【UFC ESPN73】2025年最終戦でアモソフがオクタゴン・デビュー。中継局変更でFight Passはどうなる!?
【写真】Bellatorで活躍したアモソフがプレリミでUFCデビュー(C)PFL
13日(土・現地時間)、ネヴァダ州エンタープライズのUFC APEXでUFC on ESPN73「Royval vs Kape」が開催される。2025年、UFCの最終戦は2019年から6年間続いたESPN及びESPN +での配信最終イベントでもある。
Text by Manabu Takashima
既報の通り2026年度から7年間のUFCの独占放映権を77億ドル(約1兆1400億円)でパラマウントが獲得し、米国ではこれまでのPPV大会に当たるナンバーシリーズを含め、パラマウント+で全試合が中継されることとなる。
そんな歴史の転換期、節目となる大会のメインはフライ級のブランドン・ロイヴァル×マネル・ケイプの一戦だ。
UFCフライ級戦線は6日のUFC323で、ジョシュア・ヴァンが左ヒジ脱臼で試合続行不可能となったアレッシャンドリ・パントージャからベルトを奪取し、一足早く新たな局面を迎えている。
同日、平良達郎が元世界王者ブランドン・モレノに完勝しており、次期挑戦権を得たことがほぼ確実視されている。確実でなく確実視とするのは、今回のメインが残っているからだ。とはいえ恐らくは平良×モレノ戦でモレノが勝利したときのオプションがこの一戦だったと思われるのだが、果たして――。
UFC新時代到来を思い起こさせるのは、コメインのフェザー級戦だ。ランク15位のギガ・チカゼに挑むのは、オクタゴン3戦目のケヴィン・バジェホス、24歳のアルゼンチン人ファイターだ。
チカゼはUFCデビュー後に7連勝を達成し一躍トップ戦線入りを果たしたものの現在は2連敗中で、今年の3月にUFCデビューしたばかりのルーキーと相対することとなった。
GLORYで活躍した一流のキックボクサー=チカゼは、空手ベースのストライカーらしく遠い間合いで蹴りを駆使し、タイミングで戦う選手だ。一方、バジェホスはUFCメキシコで鍛え上げられたインファイトが売りのハードパンチャー。近距離化が目立つMMAにあってチカゼとバジェホスが、どのような距離で戦うことになるのか見ものだ。
また同大会ではヤーソラフ・アモソフが、特にプッシュされることなくプレリミでデビューするというUFCの異次元ぶりが垣間見られる。3度のコンバットサンボ世界王者からMMAに転じ、19連勝でBellatorと契約。7戦目でドゥグラス・リマを破り、デビュー以来の連勝を26としたアモソフは世界で最も注目されたファイターであったことは間違いない。
その後、アモソフはウクライナ紛争が起こると一時的にグローブを外し、銃を持つ選択をした。2023年2月に復帰し、この間に暫定王者となったローガン・ストーリーとの王座統一戦で勝利し、キャリア27連勝というカビブ・ヌルメゴメドフに次ぐ記録を達成した。
この無敗記録は同年11月にジェイソン・ジャクソンにテイクダウンを切られアッパーでKOされて途絶え、アモソフは昨年9月にPFL傘下のBellatorを離れた。そして今年の3月にCFFCでUFC、Bellator、PFLで9勝7敗のカーティス・ミランダ―を初回アナコンダチョークで一蹴し、再起していた。
アモソフをその他大勢のようにサラリとオクタゴン・デビューさせる一方で、対戦相手は歴戦の猛者ニール・マグニーを用意するあたりは世界最高峰UFCならでは。贅沢なプレリミマッチといえるだろう。
またアモソフのようにサークルケージで頂点に立ったわけではないが、確かな存在感を示していたランス・ギブソンJrもキング・グリーンを相手にUFC初陣を迎える。
父ランス・ギブソンはマット・ヒュームの教え子で90年代からMMAファイターとして活躍し、修斗にも来日経験がある。ギブソンSrはUFCでも1勝1敗、今大会でランディ&ライアンのクートゥアー親子、ギルバート&アライジャのスミス親子に続く3組目、そしてカナダ人初の親子鷹UFCファイターが誕生する(ギブソンJrの義母は元Bellator世界フェザー級王者のジュリア・バッド)。
さらにプレリム・フェザー級でジョアンデウソン・ブリトを相手にオクタゴン・デビューするアイザック・トムソンも注目したい。10代でアルファメールで練習するために母国・豪州を離れたトムソンは、19歳8か月で待望のLFAデビューを迎えるが、初黒星を喫してしまう。その後もタイトル挑戦目前の一戦を落とすなど順風満帆ではないキャリアながら、9勝2敗のレコードでUFCとサインした。
直近の試合は、10月のLFA219。トムソンは10勝1敗のウズベキスタン人ファイター=アクバルジョン・イスロンボエフのTD&コントロールを耐え、打撃を入れて辛くもスプリット判定勝ちを収めた。コンテンダーシリーズ・ファイトとは対照的な試合内容ながら、ステップアップできたトムソンがUFCではどのようなファイトを披露するか、注視したい。
注視したいという点では、トムソンがUFC Fight Pass時代のLFAから最後にUFCステップアップを果たしたファイターになる可能性があることだ。冒頭にあるようにパラマウントが放映権を得たUFCでは、Fight Passでも動きが見られる。
元々、米国ではESPNとESPN+で中継されていたUFC各大会。Fight PassではFight Passプレリミのみが視聴できる状態だった。それが2026年からは全てパラマウント+に移行する。この変化に伴い、ブラジルではUFC Fight Passが今年の大晦日で閉鎖され、豪州もこれに追随するという話も伝わってくる。
当然、後釜はパラマウント+になるわけだが、LFAは米国に次ぎブラジル市場を開拓し、年間20ものイベントをFight Passで中継してきた。そのLFAとFight Passの契約が今年いっぱいで満了となった。LFA以外でもカナダのUnified MMAとSamourai MMA、メキシコのLUX Fight LeagueとUAEのUAEWのUFC Fight Passでの配信も今年限りとなる。
パラマウント+が、フィーダーショーの配信をする可能性はゼロとはいえないが、MMA全般に注力するとは思えない。
UFCは世界中で放映権ビジネスを展開しており、その国々で視聴状況は違っている。日本ではパラマウント+はアマプラ、Leminoなどから追加料金を支払って接続できるサブスクだが、UFCはU-NEXTが2031年までの放映権を手にしたばかりだ。これまでU-NEXTでと同時にFight Passでも視聴可能だったが、2026年からはどうなるのか。いずれにせよ、世界のフィーダーショーを支えてきた感のあるUFC Fight Passが縮小傾向にあることは間違いなさそうだが……。
そしてFight Passとの連係で、全米とブラジルで#01フィーダーショーの地位を得たLFAの今後はどうなるのか。他のサブスクと交渉中ではあるが、LFAから1月16日のLFA224をはじめ2026年の中継情報は発表されていないのが現状だ。
場合によって今後の全米フィーダーショートップの座を、A-1 Combatやアンソニー・ペティスFC、Fury FCやCFFCが取って代わる可能性もある。2026年のFight Passの動向もコアMMAファンは注視すべきだろう。
■視聴方法(予定)
8月14日(日・日本時間)
午前9時00分~UFC FIGHT PASS
午前8時45分~U-NEXT
■UFC ESPN73対戦カード
<フライ級/5分5R>
ブランドン・ロイヴァル(米国)
マネル・ケイプ(ポルトガル)
<フェザー級/5分3R>
ギガ・チカゼ(ジョージア)
ケヴィン・バジェホス(アルゼンチン)
<ミドル級/5分3R>
セザー・アルメイダ(ブラジル)
セザリー・オエクシエイチョク(ポーランド)
<フェザー級/5分3R>
モーガン・シャリエール(フランス)
メルキザエル・コスタ(ブラジル)
<ヘビー級/5分3R>
ケネディ・ンゼチェクウ(米国)
マーカス・ブシェシャ(ブラジル)
<160ポンド契約/5分3R>
キング・グリーン(米国)
ランス・ギブソンJr(カナダ)
<女子ストロー級/5分3R>
アマダ・レモス(ブラジル)
ジリアン・ロバートソン(カナダ)
<フェザー級/5分3R>
ジョアンデウソン・ブリト(ブラジル)
アイザック・トムソン(豪州)
<ウェルター級/5分3R>
ニール・マグニー(米国)
ヤーソラフ・アモソフ(ウクライナ)
<ヘビー級/5分3R>
ショーン・シャラフ(米国)
スティーブン・アスプルンド(米国)
<女子バンタム級/5分3R>
ルアナ・サントス(ブラジル)
メリッサ・クローデン(カナダ)
<ヘビー級/5分3R>
アレン・フライ(米国)
ギレルミ・パッチ(ブラジル)
<女子フライ級/5分3R>
テレザ・ブレダー(チェコ)
ジェイミーリン・ホース(カナダ)

















