【PFC39】ザ・タイガー石井に挑む、釧路在住ファイター早坂優瑠「PFCのベルトだからこそ欲しい」
【写真】ケージも設置されている早坂の城、CORE QUEST KUSHIRO(C)SUGURU HAYASAKA
7日(日)、札幌市北区のPODアリーナで開催されるPFC39。今大会のメインイベントでは早坂優瑠がザ・タイガー石井の保持するPFCストロー級王座に挑戦する。
Text by Takumi Nakamura
早坂は北海道釧路市出身。MMAをやるために上京して約10年間の東京で過ごした後、釧路に戻って自らのジム、CORE QUEST KUSHIROを立ち上げた。現在はPFCを主戦場にしつつ、RIZIN札幌大会にも出場するなど、地元の釧路を拠点に活動を続けている。
PFCストロー級王座に挑むのは2023年11月の王座決定戦(木内SKINNY ZOMBIE崇雅に判定負け)以来、2度目となる早坂。その一戦を前にこれまでの道のり、そしてPFCへの想いを訊いた。
釧路では働きながら小さなボロボロのプレハブを借りて練習を始めた
――MMAPLANET初登場の早坂選手です。現在、早坂選手は北海道釧路市でCORE QUEST KUSHIROの代表を務めながらファイターとしても戦い続けていますが、以前は東京で活動していましたよね。
「そうですね。10年ほど東京で活動していて、10年前に釧路に戻ってきました」
――石澤常光選手(ケンドー・カシン)がPRIDEで戦った試合を見てMMAをやろうと思ったそうですね。
「はい。自分はカシン選手がすごく好きで夜中のプロレス中継をよく見ていたんです。そのカシン選手がPRIDEに出ることになって、ものすごく興奮しましたね。それで20歳の時、自分のやりたいことが何かな?と思って、格闘技をやりたいなと。で、どうせやるなら東京に行こうと思って上京しました」
――東京ではCORE所属としてZST、DEEP、パンクラスで試合を続けいた早坂選手が、地元に戻るきっかけは何だったのですか。
「ちょうど子供が生まれたり、東京の生活にも少し疲れてしまったり……。就職のことも含めて、格闘技を続けるかどうかも色々と考えていたんですね。それで地元に帰ることを決めたのですが、当時のジムの運営者から『どうせ帰るなら地元でジムをやってみなさい』という感じでアドバイスを受けて、地元でジムをやろうと思いました」
――地元に戻ろうと思った時には格闘技を続けるかどうかは決まってなかったのですね。
「どうしようかなと思っていました。地元の格闘技の状況も全然分からなかったので」
――釧路ではどのような流れでジムを作ることになったのですか。
「最初はお金もなかったので、働きながら小さなボロボロのプレハブを借りて練習を始めたんですね。それがしばらく続いて、たまたま当時の職場の社長と知り合うことになり、選手としてスポンサーをしてもらいながら働かせてもらうことになったんですよ。しかも会社の一室を貸してくれて、そこでサークルみたいな感じで人を集めて練習を続けていました」
――そこからジムとして独立することになると。
「6年ほど活動したあとに新型コロナウィルスの問題が起こって、社内で練習することが出来なくなったんです。それがきっかけでジムとして独立することを決めました」
――早坂選手が地元の釧路に戻った頃はMMAを練習する場所は他にありましたか。
「キックボクシングやボクシングジムはあったのですが、MMAの常設ジムはなかったと思います。プロ選手としては能登崇さんがいるのですが、当時は常設のジムで練習していたわけではなかったので。能登さんとはプレハブ時代から一緒に練習していて、今はお互いに独立して常設ジムをオープンして、それぞれ会員さんが集まっている感じですね」
――北海道でもMMAの練習をしたり試合に出る機会も増えていると思うのですが、早坂選手もそういった盛り上がりは感じていますか。
「僕のジムはRIZINを見て始める層と、BreakingDownを見て始める層の二つに分かれている感じですね。ただ長続きする選手が少ないので、そこは自分たちが変えていきたいと思って活動しています」
最後はPFCでキャリアを終えたいという気持ちもあるし、PFCのベルトを巻きたいという気持ちも強い
――今大会ではタイガー石井選手と対戦することになりました。オファーを受けた時の心境はいかがでしたか。
「4月に石井選手とやったばかリ(※石井が判定勝ち)だったので、心境としては早いなという感じでした。ただオファーを受けた以上、やるしかないと」
――一度戦ったことも踏まえて、どんな印象を持っていますか。
「ベテランの何でも出来る感じの選手で、全局面ですごく上手かったイメージですね。前回は少し相手に合わせすぎたのか、自分らしさが出せなくて悔いが残りました。今回はタイトルマッチで5Rですし、セコンドとも戦略は立てていますが、自分の得意な部分で、全力でいきたいと思っています」
――今回はベルトも賭かっています。
「もともとベルト云々という考えはなかったのですが、自分もキャリア的には終盤だと思っていて。その中で山本(喧一)代表に拾ってもらった感があるので、そういう意味で期待に応えたいというか、ベルトが欲しいという気持ちはあります。PFCのベルトだからこそ欲しいです」
――PFCに対する想い入れもあるようですね。
「ずっと昔からオファーを受けていたのですが、フライ級しかなかったこともあって断り続けていたんですね。そうしたら『PFCでもストロー級を作ることになりました。出てもらえますか』と言われたので、それだったら出ようと。僕も色々なイベントに出てきた中で、PFCが本当にすごくいいイベントだなと感じていて、単純にPFCが好きなんですよ。最後はPFCでキャリアを終えたいという気持ちもあるし、そう思うんだったらPFCのベルトを巻きたいという気持ちも強いです」
――対戦相手の石井選手はプロレスファンで、「Uインター(UWFインターナショナル)が好きだったので、ヤマケンさんがやっている大会に出ることに思い入れがある」と言っていました。早坂選手にもそういった想いもありますか。
「ありますね。僕が東京時代に所属していたCOREはヤマケンさんと関わりがあった人たちがやっていたジムで、ヤマケンさんの弟子が僕の先輩だったりして、間接的に近いところにいる存在だったんです。まさか自分がこういう形で交わるとは思っていなかったです」
――格闘技をやるために上京して、地元に戻ってジムをオープンする。そこからRIZIN北海道大会に出たり、地元のイベントでタイトルマッチをやったりと、こんな格闘技人生は想像されてなかったですよね。
「全く想像していなかったですね。格闘技を始めた頃の僕は金髪、ロン毛、色黒、ガリガリで(笑)。一応プロ志望ですと言ってジムには入りましたけど、本気でプロになれるとは思っていなかったですし、当時の僕のことを知っている人は誰も僕がプロになるとは思っていなかったと思います」
――これだけ長く格闘技に携わってきて、今はもう自分にとってなくてはならないものになっていますか。
「そうですね。格闘技をやっていて嫌な思いをしたこともありますけど、格闘技があったからこそ就職もできたし、良くしてもらったことがたくさんあります。格闘技にはたくさん恩を感じているので、これからも格闘技には携わっていきたいです」
――これからの選手としての目標を聞かせてもらえますか。
「明確にどの団体でチャンピオンになりたいというものは一切なくて。僕はもう本当に好きで格闘技をやっているだけなので、一戦一戦全力で楽しもうと思っています」
■PFC39対戦カード
<PFCストロー級選手権試合/5分5R>
[王者] ザ・タイガー石井(日本)
[挑戦者] 早坂優瑠(日本)
<PFCグラップリング・フェザー級王座決定戦/5分2R+1ex>
河永重春(日本)
渡部修斗(日本)
<PFCライト級王座決定戦/5分5R>
新名正啓(日本)
佐藤力斗(日本)
<PFCヘビー級王座決定戦/5分5R>
ディルバーグ・ペイトン(日本)
カタナマン(日本)
<63.5キロ契約/5分2R+1ex>
青木大地(日本)
星川陸(日本)
<グラップリング・ライト級/5分2R+1ex>
鈴木淳斗(日本)
伊藤尚司(日本)
<フェザー級/5分2R+1ex>
中場ガッツマン大地(日本)
櫻庭泰裕(日本)
<バンタム級/5分2R+1ex>
綾哉(日本)
佐藤陽向(日本)















