【ONE90】オンラ・ンサンとの再戦を前にNY行きを決めた長谷川賢─01─「自分の図太さを信じて」
【写真】思い切った決断をした長谷川。NYで揉まれことで、ファイターとしてももう一段階ステップアップを図る (C)MMAPLANET
「NYへ行って、8週間練習することになりました」。長谷川賢からそのようなメッセージを受け取った。3月31日、東京都墨田区の両国国技館で開催されるONE90「A New Era」でオンラ・ンサンの持つONE世界ミドル級王座に挑戦する長谷川は、試合の2週間前までセラ・ロンゴ・ファイトチームで練習することを決めた。
大切な世界戦を前にして初めての土地で、見知らぬ練習相手のなかでキャンプを張る。この異例ともいえる決断の裏には、長谷川のンサン戦との大一番だけでなく、これからの成長に掛ける強い想いが含まれていた。
──NYへ行くという一報を頂き、「この時期に?」とまず驚いた次第です。
「へぇ、なぜですか?」
──次の試合は日本で行われる。日本の練習環境も決して悪くないなか、初めての練習場所でかなり直近まで練習する。やはり試合前というのが一番気になったところです。
「実際、僕もマネージャーのシュウ(ヒラタ氏)さんから、そういう話をもらった時はそれほど行こうと思っていたわけではなかったんです。頭の片隅に置いておいて、あとでじっくり考えようかというぐらいで。
でも練習場所になるセラ・ロンゴ・ファイトチームのレイ・ロンゴはンサンのことを知っていて、彼の以前の教え子がKO勝ちしたこともあるということだったんです。『来るなら、勝たせるようにスパーリング・パートナーも用意する』と言って貰えて。賭けになってしまうかもしれないけど、ここは行こうかと」
──練習仲間にも相談されましたか。
「ハイ。岡見さんは『イイじゃん!!』って。この話を貰う前から岡見さんからは、米国でキャンプを張るべきだって言われていましたし、そのタイミングでシュウさんから提案があって。元々は行くならサンディエゴのアライアンスかなとは思っていたのですが、初めての場所で伸るか反るかではないですが、色々と考えてNYに行こうと決めました。
またンサンと戦って勝てる確率が前より高いのかって言われたら、果たしてそうなのかという想いもありました。前回と比較するとスクランブル発進でない、日本で戦うなど状況的に良い部分はあります。でも、このまま日本でキャンプを張って戦うよりも、大きなスパーリング・パートナーとやりあえる環境で、練習に没頭する方が良いかと思いました」
──長谷川選手は図太いので、初めての環境でも戸惑うこともなさそうです(笑)。
「そこは自分を信じています(笑)。自分だったら、動じないでやり切れるという図太さを信じて決断しました。僕は米国にいてもストレスを感じないし、その場の状況というのは全て受け入れることができるんです。
アルジャメイン・ステーリングの家の一室を借りて、一緒に練習に行けるので移動のストレスもないですし、UFCライトヘビー級ファイターのジャン・ヴィランテとか練習仲間も用意してくれるということなので。それに向こうには佐々木憂流迦選手や井上直樹君、魅津希選手もいますしね。その辺りは気持ち的にも楽です」
──そして試合の2週間前までNYで練習すると。
「ハイ、1月21日に日本を発ちます。向こうには8週間います。それはレイから『キャンプをするなら、勝たせるために全力を尽くすから8週間必要だ』と言われたからなんです」
──そこまで言ってくれたのですね。
「ハイ。これが『8週間必要だけど、4週間で何とかするよ』的な言葉だったら、決心していなかったと思います。その言葉を信じました」
<この項、続く>