【RIZIN LANDMARK12】RIZIN初陣、UFC志望=山内渉「伊藤選手に負けたララミーに僕がどうなるのか」
【写真】自身の長所をごまかしと表現するのが、また山内らしい (C)MMAPLANET
11月3日(月・祝)に神戸市中央区のジーライオンアリーナ神戸で開催されるRIZIN LANDMARK12で山内渉がRIZIN初出場を果たし、トニー・ララミーと戦う。
Text by Manabu Takashima
格闘DREAMERSからプロ修斗。そして今年、Road to UFC出場を果たした山内。DREAMERSで世に出たMMAファイターたちは、口を揃えてUFCが目標としてきた。
山内も例に漏れず、UFCとの契約を目指しキャリアを積んできた。それだけに、ここに来てのRIZIN初参戦はセンセーショナルだ。会見ではRoad to UFC再出場を目標に掲げていることを明言した山内だったが、インタビューで実はRIZINをずっとチェックし、フライ級GPは出場選手と「戦ってみたい」と思って見ていたことを明かした。
いえばRoad to UFCは、日本のトップになる以前の若い選手たちがUFCを目指し、アジア勢と戦う場だ。それゆえにRIZINとは別軸の選手が戦う場所でもあった。そのなかで山内が迎えるトニー・ララミー戦。
この試合は修斗、パンクラス、DEEPというなかでなく、日本の中での自身の位置が確認できるマッチアップ。そして、再び世界に打って出ることができるのかを審判が下る――絶対に負けられない戦いである。
RIZINに出るとUFCには行けないという空気だった
――11月3日、RIZIN LANDMARK12でトニー・ララミー戦まで3週間を切りました(※取材は15日に行われた)。山内選手にとっては今年3戦目、そして3試合とも戦う舞台が違います。それにしても9月2日のLemino修斗旗揚げ戦でデウジヴァン・ソウザをKOし、2カ月後にRIZINで戦うことになるとはビックリしました。
「僕もビックリしました(笑)」
――今回、RIZIN神戸大会で戦うようになった経緯というのは?
「本当に急に、何の脈絡もなくて。練習終わりに髙谷(裕之)さんに呼ばれて、『トニー・ララミー戦のオファーがあったけど、どうする?』と聞かれました。で、『やります』みたいな感じで。前回の試合で大きなケガもなかったので、1週間後には練習を再開していましたし。
ホント、ララミーと戦わせてくれるのはビッグチャンスだと思いました」
――山内渉とうい選手を世に送り出した格闘DREAMERSは、そのゴールがUFC一色でもありました。山内選手にとってRIZINとはどういう場所だったのでしょうか。
「あの頃は、自分がRIZINで戦うことはないと思っていました。出られたら凄いことですけど、方向的にRIZINに出るとUFCには行けないという空気だったので。だから、自分が関わることはないところだと思っていました。
ただ僕はRIZINもほぼ全大会をチェックしていました。RIZINが何か別ものとか、そういうことはなくて。ただUFCに行くには、RIZINは戦うところでないという認識でいただけで。上下の幅はあれど、レベルが凄く高い団体だと思っていました」
――幅がある?
「興行的にエンタメがあって全員が強いとは思っていないですけど、特にフライ級は凄くレベルが高いです。それに朝倉海選手がRIZINからUFCに行くというそういう流れを作ってくれて。RIZINで戦うことでUFCへの道を絶たれるわけじゃないんだと最近になって感じました」
村元選手との試合を見て、『めっちゃ強いな』と思った選手
――我々的にはRIZINと交わっていなかったUFC志向の若いファイターの力が、ララミー戦を通して伊藤裕樹選手や村元友太郎選手と比較できるという点においても興味深いです。
「僕自身、伊藤選手がララミーに勝っているので、そういう見方をされることは理解しています。伊藤選手に負けたララミーに僕がどうなるのか。結果で、自分の力を判断される試合になるので頑張りたい……勝たないといけないと思っています」
――北米産MMAファイターと初めて戦うことになります。
「村元選手との試合を見て、『めっちゃ強いな』と思った選手なんです。正直、ファイトスタイルもガンガン攻めてくるので、僕の苦手なタイプではあります。Road to UFCも、そうやって攻められて一発入れられてしまったので。乗り越えることができれば、自信になる。そういう相手ですね」
――あの圧を凌げなかったのが村元選手で、いなしも含め料理できたのが伊藤選手でした。では山内選手が、この試合でやり切らないといけないのは、どういう部分でしょうか。
「作戦の話になるので、それほど詳しくは話せないですけど、自分の距離を創ることですね」
――伊藤選手はコーナーのあるリングで、圧をコントロールできました。対して、ケージの試合で村元選手は圧にやられた。それが山内×ララミー戦を占ううえでも、頭に入っているとより面白くなりそうです。
「村元選手は、ララミーがどういう選手が分からないで戦っていた。そこはあると思います。同時にリングであの試合ができる伊藤選手も凄いです。僕としてはララミーと戦うのがリングでなく、ケージなのは有難いです」
――やはりリングとケージは別物ですか。
「僕、リングで試合をしたことがなくて。ララミーとやると返答した時に、ケージかリングかも確認していなかったんです。それでも『リングだと嫌だな』と思っていました。だからケージで良かったです」
僕は一つ一つの攻撃力でいえば、凄く点数が低い人間
――では5月のRoad to UFCの敗北から、9月の勝利。ソウザ戦について、ご自身ではどのような評価を下していますか。
「まずRoad to UFCの時は人生を賭けて戦うという感じで、めちゃくちゃ緊張してしまっていました。会場の雰囲気にも完全に吞まれてしまって。『えっ、もう試合?』という感じで精神的に整わないまま戦って、ナムスライの圧でやられてしまいました」
――冷静でない状態で、ナムスライ戦の距離は危険です。
「本当にその通りで。攻めたもの勝ちという頭でした。もう殴ってぶっ倒してやろうと、それだけになっていてテクニックを使うという頭ではなかったです。それもあって9月の試合では、あまり気分をハイにすることなく冷静に戦うことを頭に置いていました」
――バックを取られ、クラッチを切って一呼吸おいたところで右を振り抜いた。MMAとして最高の攻撃だったと思います。
「僕は一つ一つの攻撃力でいえば、凄く点数が低い人間だと思います。点数の低さをごまかすために、際の攻防とか磨いてきました。意識の合間をついて、ごまかしごまかしでやって勝ってきたので。あそこは、これまで積んできた部分です。それが、たまたまタイミングがハマっただけで。ここだと思って殴ると、たまたまタイミングよく当たり、倒れてくれたのでラッキーでした(笑)」
――ずっと積んできたからこそだと思うのですが、山内選手的には「たまたま」と受け止めているのですね。同時にララミーには、あの間はないのかと。
「そうッスね。技術的には打撃とテイクダウン、組みから離れてという部分でララミーは間がない連動した選手かもしれないです。ただ人間である以上は、意識が途切れる瞬間はあると思います。やはり人間なので、ホッとする部分は試合でもほんのわずかな瞬間でも見られて。それは練習をしていても思うことで。ひょっとすると僕は、そこを見つけるのが得意なのかもしれなくて。そういう間が見られると、攻める。そういう風に、ごまかしながらやってきました」
――さきほども「ごまかし」と言っていましたが、それは山内選手の能力では? 「たまたま」でも「ごまかし」でもなくて。
「あぁ、そういう風に指摘してもらえるまで考えたこともなかったです。ヤックル(真吾)戦とかも、本当に間で決めた感じで」
――対戦相手が元気な状態でも、その間が感じられるのですか。
「元気な時は、やはり隙が見えることは少ないです。疲れた時、弱みを出した時に見えるもので。離れ際とか警戒心が薄れる時があるので、そこを衝いていくとダメージを与えることができますね」
――改めてララミー戦ですが、UFCを目指す上で来年のRoad to UFCを目指すなかで落とすと、その線が消滅するといっても過言でない試合です。
「あまり負けられない、負けられないという意識をもっているとまた固まってしまうかもしれないです。今回はせっかく大きな会場で試合ができるし、少しは場の雰囲気も楽しみたいですね。負けちゃいけないとならないようにすることが、大切だと思います」
使う立場でいると、RIZINルールは練習をしていても自由で楽しい
――ではRIZINのルールセットへの適応という面では、いかがでしょうか。
「使う立場でいると、RIZINルールは練習をしていても自由で楽しいです。ただやられる可能性もある(笑)。そういう面では、気を張っておかないといけない。そう思います。ずっと気を張っているので、いつもより練習も疲れる感じがします。
下になった瞬間、警戒しているのがパンチだけだったのが、頭を蹴ってくるかもしれないし、踏みつけてくるかもしれない。気を抜くことができないですね。でも、面白いです」
――UFCという世界一の場がユニファイドを採用しているわけですが、本来はRIZINルールの方が公平だと思います。
「RIZINルールが一番、戦いって感じですよね」
――練習の時も想定するだけでなく、その動作も取り入れているのでしょうか。
「ハイ。四点ヒザとか、サッカーボール、踏みつけも積極的に狙ってもらっています。どういうタイミングで来るのか。学んでいます。出稽古でお願いすることはなくて、FIGHT FARM限定ですけどね。FIGHT FARMの仲間も皆、楽しそうにやっています(笑)」
――言ってみるとルールも違う。負けられないというプレッシャーから解放されるという点において、Road to UFC路線を一旦は頭の隅に置いておこうという気持ちになることは?
「そうッスね……。今回は僕の格闘家人生で結構大きな試合だと思うので。敢えてRoad to UFCのことを忘れるとかはしないですけど、ララミー戦に全力で集中しています」
RIZINのチャンピオンが日本で一番強いと思っています
――RIZINフライ級戦線に割って入るという将来像を描くことはありますか。
「もちろん、GPに出ている選手達は皆強いし。『戦ってみたい』と想いながらRIZINを見ていました。そこと戦える可能性があるなら、凄くありがたいです」
――いつまでも拘るのも良くないのですが、打撃>組みととられる発言が榊原代表の口から聞かれたことがあった。そういうなかで、山内選手にとってMMAの良い試合とはどのようなモノでしょうか。
「僕は会場が大きくても小さくても、お客さんに喜んでもらうことは大事だと思ってきました。極力、お客さんが求める試合をしたいです。そのなかでテイクダウンに行くこともあるでしょうし、それはMMAに必要な技術で。そのうえで自分の強みを出すという点においても、最後にお客さんが喜ぶような打撃で倒すということを考えて、ずっとやってきました。会見では酷いことを言ったので、RIZINのファンに喜んでもらう試合をしたいです」
――Road to UFCに出たいという言葉が酷いとは思わないですが……記者の質問に答えた正直な言葉かと。
「でも、余計な一言だったので。だから、RIZINの皆さんには試合で少しでも返したいと思っています。でも、本当に記者会見とか頭が回らないんですよ……(笑)」
――会見でも頭が回る方が良いかと思いますが、一番はケージのなかで頭が回ることかと。個人的にはUFCを目指し、RIZINは違う路線だと思っていた選手がRIZINで戦うようになると、日本が強くなると期待しています。RIZINのチャンピオンが、UFCで戦えば一番結果を期待できるわけですし。
「日本では一番。RIZINのチャンピオンが日本で一番強いと思っています」
――押忍。では、最後にララミー戦に向けての意気込みをお願いします。
「良い試合を組んでいただいて、自分の格闘家人生のなかでも凄く大事な試合です。でも、あまり固くなり過ぎず試合と会場の雰囲気を楽しみたいと思います」
■視聴方法(予定)
11月3日(月・祝)
午前11時30分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!
<フェザー級/5分3R>
秋元強真(日本)
萩原京平(日本)
<RIZIN女子スーパーアトム級選手権試合/5分3R>
[王者] 伊澤星花(日本)
[挑戦者] 大島沙緒里(日本)
<フェザー級/5分3R>
ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)
松嶋こよみ(日本)
<フェザー級/5分3R>
摩嶋一整(日本)
木村柊也(日本)
<50キロ契約/5分3R>
ケイト・ロータス(日本)
イ・ボミ(韓国)
<ライト級/5分3R>
宇佐美正パトリック(日本)
桜庭大世(日本)
<バンタム級/5分3R>
中島太一(日本)
後藤丈治(日本)
<ヘビー級/5分3R>
貴賢神(日本)
MAX吉田(日本)
<62キロ契約/5分3R>
金太郎(韓国)
リ・ユンフォン(中国)
<ライト級/5分3R>
雑賀“ヤン坊”達也(韓国)
ヌルハン・ズマガジー(カザフスタン)
<バンタム級/5分3R>
鹿志村仁之介(日本)
安井飛馬(日本)
<ライト級/5分3R>
キ・ウォンビン(韓国)
キャプテン☆アフリカ(日本)
<フライ級/5分3R>
トニー・ララミー(カナダ)
山内渉(日本)
<キックボクシング51キロ契約/3分3R>
KING陸斗(日本)
水野夢斗(日本)
<OP女子スーパーアトム級/5分2R>
NOEL(日本)
海咲イルカ(日本)
<OPキックボクシング57キロ契約/3分3R>
赤平大治(日本)
翔磨(日本)
<OPバンタム級/5分2R>
宮川日向(日本)
MG眞介(日本)
<OPキックボクシング63キロ契約/3分3R>
元氣(日本)
林眞平(日本)
<OPキックボクシング51キロ契約/3分3R>
みいちゃんレンジャージム(日本)
伊藤菜の花(日本)




















