【PFC39】早坂優瑠の挑戦を受けるを受けるストロー級王者ザ・タイガー石井「可能な限り打・投・極、全部」
【写真】渋い漢。ザ・タイガー石井2025 11(C)TAKUMI NAKAMURA
7日(日)、札幌市北区のPODアリーナで開催されるPFC39。今大会のメインイベントではPFCストロー級王者のザ・タイガー石井が早坂優瑠の挑戦を受ける。
Text by Takumi Nakamura
2023年~2024年は古巣と言える修斗で戦い、2025年から再びPFCに参戦することとなった石井。5月大会で早坂に判定勝利すると、7月大会では木内“SKINNY ZOMBIE”崇雅が保持するストロー級王座に挑戦予定だったが、木内が計量をクリアできず。試合消滅、計量をクリアした石井が新王座に認定される運びとなった。
今大会では早坂とダイレクトリマッチで再戦する形での初防衛戦=40代同士のタイトル戦に向けて、石井は「今の若い選手や今の総合にはない試合、僕と早坂さんにしか出来ない試合になる」と語った。
寝技で来たら寝技で勝負するし、打撃で来たら打撃でいくし、レスリングで来たらレスリングをやる
――MMAPLANETでは約2年ぶりのインタビューとなるザ・タイガー石井選手です。今回もリモートでのインタビューとなりますが……前回・前々回のインタビューと全く同じ構図なのは、あえてそうしていただいたのでしょうか。
「いえ、そんなつもりはないですよ。
たまたま同じになっただけです(笑)」――失礼しました(笑)。では改めてよろしくお願いします。7月のPFCでは木内“SKINNY ZOMBIE”崇雅選手が保持するPFCストロー級王座に挑戦予定でしたが、木内選手が計量オーバーで試合が消滅。計量をクリアしていた石井選手が新王者に認定される形となりました。計量当日はどういう状況だったのですか。
「自分はリモートで計量に参加したんですけど、計量の時間になってもなかなか連絡がなくて、やけに時間がかかっているなと思ったんですよね。前回はスムーズに計量が終わったので、はじめは自分が計量の時間を間違ったのかなと思っていました。でも今思うとそういうこと(木内が計量オーバー)だったんだなと分かりましたね」
――試合が消滅したことを聞いた時は率直にどんな心境でしたか。
「想定外のことだったので、どうしていいか分からなくなっちゃいましたね。過去にも相手が計量で倒れちゃったことがあったんですけど、やっぱり心境的には複雑でした」
――そして今大会では4月に対戦して判定勝利している早坂選手とリマッチ&初防衛戦が決まりました。最初に早坂選手の名前を聞いた時はどう感じましたか。
「相手は早坂さんぐらいしかいないだろうなと思っていましたね。前回僕とやるまで早坂選手はランキング1位でしたし、僕とやったあとにRIZINでもしっかり勝っていた(6月のRIZIN札幌大会で鈴木嵐士にアンクルロックで一本勝ち)ので。だからある程度は想定していた相手です」
――一度戦ったことも踏まえて、どのような印象を持っていますか。
「寝技師、ですかね。実際に試合で肌を合わせて寝技の強さを感じましたし、寝技でガンガン攻めてくる上手い・巧みなグラウンドテクニックを持っている印象です」
――試合決定時のコメントで石井選手は「相手がワルツを踊ればワルツを、相手がジルバを踊ればジルバを」とプロレスラーのニック・ボックウィンクルの名言を引用していましたが、どのような意図であの言葉を使ったのですか。
「早坂くんが寝技で来たら寝技で勝負するし、打撃で来たら打撃でいくし、レスリングで来たらレスリングをやる。相手がやってきたことに対応するよ――的な意味ですね」
――例えばそれは今回の試合に対してだけではなく、石井選手がMMAをやる上でのモットーでもあるのですか。
「そうですね。本当は組みや寝技が得意な相手には打撃で行って組まないようにする、寝技につきあわない…そういう感じが理想なんですけど、自分は付き合っちゃう部分があるんですよね。総合格闘技なんだから可能な限り、打・投・極、全部できるようになりたいと思ってMMAを始めたので」
――石井選手もキャリアが長くなってきましたが、普段の練習から意識をしているようなことはありますか。
「特には決めてないです。総合も20年以上やっていますけど、基本的にやっていることはずっと変わらないですね。最近の総合は僕が総合を始めた頃、修斗で佐藤ルミナさんがトップだった頃からかなり進化していて、別競技になっていると思うんですよ。だから昔の総合のいいところは残しつつ、今の総合に対応しようと思ってやっています。昔のままでやっても勝てないので、変えなければいけないところは変えて、新しい技術も勉強しています。そこは柔軟にやりたいと思っています」
――純粋に試合や練習を続ける=MMAをやることそのものも変わらず楽しいですか。
「そうなんでしょうね。自分は元々プロレスが好きで、UWFから総合に入って。僕らの年齢の選手は当時のイメージのままやっているのかもしれないですね」
――先ほどのニック・ボックウィンクルの言葉もそうですが、石井選手はよくインタビューでプロレスラーの例えが出てきますが、そこにつながっているのでしょうか。
「今のプロレスは全然分からないんですけど、当時自分が好きだった時のプロレラーはやっぱり今でもすごく好きです」
――以前、田上こゆる選手と対戦した時には「僕の立ち位置を例えると新日本プロレスの藤原喜明や木戸修。誰と対戦しても良い試合をする。若手の壁になる」と例えていましたが、今回はどのような試合になりそうですか。
「今もそのイメージは変わらないし、早坂さんもベテランだと思うんで、大きく分類したら僕と変わらないような選手だと思うんですよ。だからと今の若い選手や今の総合にはない試合になると思いますね。今の若い人たちが期待するような試合にはならないかもしれませんが、逆に僕と早坂さんにしか出来ない試合になるんじゃないのかなと思います。もちろん試合なのでやってみないと分からないですけど。前回とは違うだろうし」
――早坂選手は一度戦って勝っている相手ですが、そこは忘れて初めて対戦する気持ちですか。
「『前回勝っているから勝てるでしょう』と言われるもしれませんが、それはあくまで前回の話なので。むしろ向こうは僕のことを対策してくるから、逆にやりづらいかもしれないですよね。僕の得意な動きや狙っている技もある程度は分かっているだろうし。約8カ月ぶりの再戦ですが、新たな気持ちで戦いたいと思います」
普段RIZINを見ている人たちからすると物足りない・退屈な試合になるかもしれない
――では実際に肌を合わせて、そこでどう戦うかを作っていく感覚ですか。
「そうですね。事前に相手のことをイメージしすぎると、それに固執してしまうので。寝技の選手だと思っていたら思いっきりパンチが来ることもあるだろうし、そういう固定観念に囚われないようにしたいです」
――石井選手は修斗での試合を挟んで、PFCに戻ってきた形です。PFCという舞台にはどのような想いがありますか。
「基本的にオファーをもらって、スケジュールが合ったら試合をやるスタンスなんですけど、僕はUインター(UWFインターナショナル)が大好きで、Uインターで若手選手だったヤマケン(山本喧一)さんが主催しているPFCに出ることには感慨深いものがありますね。そこは他の団体で試合をするのとは違う部分があります」
――ファン時代の石井選手からすれば、プロモーターと選手として山本代表と交流があるというのは不思議な状況ですか。
「なんか変な感じがします(笑)。ずっと見ていた人と会って話したりするわけなので。不思議な縁のようなものを感じています」
――改めて今回の試合を通して、何をお客さんに見せたいと思っていますか。
「あくまでいつもの試合の中の一つで、特に今回の試合で何かをやるということはないです。今回も自分のためにやるし、普段RIZINを見ている人たちからすると物足りない・退屈な試合になるかもしれないです。その中で自分なりにできること、持てる力を振り絞ってやるつもりではいるので、それを見てもらえたらと思います」
■PFC39対戦カード
<PFCストロー級選手権試合/5分5R>
[王者] ザ・タイガー石井(日本)
[挑戦者] 早坂優瑠(日本)
<PFCグラップリング・フェザー級王座決定戦/5分2R+1ex>
河永重春(日本)
渡部修斗(日本)
<PFCライト級王座決定戦/5分5R>
新名正啓(日本)
佐藤力斗(日本)
<PFCヘビー級王座決定戦/5分5R>
ディルバーグ・ペイトン(日本)
カタナマン(日本)
<63.5キロ契約/5分2R+1ex>
青木大地(日本)
星川陸(日本)
<グラップリング・ライト級/5分2R+1ex>
鈴木淳斗(日本)
伊藤尚司(日本)
<フェザー級/5分2R+1ex>
中場ガッツマン大地(日本)
櫻庭泰裕(日本)
<バンタム級/5分2R+1ex>
綾哉(日本)
佐藤陽向(日本)

















