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【SHOOTO GIG TOKYO#40】怪我からの復帰=藤田ムネノリ戦へ、人見礼王「足りないところを強化できた」

【写真】怪我による長期欠場を余儀なくされた人見。しかしその期間は自分の弱点を克服するための時間にもなった (C)TAKUMI NAKAMURA

28日(土)に東京都新宿区の新宿FACEで開催されるプロフェッショナル修斗公式戦SHOOTO GIG TOKYO Vol.40にて、人見礼王が藤田ムネノリと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

伝統派空手をバックボーンに持ち、2023年にGrachanで開催されたJ-MMA Rookies CUPでプロデビューした人見。2024年からは修斗に主戦場を移し、環太平洋バンタム級チャンピオン決定トーナメント・一回戦では野瀬翔平に一本負けを喫したものの、得意の打撃で野瀬をあと一歩のところまで追い詰めた。

そして2025年1月、更なる飛躍を誓った清水俊一戦で思いもよらぬ自体が人見を襲う。試合中に左ヒザ前十字靭帯断裂と内・外側半月板損傷の重傷を負い、1年以上の長期欠場を余儀なくされる。今回の藤田戦が約1年ぶりの復帰戦となる人見に復帰までの道のりと再浮上にかける想いを訊いた。


無理やり二重絡みから足を抜いた時にヒザをやってしまった

――昨年1月の清水俊一戦以来、約1年ぶりの復帰戦となる人見選手です。試合まで2週間を切りましたが、今の仕上がりは調整の状況はいかがでしょうか(取材日は2月19日)

「減量も含め体の調子はすごくいい感じで、仕上がりもバッチリです。怪我で試合間隔が空いて、練習を再開した当初は怪我の影響で打撃ができない時期もあったのですが、逆にそれがいい機会になって、弱点だった寝技の部分を非常に細かく練習できたので、そこが大分強化されたと思います」

――今怪我の話も出ましたが、人見選手は清水戦でヒザに重傷(左ヒザ前十字靭帯断裂、内・外側半月板損傷)を負って長期欠場を余儀なくされました。僕もあの試合を見ていて、途中から人見選手の負傷が分かるような状態でしたが、どの時点で負傷していたのですか。

「1Rの半ばから後半にかけて、自分がハーフガードで上を取っている時に清水選手に左足を二重絡みされて、当時は二重絡みの外し方や対処を知らなかったので、力で無理やり足を抜いちゃったんですよ(苦笑)。その時にヒザをやっちゃいましたね」

――試合そのものはフルラウンド戦い抜いてのドローでしたが、試合後に怪我の診断を受けた時はどんな心境でしたか。

「ものすごくショックでしたね。僕は一昨年の9月に野瀬(翔平)選手に負けて、昨年は年明けから一気に上を目指して頑張っていきたいと思っていたところで大怪我をしてしまって…。1年は試合ができないかもしれないという診断でシンプルにショックでした」

――長期欠場するような怪我だという感覚がなかったわけですね。

「ヒザを抜いた時にブチっと鳴った感じがしたので、何かしらやっちゃったなとは思ったんですよ。でも今まで靭帯を切ったことがなかったし、痛みも腫れもひどくて歩くのは大変でしたけど、腫れがひいたら治るだろうと思っていたんです。『3月の後楽園には間に合わないけど5月のニューピア大会で復帰しよう』と思っていたら、まさか1年も休まないといけない怪我をしているとは想像もしていなかったです(苦笑)」

――そこからどう気持ちを切り替えてリハビリや練習に取り組んでいたのですか。

「ショックはショックでしたけど、そこからすぐに切り替えて、逆にこの期間を利用すれば自分が普段やれないことをやれるなと思って、プラスに考えました」

――その「普段だったらやれないこと」=「寝技の強化」ですか。

「はい。自分はもともとフィジカルに自信があって、テイクダウンディフェンスも得意だったので、強いグラップラーと練習しても、MMAスパーになるとテイクダウンも切れるし、危ない場面になってもリカバーして、自分の好きなことをやれていたんですよ。それで自分は組み技もできるんだと勘違いしていたんですよね。結局、練習は練習で本気の削り合いにはならないし、そこをフィジカルで対処していたから、細かい技術が全然出来ていなかったです(苦笑)」

――寝技・組み技の練習は基礎的な部分から見直したのですか。

「そうですね。自分がグラウンドで下になってからの展開を練習したり、シンプルにこの期間はグラップラーとしてやってきた感じです。自分に足りていなかった基本的なところから改めて練習し直しました」

伝統派の技術をMMAにアジャストさせる作業が必要

――人見選手はMMAPLANET初登場ですが、MMAを始めるまではずっと空手をやっていたんですよね。

「空手を始めたのは5歳の時で、自分は幼稚園の頃から他の子にちょっかいを出したり喧嘩したりする子供だったので、親がしつけの意味も込めて近くにあった空手の道場に通わせ始めたことがきっかけです(笑)。でも最初の体験入会の時から空手にハマっちゃって、気づいたらどんどん大会にも出て、親が予想していた以上に続いた感じですね。最初は防具をつける硬式空手のようなルールでやっていたんですけど、途中で伝統派空手に移って大学まで続けました」

―MMAにはいつ頃から興味があったのですか。

「MMAは小学生になる前から好きで、エメリヤーエンコ・ヒョードル選手の試合とかをよく見ていたんですよ。当時はキックボクシングも好きで見ていたんですけど、自分がやるなら組み技も寝技もあるMMAで強い方がいいなと思って、ずっとMMAをやりたいと思っていました。親はそんな野蛮なことはしなくていいって感じでしたけど(苦笑)」

――空手をちゃんとやりなさい、と。

「そうですね。ちょうど僕が中学生の頃に空手が東京オリンピックに採用されるという噂もあって、正直僕は実績的にオリンピックを目指せるような選手ではなかったですが、空手でもそういった舞台を目指して頑張ろうと思ってやっていました。自分としては大学まで空手を続けて、大学を卒業してからMMAを始めるつもりだったのですが、大学在学中に新型コロナウイルスの問題が起きて…。空手部自体の士気が落ちたこともあり、予定よりも早く卒業前にMMAを始めました」

――MMAを始めた時点でプロになることは意識していたのですか。

「意識していましたね。自分は伝統派出身ですけど実際に当てる方が向いていると思っていましたし、フィジカルにも自信があったので、それをMMAで試したかったんです。本気でやってプロに昇格できないようだったら、それまでだと思っていたし、普通に就職して働こうと思っていました」

――ちなみに空手時代で最も良かった成績は何になるのでしょうか。

「大学1年の時に和道流の全国大会で優勝しました。この大会は大学4年生も参加できて、警視庁の選手たちも出てくるような大会なんですよ。そういう大会を1年生で優勝することが出来ました」

――伝統派空手出身のMMAファイターと言えば堀口恭司選手が代表的な選手ですが、堀口選手の試合を見て受けた影響などはありますか。

「堀口選手の試合は見た瞬間に伝統派出身の選手だなと思いました。ただ堀口選手=伝統派出身だから強いというイメージを持つ人も多いと思いますが、僕も実際にMMAをやってみて感じたのは伝統派の技術をMMAにアジャストさせる作業が必要なんですよ。堀口選手もパンチを打つ時に頭をずらしたり、結構細かい部分で工夫されているので、伝統派の技術をうまく利用してMMAの強さがあるんだなと思います。そこは自分もたくさん研究しているところですね」

――伝統派でもMMAに向いているタイプ・向いていないタイプに分かれるのでしょうか。

「僕はそう思います。伝統派の選手でも当てるのが苦手な選手、当てる感覚が分からないという選手もいるので」

――ちなみに人見選手と同世代・同時期に伝統派からMMAに転向した選手はいますか。

「直接つながりはないんですけど、五明(宏人)選手や野村(駿太)選手の名前は知っていたので、あの選手たちもMMAに行くんだという感じで見ていました」

運ゲーのような試合ではなく、自信を持って全局面で勝負する

――復帰戦の対戦相手となる藤田ムネノリ選手にはどんな印象を持っていますか。

「一通りMMAを全体的にしっかり出来て、その中でもスクランブルで頑張る選手という印象です。パッと見て打撃と寝技を分けると、そんなに怖さがないように見える選手ですが、気づいたらスクランブルに巻き込まれて、勝ちを持っていかれているという。そういう上手さがある選手だと思います。僕としては相手にやりたいことを一切やらせず、相手に付き合わないようにしたいなと思います」

――藤田選手は人見選手が欠場期間でやってきたことが試される相手かもしれませんね。

「僕もそう思います。変に自分の得意分野だけにこだわって、それだけしかやらないような試合をすると、ズルズルとペースを持っていかれるような選手なので、ちゃんとMMAとして全局面で勝負する。運ゲーのような試合ではなく、自信を持って全局面で勝負できるようにならないと、しっかり勝つことは出来ないと思っています」

――今年は試合が出来なかった悔しさを試合で晴らしていきたいですか。

「そうですね。シンプルに正直な気持ちを言うと、今までやってきたことをしっかり見せたいとか自分の強さを見せたい部分もあるんですけど、自分は一昨年の1月の試合も網膜裂孔で欠場していて、いつ試合ができなくなるか分からないということも経験しているので、次の試合が最後になるかもしれないという覚悟を持って戦おうと思っています。それで結果を出すことで自分が目標にしているVS世界にもつながるだろうし、面白い試合をすることで色々と見えてくるものがあると思います」

――バンタム級は永井奏多選手が世界王者に就き、サバイバートーナメントが開催されるなど、修斗の中でも盛り上がりを見せている階級です。一つ一つ勝利を重ねて、自分もその輪のなかに入っていきたいですか。

「目の前の相手を倒していけば、自ずとそうなっていくと思います。以前の自分は『あの選手とやりたい』とか色々考えていて、今もそれがないわけではないですけど、結局本当に強くてなって、すごいパフォーマンスを続けていけば、自然とそういう相手を用意してもらえると思うので、とにかく試合で見せていきたいです」

■SHOOTO GIG TOKYO#40視聴方法
2月28日(土)
18時00分~ツイキャスPPV

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