【ONE FN40】ここにもいる、19歳の大器=エイドリアン・リー「過去最高にデンジャラスになっている」
【写真】こんな感じであどけないのに、話す言葉はまるで違った (C)MMAPLANET
14日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニー・スタジアムでONE FN40でエイドリアン・リーが磯嶋祥蔵と対戦する。
Text by Manabu Takashima
アンジェラを姉に、クリスチャンを兄に持ちファイト一家のエイドリアンはもう1人の姉ビクトリアが自ら命を絶った1年半後にプロMMAデビューを果たしている。
キャリア3勝1敗、今年の9月にタイ・ルオトロの猛攻をしのぎ続けながら2RにRNCで下った。あれから5カ月、今回の磯嶋戦に臨むエイドリアンをインタビュー。そこには19歳、ティーンエイジャーとは思えないマチュアな青年がいた。
他の道を選ぶとか、MMAが上手くいかなくて何か他のことをするとか、全く考えたことはない
――磯嶋選手と来週末に試合をします(※取材は4日に行われた)。今の気持ちを教えてください。
「物凄くワクワクしているよ。ファイトキャンプも10週目を迎え、最終局面にきている。準備はもう整っているし、リングに戻ることが楽しみでならない」
――私がアンジェラを初めてインタビューをしたころ、エイドリアンはまだ10歳ぐらいだったと思います。
「イエス、イエス。今はもう19歳だよ」
――ファイトファミリーに生まれ育ちましたが、プロファイターの光と影のどちらも見てきたエイドリアンは、ファイターになる以外の道を考えたことはなかったですか。
「他の道を選ぶとか、MMAが上手くいかなくて何か他のことをするとか、全く考えたことはないよ。MMAというスポーツは良い時と悪い時の差がとても激しい。ただ、僕はこのスポーツをするために生まれてきた。MMAのトレーニングとともに、人として成長するような人生を送ってきたんだ。
MMAから与えられたこと、そして取り組んできたことに達成感を持っている。と同時に強くなることに対し、ずっとハングリーなんだ。何か他にやるなんて選択は一切なかった。人生を賭け、情熱を持ってMMAと向き合っている」
――プロになると話した時、アンジェラやクリスチャンから何かアドバイスはありましたか。
「二人ともMMAを懸命に追及してきた。そんな姉と兄がいて幸運だったよ。2人はどうすれば強くなるか、その理論を構築できている。僕は2人の後をついて行けば良かった。ただ、とんでもない練習量をこなさないといけないけどね」
――そのハングリーさを、いえば相当に裕福な家庭で育ったエイドリアンは持つことができるのですね。確かにアンジェラはクリスチャン以上に気が強くて、ハングリーさが漂っていましたが。
「アハハハハハ。まぁ、そういう生まれ育ちとMMAゲームは別物だから。誰もが自分の人生を生きて、成功を収めたいはずだ。僕にとって、それはMMAなんだ。ミドルスクール(小学高学年から中学前半)の時、初めてパンクレーションのナショナル・トーナメントに出場し、2位になった。
つまり決勝で負けたんだけど、人生で初めて敗北の味を知った。あの敗北後、僕は絶対にプロになると決めた。もちろん高校の時とか学校に通っている時は、MMAに向き合うために相当な犠牲を払わないといけなかった。でも、高校を卒業して今は毎日、朝から晩までジムにいることができる。ここでハードな練習を続け、ゴールを目指すんだ」
――ハワイで生まれ育ったエイドリアンですが、MMAを戦うのはアンジェラとクリスチャンと同じでONE一択だったのでしょうか。北米には他のプロモーションも数多く存在していますが。
「アンジェラはアマチュアでは他MMAプロモーションで戦っていて、クリスチャンはキックの試合をONE以外で戦っている。でも僕の場合は、自然とONEで戦うモノだと決めていた。ONEは大きな舞台だけど、あのレベルのコンペティションで戦うだけの力があると自信を持っていたんだ。ONEで戦うことは、必然だったよ」
――ハワイでもUFCのバリューは絶対だと思います。そういう場所で戦って、母国で名前をあげようと考えたりはしないですか。
「知名度とかって、まるで気にならないんだよ。多くの人に自分を認知してもらうとか、名声とか興味がなくて。僕の興味はMMAをどれだけやり込むことができるのか。それだけなんだ。ONEで戦うことを選んだのだから、ONEで一歩一歩頂点を目指したい」
――そんななか昨年9月にタイ・ルオトロを相手にプロ初黒星を喫しましたが、3つの白星以上にエイドリアンの強さが伝わってきた試合になりました。特に常に積極的に一本を狙うエイドリアンのグラップリングでの防御能力の高さを再認識できました。
「ディフェンスはただ重要なだけでなく、オフェンスよりも重要なんだ。打撃にしても何発殴るかだけでなく、何発殴られたかが大切になってくる。最後は殴り続けた者が勝ち、殴られ続けた者が負ける。そこでもディフェンスの重要性は分かるというもので。
エスケープもそうだ。タイとの試合は、とても危険な領域に踏み込む試合になることは分かっていた。彼は世界一のグラップラーだからね。彼のその強さに触れてみたかった。あの日はやられてしまったけど、いくつか改善点をみつかったよ。それと……あの時はいくつか怪我をしていて、コンディションは100パーセントではなかった。また戦うことがあれば、もっと違う試合を見せることができると思っている」
生きていく上でのスキルをマーシャルアーツで身につけることができる
――磯嶋選手は、その2カ月後にタイと戦ってワンサイド・ゲームで一本負けを喫しています。そこも踏まえて、MMAファイターとして磯嶋選手をどのように評価していますか。
「彼は良いファイターだ。スタイルによって、試合内容は変わってくるから。一方的な試合だったとして、あのレベルの相手と良い試合をしていた。だから絶対に彼のことを甘く見ることなく、しっかりと仕上げてきた。
柔道とレスリングが強くて、相手を削る試合をしている。テイクダウンから、ホールディングダウン、そしてパウンド。KOアーティストでなく、サブミッション・アーティストでもない。ただし、勝負が判定にもつれこむとジャッジに支持されるファイターだよ」
――そんな磯嶋選手との試合で、何を見せたいと思っていますか。
「僕は過去最高にデンジャラスになっている。毎試合心がけてきたことだけど、少しでも早くフィニッシュしたい。ここ数カ月、タイとの試合を経て全てを賭けてMMAに取り組んできた。そこで身につけた動きを皆に見てもらいたい」
――最終目標でなく2026年のターゲットはどこに合わせていますか。
「今年の目標は、できるだけ多く試合をすること。常にアクティブでいたい。それはデビューしてから同じ想いだけど、過去2年は1年に2試合しか戦えなかった。今年は最低での4試合は戦いたい。そして自分の名前をMMAコミュニティに浸透させたいと思う」
――ONEライト級はクリスチャンがチャンピオンです。
「僕のゴールはベルトだけど、今は兄が二階級の王者だ。それって自分の階級のチャンピオンと毎日ジムで顔を合わせて、練習をしていることになる。誰も持ちえない環境が僕にはある。凄く恵まれていることだよ」
――まだ19歳。その年齢を忘れてしまうような落ち着きようですね。
「マーシャルアーツが人としての成長を促してくれたと、個人的には想っている。如何に自分の身を守るかを教えてくれた。そしてキッズたちに、彼らがどう自分を守るかを指導している。だからこそ、皆にマーシャルアーツを学んでほしい。プロで試合に出るとか、そういうことでなく生きていく上でのスキルをマーシャルアーツで身につけることができるから」
――では最後に日本のファンに一言お願いします。
「日本のMMAのファンの皆、僕の試合に注目してほしい。きっと最速の試合になるから」
■放送予定
2月14日(土・日本時間)
午前10時45分~U-NEXT
■ONE FN40対戦カード
<ONEムエタイ女子世界ストロー級王座決定戦/3分5R>
[王者]ジャッキー・ブンタン(米国)
[挑戦者]ステラ・ヘメッツバーガー(オーストリア)
<ONEムエタイ暫定世界フェザー王座決定戦/3分5R>
シャドウ・シンハ・マウイン(タイ)
ニカ・カリロ(英国)
<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
ダニー・キンガド(フィリピン)
フー・ヨン(中国)
<ヘビー級(※102.01キロ)/5分3R>
ベン・タイナン(カナダ)
竹内龍吾(日本)
<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エイドリアン・リー(米国)
磯嶋祥蔵(日本)
<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ルーカス・ガブリエル(ブラジル)
マゴメド・アカデフ(ロシア)
<サブミッショングラップリング・フェザー級フェザー級(※70.3キロ)/10分1R>
ファブリシオ・アンドレイ(ブラジル)
ジョアン・ペドロ・ブエノ・メンデス(日本)
<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ジヒン・ラズワン(マレーシア)
ガビ・ブジモト(ブラジル)
<ムエタイ・フライ/3分3R>
ブラック・パンサー(タイ)
ディエゴ・パエス(米国)
















