【DEEP Tokyo Impact2025#06】杉山空と防衛戦、越智晴雄「今までやってきたことが僕を助けてくれる」
【写真】現在41歳。風貌も試合内容も、いぶし銀(C)SHOJIRO KAMEIKE
14日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP TOKYO IMPACT2025#06で、同ストロー級王者の越智晴雄が杉山空の挑戦を受ける。
Text by Shojiro Kameike
越智にとっては今年3月のRIZIN高松大会で中務修良をギロチンで仕留めて以来の試合。9カ月近い試合間隔が空いた形だが、越智は「これぐらいのペースが丁度良い」と語る。1984年生まれの越智は現在41歳、挑戦者の杉山は20歳という年齢差、そしてキャリアの差を踏まえて越智は言う。「今までやってきたことが僕を助けてくれる」――決して若きチャレンジャーを侮ることはない。これまでどおり自分の全てを出し、仕留めるだけだ。
自分の場合は、もともとやることがハッキリしている。それがよりハッキリしてきました
――リモートインタビューになりますが、背景がLittle Giant Gymではなさそうですね。
「はい! ここは石渡伸太郎さんのパグナスジムです」
――ということはもう東京入りしているのですか。
「今日の昼過ぎに、東京に着きました。まず水道橋のGRIPで上田将勝さんと練習してから、今はパグナスに来ていて。明日の選手練で石渡さんに練習を見てもらう予定です」
――パグナスで練習後のインタビューというわけではないのですね。さすがに連続で強度の高い練習は……。
「そうですね(笑)。1日何回も練習していると、もう体が壊れてしまうので。今は1回の練習でいろんなことをやっている状態です」
――今年3月のRIZIN高松大会から8カ月振りの試合となります。随分と試合間隔が空きましたが、その間も月イチで石渡さんと練習するペースは変わりませんか。
「前回の試合が終わって2~3カ月ぐらいは来ていなかったですけど、6月ごろからまた再開しました」
――杉山選手との防衛戦が決定したのは、もっと後ですよね。
「確か決まったのは10月だったと思います。でも9月に杉山選手の試合があって、そこで杉山選手が勝てば絶対に対戦することになると考えていたんですよ。だからずっと対策練習をしていました」
――結果、4年連続で12月に試合をすることとなりました。
「あぁ、そうだ。毎年12月ですね。特に理由はなくて、たまたま12月になっているだけですけど」
――フライ級GP以降、2023年と2024年は5月と12月に試合をしており、今年は3月と12月。特にストロー級に戻して以降、試合間隔が空いているとは感じますか。
「自分としてはそれぐらいの間隔が丁度良いというか。あまり間隔は短すぎず、丁度良いペースかなと思っています」
――今、年間3試合のペースで追い込むことはキツくなっていますか。
「う~ん、やれなくはないです。でも相手も限られていますし、特にタイトルマッチとなれば、そのペースでは難しいと思いますし」
――そんななか、フライ級GP以降は6連勝し、内容も判定決着は多湖戦のみ。ストロー級に落とし、さらにこの試合ペースによって精度は高まっているのでしょうか。
「自分の場合は、もともとやることがハッキリしているじゃないですか。それがよりハッキリしてきているようには感じます」
僕はギリギリ勝ったような内容でしたけど、杉山選手は良い内容で――圧倒して勝っていて。だからこそ強さを感じています
――6連勝のうち4試合は、代名詞でもあるギロチンを極めています。3月のRIZINでも中務選手がシングルレッグで組むように仕向けていたように感じました。
「あぁ~、それは狙っていたわけじゃないんですよ。中務さんも分かっているけどシングルレッグで入っちゃった、という感じで。僕は来たから反射的に取っちゃった、と」
――ただ、それこそが練習で体に染みつかせているものであって……越智選手もプロデビューから20年近く経つなかで、フィニッシュの形でなく、あらゆる仕掛けの形が染みついているのだろうと思います。
「確かに自分の中に『コレっ!』という形はあります。でも試合はなかなか思うように行くものじゃないし、瞬間的にパッと対応して極めないといけない時のほうが多いですよね。そういう時に自分を助けてくれるというか」
――これまで積み重ねてきたものが、今の自分を助けてくれている。それは本当に幾度も幾度も自分自身で考え、打ち込みもこなしていないと試合では出ないですよね。
「確かにそうですね。形に入るまで、いろんな場所やシチュエーションは常に想定して練習していました。今も打ち込みの中でギロチンに入るようにしています」
――なるほど。一方、そのギロチンで勝てば勝つほど、DEEPストロー級では対戦相手が少なくなってくるという現実はあります。
「他の階級と比べたら選手は少ないと思います。でも杉山選手をはじめ、若くて強い選手がどんどん出てきていますよね」
――杉山選手の場合は幼い頃からキックボクシングをやっていて、キックの王者になってからMMAに転向しています。そういったパターンは今後、どんどん増えそうです。
「5歳とかから格闘技をやっていたら、もうキャリアは10年以上になりますよね。だから若くても強さが完成された選手が出てきていることは感じています。特に杉山選手はキックでベルトを巻いていますから」
――MMAに転向して2連勝。その相手は多湖選手と中務選手という、自身の過去2試合と同じキャリアを辿ってきています。その点は意識しますか。
「もちろん意識します。僕はその2人にギリギリ勝ったような内容でしたけど、杉山選手は良い内容で――圧倒して勝っていて。だからこそ強さを感じていますね」
相手の強いところから逃げずに勝負して、自分の強いところを当てる
――越智選手も多湖戦はスプリットの判定勝ちでしたが、中務戦もギリギリだったと感じているのですか。
「2Rめは完全に取られていましたから……接戦は接戦ですよね。杉山選手はその中務さんを1RでKOしています。結果が全ての世界なので、それだけのレベルの選手なんだと思って練習してきました」
――ベテランのファイターであれば『2戦目でベルトに挑戦って!?』と思って当然です。しかし越智選手は杉山選手に対して、そうは考えていないと。
「アハハハ。自分は全然、そんなことは思わないです。杉山選手が挑戦者に選ばれるのは誰も文句ないでしょうし、むしろ『次は杉山選手しかいない』と誰もが思う試合内容でしたね。だから自分も正式に試合が決まる前から杉山選手のことを想定し、いつ声が掛かっても試合ができる準備はしていました。僕の場合、一回休むと戻すのが難しくて」
――戻すのが難しい、というのは……。
「もう辞めました、っていうぐらいの休み方をしてしまうと、僕はもう選手として戻れるようなコンディションはつくれないと思うタイプなんです。だから試合が終わったあとも試合がない時期でも、常に良いコンディションでいるように心がけています。やっぱり一度状態が落ちたものを、試合前に追い込むだけで取り戻せるほど甘い世界じゃないので」
――以前よりも日常から食事や休養について考えるようになったのではないですか。
「はい。特に食事は気を遣うようになりましたね。どんどんシンプルに――それこそ昔の日本人が食べていたようなイメージのものを食べるようにしています。愛媛にいる時の料理は全て奥さんが考えてくれていて、東京に来た時は外食になるけど、できるだけ魚や納豆を食べるようにしたりしていますね。あとはプロテインでタンパク質を補って」
――とても重要なことですよね。杉山選手は近年の対戦相手と比べても、バリバリのストライカーです。そのために自身の中で高めていくものが違ったりはしてきますか。
「その分やっていること、気をつけるべきことは想定しやすいですよね。それに僕は自分が持っている全てを使って戦うので、相手のタイプによってやること、やらないこと――というのは、ないです。相手の強いところから逃げずに勝負して、自分の強いところを当てる。
杉山選手は若くて、速くて、スタミナもあります。僕はピークの時に比べたらスタミナや反射神経とかは落ちていると思うんですよ。それを踏まえて、自分が勝つ。そのために今までの経験や積み重ねてきたものを合わせて、さらに考えて戦います」
■DEEP Tokyo Impact2025#06視聴方法(予定)
12月14日(日)
午前11時35分~U-NEXT、サムライTV、DEEP/DEEP JEWELS YouTubeチャンネルメンバーシップ
■DEEP Tokyo Impact2025#06 対戦カード
<DEEPストロー級選手権試合/5分3R>
[王者] 越智晴雄(日本)
[挑戦者] 杉山空(日本)
<バンタム級/5分3R>
小崎連(日本)
中務太陽(日本)
<フライ級/5分2R>
安谷屋智弘(日本)
力也(日本)
<フライ級/5分2R>
松岡疾人(日本)
松井優磨(日本)
<フェザー級/5分2R>
鈴木大晟(日本)
藤井連(日本)
<ライト級/5分2R>
井上竜旗(日本)
野尻大輔(日本)
<60キロ契約/5分2R>
今村豊(日本)
カンジ(日本)
<フェザー級/5分2R>
菊川イサム(日本)
権藤大剛(日本)
<バンタム級/5分2R>
柴田修杜(日本)
ハイメ(ペルー)
<女子ストロー級/5分2R>
横瀬友愛(日本)
堀内美沙紀(日本)
<60キロ契約/5分2R>
仁井田右楽(日本)
左京(日本)
<アマチュア フライ級/3分2R>
秋元優志(日本)
国分獅斗(日本)
<アマチュア バンタム級/3分2R>
高尾凌生(日本)
菊池佳歩(日本)
<アマチュア バンタム級/3分2R>
佐藤聖優(日本)
佐藤凛(日本)
















