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【Road to UFC S05 OR#01】豪州勢と対戦、栁川唯人が語ったメンタリティ「積んでいるエンジンが違う」

【写真】練習後の移動中、UFCグローブと共に(C)SHOJIRO KAMEIKE

28日(木・現地時間)と29日(金・同)にマカオはコタイのギャラクシー・アリーナで開催されるRoad to UFC S05 Opening Round。2日間で4階級の準々決勝が実施され、初日となるDAY1=フェザー級Tで栁川唯人が、豪州のジョージ・マンゴスと激突する。
Text by Shojiro Kameike

すでに試合から5カ月が経つというのに、昨年12月のカリベク・アルジクル ウール戦のKOシーンが脳裏に残っている。衝撃のKOによるベルト奪取から、RTU出場が決まった栁川——現在4連勝中の裏に秘められた、確かなスピリットについて語ってくれた。


結局、強いヤツはどこにいても強いんですよ

――今、横にUFCグローブが置かれています。それは今回のRTU出場が決定したことで購入したのですか。

「パンクラスに参戦し始めてからかな……今の4連勝している時期はずっと使っていますね。いつでも目標となるものが視野に入っているというのは、初心を忘れないことにも繋がるので。基本的に僕は何か理由があるものを身につけたり、使ったりしているんですよ。

UFCグローブも――僕はUFCに行きたい。その目標からブレて、練習中に妥協が生まれてしまいそうになっても、視界に入れば『自分はここに行きたいんだ』という気持ちをつくることができる。だから僕は常にUFCグローブを使うようにしています」

――グローブ以外にUFCのものを使ったり、あるいは格闘技以外で目標を持った時に何か使用しているものはありますか。

「何でしょうね? 格闘技以外に頑張っているものがなくて(笑)」

――アハハハ。

「僕は人への感謝を忘れないということを大切にしていて、身につけているものや練習着は頂き物が多いです。恩を仇で返すことは嫌いだし、『感謝の気持ちを忘れない』『目標を見失わない』という2点が理由ですね」

――すると頂き物に関しては、修理しながら使い続けるタイプですか。自分は頂いた自転車やバック、靴など修理に掛けた総額が新しいものを買えるぐらいになったりしています。

「あぁ、なるほど。そういう気持ちは大切にしたいですよね。直すこともあるし、穴が空いたりボロボロになって、周りから『ちょっとヤバくない?』とか言われても着たり使ったりしています」

――なるほど。今年に入り所属しているK-PLACEを取り巻く環境が、いろいろと変わったかと思います。まずは現在の練習環境を教えてください。

「出稽古に行くか、河川敷で練習するか――ですね」

――河川敷!?

「天気が良かったら河川敷に行って、K-PLACE代表の小池(義昭)さんにミットを持ってもらいます。あとは戦略的プランを練って、すり合わせしたりとか」

――実は昨日、田嶋椋選手のインタビューを行っていまして……。

「おぉーっ、椋さん!」

――その反応からも田嶋選手との仲の良さが分かります。

「出稽古先というのは椋さんがいるOOTA DOJOさん、あとはもともとK-PCAEだったRESURGO MMAに行っています」

――どこか一つの落ち着いた場所が欲しいという気持ちはありませんか。

「う~ん、僕は『贅沢は敵』だと思っている部分があって。結局、強いヤツはどこにいても強いんですよ」

この1年でボディブローという新しい武器を手に入れました

――頂き物の使い方を聞いて、そう考えているだろうなと思いました。確かに環境や道具も重要ではありますが、その前に自分を律することができているかが重要で。

「本当にそうなんですよ。もちろん良い環境に行くことができたら、それはそれで良いと思います。でも自分の中では、そこは気になっていなくて」

――昨年12月の試合になりますが、カリベク戦はその言葉を証明するKO勝利でした。周りからの反響も大きいのではないですか。

「半年経った今でもそう言っていただけるので、本当にありがたいですね。自分としてはまさかパンチで勝つとは思っていなかったのでビックリしましたけど(笑)」

――えっ、パンチで対抗しようとは考えていなかったのですか。

「はい。組んで倒そうと思っていました」

――RTU出場が決まり、パンクラスの会見に出席した際「カリベク戦で出せなかった秘策を見せたい」と発言していました。それは打撃ではなく組みの面だったのですね。

「組みですね。詳しくは言えないけど、今回それを出すことができたら、結構面白くなると思います」

――その秘策はカリベク戦で出せなかったのか、それとも出せなかったのか。パンチ決着になった要因は何だったのでしょうか。

「1Rの序盤でテイクダウンされた時、僕は組んだり寝技をやりたかったので、下からアプローチを掛けていたんです。そこで相手が嫌がって立ち上がらせてきた時に『これは組みだと難しい展開かもしれないな』と思って。だから『組みたいけど組めない。どうしようかな』という感じでした。ただ相手は明らかに嫌がってくれたので、自分も『組みがしたい』というエサを撒いていけばパンチが当たる――と試合中に切り替えましたね」

――カリベクの豪打を考えると、リスクはあります。KOする前に右カーフで転倒させた時に「これはパンチで行ける」と考えたのでしょうか。

「あのシーンが印象的だった、とみんな言いますね。僕が確信を得ていたのは、カーフの前に出していたボディジャブなんです。あのボディジャブで、それまで張っていた伏線が繋がって『これは行ける』と思いました」

――最近はどんどんボディジャブの重要性が高まっていますね。MMAでもボクシングでも。

「この間のUFCで勝った韓国人選手(チェ・ドゥホ)とか、メチャクチャ巧かったですね。もともとジャブだけでなく、ボディブロー自体が好きなんですよ。カリベク戦前の平田(直樹)戦でもボディを効かせていました。この1年でボディブローという新しい武器を手に入れましたね。今それを試している状態です。『ボディで倒す!』という感じじゃなく、とりあえず出して自分に慣れさせておこう、と」

――そして今回のRTUですが、カリベク戦の前からエントリーしていたのですか。

「いや、試合前はエントリーしていなかったです。勝ってからマネージメントサイドにお願いしてエントリーしました」

――そうだったのですね。では試合前は、カリベクに勝った後の動きについてはどのように考えていたのでしょうか。

「カリベクに勝てばUFC本戦にショートノーティスでも――という根拠のない自信があって。『細かいことは知らねぇ、とにかくカリベクをブッ飛ばせば全部頂けるんだから』と他のことは考えず、カリベク戦のことだけに集中していましたね」

椋さんはずっと冷静。慌てることなく、淡々と仕事をこなす

――ここからは田嶋選手のインタビューと同じ質問をします。田嶋選手としては自身のRTU出場が決まっても、『もし栁川君が落ちていたら……』と考えて栁川選手に連絡しづらかったということでした。

「アハハハ! なるほど。実は水面下で選考の状況を聞くことはあって、『100ではないけど70~80パーセントぐらいで決まるかなぁ……』と。でもこれで自分が決まらなかったらメチャクチャ恥ずかしいから、自分から連絡するのは控えていたんですよ(苦笑)。そうしたら椋さんから『RTU決まった』という連絡が来たので、僕も勢いで『俺も出ます』と答えちゃいましたね」

――やはりお互いに一度躊躇はしていたのですね(笑)。

「そもそも僕は、椋さんは出ると思っていたんですよ。だから自分は何も気にしていなくて、アハハハ」

――分かりました。では栁川選手から見た田嶋選手の印象を教えてください。

「初めて練習する前から椋さんのことは、格闘DREAMERSに出ていた時に視ていたから知っていたんですよ。今はMMAの埼玉のお兄ちゃん、ですよね。優しいし、あったかいし、何より強い。ずっとボコボコにされまくっていて、強くて素晴らしい選手だと思います」

――どのようなところに田嶋選手の強さを感じますか。

「ずっと冷静な気がします。慌てることなく、淡々と仕事をこなすような――それが凄いんですよね。太田(純一OOTA DOJO代表)さんの指示も一つひとつ聞いて、確実にやっている。あと言葉にするのが難しいですけど、自分が意識していることと行動にすることを直結できますね。僕の周りにはあまりいないタイプで、それは凄いなって思います」

体が小さくて力がなくても、心は強く生まれるもの

――RTUの話に戻ると、ショートノーティスでUFC本戦でもなく、かといってコンテンダーズ・シリーズでもなくRTUトーナメント出場となったことは、自身にとってメリットになると思いますか。

「どれであっても自分にとってメリットだと思うんですよね。全部チャンスだから。いつもと同じ。トーナメント3試合あるといっても、今の気持ちはパンクラスのネオブラ1回戦と一緒です。何も気負うことなく、一つひとつクリアしてチャンスを掴みにいくだけです」

――そう聞くと気負うことなく、かつ浮足立つようなこともなさそうですね。

「そうですよ。それで今まで唯一、Ryo戦で負けましたから。そこで学び、もう二度と同じことはしないようにしよう、と。目の前のことを一つひとつクリアして、それを積み上げていけば自ずと結果として出るわけなんですよね。みんな先のことばかり気にしすぎて――気にすることは良いんですよ。でも気にしすぎて、足元をすくわれてしまう。大事なのは今なので、今をしっかりやっていこうと思っています」

――そして迎えるRTU初戦は、豪州のマンゴスと対戦します。現在のRTUにおいて、豪州&ニュージーランド勢は日本だけでなく、全アジア人ファイターにとって鬼門と言えます。

「あぁ、そうですか。……全然気にしていなかったですね。外国人選手だな、という感じだけで。試合映像を視ると、元気で自信満々に試合をしていると思います。でもスロースターターだし、穴はある。勢いに乗らせると面倒くさいな、という部分はありますけど」

――確かにエンジンが掛かってきたら手数も増えるし、ケージに押し込まれても跳びついて極めたりと、思いきりの良さもありますね。

「こんなことを言ったらアレですけど、僕とジョージでは積んでいるエンジンが違うので。全然負けないし、むしろ『ヘロヘロになろうよ』と思っていますね(笑)」

――豪州をはじめ海外の選手に対して『積んでいるエンジンが違う』と言い切れる理由は何でしょうか。

「僕は今年26歳になりますけど、これまでに人としての生き方とか、いろんなことを学んできました。人間として強くなることができた。それが土台にあって、ファイターとして強くなるために食事を気にするようになったんですよね。体の中から変えようと思って取り組んだ結果、カリベク戦でもああいうパフォーマンスを出すことができて。

もともと日本人ってメンタリティが真っ直ぐで、純粋で、カッコイイものだと思うんですよ。体が小さくて力がなくても、心は強く生まれるもので。生まれたあとに食事なども含めて、心だけじゃなく体も強くしていく。だから外国人選手に全然負けていないし、そういう意味で積んでいるエンジンが違うよって思うんです」

――つまり栁川選手の言う『積んでいるエンジン』とは肉体のことではなく、『日本人の心』ということなのですね。

「そうです。RTUでは日本人でも世界に通用するということを見せるし、僕は応援してくれる人を裏切らない。みんなを幸せな気持ちにしたいです。応援よろしくお願いします!」

■Road to UFC S05 OP Day1 視聴方法(予定)
5月28日(木・日本時間)
午後7時00分~UFC FIGHT PASS
午後6時30分~U-NEXT

■Road to UFC S05 OP Day1対戦カード

<フェザー級/5分3R>
シェ・ビン(中国)
ユディ・チャヒヤディ(インドネシア)

<Road to UFCバンタム級準々決勝/5分3R>
宮口龍鳳(日本)
チュングレン・コレン(インド)

<Road to UFCバンタム級準々決勝/5分3R>
ティ・ハイタオ(中国)
田嶋椋(日本)

<Road to UFCバンタム級準々決勝/5分3R>
ラビンドラ・ダント(ネパール)
キンバート・アリントゾン(フィリピン)

<Road to UFCバンタム級準々決勝/5分3R>
南友之輔(日本)
カシブ・マードック(ニュージーランド)

<Road to UFCフェザー級準々決勝/5分3R>
青井人(日本)
ソン・ヨンジェ(韓国)

<Road to UFCフェザー級準々決勝/5分3R>
ルァーグーチェン(中国)
ダギースレン・チャグナードルジ(モンゴル)

<Road to UFCフェザー級準々決勝/5分3R>
アーフージョン・アーリーヌアール(中国)
イム・クァンウ(韓国)

<Road to UFCフェザー級準々決勝/5分3R>
ジョージ・マンゴス(豪州)
栁川唯人(日本)

■Road to UFC S05 OP Day2視聴方法(予定)
5月29日(金・日本時間)
午後7時00分~UFC FIGHT PASS
午後6時30分~U-NEXT

■Road to UFC S05 OP Day2対戦カード

<女子ストロー級/5分3R>
シー・ミン(中国)
プジャ・トマール(インド)

<Road to UFCフライ級準々決勝/5分3R>
亮我(日本)
ジョセフ・ラルシネーゼ(豪州)

<Road to UFCフライ級準々決勝/5分3R>
鈴木崇矢(日本)
オトゴンバートル・ボルドバートル(モンゴル)

<Road to UFCフライ級準々決勝/5分3R>
エロス・バルヤット(フィリピン)
内田タケル(日本)

<Road to UFCフライ級準々決勝/5分3R>
チーニョーシーユエ(中国)
小田魁斗(日本)

<Road to UFC女子ストロー級準々決勝/5分3R>
万智(日本)
アニリヤ・トクドゴノワ(キルギス)

<Road to UFC女子ストロー級準々決勝/5分3R>
モン・ボー(中国)
松田亜莉紗(日本)

<Road to UFC女子ストロー級準々決勝/5分3R>
フン・シャオカン(中国)
ファリダ・アブドッゥエヴァ(キルギス)

<Road to UFC女子ストロー級準々決勝/5分3R>
ドン・フアシャン(中国)
パク・ボヒョン(韓国)

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