【BRAVE CF53】勝者も敗者もアッパレ。年間ベストバウト賞モノの激闘でキム・テキュンが魂の判定勝ち
<フェザー級/5分3R>
キム・テキュン(韓国)
Def.3-0:30-27.30-27.29-28
ナルザン・アキシェフ(カザフスタン)
サウスポー同士の一戦、右ジャブを伸ばすキムがアキシェフのローをかわしたが、右フックを被弾し、動き止まる。パンチの連打を受け、組んだところで倒されたキムは、バタフライガードから立ち上がりながら、ダーティーボクシングで殴られる。それでも首相撲からヒザを放ち、離れたキムは右ジャブを伸ばす。
アキシェフは既に肩で息をしながら、左ローを思い切り蹴っていく。キムは息を整えつつも、再び右フックを被弾してしまう。直後に跳びヒザの着地からパンチをまとめたキムが再びヒザ蹴り、さらにパンチを連打してヒザを突き上げ、右ジャブを入れる。アキシェフのダブルレッグを切ったキムは、またも右を受けそうになるが、これは紙一重で外しシングルレッグも切る。
完全に動きが落ちたアキシェフだが、パンチの勢いだけは衰えず左フック、右を思い切り振るっていく。キムは下がらずパンチを纏め、ヒザを顔面に突き上げる。ケージに詰まってヒザを受けるアキシェフ、距離を取り直したキムが再び首相撲からヒザをケージ中央で決める。ボディへの連打で離れたアキシェフのダブルレッグをキムがギロチンで斬り返したところで、初回が終わった。
2R、右ジャブを打ち合う両者。アキシェフが左ローを2発入れるが、キムもワンツーで前に出て右アッパーから前蹴り、さらにワンツーに続きヒザを連打する。アキシェフは鼻血を流しながら左を返すが、勢いはキムにある。ダブルレッグを潰し、スタンドに戻ったキムが右ジャブを入れ、右フックからパンチを連打する。アキシェフの左は当たらず、逆にキムのパンチが確実にその顔面を捕え、ハイキックへ。ダブルレッグを切り返し、上を取ったキムだが、寝技にいかずスタンドで待ち受ける。
ここでレフェリーがドクターチェックを要求する。と、セコンドが入ってきて、鼻血を止める──ロシア系のアウェイ感がいきなり感じられる展開に。再開後、左オーバーハンドを被弾したキムは、エルボーを受けてしまう。それでも右ジャブを当てたキムは、ケージに詰まったアキシェフにパンチを連続で入れると、左オーバーハンドをかわして右を当てる。キムはワンツー、右ジャブを的確に決め、アキシェフのパンチはヘッドスリップを駆使して受けない。距離を詰めたキムは首相撲から数えきれないほどヒザを突き上げる。ここで時間となり──鼻は完全に折れているようだが、心は折れないアキシェフだった。
最終回。両目の回りを腫らし、鼻が大きく曲がっているアキシェフが左ローを蹴るが、続く左は空振りに。ダブルレッグを切ったキムは、ケージに押し込まれる前に回って離れる。一発狙いのアキシェフは、さすがに足が前に出なくなっている。
キムはジャブを当て、アキシェフのパンチをかわすとハイを狙う。これは当たらず、再びジャブに切り替え、上半身を振ってカウンターを打っていく。ラッシュを掛けず、ジャブを的確に当てるキムは、アキシェフの蹴り足を掴む。とアキシェフは余った方の足で、蹴ろうとするなど恐ろしいまでの根性を見せる。それで蹴りは空振りに終わり、キムはパンチを数発入れて、スタンドに戻る。ここでアキシェフはローに、右を合わせる。
それでもキムは余裕を持ってダブルレッグを防御し、ジャブから右ハイ。シングルも切って、ワンツーを伸ばす。テンカオで近づき、ヒザ蹴りを入れると、離れて蹴りを散らしたキムは最後もテイクダウンを切り、ヒザ蹴りからパンチを纏める。ヒザ、ワンツー、おまけとばかりに跳びヒザを入れたところで時間となり、キムは笑顔で右手を高々と掲げた。
アキシェフにホームタウン・デシジョンはなく、キムは勝者コールに涙を浮かる。残念ながら、勝利者インタビューはコーチが携帯の翻訳機能を使って英語を話したものの残念ながら「フェザー級タイトルが欲しい。サンキュー、カザフスタン」という言葉しか聞き取れなかった……。
それにしても、初回のピンチを乗り切ると、アキシェフの攻撃にも下がることなく、精度で流れを引き戻したキム・テキュン。気持ちで遅れを取ることは一切ない、凄まじい判定勝ちを手にした。