【Black Combat Rise08】キック→韓国でプロMMAデビュー、服部柊斗「ブラックコンバットで王者に」
6日(土・現地時間)に韓国、京畿道オサン市のブラックゴラで行われるBlack Combat Rise08に日本から服部柊斗が出場。韓国のイ・ヨンウンと対戦する。
Text by Shojiro Kameike
服部は幼少期よりキックボクシングのジュニア大会で活躍。キックでプロデビュー後、MMAに転向し、なんと韓国でプロMMAデビューを果たしている。Black Combatの本戦(ナンバーシリーズ)、Riseの下位に位置するチャンピオンリーグ・シリーズ(キャリアの浅い選手たちが中心のチーム対抗戦)の中でワンマッチを2試合戦、2戦2勝を収めた服部にとって、今回はRiseシリーズに昇格し初戦を迎えることとなった。なぜ服部はMMAに転向し、韓国で戦うことを選んだのか。MMAPLANET初インタビューで、その意外なキャリアを語ってくれた。
韓国人の彼女と一緒にブラックコンバットのナンバーシリーズを観て、自分もMMAを始めようと思いました
――今回は先に平本蓮選手のジム『STILL THE GOAT』(以下、STG)で写真を撮影し、リモートでインタビューを行っています。撮影の日は服部選手が所属するT・Grip Tokyoの大塚隆史トレーナーがSTGでMMAクラスの指導を行っていたのですが、もともと平本選手とも繋がりがあるそうですね。
「子供の頃にM-1ジュニアとか一緒の大会に出ていて、その頃からの繋がりなんですよ」
――ジュニアキック時代というと那須川天心選手も同世代ですね。
「そうです。今、RISEのチャンピオンになっている安本晴翔君とかも一緒の大会に出ていました」
――ジュニア時代には数々の大会を制しているとのことですが、キックボクシングを始めたのは何歳の時なのでしょうか。
「5歳の時にグローブ空手を始めて、小学校中学年から高学年の頃、ウィラサクレックの西川口ジムにも通い始めました」
――5歳の時から顔面ありを経験していたということですか。
「はい。フルコン空手、顔面なしは経験がないですね」
――プロデビューに至るまでずっとキックボクシングを続けていながら、MMAに転向した理由を教えてください。
「キックでプロデビューしたあと一度、格闘技は辞めていたんです。18~19歳の時はジムで軽く動かすぐらいでした。それで何か違うことをやりたいと思っていた時に――以前から山本聖悟さんと仲良くさせてもらっていて。聖悟さんがブラックコンバットで試合をする時、韓国人の彼女と一緒に応援に行ったんですよね。そこでブラックコンバットのナンバーシリーズを観て、自分もMMAを始めようと思いました」
――ブラックコンバットを観てMMAを始め、ブラックコンバットでデビューする。生粋のブラックコンバットのファイターですね。初めて山本選手の応援に行ったのは、どの試合でしょうか。
「聖悟さんが久しぶりに勝った試合(2024年1月、イ・ソンウォンに判定勝ち)です」
――……山本選手が試合後のインタビューで放送禁止用語を叫んだ時ですか。
「あれは聖悟さんらしいな、って思いました。一緒に行っていた彼女は日本語が分からなかったので、特に問題なかったです(笑)」
キックボクシング出身のMMAファイターは、もっと首相撲をやったほうが良いと思いますよ
――それは良かったです。先ほどから韓国人の恋人の話が出てきますが、服部選手はK-POPが好きだった影響で韓国語を学び、その縁で韓国の女性とお付き合いに発展したと聞いています。
「当時はTWICEのファンだったんですよ。その影響で中学の朝読書(朝の読書運動)の時間も自分は韓国語の本を読んでいて――韓国語を喋ることができるようになったのは、それがキッカケですね」
――韓国の本、というのは……。
「韓国語のテキストですね。皆が小説を読んでいる間、僕は韓国語のテキストを読んで勉強していました」
――おぉ、カッコイイですね。
「えぇ、そうですか? 自分でも結構変わっていたと思いますよ」
――朝読書というのは授業の前に本を読んで頭をスッキリさせる目的で始まったものですよね。もちろんその時間に小説を読むことが悪いわけではない。ただ、本を読んだり言語に触れることで自分の知らないものに興味を持つことも重要であって。
「あぁ~、なるほど」
――そこで韓国語に触れ、実際に韓国の女性と出会ってお付き合いに至るのもドラマチックではないですか。
「アハハハ。現地の人たちと話すことができる韓国語の勉強アプリで知り合った女性とペンパルを続け、実際に日本で会って付き合うようになりました。それが23歳の時で、今月で付き合い始めて2年になります。そこから自分も韓国を行ったり来たりしていて」
――そんななかMMAを始めるため、T・Grip Tokyoに入ったと。
「もともと聖悟さんがT・Grip Tokyoで練習していて。自分がMMAを始める時に『どこか良いジムありますか?』と訊いたら、T・Grip Tokyoを紹介してくれたんです」
――服部選手はMMAに転向して以降、国内のアマチュアMMA大会にも出場経験があります。MMAでも国内でプロデビューする話は出なかったのですね。
「自分は最初から『ブラックコンバットに出たい』と大塚さんに伝えてたし、聖悟さんからブラックコンバットの試合について連絡をもらい、自分も『やります』と即決しました」
――今年2月に韓国でプロデビューし、現在2戦2敗。ブラックコンバットのフライ級ランキングでも10位に入っています。試合では幼少期から顔面ありを経験していることが影響しているのか、打撃の展開では相手のパンチを食らっているようで、しっかり見切っているように感じられました。さらに自分が打ったあと、相手が返してくる時の展開が速い。
「試合中は本当に無意識ですけど、やっぱり小さい頃からムエタイ、キックボクシングをやっていたおかげなのかなって思いますね」
――さらに柔道やレスリングの強さを持つ韓国人選手に対して、首相撲や四つの展開が強いですよね。
「首相撲は得意です。あと自分はフライ級だと減量幅も広いほうで、試合当日は相手より大きいことも多くて。そこで首相撲も混ぜていくのが、いつもの試合プランです。やっぱりムエタイがムチャクチャ使えますよ。MMAで首相撲は使えないという人もいますけど、自分の場合は誰に対してもハマります」
――服部選手の場合、技術面はもちろんのこと首相撲で鍛えられた軸の強さも感じられます。相手に左ミドルをキャッチしても片足立ちでケージまで下がることができたりとか。
「あぁ、ありましたね! だからキックボクシング出身のMMAファイターは、もっと首相撲をやったほうが良いと思いますよ」
自分は打撃が中心だし、打撃をやりつつ寝技でも仕留めたいですね。ここで勝って、次はナンバーシリーズに出たいです
――ジュニア時代から打撃の経験が豊富な服部選手にとって、組みの面で大塚トレーナーから言われて印象に残っていることはありますか。
「始めた当初は何も分からないので、とにかく指示されたことを打ち込みでやり続けるしかなかったです。たぶん今も、その頃にやっていたことが一番出ますよね」
――その頃にやっていたこと、というと……。
「やっぱりバックテイクじゃないですか」
――デビュー戦は尻もちを着かされた瞬間、バックに回っていました。そして2戦目は相手が組んでくると即バックに飛び乗っていて……あれはまさに体に染みついている動きだったのですね。
「そうです。でも今考えると、もっといろんなやり方があったなと思うんですよね。バックに着いたら首しか狙っていなくて、もっとパンチで削っても良かった。あといろんな試合を見ていると口を押さえたり思いっきりアゴを引いたり、嫌がらせをするじゃないですか。自分はそういうことをしていなかったので、次はもっと嫌がらせをしたいと思っています」
――次の試合で対戦するイ・ヨンウンは現在17歳で3戦無敗のファイターです。
「高校生ですよ。絶対に負けたくないですね。若いし、勢いはあると思うんです。ただ、これまで対戦してきた相手はあまり強くない相手とばかり対戦しているなっていうイメージはありますね。構えがサウスポーであることだけ気をつけて戦うのと、ちょっと隠れてサブミッションを狙いたいと思います」
――なぜ、ちょっと隠れるのですか(笑)。ブラックコンバットといえば、日本人選手も現地で大きな人気を獲得していることが多いですよね。服部選手はこれまで2試合を戦い、現地のファンの反応はありますか。
「凄いですよ。SNSのDMも来るし、会場で写真やサインを求められます。ブラックコンバットはファンの人たちが熱いですよね。ロー一発で会場がワーッと沸くし、そういうところが好きで。自分はそのブラックコンバットでベルトを目指しています」
――現在、ブラックコンバットのフライ級王者は駒杵嵩大選手です。
「駒杵さん、メチャクチャ強いですよね。でも――会場で試合を観ても、あまり良い印象はなくて」
――というと?
「試合がすぐ終わっちゃうじゃないですか。駒杵さんが組みの展開に持ち込むと、周りのお客さんも『やっぱりこうなるか……』という感じで」
――それがメチャクチャ強いということですよね。
「確かに(笑)。自分は打撃が中心だし、打撃をやりつつ寝技でも仕留めたいですね。ここで勝って、次はナンバーシリーズに出たいです。そして必ずブラックコンバットでチャンピオンになります。日本からも韓国からも応援よろしくお願いします!」
■視聴方法(予定)
12月6日(土)
午後4時~Black Combat YouTubeメンバーシップ
■Black Combat Rise08 対戦カード
<フライ級/5分3R>
キム・ソォンジェ(韓国)
エリアス・ダ・クルス(ブラジル)
<フライ級/5分3R>
パク・テホ(韓国)
ランジェル・ドス・サントス(ブラジル)
<ストロー級/5分3R>
ジョン・ドゥハン(韓国)
澤田龍人(日本)
<フライ級/5分3R>
服部柊斗(日本)
イ・ヨンウン(韓国)
<バンタム級/5分3R>
ジオジネス・ネト(ブラジル)
イ・ガンナム(韓国)
<ウェルター級/5分3R>
サンデル・シウバ(ブラジル)
ブレンゾリグ・バットムンク(モンゴル)
<女子アトム級/5分3R>
ホン・イェリン(韓国)
ロ・ティ・フン(ベトナム)
<ウェルター級/5分3R>
ジルベルト・マセド(ブラジル)
イ・ソルホ(韓国)
















