【PFL WT2025#05】Fe級準決ハイブラエフ戦へ、キム・テキュン「絶対勝つというより、負ける気がしない」
【写真】キム・テキュンは145.6ポンドでクリア。ハイブラエフも145.5ポンドで計量をパスしている (C)PFL
12日(金・現地時間)にテネシー州ナッシュビルのナッシュビル・ミュニシパル・オーデトリアムで開催されるPFL WT2025#05。フェザー級トーナメント準決勝でキム・テキュンがモヴィッド・ハイブラエフと対戦する。
text by Manabu Takashima
ヘスス・ピネド、ガブリエル・ブラガ、そしてハイブラエフとPFL=北米シーンで実績を残すサミファイナリスト達と並び初戦を立ち抜いたキム・テキュンは、連戦で減量状態続きの状態にはストレスを感じながらも勝ち上がりに絶対の自信を持っていた。
4人のなかで最もネームバリューの無い彼だが、中東のタフなプロモーションで実力者と戦ってきた日々が、その自信の裏付けとなっていた。
■キム・テキュンの母国以外の対戦記録
:2019年11月
won エリッキ・ダ・シウバ(ブラジル※その時点での戦績22勝6敗)@BRAVE CF
:2020年10月
won アルトゥル・チャベス(メキシコ※同7勝5敗)@BRAVE CF
:2021年3月
Won フセイン・カジマゴメフ(スイス※同7勝0敗)@BRAVE CF
:2021年8月
Won ヌルザン・アキシェフ(カザフスタン※同11勝2敗)@BRAVE CF
:2021年3月
Lost ロマン・バガトフ(ロシア※同12勝1敗)@BRAVE CF(フェザー級王座決定戦)
:2024年1月
Won カーロス・ジョン・デ・トーマス(フィリピン※同10勝4敗)@UAEW
――PFLワールドT準決勝まで10日ほど、今の調子はいかがでしょうか(※取材は2日に行われた)。
「全体的に順調に仕上がっています。良い感じです」
――4月の1回戦、ネイト・ケリーをRNCで仕留めPFL本戦における韓国人ファイターの初勝利となりました。
「勝ったことは当然、嬉しいです。ただ韓国人選手が、ほとんどPFLで戦っていないから初勝利が自分のモノになっただけだと思っています」
――歴史にその名を刻んだことも、特に想うモノのないと?
「歴史には残ったと思います。それも嬉しいです。ただ、これから2試合勝たないといけないので、この時点で喜びすぎることはないです」
――なるほどです。去年の今頃、プチョンのBlack Combatジムで話を聞かせてもらった時には、RIZINに出たいという話をされていました。結果、PFLで戦うことを選んだのは?
「残念ですが、RIZINからオファーはなかったです。PFLに関しては、優勝賞金が50万ドル。この額の多さは、参戦を決めるのに大きな要因になっています」
――シーズン制の100万ドルから半額になりました。契約をするときもシーズン制でなく8人トーナメントだったのですか。
「ハイ。国の契約する時からシーズン制でなくトーナメント。優勝賞金も50万ドルでした。半額になったことは正直、残念です。でも、それ以上に世界に向けて存在証明ができる場としてPFLを選んだという一面もあります」
――国の経済としては苦しいですが、ウォン安で以前よりも25パーセント増しの額は大きいですよね。7億5000万ウォンになります。
「そうですね。以前だと5億ウォンですからね(笑)。個人的には嬉しい限りです。ただ国家の経済を考えると、申し訳ないですね。この国のことが、好きですから」
――ところで、これまでのキャリアで4カ月で3試合という試合間隔はなかったかと思います。
「まずケガをしないように気を付けないといけないですね。それと常に減量をしているような状態を保たないといけないのは簡単ではないです。4月に勝った時も1、2週間は食べたいモノを食べましたが、量は好きなだけ食べることはできなかったです。体重が増えないよう神経を使うので、ストレスにはなっています。
それでも順調に体重管理はできていたのですが、やはり空腹感が続くのは苦しいです(苦笑)」
――BRAVE CFやUAEWという中東系のプロモーションを経験してきたキム・テキュン選手ですが、PFLという北米メジャーのファイトウィークは何か違いは感じますか。
「実はBRAVE CFの時の方が楽でした。BRAVE CFではスーパーでの買い出しや、何か移動が必要な時は常に車を用意してくれました。PFLはさすがにそこまではなくて、そういう時は自分たちで動くしかないので。そこはBRAVE CFの方が楽でした」
――確かにBRAVEはメディアも、そういうケアをしてくれることがありました。米国は自分の力でというのも頷けます。そんななか、PFL WTでベスト4。次の対戦相手モヴィッド・ハイブラエフを始め、残ったメンバーは北米での実績とMMA界で認知されたトップファイターばかりです。そのメンバーとやり合う状況をどのように捉えていますか。
「正直にいって緊張もしていないですし、プレッシャーも感じていません。この3人に自分が負ける気がしないんですよ。ハイブラエフにしても絶対に勝てるというよりも、今言ったように負ける気がしなくて。打撃、レスリング、グラウンドとどの局面でも、若干自分の方が上で楽に戦える気がします」
――その自信、どこから生まれるのでしょうか。
「自分は韓国国内だけでなくアブダビ、バーレーン、カザフスタンでロシア人や中央アジア、ブラジル人と戦ってきました。国際戦を戦う大切さを知っているつもりです。国内で戦ってトップになり、国際戦に挑んで負ける選手たちよりも自分の経験値は遥かに上だという自負はあります。
だから、今回の試合前も全く緊張することなく準備をすることができています。過去最高にリラックスしています。そういうキャリアを選択したことで、逆に試合期間が空いてしまったこともありました。でも、この間に力をしっかりとつけることができたとも思っています。それだけやってきたので、試合前でもリラックスできているんだと思います」
――とはいえ1回戦に勝った時は、目に光るモノが見られたようにも感じました。
「あれは……ここまでやってきた苦労が報われた。そういう喜びですね。やはり大舞台で戦うことができず、試合機会を待っていた期間は精神的にも厳しかったですから」
――ではさらに報われるために、今回のハイブラエフ戦は重要になってきます。
「これは今回の試合に限らず、いつも試合前に思っていることなのですが、自分がやりたい戦いをしたいと思っています。ある意味、負けても良いから悔いのない試合をする。それで負けてもしょうがない。でも、そう風に戦って勝ちたいと思っています」
――押忍。今回、ウェルター級では菊入正行選手が出場します。極東から2人のファイターが世界に挑む。そんな姿を日本のファンも応援するはずです。最後に日本のファンにメッセージをお願いできますか。
「日本で自分が知られるとは思えないのですが、試合を見て応援してくださるなら光栄です。頑張ります。アリガトウゴザイマス」
■視聴方法(予定)
6月13日(金)
午前9時15分~U-NEXT
■PFL WT2025#05対戦カード
<ウェルター級準決勝/5分3R>
ジェイソン・ジャクソン(ジャマイカ)
サッド・ジーン(米国)
<フェザー級準決勝/5分3R>
ヘスス・ピネド(ペルー)
ガブリエル・ブラガ(ブラジル)
<ウェルター級準決勝/5分3R>
ローガン・ストーリー(米国)
菊入正行(日本)
<フェザー級準決勝/5分3R>
モヴィッド・ハイブラエフ(ロシア)
キム・テキュン(韓国)
<フェザー級補欠戦/5分3R>
ジェレミー・ケネディ(ロシア)
アダム・ボリッチ(米国)
<フェザー級/5分3R>
アザエル・アジュージ(フランス)
イーブ・ランジュ(フランス)
<ウェルター級補欠戦/5分3R>
マゴメド・ウマラトフ(ロシア)
アンソニー・アイヴィー(米国)
<ウェルター級戦/5分3R>
ジョセフ・ルシアーノ(豪州)
サレック・シールズ(米国)
<ウェルター級戦/5分3R>
ムハメド・ベルハモフ(ロシア)
ケンドリー・セントルイス(米国)
<フェザー級/5分3R>
アレクセイ・バーガンデ(米国)
ネイサン・バーズレイ(米国)
<バンタム級/5分3R>
ジェイソン・ダナー(米国)
ネイサン・ギルモア(米国)