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【RIZIN52】フライ級王座挑戦&大晦日へ。第一関門=モタ戦、伊藤裕樹「ごっついテンション上がりました」

【写真】2026年の明確な目標に向けて、ロードアップを描いている伊藤。その第一歩という意味でも重要なモタとの一戦だ(C)TAKUMI NAKAMURA

7日(土)東京都江東区の有明アリーナで開催されるRIZIN52にて、伊藤裕樹がカルロス・モタと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

2025年に伊藤は4試合を戦い、2勝2敗という結果に終わった。巧みなステップと鋭い打撃でトニー・ララミーやエンカジムーロ・ズールーに勝利する一方、神龍誠と山本アーセンにはテイクダウンとグラウンドコントロールを許して敗戦。伊藤はレスリング力の向上に時間を費やし、2026年に備えていた。

伊藤が2026年の初陣で対戦するのはKNOCK OUTのUNLIMITEDルールでベルトを巻くモタ。MMAファイターとしても元LFAフライ級王者にしてUFCファイターという実績の持ち主だ。伊藤が年内の目標として掲げるRIZINフライ級王座への挑戦、地元愛知=バンテリンドーム ナゴヤで行われるRIZIN大晦日大会への想いを訊いた。


2025年は『3歩進んで2歩下がる』みたいな1年だった

――伊藤選手にとって2025年はどんな1年でしたか。

「凄く濃い1年でしたね。結構自分は試合をしたいタイプで、どんどん試合は組んでくださいみたいな感じなんで、そのタイミングが上手く重なって4試合できたかなと思います」

――戦績としてはトニー・ララミーやエンカジムーロ・ズールーといった外国人選手に勝利しつつ、神龍誠選手や山本アーセン選手には敗れるという結果でした。

「いやぁ~『3歩進んで2歩下がる』みたいな1年でしたね。結果的には2勝2敗でしたし、フライ級GPの選挙には落選するし(苦笑)、すごく色んな経験をした1年でした」

――自信を持てた部分と修正しなければいけない部分、どちらも分かったと思うのですが、今はどんなところを意識して練習しているのですか。

「やっぱりアーセンと再戦した時にグラウンドの展開でやられちゃってるんで、そこはもっと徹底的に強化していかなあかんな、と。そんなにすぐ組み技や寝技が良くなることはないと思うんで、もっと時間をかけてやりきらないといけないなと思いました」

――組み技・寝技強化のために取り入れている練習はありますか。

「練習量は以前と比べたら確実に増えていて、高校のレスリング部にも行かせてもらうようになったんですよ。グラウンドになってからもですけど、そうなるまでの展開を今は強化していますし、その時間を積極的に増やしています」

――高校生相手にピュアレスリングの練習をするというのは体力的にキツイですよね。

「昔、レスリングの先生がジムに教えに来てくれていた時期があって、代表に先生を紹介してもらって、その先生が指導している高校に行ってるんですけど、みんな若くて体力がヤバいんですよ。僕は(スパーリングを)3本やって1本休もうかなと思っているのに、平気でみんな10本連続とかやっちゃうんで、本当にいい練習になります」

――レスリングと向き合うことでどんな部分がレベルアップしましたか。

「練習を始めた頃は結構ゴロンゴロンにされていたんですけど、やっていくうちに体の入れ方やディフェンスの仕方をだんだんと掴めてきて、少しずつやられないように試行錯誤しながら練習しています」

――伊藤選手はMMAが本業なのでテイクダウンされない・凌ぐ・耐える…そういう技術を覚えるだけでもMMAの戦い方が変わりますよね。

「だいぶプラスになりますね。レスリングをやっているおかげで、MMAの動きも変わってきていて、自分ではそんなに変わったとは思っていないのに、練習相手から『腰が強くなったね』や『やりにくくなった』と言われることがあるんで、自分でもそういった変化は体感しています」

――その一方でララミーやズールーと打撃で互角以上にやり合えたことは自信になったのではないですか。

「はい。そこは自信になりましたし、改めて自分の持っている武器を再確認できました」

大晦日が名古屋に決まって、今年は俺の1年になるな、と

――今年もチャンスがあれば早く試合をやりたいと思っていましたか。

「そうですね。今年は早めに早めに試合をやって、大晦日が名古屋(バンテリンドーム ナゴヤ)なんで、そこに向けて組み立てていきたいと思っています」

――愛知出身の伊藤選手からすると、大晦日に名古屋で大会が開催されることは大きなモチベーションなりますよね。

「はい。今年は俺の1年になるな、と。自分は大晦日に試合をしたことがなくて、やっぱり格闘技をやっていると大晦日に試合をしたいし、それが地元だったらなおさらじゃないですか。そういう色んなタイミングが巡り巡って2026年にやって来たんだなと思っています」

――フライ級戦線という意味では、昨年のフライ級GPは選挙によって敗退が決まるという悔しい経験もありました。あの時はどんな心境でしたか。

「自分でも“持ってる”のか“持っていない”のか、よく分からないんですけど(苦笑)、今思うと戦略ミスだったかもしれないです。選挙演説の時に『●●とやりたい』とはっきり言えばよかったですよね。そうやってちゃんとアピールすることが大事なんだよということも勉強になったし、中卒の僕が選挙に出ることは今後ないと思うので、それはそれでいい経験にはなりました(笑)」

――フライ級GPでチャンピオンが決まったことで、王座挑戦に向けて戦っていくべき選手も見えてきたと思います。

「そうですね。GPが終わって今のフライ級の選手たちは、ある程度(ランクが)はっきりしているじゃないですか。チャンピオンに扇久保(博正)さんがいて、元谷(友貴)さんがいて…。そこにどう食い込んでいくのかを考えて戦っていきたいです」

モタを倒せば、世界に向けて『日本にはこういう選手がいるんだ!』と思わせられる

――そうした中で今年1発目の試合でKNOCK OUTで活躍中のカルロス・モタと対戦することになりました。モタにはどんな印象を持っていますか。

「KNOCK OUTのチャンピオン(UNLIMITEDル―ル)で打撃が強い、アグレッシブで面白い選手だなと思っています。なんかのタイミングでRIZINに参戦するかもと思っていたんで、今回の話をもらった時は楽しみだなと思いました」

――試合が決まる前からモタの存在は知っていたんですね。

「SNSでモタのKOシーンの切り抜きが結構流れてきて『すごい選手がおるな』と思っていた感じですね。経歴的にもLFAのチャンピオンになって、UFCにも出ているんですごくいい相手だと思います」

――日本ではKNOCK OUTの印象が強いですが、元LFA王者&元UFCファイターとMMAで戦うチャンスはなかなか巡ってくるものではないと思います。それも含めて伊藤選手にとってはテンションが上がる相手ですか。

「オファーをもらった時は嬉しかったし、ごっついテンション上がりましたね。こういう海外の強豪選手を倒せば、世界に向けて『日本にはこういう選手がいるんだ!』と思わせられると思うんで」

――ファイトスタイル的にも打撃の攻防がポイントだと思うのですが、言える範囲でどんな試合をイメージしていますか。

「打撃でバチバチに行くのはもちろんなんですけど、レスリングも取り入れているんで、打撃の中にも組みの展開を混ぜながら、MMAをやって勝とうと思います」

――「絶対に組まれたくない」と「組みになっても対応できる」では試合中の心理状況も違いますよね。

「全然変わりますね。テイクダウンして寝技をやるだけじゃなくて殴ってもいいわけだし、最近は打撃だけじゃなくてテイクダウンのプレッシャーをかける動きも出来るようになったんで、打撃とレスリングが噛み合ってきてますね」

――打撃とテイクダウン、2つの武器があればそれだけ攻撃の幅が広がると思います。

「そのどちらかがハマればって感じで選択肢が増えると、今度は打撃でも遠慮なくガンガンいけるんで、そこは楽しみです」

――モタのファイトスタイルと実績を考えると、フライ級GPの悔しさを晴らす意味でも最高の相手ですね。

「いやぁ~ホントに試合が楽しみです」

扇久保さんの舎弟の征矢をぶっ倒してタイトルマッチをアピールしたい

――先ほど大晦日の話ありましたけど、今年はどんなキャリアを積んで大晦日までたどり着きたいと考えていますか。

「フライ級には絶対王者の扇久保さんがいるんで、その前に扇久保さんの舎弟の征矢(貴)をぶっ倒して、タイトルマッチをアピールしたいですね。そのためにも今回の一戦が本当に大事になるし、1戦1戦大事に戦っていきたいです」

――試合を重ねてゴールを目指すのではなく、先にゴールを設定して逆算して考えられているようですね。

「今まではこの人に勝ったら、次はこの人とやりたい…みたいなことがあんまりなかったんですけど、今は扇久保さんが持っているベルトというゴールが明確だし、そこに向けたロードマップもあるんで、そこに向けてやっていこうって感じですね。3月に僕と征矢がお互い勝てばの話ですけど、僕が征矢を指名して征矢に勝って扇久保さんとやりたいです」

――一つの試合としても伊藤選手とモタ選手の試合を楽しみにしているファンの方々も多いと思います。どんな試合を見せたいですか。

「まさかの開幕タックル行くかもしれないです(笑)」

――それはそれで会場がどよめきそうです(笑)。

「伊藤の試合が1番面白かったなっていうぐらいバッチバチにいって、伊藤にフライ級のベルトを取ってほしいと思わせる試合をします!」

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