【Lemino Shooto07】児山佳宏と対戦、プロデビュー30年―宇野薫「気持ちが少しでも伝われば」
【写真】宇野薫といえば、やっぱり横浜 (C)TAKUMI NAKAMURA
13日(月)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるLemino修斗07のメインイベントで宇野薫が児山佳宏と対戦する。
Text by Takumi Nakamura
宇野は昨年12月に約2年ぶりのMMAとなる毛利昭彦戦で判定勝利。プロデビュー30周年となる今年、プロデビューの地=後楽園ホールで修斗公式戦32戦目(MMAでは64戦目)を迎える。
柔術では黒帯を巻き、毛利戦ではオーソドックスへのスイッチなど、新たな一面を見せ続ける宇野。MMAファイターとして成長するために取り組み続けていること、修斗で戦うことへの想いなど、プロデビュー30年を迎える心境を語ってくれた。
柔術に関しては黒帯になりたい、植松直哉さんから黒帯をもらいたいと思っていた
――昨年12月の毛利昭彦戦以来の試合が近づいてきました。毛利戦が約2年ぶりのMMAだったので、それに比べると短いスパンでの試合になったと思います。オファーがあればいつでも試合はやりたいと思っていたのですか。
「そうですね。決してMMAを辞めるつもりではなかったですし、前回毛利選手に勝ったことによって(MMAを)続けたいという気持ちにもなりました。オファーがあればというところで、おかげさまで今回オファーをいただいて試合が決まりました。今年は2月のGLEATでのグラップリングから始まって、4月に青木(真也)選手のイベントでプロレスの試合に出場し、5月に黒帯で初めての全日本マスター(柔術選手権)に出場して、MMAの試合は半年ぶりですが、その間に色々な事にチャレンジしていました。今年はデビュー30周年なので、出来ることはなんでもやろうというか、大谷翔平選手のような二刀流・三刀流の気持ちで試合をやろうと思っていました」
――前回の毛利戦を振り返っていただいて、宇野選手にとってはどのような試合でしたか。
「毛利戦の一つ前の試合でオーディン選手に負けてしまったことで3連敗して、また怪我もしてしまったことで、改めて新しい世代の強さを感じて、これからどうしようかということも考えました。ずっと3連敗したらおしまいだと思ってプロ生活を続けてきて、自分の中でももう終わりだなと思ったこともありましたが、どうしてもまだ諦めきれなくて、もう1回(MMAを)やりたいという気持ちになりました。そのなかでじゃあこれからどうしていく?となった時に、次の1年間はMMAをやらずに柔術と組み技に特化しようと思い、いつ(MMAの)オファーが来るか分からなかったですが、その時のために練習していくということで、毎月のように柔術やグラップリングの試合に出ていたんです。あとは柔術に関しては黒帯になりたい、植松(直哉)さんから黒帯をもらいたいと思っていたので、1年間はずっと柔術とグラップリングに特化していましたね」
――宇野選手はデビュー当初から「3連敗したら引退」と口にしていて、オーディン戦に敗れたあとに柔術とグラップリングの試合が出ることが増えたので、MMAには一区切りつけていたのかなと思っていましたが、決してそういうわけではなかったのですね。
「はい。チーム内でも話をして、あくまでMMAのために今は組み技に特化しよう、と。そのためにトレーニング方法も変えましたし、UFCで解説をしているとUFCファイターはみんな柔術黒帯で、黒帯を持っていることが珍しいことではないじゃないですか。それもあって、ちゃんと黒帯を巻きたいという気持ちになりました。僕のなかで黒帯になってから柔術家を名乗れるというか、やっぱり黒帯になったら一人前、そこからがスタートだと思っていた部分もありますね」
今のUFCファイターはみんなスイッチして戦うじゃないですか
――そして毛利戦で驚いたことが宇野選手がサウスポーではなくオーソドックスに構えたことです。あれも事前にずっと準備していたものだったのですか。
「みなさん驚いていましたよね。オーソドックスに構えることは誰にも言っていなかったので。構えをスイッチすることもチームとしての取り組みの一つですし、先ほどの柔術の話ではないですけど、今のUFCファイターはみんなスイッチして戦うじゃないですか。あくまでベースの構えがあるだけで、試合展開によって構えを変えて戦うことが出来る。それもあって自分も両方できなきゃいけないと思って練習していました」
――本格的に試合で出したのが毛利戦であって、練習ではオーソドックスに構えてやってみることもあったのですか。
「そうですね。あともともと野球をやっていた頃はスイッチヒッターで、右でも左でもどちらでも打てたんですよ。レスリングを始めた時にいわゆるサウスポー構えになって、それからサウスポーに構えるようになりました」
――ではオーソドックスに構えることもそこまで苦ではなかったですか。
「いやいや、やっぱり難しかったですよ。オーソドックスが出来るようになるまでに相当時間がかかりましたし、オーディン戦に負ける前からずっと取り組んでいたことだったので」
――宇野選手としては常に新しいことにトライして、それを試合で出したいという気持ちがあるのでしょうか。
「トライして試合で出せればいいなという準備だけはしっかりしていた感じですね。試合は新しくトライしてきたことが出来ない・使えない場合もありますし、いざ試合が始まるまでは何ができるかは分からない。ただ、そうなった時に出せるように準備しておくことはすごく大事だと思っていて、ずっと継続して練習しています」
――分かりました。また宇野選手は柔術やグラップリングの印象が強いですが、ずっと大橋ボクシングジムで練習されているんですよね。
「そうですね。やっぱり自分はレスリング出身で、得意不得意で言ったら打撃が不得意だったので、初めて(佐藤)ルミナさんに勝ったあとから行くようになりました」
――では1999年~2000年頃から通われていると。
「もともと大橋(秀行)会長とは横浜高校の先輩後輩ですし、会長はプロレスがお好きなのでUWF系の選手がよく練習に行っていたんですよね。それで僕も会長に連絡して、通わせてもらっていました。しばらく通わせてもらったあと、その時々で色々なトレーナーの方に打撃を教わっていて、数年前から大橋ジムで練習を再開させてもらっています」
――なので宇野さんはボクシング歴もかなり長いですよね。
「でもボクシングは難しいですよ(苦笑)。ボクシングそのものは好きなので少しでも上手くなりたいと思って練習を続けています」
――柔術で黒帯を取る。ボクシングを継続して続ける。改めて宇野選手がMMAファイターとしてあらゆる技術のスキルを貪欲の伸ばそうとしていることが伝わります。
「僕自身はあれもこれも足りないなと思っているので。ただ、昔は練習もたくさん出来たし、伸びしろが多くて練習すればすぐ伸びていたと思うんですけど、年齢を重ねてきて、特に自分は年齢が上の方なので、新しい技術を覚えることもそうですし、練習できる時間が限られているので、その中でどうやって技術を覚えられるかということを常に考えていますね」
――そういった練習の方向性やテーマなどは定期的にチームのメンバーと話されているのですか。
「そうですね。各コーチと色々と話をしつつ、自分が疑問に思ったことは出稽古先でも相談や質問をしたり、プライベートレッスンを受けたりもしています。僕の場合は年上年下関係なく、もうほとんど年下なんですけど、年齢のことは全く気にせず質問しますね。昨日もロータスで練習していて、八隅(孝平)くんとは年齢も近くて一緒に練習している期間も長いので『宇野さん、こうした方がいいですよ』と指摘してくれますし。
この前もグランドスラムで練習している時に試しているテクニックが上手くいかなかったら『宇野さん、僕が言うのもおこがましいのですが…こうした方がいいと思います』とアドバイスをくれる選手がいて、僕はそれがすごく嬉しかったんですよ。そうやって気が付いた点を教えてもらえることはすごくありがたいです」
修斗は僕を育ててくれた場所でもあり、今でも育ててくれている場所
――さて今大会では児山佳宏選手と対戦することとなりました。ベテラン対決として煽られる部分もありますが、宇野選手からすると児山選手は年齢的にも世代的にも幾つか下の選手ですよね。
「年齢では6つ違うんですかね。修斗の世代でいうとルミナさんや僕の代があって、五味(隆典)くんや川尻(達也)くんの代があって、その下ぐらいの代かなと思います」
――宇野選手は児山選手のように長くキャリアを積んできた選手と戦うことに意味を感じますか。
「すごく光栄ですね。修斗でキャリアを長く積んできた選手と試合ができるというのは。しかも強い選手が沢山いる常勝軍団のTHE BLACKBELT JAPANでずっとやっている選手なので、そういう選手と試合できることが楽しみというか、挑戦しがいがあるなと思います」
――もう何度も聞かれていることかもしれませんが、今回どのような試合を見せたいですか。
「やはり続けてきたこと、練習してきたことを出したい気持ちはありますし、デビュー30周年を迎えての修斗、打投極を出せるのかというところですよね。自分がやってきたことを出したいです。あとは今回メインイベントに抜擢していただいて、正直びっくりしているんですけど、抜擢された意味、メインイベントとしての責任を果たさなきゃいけないと思います」
――ずっとメインイベンターはお客さんを満足して返さなければいけないという気持ちを持って試合をしているのですか。
「実際に自分がメインで試合をやらせてもらえるようになってからですよね。それまでは自分の試合ということで手一杯なところがありましたけど、やっぱり僕はプロレスが好きなところから入っているので、メインの選手はメインとしての役割を果たさなきゃいけないという、メインイベンターの役割があると思っていますね。最後にお客さんを満足して帰すことはすごく大事なことだと思っています」
――宇野選手はいつも「宇野薫らしい気持ちの伝わる試合をしたい」という表現を使って意気込みを語っていますが、その気持ちも昔から持ち続けてきたのでしょうか。
「デビュー当初はそういうことはあまり思わなかったかもしれないですね。気持ちの伝わる試合というのは決して諦めないとか最後まで投げ出さないとか。もちろん格闘技なのでダメな時はダメですけど。あとは僕も年齢が高くなってきて、やっぱり一戦一戦、試合に対する気持ちという部分で、特にMMAの難しさやMMAで勝つことの難しさをすごく感じているので、そういったところでの気持ちですよね。試合を見てくれた人たちにどう捉えてもらっても構いませんが、どんなシチュエーションでも僕の気持ちが少しでも伝わればいいなと思います」
――またデビュー30周年という部分で宇野選手はデビュー戦も修斗でしたが、修斗で戦うことにこだわりや思い入れはありますか。
「修斗は僕がデビューさせてもらった場所でもありますし、実家のような場所かなと思います。あとは純粋に修斗が好きだということもあります。修斗の真面目なところと言うか、いい意味で固くて、それが僕には合っていますし、だからこそ修斗が好きだという気持ちは変わらず、今も出させてもらっている感じですね。修斗は僕を育ててくれた場所でもあり、今でも育ててくれている場所だと思います。
もちろんそれは僕だけではなくて、修斗に関わっている方々も修斗愛を持っているからこそ、色々な形で修斗に携わっている。僕も修斗が好きだという気持ちを変わらず持ち続けているので、何かしらの形で修斗の力になれたらいいなと思います。そういう意味でも今回はメインイベントに抜擢してもらったので、その期待に応える試合をしなきゃいけないなと思います」
――宇野選手の気持ちの伝わる試合、楽しみにしています。今日はありがとうございました。
■視聴方法(予定)
7月13日(月)
午後6時~ Lemino07
■Lemino Shooto07対戦カード
<フェザー級/5分3R>
宇野薫(日本)
児山佳宏(日本)
<バンタム級/5分3R>
高岡宏気(日本)
マーウィン・キランテ(フィリピン)
<バンタム級/5分3R>
シモン・スズキ(日本)
シンバートル・バットエルデネ(モンゴル)
<バンタム級/5分3R>
藤田ムネノリ(日本)
ジョン・オルニド(フィリピン)
<バンタム級/5分2R>
下間英史(日本)
山本敦章(日本)
<フライ級/5分2R>
饒平名知靖(日本)
村泉空(日本)
<フライ級/5分2R>
玉城悠(日本)
三浦颯太(日本)
<フェザー級/5分2R>
松村海青(日本)
井上理久(日本)
<ライト級/5分2R>
モリシマン(日本)
手島響(日本)
<トライアウト・フェザー級/3分2R>
松田拳哉(日本)
佐藤大知(日本)




















