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【VT : R ZERO】メネギンとバーリトゥード戦、松本大輔—01—「どんどん点が線として繋がっていく」

【写真】聞けば聞くほど興味深い、自身がやっている格闘技のルーツに対する歴史的アクセスと技術的アクセスーー後編は技術的アクセスについて(C)SHOJIRO KAMEIKE

13日(土)、無観客配信大会として開催されるROMAN VT:R ZEROで、松本大輔がエリック・メネギンと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

これまで道着MMAを中心として大会を開催してきたROMANだが、第1回と第2回のメインでは素手バーリトゥードの試合が行われている。これまでROMAN全3大会でいずれも道着MMAを戦ってきた松本は、バーリトゥードのみの大会が開催されると聞き、即出場を立候補したという。素手による打撃、頭突き、金的も認められた初期UFCのルールに挑む松本——今回、その意味を語る。


――松本選手のインタビューは今回が初となります。ZSTでプロデビューしたのが2014年ということで、もうキャリアが10年を超えているベテラン選手です。

「そうですね。最初はずっとZSTで戦わせていただいて、結構いろんなルールを経験させてもらいました。MMAだけでなくグラップリングもそうですし、それこそZST時代——2020年、コロナ禍の頃に一度だけ道着MMAをやっているんですよ(2020年11月、「ZSTジャケットルール」で谷井翔太に判定負け)。今のROMANの道着MMAほどルールも洗練はされていなかったけど」

――洗練、ですか。プロ興行としての道着MMAはGCMコミュニケーションのORG、大道塾のTHE WARS、そして戦極のSRCジャケットルールなど幾度も試みとして行われながら、なかなか定着することはなくROMANで定期的に開催されるようになりました。

「あぁ、ありましたね!」

――そんななか松本選手は第1回から3大会で連続参戦しています。道着をまとっている松本選手のイメージが強いのですが、キャリアを考えるとピュア柔術家ではないというか、柔術専門というわけではないのですね。

「柔術専門ではないですね。確かに柔術の練習もすごく好きで、特化して練習していた時期はありました。でもキャリアを重ねるにつれてグラップリングやMMAのほうに傾倒していったんです」

――格闘技キャリアのスタートは高校時代の柔道部で。

「そうです。ただ、柔道そのものが好きだったのではないんですよ。中学まで学校の授業で少しやったことがあるぐらいで」

――では、なぜ柔道を?

「当時は自分の中でプロレスと格闘技が混在している頃でした。観ているうちに自然と絞め技や関節技に目が行くようになり、自分もやりたくなって。それが2000年代前半でしたけど、当時はまだインターネットも普及していなかったじゃないですか。情報がなくて『ブラジリアン柔術はブラジルに行かないとできない』『日本の格闘技ジムに入るには、プロレスや相撲のように入門テストをクリアしないといけない』とか思っていたんです(笑)」

――アハハハ。

「それで結局ルールもそれほど分かっていないなか、絞めと関節ができる競技ということで、高校の柔道部に入部しました」

――高校卒業後、格闘技のジムに入門したのですね。

「はい。高校を卒業する頃にはインターネットも普及していて。当時はまだMMAという言葉を使っていなくて――総合格闘技ですよね。総合格闘技と柔術を日本のジムで学べるんだ、という認識を持ちました」

――次の試合で松本選手が挑むのはMMAや総合格闘技以前、初期UFCのルールに基づいた素手のバーリトゥードです。松本選手は柔術と総合格闘技を始めた時、初期UFCはまだ見たことはなかったのですか。

「はい。僕はリアルタイムではなかったので。初めて初期UFCを視たのは……ちょっと記憶が曖昧で、うろ覚えなんですけどね。もうYouTubeがあった頃だとは思いますけど、とにかくホイス・グレイシーやケン・シャムロックの試合を見ながら『バイオレンスだな』と思っていました。自分がやっていることとは違うモノだ、と」

――その「自分がやっていることとは違うモノ」をやりたいと思ったキッカケは何だったのでしょうか。

「自分は以前から総合格闘技に対して憧れを持って過ごしていました。プロ選手になり、以前はなんとなく流して見ていたものを歴史として紐解いていく。すると自分のやっていることに関して、どんどん点が線として繋がっていくわけです」

――今の自分がやっていることのルーツをたどることで、見えてきたものがあったと。

「はい。1993年にUFCが開催されていなかったら、グレイシー柔術も広まっていない。素手のバーリトゥードが行われ、洗練されて今のMMAになり、その過程でPRIDEもありました。そんなMMAの歴史に対して興味も敬意も持っているからこそ、僕は1993年のバーリトゥードにアクセスしたくなったんですよ。

僕はピュア柔術家ではありません。でも柔術家というのはMMAやバーリトゥードの中で強さを発揮し、証明してほしいと思っているタイプで。自分自身も、その中で強さを証明したいんです」

――ただ、ルーツである素手のバーリトゥードを見た時、自分がやれるものだと思いましたか。まず大会が行われるのかどうか……。

「あぁ、そうですよね。自分のキャリアの中で、バーリトゥードの大会は二度と開かれないと思っていました。たとえ開かれたとしても、最近行われているベアナックルの試合みたいに『似たような』大会だろうと。そこでバーリトゥードの大会が行われるという発想自体がなかったです。

ただ自分としては、素手で戦うルールについては何の違和感もない。そこでROMANが素手のバーリトゥードをやると聞いた時、すぐ渡辺直由(ROMAN CEO)さんに連絡させてもらいました」

<この項、続く>

■ROMAN VT:R ZERO 視聴方法(予定)
12月13日(土)
午後2時45分~ U-NEXT

■ROMAN VT:R ZERO 対戦カード

<82キロ契約/30分一本勝負>
カイ・チー(マレーシア)
山田崇太郎(日本)

<65.8キロ契約/30分一本勝負>
エリック・メネギン(ブラジル)
松本大輔(日本)

<56.7キロ契約/30分一本勝負>
柴田宏太(日本)
杉本寛樹(日本)

<無差別契約/30分一本勝負>
藪英平(日本)
石川健太郎(日本)

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