【ONE TIC21】磯嶋祥蔵と対戦、エドゥアルド・フォラヤン「MMA以上に情熱を燃やせるモノは存在しない」
【写真】常に心穏やか。Quiet Warrior=エドゥアルド・フォラヤン (C)MMAPLANET
10日(金・現地時間)、タイはバンコクのルンピニー・スタジアムで開催されるONE FF161&ONE The Inner Circle21。後者のメインではONE世界ストロー級王者ジョシュア・パシオが、マンスール・マラチェフの挑戦を受ける。
Text by Manabu Takashima
30歳、これからピークを迎えようというパシオがMMAファイターとして、全ての局面で戦うようになったのは、散打からMMAに転じ、フィリピンのMMA界をリードした先代たちの苦労と成功があったからだ。
2011年9月、ONE旗揚げ戦のメインで韓国のクォン・アソルと激闘を繰り広げ、フィリピンMMA界の存在を大いにアピールしたエドゥアルド・フォラヤンは、その筆頭格といえる。
あれから15年、ONE世界ライト級の頂点に立ったフォラヤンも、41歳を迎えた。コロナ以降は黒星が目立ってきたのも事実。1年4カ月振りの実戦、磯嶋祥蔵戦を控えたフォラヤンの現在地とは?
最高のコーチになる情熱を持てない。僕のパッションはファイティングにある
――エドゥアルド、お久しぶりです。今週の金曜日に磯嶋祥蔵選手と戦いますが、調子はいかがですか。
「良い感じだよ。でもバンコクについたばかりで、今何時なのか分からないんだ(笑)。ところで、久しぶりに顔を見たけど、変わっていないね。凄く元気そうだ」
――見た目はそう感じられるようですが、ベッドから起き上がる時もうめき声を上げていますよ。
「アハハハハ」
――ところで去年の3月、日本での青木信也選手との試合以来の実戦復帰となります。41歳になり、この間に引退を考えることはなかったですか。
「もちろん、考えるよ。でも、まだまだMMAが好きなんだ。心に燃えるモノがある。こんなに好きなモノと距離を取ることは難しいし、代わりになるようなモノをなかなか見つけられない。ずっと続けてきたことだけど、その日がくるまでずっと変わらず続けるつもりだよ(笑)」
ファイターが試合に出なくなるって、人生をやり直すぐらいの感覚になると思うんだよ
――今では自らチーム、ジムを持つようになったエドゥアルドですが、指導もしているのですか。
「指導もしたいと思っているけど、今はやっていない。ファイターとしての気持ちを保つために、トレーニングに集中している。この気持ちがなくなった時こそ、僕が指導者になる準備が整ったことになるんだと思う。今はコーチではなく、アスリートでいたい。まだ、最高のコーチになる情熱を持てない。僕のパッションはファイティングにある。
それと一つ、僕のなかで拘っていることがあって。多くの選手が引退をしても、しばらくたつと復帰するじゃないか。僕はアレがしたくないんだ。リタイアしてカムバックするのではなくて、引退を口にするのは本当にMMAを戦わなくなる時にしたい。そしてコーチなのか、他のことなのか。MMAを戦うこと以外に情熱を燃やしたい。現役生活に未練をもって、他の道を進むことはしたくないんだよ」
――それがエドゥアルドの人生哲学なのですね。とはいえ、MMAは想いがあるから続けられるというモノでもないです。やはりダメージの蓄積もあるし、大きなケガをする恐れもあるので。
「もちろん、MMAは想いの強さだけ続けられるモノじゃない。これからを考えるとその時が来るのは、それほど遠くない(微笑)。なんていうのかな、僕は悔いを残したくないんだ。悔いなく、現役生活を終えたい。それは……それほど遠い未来じゃない。ただ今はまだ戦えるし、オファーもある。だから、今は引退しようとは思わないんだ」
――そんな風に年を重ねる選手が、自分の周りにも増えたと思います。
「ファイターが試合に出なくなるって、人生をやり直すぐらいの感覚になると思うんだよ。皆、そういう気持ちでいるから、試合の機会があれば戦う。MMAから離れるのは簡単なことじゃない。ただね、僕の体が『ノーモア』と訴える日が来るだろう。どれだけ好きでも、体が受け付けなくなる日が訪れる。それが人生ってモノだと思うんだ。
だから一度は引退を決めても、また戻ってくる選手が多い。体が受け付けるようになると、戦わないではいられないんだよ(笑)。満たされていないから、続ける。僕もそうなんだ。MMA以上に情熱を燃やせるモノは存在しないから」
――頂点を極めたことがあるファイターは、エドゥアルドも含め自身がピークではないことも分かって戦い続けているわけですよね。ただファンは、ピーク時の姿を追い求めてしまう。
「だから、親しい選手には引退を勧めてしまうんだよね? それが、君や選手の周囲にいる人々の責任なんだ。そしてファンが全盛期の姿を求めることも、もう危険だと引退を勧められることからも、僕らは目を背けることはできない。そういう目や言葉から、僕らは学ぶことも大いにある」
――そして今も身の内に戦う炎を抱いているエドゥアルドですが、その熱をぶつける相手となる磯嶋選手の印象を教えてください。
「若くて、手強い相手だと思う。敗北を喫した相手はエイドリアン・リーとタイ・ルオトロだからね。将来的に、とても期待できるファイターだ」
――エドゥアルドと高校の体育の教師から、プロMMA同じようにファイターに転じました。磯嶋選手も教鞭を振るうプロMMAファイターです。
「デューティ・オブ・ライフ。それぞれが道徳的な思考と、自らの役割を持って生きているなかで、全てぶつけることができる対象を見つける。そうしたら、そこに全力で飛び込みたくなる」
――そういう自身に似たパッショネイトとの試合、どのように戦おうと思っていますか。
「これまで通り戦うよ(微笑)。誰もがリングに上がれば、目の前にいる相手をぶっ倒そうと思っている。リングってそういう場所なんだ。相手だって、そのつもりだ。結果、どちらかが傷つき、どちらかが成功を手にする」
今の選手達は気持ちさえあれば、成長が明らかに速い
――押忍。エドゥアルドは自分にとって、韓国以外のアジアに目を向けるきっかけをくれたファイターです。そのきっかけとなったONE旗揚げ戦のクォン・アソル戦から、実に15年が過ぎようとしています。この間のフィリピンMMA界の成長をどのように感じていますか。
「フィリピンのMMAファイター達は、凄く進化している。僕らの若い頃は、個性的な選手が多かった。でもMMAとして進化し、穴のない選手が増えてきた。色々なスタイルとクロストレーニングができ、指導者もそうだし、強くなるための環境がしっかりと整っている。そこが大きな違いだろう。だから今の選手達は気持ちさえあれば、成長が明らかに速い」
――その先駆けとなったのがエドゥアルドであり、バギオのチームメイトや元チームメイトでした。
「あそこからMMAはフィリピン中の色々な場所に広がったね(笑)。だから、もっともっと良くなるよ。ただフィリピンのMMAが、発展するには国内のMMA大会が盛んにならないといけない。修斗、DEEP、パンクラスがある日本のように。若いフィリピン人選手は、日本に行って修斗やGladiatorで経験を積み、成長したケースがある。ただ海外で試合をする前に、フィリピン国内でより多くの試合経験がある方が良い。
そうなれば、もっと強い選手たちが現れるはずだ。ジョシュア(パシオ。ONE世界ストロー級王者)のような、ね。とにかく若い選手には、ベストを尽くしてその可能性を示して欲しい」
――エドゥアルド、慌ただしいなかインタビューを受けていただき、ありがとうございました。最後に日本のファンに一言貰えますか。
「僕の方こそインタビューをしてもらえて、ありがとうと言わせてほしい。日本の選手たちのマーシャルアーツへの想い、その選手を支えるファンの皆の気持ちに感謝している。これからもMMAを応援し続けて欲しい。神の御加護があらんことを」
■放送予定
7月10日(金・日本時間)
午後8時15分~U-NEXT
■ONE Inner Circle21対戦カード
<ONE世界ストロー級(※56.7キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]ジョシュア・パシオ(米国)
[挑戦者]マンスール・マラチェフ(ロシア)
<ライト級(77.1キロ)/5分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
磯嶋祥蔵(日本)
<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
デッチャワリット(タイ)
トム・キャス(フランス)
<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
エリエス・アブデラリ(フランス)
アリ・ケラット(トルコ)





















