【UFC178】UFC入りが決まったエディ・アルバレスのキャリアを振り返る
【写真】ついにUFCとの契約を果たしたエディ・アルバレス。これまでのMMA戦績は28戦25勝3敗だ(C)GONGKAKUTOGI
19日(火・現地時間)、ついにUFCと契約し9月27日(土・同)のUFC178で、ドナルド・セラーニとの対戦が決まったエディ・アルバレス。改めて彼のMMAキャリアを振り返ってみたい。
アルバレスは1984年1月11日生まれの30歳、ペンシルバニア州フィラデルフィアのケンジントンと言う治安の悪い地域で生まれ育った。祖父がパンナムゲーム出場経験のあるボクサーで、そのボクシングの手ほどきは幼少の頃よりプエルトリコ系の父に受けるようになる。子供4人を抱えていたアルバレスの両親だが、彼を地元の公立でなくカソリック・スクールに通わせるなど、息子の将来を切り開く努力を欠かさなかった。それでも荒廃した街の空気もあり、ストリートファイトに明け暮れたアルバレスは、高校時代にレスリングを始めるも、卒業後はセメント工となり、再び喧嘩上等の日々を送るように。
悪友たちには逮捕者ばかりか、命を落とすという状況が、父に学んだボクシングと私立校オールアメリカンに選ばれたレスリングの腕前を生かす道を彼に選択させた。ファイトファクトリー入門後、8カ月で東部の人材育成プロモーションROCでプロMMAデビューを飾ると、ロシア資本で活動していたユーフォリアなどでキャリア7連勝=7KO勝ちを収め、在日コリアン資本で一度は華々しい活動を見せたMARSでひっそりと初来日を果たす。さらにネットカジノで巨大な富を得たカルヴィン・エアーがMFCを買収し、Bodog Fightを旗揚げすると、第1回大会でアーロン・ライリーを破り、MFCウェルター級王座を奪取。そのままボードッグ世界ウェルター級王者に認定される。
この当時、ダナ・ホワイトは「ボードッグはジョークだが、アルバレスは良い選手だ」と発言している。そのボードッグ世界ウェルター級王座防衛戦で、アルバレスはニック・トムソンを相手にキャリア11戦目でついに初黒星を経験する。ウェルター級としては上背のなかったアルバレスは、この敗北を機に減量嫌いを返上しライト級転向を決意。エリートXCの育成部門Sho-XCのキャッチウエイト戦を経て、DREAMのライト級GPに参戦した。
アンドレ・ジダに勝利し、ヨアキム・ハンセン、川尻達也の両雄と魂の殴り合いを打ち勝ち、GPファイナル進出を決めるも、川尻戦で受けた負傷により決勝戦を棄権、幻のファイナルの相手青木真也とは2008年の大晦日に戦うことに。この一戦では92秒ヒールフックを極められ敗北、直後にBellatorと契約し、ラテン系色を打ち出していたシーズン01ライト級トーナメントで1回戦グレッグ・ラグラン戦、準決勝エリック・レイノルズ戦、ついには2009年6月18日の決勝でトビー・イマダを破り初代ベラトール世界ライト級チャンピオンに輝いた。
その後、現時点で最後の来日となったDREAMでの菊野克紀戦を経て、キャッチウェイト戦で元UFCファイターのジョシュ・ニアー戦、同じく元UFCファイターで一時代を築いていたロジャー・フエルタ戦と連勝、現ベラトール世界フェザー級王者パット・カーランの挑戦を退け、同王座の初防衛に成功した。しかし、2011年11月に歴史残る好勝負の末、RNCでマイケル・チャンドラーに敗れ王座陥落。2012年4月にはオハイオ州クリーブランドで青木との再戦に臨み、134秒TKO勝ちでリベンジを達成するも、前ベラトールCEOビヨン・レブニーとの確執も深まり、常にUFC転向を望む発言をするようになった。
ベラトールでの最終戦マッチと目された同年10月のパトリッキー・フレイレ戦を経て、ベラトールとは法廷闘争に。その結果、この間に名前を上げたチャンドラーに負ければ即リリース、勝てばリマッチという変則的な契約でマイケル・チャンドラーとの再戦に応じることとなった。挑戦者に立場を変えた一戦では、やや劣勢の声を跳ね返し――微妙な判定ながら、アルバレスはまたも後世に残る激闘を制しベラトール世界ライト級のベルトを再びその腰に巻くこととなった。そして今年5月にはチャンドラーの挑戦を受ける予定だった試合は、直前に負傷欠場。そのままベラトールの体制が変化し、今回のリリース→UFCとの契約に至った。
UFCとの契約に関し、アルバレスは心境を「ずっと中途半端な状況だったね。でも、少し息を止めて、どんな状況にも動じなかった。まるで試合の時みたいだったよ。アドレナリンが高まり、興奮した。色々あったけど、強い気持ちで臨んできた。僕の目標は、これからの数年はUFCで戦い、UFCライト級の選手と拳を交換することだったからね。UFCでのゴールはこの階級を制圧すること。色んなことがあったけど、よくあることだったよ。ファンはエキサイトしてくれるだろうし、僕もそうだ。毎日トライする限り、僕の想いは変わらなし、僕のやりたいことも変わらない。世界で最高のプロモーションでより大きなスポットライトを浴びる。ハードコアファンにも、あまりMMAが分かっていない全てのファンに対しても、彼らの前で自己表現ができることが嬉しい。本当にただ、大きな舞台で戦えることが嬉しいし、10年、11年と、この日のために技量を磨いてきたように感じる。ついに多くの皆の前で披露できる時がきた。ホント、完璧に近いね」とUFCホームページ上で語っている。
アルバレスにとって、いよいよ迎えた最高峰での戦い。層の厚さではいえば、他の追随を許さないUFCライト級戦線でどのような試合を見せることができるか、非常に楽しみだ。