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【UFC323】「キョージがタイトル挑戦権を得られるよう全力でサポートしたい」パントージャ―02―

【写真】ザ・タイガー石井張りにリモート取材の時は、背景が一貫しているフライ級世界最強の漢(C)MMAPLANET

6日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガス近郊エンタープライズにあるTモバイル・アリーナで開催されるUFC323「Dvalishvili vs Yan 2」がジョシュア・ヴァンの挑戦を受けるUFC世界フライ級王者アレッシャンドリ・パントージャ・インタビュー後編。
Text by Manabu Takashima

TUFシーズン24世代とデイヴィソン・フィゲイレドが基礎を築いたUFCフライ級戦線が、今、最高に盛り上がっている。世界中からタイトルコンテンダーが生まれ、平良達郎に続き堀口恭司も9年振りのUFCで、タジル・ウランベコフを一方的に下し、ATTのチームメイト=パントージャへの挑戦を高らかにに宣言した。

UFCフライ級戦線新時代の代表格といえるジョシュア・ヴァン戦に向けて、自らの進化を実感しているというパントージャは、これから――堀口恭司との世界戦について熱く語り始めた。

<アレッシャンドリ・パントージャ・インタビューPart.01はコチラから>


カイ・カラフランスやカイ・アサクラというストライカーと戦っても、彼らが僕の攻めの起因になった。そういう戦いを見てもらえたはずだ

――ジョシュア・ヴァンの出現によって、最新バージョンのパントージャを期待できそうですね。

「どの試合でも学ぶことは多い。対戦相手のタイプが違うからね。そういう相手と戦うことで、自分は何ができるかを知ることができる。以前は爆発力を頼りに戦っていた。そして多くのミスをおかした。その失敗から多くを学んだんだ。爆発力でなく、技術でオクタゴンの戦いを制することが可能になった。

もう熱くなって戦う必要はない。格闘家人生を通して、常に学び続けてきた。だからこそ、僕はベストファイターになりたい。どこまで、自分が行けるのかを知りたいんだ。

今回の試合に向けてハードなトレーニングをしてきたことで、多くの面で進歩していることが感じられる。そういう意味でもジョシュア・ヴァンとの対戦は、素晴らしい機会になるだろう。例え彼がグラップリングを徹底的に避けて戦おうとしても、ね。

正直にいえばグラップリングを避ける相手と戦う時に、僕は苦戦を強いられてきた。打撃に専念にして、組み技に関しては攻防を避け、ただ抱き着いてくるだけのファイターが相手だとね。でも、今の僕はそうじゃない。カイ・カラフランスやカイ・アサクラというストライカーと戦っても、彼らが僕の攻めの起因になった。そういう戦いを見てもらえたはずだ。

ジョシュア・ヴァンを相手に、同じ理屈で戦うことができる。それこそが僕のアドバンテージだ。打撃でも組みでも、彼を大いに驚かせる戦いになるだろう」

――ジョシュア・ヴァンが殴りに来る。その瞬間にパントージャが何を魅せてくれるのか。期待しています。

「カイ・カラフランスはUFCフライ級で、最も頑強なテイクダウンディフェンスを駆使できるファイターだと言われていた。でも1分間あればテイクダウン、バックを制して絞めることができると証明した。そういう戦いが可能になるためにトレーニングをして、オクタゴンに上がっている。

全世界におけるベストファイターになるために、トレーニングに専念している。常に一緒にいてくれる家族も、今はいっしょに楽しむ時間を存分に創る時でないことを理解してくれているんだ。

いえば、ベストファイターになるためのトレーニングの日々を楽しんでいる。これから2、3年はそういう人生を送りたい。最大のモチベーションは、自分が如何に優れたアスリートかを世界に示すこと。そして、人間として成長することだから。それが僕にとってMMAを戦うということなんだ。勝利を得るために全エネルギーを使い、勝ってファイトマネーを手にする。ケガもない最高の状態でオクタゴンに向かい、ジョシュア・ヴァンを倒して家族の下に戻ることが楽しみでならない」

ブランドン・モレノがタイラに勝てば、彼はまた挑戦権を手にするに違いない

――素晴らしい精神性です。そのジョシュ・ヴァンとの防衛戦が組まれたUFC323では平良達郎選手が、ブランドン・モレノと対戦します。この試合の勝者が次期挑戦者になると日本では期待されています。そういう意味でも、平良×モレノが気になることはありますか。

「まずジョシュア・ヴァンというタフな相手のチャレンジを受けることに全神経を集中させなければいけない。これからのことは、彼に勝ってから考えることだ。一方で本当のチャンピオンは、誰とでも戦わなければならない。タツロー・タイラ×ブランドン・モレノの勝者、ブランドン・ロイヴァルとマネル・ケイプ戦の勝者、いずれかが次の挑戦者になるだろう。

ブランドン・モレノがタイラに勝てば、彼はまた挑戦権を手にするに違いない。ブランドン・モレノは他の3選手と比べて人気が高いからね。それだけファンに認知されている。ただタイラ、マネル・ケイプにもチャンスはある。これだけのタレントがいることが、UFCフライ級にとって素晴らしい。以前とは違う。その輪の中に自分がいることが、とても幸せだよ」

――輪の中というか、トップに君臨しているわけですから(笑)。

「ハハハハ。そうだね。フライ級は他の階級に見劣りしないばかりか、よりエキサイティングな階級になった。本当に最高だよ。ただ僕としてはジョシュ・ヴァンを倒せば、キョージがタイトル挑戦権を得られるよう全力でサポートしたい。

最高の友がタイトルを欲している。でも、UFCはすぐにそれが実現する場所じゃない。と同時に僕らには長い歴史がある。ここはUFCも好むストーリーになるに違いない」

キョージを見て、自分が何をしないといけないか分かった。だから、僕はチャンピオンになれたんだ

――UFN265で堀口選手は9年振りのオクタゴンにも関わらず、タジル・ウランベコフを一方的に破り豪快な笑顔と共にパントージャをコールアウトしました。

「最高だったよ(笑)。あれがキョージだよ。いつもあんな感じだ。面白くて、でも本当は凄く謙虚なヤツ。いつだって、僕にとって最高のチームメイトの1人だ。スパーだけでなく、ドリル練習でも全力でこなす。キョージは常に世界のベストファイターだ。ATTの誰もが、分かっていることだよ。

誰よりもハードな練習を自ら課している。その姿を見てきた僕が、どれだけキョージにインスパイアされてきたか。ATTを拠点にするようになって、どれだけキョージがサポートしてくれたか。キョージを見て、自分が何をしないといけないか分かった。だから、僕はチャンピオンになれたんだ。キョージとは、僕にとってそういうヤツなんだよ。

あの日から、今日までずっとキョージはATTのなかでベストの1人でい続けている。そして、常に最高の練習仲間で。オクタゴンの中だけでなく、外でも学ぶことは多い。

キョージがUFCに戻ること、ベルトを巻きたい気持ちは当然理解している。誰だって、そう思って練習をしているんだ。しかもキョージはBellatorとRIZINを制した。彼が手にしていないのは、UFCのベルトだけなんだ。キョージがUFCのベルトを欲するのは当然だよ。僕はキョージが挑戦権を得られるようにサポートする」

――最強のチャレンジャーになる人間のサポートをチームメイトとして行うわけですか。

「もちろんだ。キョージと世界戦を戦いたいからね。キョージとベルトを賭けて戦うことができれば、それは僕の人生にとっても神から与えられた最高のギフトになる。ファイターとして、世界のベストファイターと戦いたい。だから、戦い続けている。

キョージはDJがチャンピオンの時に、ベルトに挑み手にできなかった。でも、あの時と今のキョージは別人だ。キョージも僕から柔術が何かを学んだと思う。そんな彼とUFCフライ級王座を賭けて戦うなんて、歴史映画のようなじゃないか。でも、そんなファイトを実現させるために僕はジョシュア・ヴァンを倒さないといけない」

――堀口選手への想い、耳を傾けているだけで感極まってきます。

「ハハハハ。僕はいつだって正直に、自分の気持ちを話している。多くの人に理解されないことがあっても、それが僕の本音だ。この姿勢を持ち続けていると、皆も分かってくれるようになる。

12月6日に勝って、UFCにも僕らの歴史を説明して、キョージとの試合の重要性を伝える。まずはジョシュア・ヴァンに勝つことだ。この試合に勝てないと、キョージとの世界戦が実現しなくなってしまうからね」

――パントージャ、いつも最高の話を聞かせてもらい感謝しています。では最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

「キョージとのことは、またじっくりと話すよ。日本のファンには『キョージとの試合が実現し、日本を訪れることができれば最高だよ』と伝えて欲しい」

■視聴方法(予定)
12月7日(日・日本時間)
午前8時00分~UFC Fight Pass
午前11時00分~PPV
午前7時30分~U-NEXT

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