【DEEP JEWELS53】フライ級王者・中井りんに挑戦、奥富夕夏「山北渓人選手を目指しています」
【写真】前日計量は56.5キロでクリア。いざベルトへ(C)MMAPLANET
24日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP JEWELS53。メインでは中井りんの持つ同フライ級王座に、奥富夕夏が挑戦する。
Text Shojiro Kameike
女子相撲では全日本選手権軽量級3連覇&国際選抜大会で優勝を持ち、並行して柔術とMMAを戦っている奥富。2024年7月にはONE FFに出場し、初の海外&国際戦でファイネ・メスキータに敗れるも、翌年5月に栗山葵を下しベルト挑戦権を獲得した。栗山戦では常に動き続け、組み伏せた――そのスタイルを貫くことができたのは、相撲と柔術に加えられたレスリングの成果だった(※取材は5月14日に行われた)。
メスキータ戦は組みで全然歯が立たず、やり方から何から全部変えていかないといけないと思いました
――前回のインタビューはメスキータ戦の前で、以降もMMAと並行して柔術と相撲の試合にも出続けているのですね。
「はい。MMAの試合にも出たかったですけど、あまり相手がいなくて去年は1試合しかできなくて。相撲と柔術はエントリーしたら出られるし、相撲は毎月大会があって合間に柔術の試合に出ていました」
――柔術も相撲も、様々な大会で優勝や準優勝と好成績を収めています。一方でMMAの試合が、なかなか組まれない。その背景にはONEとの契約もあったのですか。
「いえ、それはなかったです。ただ『行ったり来たりするのも良くない』という話をしていて、まずONEでは試合が組まれない。であればDEEPジュエルスで頑張っていきたいと思い、去年の5月の栗山戦がありました」
――少なくとも「行ったり来たりしなかった」ことで、今回のベルト挑戦が決まったことは確かでしょう。
「実は去年の秋ぐらいには、DEEPジュエルスから『タイトルマッチどうですか』というお話を頂いていました。こちらとしては断る理由もないので、『やりたいです』と答えていたんです。ただチャンピオンのほうが海外の試合を目指しているということで、なかなか決まらなかったと聞いていますね」
――その期間、代わりに誰かと……という話はなかったのですか。
「ありました。DEEPジュエルスとしてはフライ級だけでなく私が少し体重を落として、ストロー級の選手とキャッチウェイトで――という交渉までしてくれていて。ただ、やはりストロー級の選手はストロー級で戦いたいということで決まらなかったみたいです。
私もストロー級に落とせなくはないけど、『自分が52キロという体重だったのは何歳の頃だろう?』という感じで(笑)。もともとジムに入る前は太っていて、70キロぐらいあったんですよ。今はそんなにないし、練習していたら結構体重も落ちる。それでも52キロというのは難しいかもしれません」
――70キロあった、というのは相撲の試合のためですか。
「相撲は世界大会で一番軽い階級が65キロなので、その体重をベースにしていたという面はあります。でも大学の相撲部で男子と一緒に生活していたら、気づけば70キロを超えていましたね(笑)」
――アハハハ、相撲部の男子と同じ食生活を送っていたら仕方ないかと思います。試合の話に戻すと、もう2年前の話になりますがONE FFでメスキータに敗れたことは、自分にとってはどのような経験だったと思いますか。
「メスキータ戦は本当に何もできなかったです。もともと打撃は得意じゃないけど、組みは国内であれば割とできるほうで。その組みで全然歯が立たず、やり方から何から全部変えていかないといけないと思いました」
――奥富選手がボディロックからテイクダウンを狙った際、メスキータが払い腰で切り返し、テイクダウンを奪われた。スタンドの投げ合いで敗れたことも、ある意味で大きな経験だったように思います。
「そうですね。それとグラウンドでも、今までは下になってもスクランブルをつくって結果的に逃げられることが多かったです。でもメスキータ選手の場合は全く逃げられず、そのままバックに回られて。スクランブルのつくり方もそうですし、逃げ方も全然身についていなかったんだなって思いました」
レスリングを習い始めました。でも栗山戦は、自分でもあそこまで動き続けられるとは思っていなくて
――そのメスキータ戦から栗山戦まで、まず何を変えてきましたか。
「レスリングを習い始めました。小中学生と一緒にクラブチームで習っていて。おかげで栗山戦は自分からテイクダウンを取りに行ったりすることができるようになっていたのは、一番の成果じゃないかなと思っています」
――栗山戦はシングルレッグで入り、バックコントロールからバックマウントへ。あるいはボディロックで崩していくという、まさにレスリング練習の効果が出ていました。それはストライカーである栗山選手対策というだけではなかった、と。
「柔術もやっていますけど、昔はまず寝かせるまで行く術がなくて、グラウンドで勝負するならレスリングをやらないといけないと思ったんですよね。ただ、自分でもあそこまで動き続けることができるとは思っていなくて(苦笑)。ああいう展開を狙っていたわけではなかったけど、試合が始まってみるといっぱい動いていて、良いタイミングでテイクダウンに入ることができていたという感じですね。
(横にいた山﨑剛Me,We代表に)栗山戦って、ああいう作戦ではなかったですよね?」
山﨑 でも組み伏せる作戦ではありましたよ。もともと動き続けるつもりだったけど、より動いていたという感じですね。
「確かに、練習ではあんなに動いていなかったと思うんです」
――自身でも想定していなかった力が発揮されたわけですか。
「何て言うんでしょう……練習相手が強すぎて、正直言って自分は何ができるのか分からないところもあるんですよ(笑)。試合でやってみたら『これは勝負できるところなんだ』と気づくことも多くて」
――Me,Weでは多くの女子トップ選手が練習している。良い意味で『練習環境のせい』ですね。
「アハハハ。いつもボコボコにされています」
――魅津希選手や村田夏南子選手をはじめMeWeの練習メンバーをボコボコにしていたら、奥富選手も今ごろオクタゴンの中にいるかもしれません。それだけの仲間と練習しています。
山﨑 おかげですごく強くなっていますよ。今までよりも伸び率の幅が大きいです。次はより強い相手だからこそ、成長した部分をどう出すことができるかがポイントですね。
――奥富選手としては、どのような点が一番伸びてきたと思いますか。
「栗山戦の前までは、動くことが自分の強みだと思っていなかったんです。ただ一生懸命、頑張っていただけで。今回も中井選手との試合をイメージして――というわけではなく、まず練習でも動くことができています。イメージとしては山北渓人選手を目指していますね。あんなに上手く動けないですけど」
――栗山戦では被弾も多かったです。しかし動き続けているからこそ、ダメージも少なかったという見方もできます。
「そうですね。魅津希選手と練習していると、ステップとか動きが全然見えないぐらい速いんですよ。栗山さんの打撃って、日本の女子では抜けていると思います。当たったら1RでKOされてしまいますよね。でも当たらなければ大丈夫なわけで。言われているとおり当たる距離の時にテイクダウンを狙っていけば、被弾しても致命傷にはならない。だから自分から組みに行くことで打撃のダメージを減らすことができたのかなって思います」
――対して課題と考えている打撃については?
「練習しているメンバーの打撃が強いので、恐怖感はないです。自分ができているかどうかは別ですけど(苦笑)。あとはディフェンス力と、テイクダウンに繋げる打撃ですよね。それがないと、試合でも後手後手になってしまいますし」
……単純に、誰にも負けたくないっていうだけなんです
――そんななか今回、中井りん選手の持つベルトに挑戦することとなりました。
「中井選手と対戦することって、あまりイメージしていなかったです。もともとはただの格ヲタで、中継でDEEPジュエルスを視ていました。だから中井選手って、どちらかというとテレビで視ていた選手なんです。中井選手がベルトを巻いた時に私はまだアマチュアで、同じ大会ではオープニングファイトに出ていました。そのベルトの防衛戦の相手が自分になるとは……。4連勝していて私に勝てば次はタイトルマッチ、という流れだった栗山さんに私が勝っちゃったから、よく分からない感じになってしまったかもしれないですけど(苦笑)」

計量後、奥富は「今回は中井選手の過去の実績で注目されている試合だと思います。私自身も過去最強の自分で迎えられるよう練習してきました」。対する王者の中井りんは「明日は勝って自分たちの正義を証明します」とコメントした
――よく分からない感じ、ではないでしょう(笑)。その時から勝ち続けている中井選手には、どのような印象を抱いていますか。
「魅津希さんや夏南子さんとはまた違う強さだと思うんですよ。すごく打撃が巧いかといえば、そうではない。でもあの圧力に負けて、みんなケージを背負ってしまい、グラウンドに持っていかれているという感じだと思います。そうならない展開で戦いたいですね」
――加えて、中井選手の仕留めることへの感覚は素晴らしいものだと思います。
「私としては自分が打たれ強いのもあって、打撃でKOされるということはないかなと思っています。ただ圧力があるので、下がったところで組まれて腕十字とかバックを奪われるという展開はあるかもしれないですね。いずれにしても精度はどうあれ想像できる展開ではあるので、そこは重点的に練習しています。
ただ最近の中井選手が対戦したのは、どちらかというとストライカーが多かったですよね。比べれば私はグラップラーでしょうし、取られる前の危機察知能力は自分のほうが上なのかなと思っています」
――奥富選手の中で、ベルトに対するこだわりはありますか。
「何ですかね……今までやってきた相撲や柔術は優勝したらメダルがもらえるじゃないですか。ベルトもそれと同じで――自分は誰かと戦いとか、それこそRIZINに出たいという希望があるわけじゃないんです。自分がやってきた練習が評価されること、それが勝利という形だと思っています。たまたま次の相手がベルトを持っていて、ベルトを持っているチャンピオンが中井選手というだけで。
……単純に、誰にも負けたくないっていうだけなんです。かといって守り抜いて褒められたいわけじゃない。しっかりと強いところを出して勝利を目指します」
■DEEP JEWELS53視聴方法(予定)
5月24日(日)
午後5時05分~U-NEXT、DEEP/DEEP JEWELS YouTubeチャンネル メンバーシップ
■DEEP JEWELS53 計量結果
■DEEP Tokyo Impact2026#03視聴方法(予定)
5月24日(日)
午後12時05分~U-NEXT、DEEP/DEEP JEWELS YouTubeチャンネル メンバーシップ
■DEEP Tokyo Impact2026#03 計量結果
高橋遼伍:66.2キロ
三井俊希:66.05キロ
<バンタム級/5分3R>
中島太一:61.65キロ
日比野”エビ中”純也:61.55キロ
<メガトン級/5分3R>
長谷川賢:110.55キロ
ブラックタイガー:104.55キロ
<フェザー級/5分2R>
カンジ:66.0キロ
KINNO:65.9キロ
<フェザー級/5分2R>
鬼山斑猫:66.1キロ
菊川イサム:66.2キロ
<バンタム級/5分2R>
黒岡裕真:61.6キロ
笹崎健司:61.95キロ→61.8キロ→61.65キロ
<バンタム級/5分2R>
坂本岳:61.55キロ
ハム・ギワン:61.5キロ
<フライ級/5分2R>
仁井田右楽:57.2キロ
廣瀬裕斗:57.1キロ
<60キロ契約/5分2R>
渡邉龍太郎:59.6キロ
キンジ:59.7キロ
<フェザー級/5分2R>
ガブリエル:65.9キロ
尚太郎:65.4キロ
<アマチュア ウェルター級/3分2R>
TAKUMA:76.85キロ
猿丸凛太朗:77.55キロ
<アマチュア フライ級/3分2R>
菊間瑛太:56.65キロ
小嵐翔真:56.95キロ

































