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【Bu et Sports de combat】武術的な観点で見る―鈴木崇矢✖フィゲイレド「ヒジを起点にしたパンチ」

【写真】新極真と剛毅、ルーツは同じ。そういうことで共通項があるということでなく、これは鈴木崇矢の資質だろう (C)MMAPLANET

MMAと武術は同列ではない。ただし、武術の4大要素である『観えている』状態、『先を取れている』状態、『間を制している』状態、『入れた状態』はMMAで往々にして見られる。
Text by Manabu Takashima

武術の原理原則、再現性がそれを可能にするが、武術の修練を積む選手が試合に出て武術を意識して勝てるものではないというのが、武術空手・剛毅會の岩﨑達也宗師の考えだ。距離とタイミングを一対とする武術。対してMMAは距離とタイミングを別モノとして捉えるスポーツだ。ここでは間、質量といった武術の観点でMMAマッチを岩﨑師範とともに見てみたい。

ということで、2年10カ月振りにMMAを武術(及び、兵法)的に解析。武術的観点に立って見た鈴木崇矢×トニオ・フィゲイレド戦とは。

※同取材は1月30日に行われていたが、直後に鈴木のRoad to UFC出場が濃厚という情報が伝わってきたためファイトウィークまで掲載を見合わせていました。


――ご無沙汰しています。

「アハハハハハ。ホントそうですね。今回はまた、なぜ?」

――中村倫也選手、中村京一郎選手、そして鈴木崇矢選手。この3選手はUFCの頂点に立とうとMMAに邁進しています。武術空手の稽古をしているわけでもありません。ただし、彼らがMMAのことを話すと、チョイスした言葉は違っていても「無意識下の意識」、「空間支配能力」、「後ろを使う」という剛毅會の武術論に通じる話題が数多く聞かれました。そこで鈴木崇矢選手がFury FCでチャンピオンになった試合を視て欲しいと思った次第です。

「彼はキルクリフFCで練習を積んでいるわけですよね」

――ハイ。

「まず、米国に行ってあの中でやっていることが素晴らしいと思います。それが結果に結びついている。ただ私は鈴木選手のことを知っているわけでもないし、どういう考えの人かも分かっていないです。だから、試合で目にした現象という面でしか話はできないのですが……この試合では対戦相手と質量の差が明白でした。

立ち合った瞬間に鈴木選手の方が、圧倒的に質量がデカい。フライ級ではそういうことがあるのか、バンタム級より上の階級ではこういう現象はお目に掛かったことがまずないです。日本人の方が、質量が高いというのは。フライ級だと堀口選手の方が、質量が高いというのはありました。

今回もまさにその通りで。鈴木選手は聞くと、極真か何か空手をやっていたそうですね」

――ハイ。新極真で中学生の時に全日本王者になり、最年少世界王者を狙っていたそうです。コロナで空手の稽古ができなくなった高校生の時から、MMA一本になっています。

(C)FURY FC

「この試合の決め手は左の逆突きだったと思うけど、その逆突きが私も指導しているヒジを使ったパンチでしたね。ウォーミングアップで腕を回している時も、本人が意識をしているかどうかは分からないのですが、ヒジを起点にしたパンチを打っていました。

倒すパンチというのは、多くのケースで拳でなくヒジで打っています。だから鈴木選手があのパンチを習ってヒジで打っているのか。気付かずに打っているのか。そこは分からないのですが、あの突きを生かすことができたのは、左の蹴りがあったからです。

(C)FURY FC

前蹴りですね。多分、中足だと思いますが、フィゲイレドはあの蹴りを嫌っていました。右が強いという話でしたが、あれだけ足が内側を向いていると、中心線を取ることはできない。あの構えだと左手が受けの構えになっていて、防御態勢になっているから時間も空間も鈴木選手のモノでした」

――それがフィゲイレドは、その構えで右がなぜか伸びる。そういうファイターでした。なぜ、あの右が当たって倒すことができるのか、よく分からない選手で。

「でも、鈴木選手との試合では全く右は出ていない。鈴木選手の左のパンチが嫌だから、出せなかったんだと思います。それはもう本能レベルだったんじゃないでしょうか。左を嫌がると、右は出ない。

とはいえ、鈴木選手が目指しているのはFury FCのチャンピオンじゃないですよね。あれだけ打ち抜けたとしても、UFCという戦いの中で、あそこまで打ち抜くことができるのか。それを意識して稽古をする必要があります。

彼の目標がUFCの世界チャンピオンなら、あの試合の勝利は勝ったのではなくて、相手に勝たせてもらったぐらいの解釈でいないと。強いから勝ったとは、思わない方が良い。こういう言い方をすると身も蓋もなくなってしまいますが、UFCの世界チャンピオンを目指しているなら、あの相手にあの勝ち方ができて当然。

それぐらいの気持ちで、自分を律することが必要かと思います。私が話すと、こういう嫌なことしか言えなくなるんですよ」

――いや、その嫌なことを聞ける人間が上を目指すことができるのではないかと思います。

「凄く才能があって、勢いがある。きっと生意気なんでしょう(笑)。でも、格闘家はそうでないといけない。確かに素晴らしい勝利です。左の蹴り、左のパンチ。ヒザも素晴らしかった。でも、相手がビビっているからできた攻撃です。質量で上回って、先も取れている。

もちろん、目の前の試合に勝つことは大切です。ただし、そこに集中して勝つことができたことが、次に進む準備になるのかは別問題で。中期、長期で何を練習しないといけないのか。それが鈴木選手の今後に、非常に大切なことになってくると思います。

でもクルクリフFCで練習をして、Fury FCで戦うなんてことができる選手は、日本にはまずいない。UFCで世界チャンピオンになるなら、そこが最低ラインかと思います。それにしても中村倫也選手も中村京一郎選手も、鈴木選手も皆、髙谷(裕之)さんだよね。それが髙谷イズムということになるのでしょうか」

――格闘DREAMERSという経済母体があるスタートで、世界を目指すために集まったなかで、精神的にも勝敗レベルでも残った選手という見方はできます。

「鈴木選手も立派ですけど、チームとして、そういうイズムが醸成した。それが立派です。ブレなく世界を目指している。悔しくもあり、羨ましくもあります。そういうなかで育った鈴木選手だからこそ、さっきも言ったようにこれからの意識が大切になってくる。

特に打撃ですね。米国のジムにいるのだから、向うでちゃんと練習をしていればレスリングや組みは絶対に強くなります。でも打撃は意外とそうではない。ハードなスパーリングをガンガンやると良いのかというと、そうではないですから。如何に冷静に、相手の質量を数値化するかの如く戦えるようになるのか。そこを突き詰めていけば、UFCに出るのではなく――勝ちあがる選手になれるのではないでしょうか。だから、あの打撃をどう上位に通じるようにしていくのか。しっかりと研究を続けて欲しいです。

それは一生懸命にやるということではないんです。一生懸命やっても、報われる保証はどこにもありません。そうやって頑張ってきた人の多くが、最初の顔面への一発によって跳ね返されてきました。だからこそ日本の敗北の歴史を一度しっかりと見直して、嫌なことに目を向けてやっていって欲しいですね」

■Road to UFC S05 OP Day2視聴方法(予定)
5月29日(金・日本時間)
午後7時00分~UFC FIGHT PASS
午後6時30分~U-NEXT


■Road to UFC S05 OP Day2対戦カード

<女子ストロー級/5分3R>
シー・ミン(中国)
プジャ・トマール(インド)

<Road to UFCフライ級準々決勝/5分3R>
亮我(日本)
ジョセフ・アルシネーゼ(豪州)

<Road to UFCフライ級準々決勝/5分3R>
鈴木崇矢(日本)
オトゴンバートル・ボルドバートル(モンゴル)

<Road to UFCフライ級準々決勝/5分3R>
エロス・バルヤット(フィリピン)
内田タケル(日本)

<Road to UFCフライ級準々決勝/5分3R>
チーニョーシーユエ(中国)
小田魁斗(日本)

<Road to UFC女子ストロー級準々決勝/5分3R>
万智(日本)
アニリヤ・トクドゴノワ(キルギス)

<Road to UFC女子ストロー級準々決勝/5分3R>
モン・ボー(中国)
松田亜莉紗(日本)

<Road to UFC女子ストロー級準々決勝/5分3R>
フン・シャオカン(中国)
ファリダ・アブドッゥエヴァ(キルギス)

<Road to UFC女子ストロー級準々決勝/5分3R>
ドン・フアシャン(中国)
パク・ボヒョン(韓国)

Road to UFC Season05 Opening Round Day1

■Road to UFC S05 OP Day1 視聴方法(予定)
5月28日(木・日本時間)
午後7時00分~UFC FIGHT PASS
午後6時30分~U-NEXT

■Road to UFC S05 OP Day1対戦カード

<フェザー級/5分3R>
シェ・ビン(中国)
ユディ・チャヒヤディ(インドネシア)

<Road to UFCバンタム級準々決勝/5分3R>
宮口龍鳳(日本)
チュングレン・コレン(インド)

<Road to UFCバンタム級準々決勝/5分3R>
ティ・ハイタオ(中国)
田嶋椋(日本)

<Road to UFCバンタム級準々決勝/5分3R>
ラビンドラ・ダント(ネパール)
キンバート・アリントゾン(フィリピン)

<Road to UFCバンタム級準々決勝/5分3R>
南友之輔(日本)
カシブ・マードック(ニュージーランド)

<Road to UFCフェザー級準々決勝/5分3R>
青井人(日本)
ソン・ヨンジェ(韓国)

<Road to UFCフェザー級準々決勝/5分3R>
ルァーグーチェン(中国)
ダギースレン・チャグナードルジ(モンゴル)

<Road to UFCフェザー級準々決勝/5分3R>
アーフージョン・アーリーヌアール(中国)
イム・クァンウ(韓国)

<Road to UFCフェザー級準々決勝/5分3R>
ジョージ・マンゴス(豪州)
栁川唯人(日本)

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