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【UFC/ROAD TO UFC/FURY FC】Fight&Life#113。中村京一郎、鈴木崇矢、中村倫也にとっての髙谷裕之

【写真】DREAMERSをリードした髙谷裕之と岡見勇信。写真は岡見の城=TEAM THUNDERのジム開きレセプションの一幕 (C)MMAPLANET

24日(火)から発売中のFight&Life#113。同誌にRoad to UFCフェザー級トーナメントで優勝した中村京一郎。Fury FCフライ級王座を獲得した鈴木崇矢。3月に予定されていたルアン・ラセルダ戦を右膝内側側副靭帯断裂で欠場した中村倫也という格闘DREAMERS出身の3人のインタビューが掲載されている。
Text by Manabu Takashima

既にUFCで戦う中村倫也、UFCで戦うというスタートラインに立つ権利を得た中村京一郎。鈴木崇矢はUFCとの契約に向け、米国王手フィーダーショーのベルトを巻いた。

それぞれの基盤を持ちながら、MMA論だけでなく、精神世界の部分でも繋がりがある特別な関係の3者。その3人がそれぞれの取材のなかで、髙谷裕之について触れている。常に練習をしているわけではない。一度は袂を分かった者もいる。

中村京一郎、鈴木崇矢、中村倫也にとってのメンター、髙谷裕之の人物像が垣間見られる言葉をキリヌキでお届けしたい。


髙谷さんが『じゃあ。喧嘩するしかねぇよ。お前』って

【中村京一郎】
――骨折したのに、2Rの最後は盛り返していたと思います。

「距離を変えました。左のカウンターではもう倒せないので。なら距離を一歩詰めて前手、足、ヒザ、ヒジの距離に変えました」

――そもそもサーライが、ほぼサウスポーだったのも想定外では?

「オーソ主体のスイッチなのに。最初に喧嘩四つで、僕のインローを受けてサウスポーに変えたんですよ。相四つになってホントに1、2秒ですけど、僕の反応が悪かった。そうしたらサウスポーを続けた。アレはサーライの嗅覚でしょうね。そこはアッパレですよ」

――2つ落とし、骨折もした。インターバルにはどのような話を?

「『折れました』って伝えると、髙谷さんが『じゃあ。喧嘩するしかねぇよ。お前』って」

――痺れますね。中継でもリプレイ直後に髙谷さんの「攻めろ」という声が聞こえていました。京一郎選手は色々と考えて戦っていた。それは本当に必要なことで。その一方で理想の戦いは無になることでした。

「そういうことなんです。要はオクタゴンに入るまでに捨てることができなかった。髙谷さんに『喧嘩』と言われて、それだなと。吹っ切れました。俺はそっちだよなって。髙谷さんに言われて、腹を括ることができた。もうフィニッシュしかないと。『このまま負けるならKOされても良い。でも前に出て喧嘩する』って決めて3Rは戦いました。いやぁ、1Rからやれってわけですけど。

目の奥の奥にある殺気。あの『殺し』の空気が、僕の周波数のなかに入っています

【鈴木崇矢】
――試合内容が素晴らしかったです。右のKOパンチがあるフィゲイレドに仕事をさせなかった。カウンターと一言で言っても、初めての会場の空気の中で空間をしっかりと支配できていました。ステップを踏んで金網に詰まることがなかったです。

「嬉しいッス。そこを見てもらえるのは。倒せたのは本当にあの瞬間だけの感覚で、今から掘り起こすことはできないのですが……。ケージチェックもなかったので、入った瞬間から僕の領域にしようと気と根を張って、全てを自分の空間にしていました。だから空間の把握はできて、相手がパンチを打ってくる位置も。何を出してくるのかも、全部見えていました。どこに飛んでくるのかが分かるから、後頭部までガードでカバーする。それも意識せずに、勝手にやっていました」

――そこまで集中できるということは、相当にリラックスして試合に臨めていたのでしょうか。ファイトウィークにインタビューをさせてもらった際は、正直ナーバスになっているようにも感じましたが。

「今回はメチャクチャ緊張していましたね。これまでのファイトウィークと全然違っていました。ずっと細かいことを考えて、楽しいと思えなかったです」

――乗り越えることができたのは?

「腹を括りました(笑)。僕には髙谷(裕之)イズムがあって。試合前日の夜も緊張しているのを感じていて。そこで瞑想をしていると、殺気が下りてきました」

――殺気ですか。

「髙谷さんと一緒にいて感じる、目の奥の奥にある殺気。あの『殺し』の空気が、僕の周波数のなかに入っています。殺気が下り来て、ゆっくりと眠ることができました」

――凄いことですね。自分のなかの殺気を感じて眠ることができるとは。

「試合前もアップの時とか、気持ちが上がってくるのですが、そこで『殺し』の許可を得て、落ち着かせる。殺気をどこかに向けて発するんじゃなくて、体全体に纏わせるような感じに持っていけました。それだと集中もデキて、冷静にいられる。そういう『殺し』の部分とキルクリフFCでの日常が良いバランスになって、自分の動きを出せた。それが勝因の一つだと思います」

誰よりもMMAへの感謝の気持ちが強い。その感謝の気持ちが、誇り高いという部分に通じている

【中村倫也】
「怪我をしていると集中力が高まります。だから健康を取り戻した時に、体に対する感謝や集中力が薄れて『競技、競技、競技』と突っ走ってしまう。その両立が必要になるんですけど、崇矢からは競技に対する真っすぐさを貰っています」

――崇矢選手は、全身全霊をかけているのが伝わってきますね。

「そうなんですよ。一方で、京ちゃんは感謝の気持ちとか、精神的にも物質的にもモノを大切にしていて。日頃からある、そういう部分があのヒザ蹴りにつながったと思います。京ちゃんの勝利は、僕が心がけている取り組みが競技に繋がることを再確認させてくれました。高校の先生、大学の先生、武術家の方々に言われ続け、見てきたことが競技のなかで形になる。京ちゃんの勝利から、勉強させてもらいました」

――崇矢選手はそういう話は倫也選手の弟さんの剛士さんを含めた4人ぐらいしかできないと、今回のインタビューで話していました。そして倫也選手、京一郎選手、崇矢選手には髙谷裕之という共通のメンターが存在しています。

「そこは凄く不思議で。僕のなかにある一つの仮説なんですが、髙谷さんは凄くピュアで。自然に想ったことを口にして、自然に笑う。喧嘩って格闘技の原点というか。そこにあれほどピュアに取り組んでいた人はいないと思うんですよ」

――そういう仮説ですか(笑)。

「ハハハハ。そうなんです。喧嘩で頂点を目指して、毎日同じ時間に誰かを見つけて喧嘩をする。そこまで取り組んでいた人間だから、MMAにも真っすぐに真面目に取り組んできた。実は僕、MMAに対して『こんなに辛いモノなんだ。ここで果てしなく遠い山の頂上を目指す人生より、賢い生き方があるんじゃないか』と凄く揺らいでいた時期があったんですよ。

――それは意外です。

「でも、そのタイミングで髙谷さんがDREAMERSの皆を集めた時があって。『お前らの取り組みはダサい。ダサ過ぎる。練習に来るといっても来なかったりするヤツもいる。格闘家がどれだけ誇り高い職業か分かっているのかよ』って、皆を叱ったんです。僕に対してだけの言葉じゃなかったけど、そういう人がコーチで良かった。『この人についていこう』と思いました。髙谷さんは、誰よりもMMAへの感謝の気持ちが強い。その感謝の気持ちが、誇り高いという部分に通じているのかもしれないです。

※Road to UFC決勝戦、逆転KO勝ちの背景――中村京一郎。格闘技との出会いから、Fury FC王座格闘を経ての“これから”――鈴木崇矢。右ヒザの負傷で試合欠場も、光が見えている――中村倫也。彼ら3人のインタビューが掲載されたFight&Life#113は24日(火)より発売中です。

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