゲイレドの2強時代があって、決してパントージャが頭一つ抜けていたわけではなかったです。
「そうですね。今は少しずつパントージャが絶対チャンピオンになりつつありますが、僕の中でモレノはパントージャやチャンピオンと同じぐらい価値のある選手なんで、そんな相手を超えていく姿を想像するとワクワクしますね」
――準備期間の長さを含めて、今回の試合はどのような展開をイメージしていますか。
「今回は久しぶりの5分3Rで、モレノ自身も5分5Rの戦い方に慣れていると思うので、自分から早いペースで試合を作って、最終的にフィニッシュすることが理想です」
──戦いのリズムやテンポを5Rから3R仕様に微調整するイメージですね。
「5Rに比べると様子見する時間はないので、最初から削っていきたいと思います」
──5R戦は1Rを落としても2R以降に挽回するチャンスがありますが、3R戦で1Rを落とすと逆転するチャンスは少ないですよね。
「前回のパク戦も5Rでしたけど、1Rの入りは良かったですし、5Rも3Rも共通して1Rの入りは大事ですが、より今回はそこが大事かなと思っています」
──そういう意味では対戦相手が直前で変更となりましたが、パク戦で得られたものも多かったですか。
「アミール・アルバジの代役でパク選手と対戦することになりましたが、あそこで試合ができたことで自分の力を示して、自分自身に自信がついたし、次はトップと戦わせてくれというところでモレノ戦のオファーが来たので、本当にいいタイミングでいい相手が来たと思います。あとは勝って2025年を締めるだけですね」
──同じ大会ではパントージャとジョシュア・ヴァンのタイトル戦が組まれています。次の挑戦者に名乗りを上げられるような試合をしたいですか。
「そうですね。僕とモレノの試合は次の挑戦者を決める戦いだと思っているので、結果だけでなく勝ち方で『次の挑戦者は平良だ!』という風に見せたいです」
──当然パントージャとヴァンの一戦は結果も含めて気になる戦いですよね。
「どっちが勝つんだろうと思ってめちゃくちゃ気になります。僕はパントージャが勝つと思っていて、僕はこの試合はパントージャに挑戦するための試合だと思っているので、そこも見据えてモレノ戦にものすごく懸けています」
──翌週にはブランドン・ロイヴァルとマネル・ケイプの試合もあるので、そことの比較もあると思いますし、挑戦者候補が続々と出てきた状況だからこそ、ヴァンのように試合結果プラスパフォーマンスやインパクトも重要になってくると思います。
「常に周囲から試合内容を見られているなと思いますし、相手を倒しに行くのが僕のスタイルなんで、自分の試合をすれば自然にアピールできると思います。今回は久々にTモバイル・アリーナで試合をするので、ぜひ僕の試合を見て判断してくださいという感じですね」
――UFNの試合が続き、ナンバーシリーズに出場するのはエドガー・チャイレス戦以来、約2年5カ月ぶりになります。
「はい。だからTモバイルで戦えることがすごく楽しみで、やっと来たか!という気持ちもあります。モレノは人気ファイターなので、僕がブーイングされることもあると思いますが、そういったものも経験しておきたかったので、今回のタイミングでモレノとTモバイルで戦えることは、僕としてもチームとしても嬉しいことです」
──モレノ戦を軽く見ているわけではなく、今ここでタイトルマッチに近い会場の雰囲気や空気も感じておく、と。そういう意味でモレノ戦はまさにやるべきタイミングで決まった試合ですね。
「本当に来るべくして来た試合というか、モレノを超える時は今だということをチーム全員で理解して、12月6日にその瞬間を迎えられるように自分を作っています」
やっぱり堀口さんは強いなと
──また同じフライ級の日本人でして堀口恭司選手がUFC再デビュー戦でタジル・ウランベコフに一本勝ちしました。
「率直に本当に強い選手がUFCに帰ってきたと思いましたし、今年は他団体から来た選手がUFCの壁を超えられない状況が続いていたので、やっぱり堀口さんは強いなと認識した試合でしたね。ウランベコフは端から見るとオイシイ相手ではないし、その相手にあのパフォーマンスで勝ってしまうというのはメンタルも含めて本当にすごいなと思います。もし自分が戦うことになったらカーフキックには気をつけなきゃいけないですね」
──堀口選手の参戦も含めて日本でのUFCフライ級の注目度が上がっていますが、海外でのフライ級の盛り上がりも感じていますか。
「それは凄く感じます。名前のある選手たちがUFCに集まってくる一方、無名だったヴァンが一気にタイトル戦まで駆け上がった。僕もこの試合でもっともっと自分の名前に価値を出していかないといけないと思っていますし、そういった意味でもフライ級の盛り上がりや熱を感じています」
──日本から平良選手の試合を楽しみにしているファンのみなさんにメッセージをいただけますか。
「UFCに参戦するようになって一番のビッグマッチ、モレノとの対戦が決まって、僕自身もの凄く気合いが入っています。今年は2戦しかしていなくて、2度目の試合なんですけど、しっかり魅せる試合をして強くなった姿を見せたいと思います。応援よろしくお願いします」
■視聴方法(予定)
12月7日(日・日本時間)
午前8時00分~UFC Fight Pass
午前11時00分~PPV
午前7時30分~U-NEXT















