【RIZIN LANDMARK11】QOPソルトと対戦、万智「ソルト選手の気持ちになって万智と戦ってみました」
【写真】自宅でリモート取材を受けてくれた万智。その後ろに写るのは……(C)SHOJIRO KAMEIKE
14日(土)に札幌市南区の真駒内セキスイハイムアイスアリーナにて開催されるRIZIN LANDMARK11で、万智がストロー級QOPのソルトと対戦する。
Text by Shojiro Kameike
札幌はソルトの地元。万智にとっては敵地で、パンクラスの現役王者と対戦することとなった。ソルトのインタビューで明らかになったが、両者は過去に2度ほど練習したことがあったという。当時から現在まで、万智はソルトの変化をどう見てきたのか。そして2連敗から3連続フィニッシュ勝利中の彼女自身は、何が進化したのか。いつもの万智らしさ全開で語り尽くす(※取材は6月4日に行われた)。
先輩たちが行きたくてもいけなかった場所に自分は行ける
――部屋に山本KID徳郁さんの写真とTシャツが見えますね。KIDさんのファンなのですか。
「はい、大好きです! 一番好きなファイターはKIDさんですね。大きな相手を倒す試合とか華があって、見る人を惹きつけるというか――あと、ルックスも好きなんです」
――生前にKIDさんと会ったことはありますか。
「それが、ないんですよ……。お会いしたかったです。中2の時にMMAを見始めたら、お父さんがKIDさんのことを教えてくれました。お父さんはKIDさんの試合とかを見ていた世代だったらしく、私も試合を視て『カッコイイ……』と思うようになって」
――万智選手の試合スタイルに、KIDさんの影響は感じられないので意外でした。
「アハハハ、KIDさんのようなファイトスタイルは目指したかったです。でもMMAを始めてすぐ『私には無理だ!』と思いました。まぁ、MMAを始める前や、今のようにちゃんとMMAと向き合う前は夢を見ていたんですよ。でも、いざ始めてみたら――現実はそう簡単じゃない(苦笑)」
――そこから現在のスタイルが構築されてきたのは、いつ頃なのでしょうか。
「アマチュアの頃は『私ってストライカーかな』と思っていたんですよ。アマチュアでは打撃を少しバンバンとやれば勝てていましたし。でもプロデビュー戦の頃には『漬けて勝つとかスクランブルのほうが得意なんだろうな』と気づきました」
――それはもう日本の女子MMAあるあるで、万智選手のように柔道など格闘技のベースがある選手は、肉体も技術もベースだけで勝ててしまう。
「あぁ、そうですね。確かにバックボーンがある選手のほうが強くて」
――一方、バックボーンだけで勝ち上がっていた選手は、早い段階で壁にぶつかります。
「それも、あるあるですね(笑)。自分の場合は最初にMMAを教えてくださった梅田恒介さんが、柔道ベースで余計なことをせずにコツコツ潰していくスタイルだったんです。だから私もMMAでは柔道ガッツリというわけじゃなくて。柔道の色を出し過ぎることなく、でも柔道の良さを生かして戦うことができていると思いますね」
――2023年末から2024年にかけて喫した、松田亜莉紗戦とパク・シウ戦の2連敗は、自身にとって壁ではなかったのでしょうか。
「松田選手との試合は、『落としてはいけない試合を落としちゃった』という気持ちはあります。あの時は試合中に集中できていなかったというか。たとえばケージ越しにベルトが見えて、『これは今日、万智が巻くやつじゃん』とか思ったりしていました」
――……。
「パクちゃんとは試合が決まるまで一緒に練習していました。練習では歯が立たないぐらいボコボコにされていたんですよ。試合を受けただけで自分のことを褒めたいぐらいで(笑)。あの試合の目標は『今までパクちゃんがRIZINで戦ってきた相手よりも、ちゃんと戦う』ということ。できることを全部出して負けたので、自分としては『やるべきことはやったかな』という気持ちではあります」
――パク・シウ戦は、まさに死闘でした。それだけに自分自身も手応えを感じたということですね。
「はい。パクちゃんは、それこそ伊澤星花選手よりも強いんじゃないかと言われていた選手で。そのパクちゃんと自分の試合内容を考えたら、私はそんなに下のレベルにいるわけじゃない。上位陣に入り込むことができているのかな、とは思いましたね」
――松田選手は5月、Road to UFCの非トーナメント戦で、中国のフン・シャオカンを下しています。試合は視ましたか。
「あまりちゃんとは視ていないけど……自分に勝った選手は、ああやって海外で勝ってくれるのは嬉しいです。梅田さんからも『松田さんの結果で、万智ちゃんの今後も分かってくるよね』と言われていて。私も海外で通用する、海外の選手にもそう簡単には負けはしないと思いました」
――これまでも海外勢との戦いについて触れている万智選手です。いつかUFCをはじめ、海外で戦いたいという気持ちは持っているのですね。
「今は目の前のことで、いっぱいいっぱいです。でも若いうちにできることをしたい。周りの先輩たちが行きたくてもいけなかった場所があります。自分はその場所に行けると思うし、行ける可能性しかなくて。その場所を見据えて、今は技術も体もつくっていきたいですね」
ソルト選手が何をやってきても、万智の攻撃で終わるように
――なるほど。現在の3連続フィニッシュ勝利は、パク・シウ戦の手応えのままで戦うことができているのでしょうか。
「いや、逆ですね。松田選手との試合から、結構慎重になっちゃって。毎回試合に対する準備が丁寧になってきた気がします」
――3月のRIZIN高松大会でも、パク・ソヨンをすごく丁寧に詰めている印象はありました。
「正直、あの試合は実力差があったと思うんです。私が最初から思いきり行って勝つのは簡単かもしれないけど、私は今後のために成長できない。やっぱり距離感とか試合でしか体験できないものもあるので、1Rは打撃、2Rから組みに以降とセコンドの梅田さんと話をしていました」
――あの試合で万智選手が瞬殺していても、木村柊也選手に全部持って行かれていたでしょう。メインのタイトルマッチも凄い試合でしたし。
「そうなんですよ! 私のあとに試合をする人たちが、みんな凄くて。もう後半には私の試合なんて忘れているだろう、っていうぐらい(笑)」
――アハハハ。次は相手の地元・札幌で戦います。ソルト選手とは以前に練習したことがあると聞きました。
「はい。1年ぐらい前ですかね? ソルト選手がマスタージャパンの女子練習会に来て、その時は5分間に私が何度も倒して何度も極めた印象しかなくて……。でも『すごく研究熱心な選手だな』という印象はありました。あ、そうだ! ナイスタイミングですよ」
――何でしょう?
「練習場所にソルト選手がTシャツを忘れていったので、私がお手紙を添えて札幌に送ったんですよ。さっき部屋の掃除をしていたら、書き直す前のお手紙が見つかりました」
――えっ!? すごいタイミングですが……「そるとさん」と、なぜ平仮名なのですか。
「それはいいじゃないですか(笑)」
――万智選手と練習した頃と比べて、ソルト選手に変化は見られますか。
「ソルト選手ってすごく練習もしているし、試合を重ねるごとに強くなっていることは分かります。だから1年前に練習した時とは別人だろうなって思いますよ。あの時は練習だし、出稽古先ということもあって、打撃も試合とは違うでしょうけど」
――記者会見のフェイスオフでも、やはり体格差はハッキリしていました。
「周りの人たちは『万智にとっては、やりやすいんじゃない? 相手は万智のようなタイプは嫌だよ』とか言うんです。でもあれだけ体格が違う選手は――柔道時代には対戦したことがあるけど、まだMMAでは経験がなくて。会見で選手が並んでいる写真を見ても、ソルト選手は男子選手よりも背が高いぐらいでした。反対に私はストロー級の中でも背が低いほうじゃないですか」
――海外だとストロー級では、ソルト選手のサイズが標準になりつつあります。
「私も通常体重は海外の選手と同じぐらいですけどね(笑)」
――アハハハ。
「そういう相手に、いろいろ試していくことで、私にとっても良い経験になると思います。メチャクチャMMAをしまくって、万智らしく、万智全開で勝ちたいです!」
――万智らしく、万智全開とは……深く探らないほうが良いですか。
「いやいや(苦笑)。どういうことかというと私、ソルト選手の気持ちになって万智と戦ってみたんですよ。きっとソルト選手がやってくるだろうということを考えて練習してきて、そのうえで私はコレをやる。コレをやってきたら私はこう――と考えて、つくり込んできました。ソルト選手が何をやってきても、万智の攻撃で終わるように」
――ソルト選手が、自身の想定を超えてきたらどう対処しますか。
「その時はもう――勢いで勝ちます!」
■視聴方法(予定)
6月14日(土)
午後12時30分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE
■RIZIN LANDMARK11 対戦カード
<フェザー級/5分3R>
ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)
木村柊也(日本)
<ライト級/5分3R>
堀江圭功(日本)
西川大和(日本)
<フェザー級/5分3R>
ビクター・コレスニック(ロシア)
SASUKE(日本)
<RIZINワールドGPヘビー級T一回戦/5分3R>
アレクサンダー・ソルダトキン(ロシア)
プリンス・アウンアラー(フランス)
<バンタム級/5分3R>
中島太一(日本)
CORO(日本)
<バンタム級/5分3R>
後藤丈治(日本)
鹿志村仁之介(日本)
<52.5キロ契約/5分3R>
ソルト(日本)
万智(日本)
<バンタム級/5分3R>
マゲラム・ガサンザデ(アゼルバイジャン)
安藤達也(日本)
<フェザー級/5分3R>
イルホム・ノジモフ(ウズベキスタン)
新居すぐる(日本)
<ヘビー級/5分3R>
シナ・カリミアン(イラン)
荒東“怪獣キラー”英貴(日本)
<フェザー級/5分3R>
山本空良(日本)
鈴木博昭(日本)
<フェザー級/5分3R>
遠藤来生(日本)
ザーシバーディン(中国)
<キック 61キロ契約/3分3R>
上野奏貴(日本)
山川賢誠(日本)
<キック 64キロ契約/3分3R>
上野空大(日本)
ファーパヤップ・GRABS(タイ)
<キック 55キロ契約/3分3R>
としぞう(日本)
鵜澤悠也(日本)
<ウェルター級/5分2R>
成田佑希(日本)
能登崇(日本)
<フライ級/5分2R>
鈴木嵐士(日本)
早坂優瑠(日本)
<バンタム級/5分2R>
小林大希(日本)
森永ユキト(日本)
<キック 52.5キロ契約/3分3R>
西島恭平(日本)
林修斗(日本)