この星の格闘技を追いかける

【DEEP123】RTUからの復帰戦、魚井と対戦する小崎連の自己分析「僕って一番オイシイ相手じゃないですか」

【写真】RTUでの戦いを生かすことができるかどうか。生かすための資質が、小崎からは感じられる(C)SHOJIRO KAMEIKE

8日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP123で、小崎連が魚井フルスイングと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

小崎にとっては今年5月、Road to UFC初戦でダールミス・チャウパスゥイに敗れて以来、7カ月ぶりの復帰戦となる。チャウパスゥイ戦では初回に3度のダウンを奪いながらも、2R以降に盛り返されて判定負け。初黒星を喫した小崎にとっては、再度UFCを目指すための重要なリスタートとなる試合だ。そんな小崎にRTUを感想を訊くと、魚井戦に向けた冷静で客観的な自己分析が返ってきた。


――RTU初戦敗退から約半年を経て、DEEPで復帰戦に臨みます。RTU後の展開については、どのように考えていたのでしょうか。

「いくつか選択肢はありました。DEEPさんで復帰戦をやらせてもらうか、KROSS X OVERでもう1回試合をやらせてもらうか。主な選択肢は、その2つでした」

――結果、DEEPで復帰戦を行うことになった要因は何だったのですか。

「良いオファーを頂いたからですね。魚井フルスイング選手という名前があるファイターで、ここで勝てば僕にとっては凄くオイシイ話ですし。これはチャンスだな、と思ってオファーを受けさせていただきました」

――DEEPの1週間後となる15日にはKROSS X OVERのプロ大会が行われます。しかも通常の大会より規模が大きいですよね。

「そうですね。毎回プロの試合は行われていますが、14日がアマチュアで15日がプロと、2日間に分けて開催されるのは初めてだと思います。規模としては大がかりな大会です」

――リバーサル久喜&KROSS X OVERの島村直希代表からすれば、その15日のKROSS X OVERで小崎選手の復帰戦を組みたいと考えるかもしれません。

「そうだと思います。そんななかで僕のためにDEEPの試合を選ばせてくれて、本当にありがたいです」

――同時にジムの中も大変ですよね。2週続いて、これだけ試合があると……。

「はい(笑)。僕も自分の試合が終わったら、すぐ大会やチームメイトのお手伝いをさせていただきます」

――チームメイトと練習のピークの時期が少し違うだけでも、小崎選手の調整には影響を及ぼしませんか。

「そこは良い感じでやってもらっていて、僕だけじゃなく皆が良いように練習できています。僕自身もバッチリですね。このインタビュー直前まで練習していたんですけど、すごく良い動きができているので問題ないです」

――確かにリモートの画面越しでも、まず肌の状態を見るかぎりコンディションが良いことは分かります。減量も順調ということですね。

「そうなんですよ。今回は結構前から体重調整も準備していて、あとは計量前日に水抜きで落とすだけ――というぐらいの状態になっています。だからコンディションも凄く良いですね」

――試合前のインタビューでも仰っていたとおり、RTUは小崎選手のキャリアにとって初の大舞台です。そのなかで小崎選手が落ち着いた表情で試合を迎えていることが印象的でした。

「あまり覚えていないんですけど――特に変な緊張感もなくて。環境が変わったからといって浮足立ってしまう、ということもなかったですね。普通に、いつもどおりの感じで試合に臨むことはできました」

――試合では右ストレートを当て、ダウンを奪い続けました。あの展開はイメージどおりだったのか、あるいはイメージ以上ではなかったですか。

「右を当てるのはイメージどおりでした。でも、もっとうまく左を使って最終的に右を当てるというプランだったんです」

――3度ダウンを奪いながらも倒し切れなかった。それは左をうまく使えておらず、右が当たっても完全にKOするような手応えは感じていなかったのでしょうか。

「それもあるとは思いますけど、失神させるような当たりではなく、すべてフラッシュダウンのような感じだったじゃないですか。自分の中でも『これでは倒れないな。でも効かせることはできたのかな』と思っていて。あの時に『これは効いている。もっと行けば倒せる』という感覚があれば、そこで倒しに行っていました。だけど全てが中途半端な当たり具合で、結果的にも中途半端になってしまいましたね」

――2R以降はセコンドから「一発を狙いすぎるな!」という指示が飛んでいました。

「1Rに右が当たっても倒せていない。だから2Rからは『もっと頑張らないと!』と考えて狙いすぎになり、大振りになったところで組まれて、そのまま僕が下になって漬けられてしまいました。1Rが想定以上にうまく行っちゃったんですよ(苦笑)。

だから相手は打撃戦じゃなく組みに来ることも分かっていたのに、自分が大振りになってしまって。より相手に戦いやすい状況を与えることになりました。試合を振り返ると、それがダメだったポイントですね」

――一方で、倒されてから立ち上がる能力の高さは見せつけていたと思います。

「ありがとうございます。でも僕としては『そんなに……』なんですよ」

――というと?

「まずは倒されず、離してから打撃を当てないといけない場面が多かったからですね。なのに、ただ寝かされて立ち上がる、寝かされて立ち上がるということを繰り返しただけでは、勝ちには繋がらないじゃないですか。僕としてはまずテイクダウンされずに、相手にとって嫌なことをやり続けたかったです」

――なるほど。ディフェンスからオフェンスに繋げることができていなければ意味はないわけで。

「2R以降は僕がディフェンス一辺倒になってしまいましたからね。それはあの試合を経て、課題として見えてきた部分です。RTUが終わってからは、まずフィジカルトレーニングに取り組み始めました。それと、ただ倒されない、ただ立ち上がるというだけではなく、その次に繋げるための練習を強化しています」

――試合前のインタビューでは「Road to UFCに出ることで自分のことを知ってくれる人は多い」と仰っていました。ではRTUで自分のことを知ってもらうチャンスをチャンスを生かすことができたのか。あるいはUFCと契約する大きなチャンスを逃してしまったのか。どちらの気持ちのほうが大きいですか。

「正直言うと、両方です。やり方次第では勝てる試合でした。でも勝てる試合を落としてしまったことで、後悔もあります。でも試合を視た人からは『負けたけど良かった』という声も多くて、僕のことを知ってもらうことはできたんじゃないかと思います。だから、両方ですね」

――もちろん勝てば、どちらのチャンスもモノにできていたでしょう。これは「たられば」ですが、RTU初戦で惨敗していれば、復帰戦の扱われ方も……。

「アハハハ、それはそうだと思います。逆にあの試合内容だったからこそ――もう僕が絶対に勝つと思われるようなマッチメイクはないだろうと考えています。他の選手からすれば、僕って一番オイシイ相手じゃないですか。逆の立場だったら自分はそう思いますよ(笑)。

だからしっかり練習していないと、僕は越えられる壁が越えられない。反対に僕が越えられてしまう。だからRTUで負けたあと、『より一層頑張らないといけない』って気が引き締まりました」

――負けたけれども、あの試合内容を見せた小崎連を倒せば自分の名前が上がる。魚井選手こそ今、最もそんな試合を欲しているファイターの一人でしょう。

「魚井選手はMMAで4連敗していて、9月にようやく連敗を脱している。そこで次の試合を落としたら、今後のキャリアが危うくなる立ち位置ですよね。でも勝てば、もう一度上に行くことができる。だから相手も死に物狂いで立ち向かってくることは自覚しています。

僕も同じです。この試合で負けたら――もう後がない、というわけではないと思います。だけど負けたら、UFCへの道にもう一度最初から並び直さないといけないですよね。レコード的には2連敗になると、国内のプロモーターも使いづらくなるでしょうし」

――えっ!? 使いづらくなるでしょうか。

「だって、プロモーターからすれば『RTUであの試合をしておいて、ここで負けるのか』と思うじゃないですか」

――あぁ、なるほど。確かに『負けたけど良い試合』の直後はキツイだろうと思います。内容や結果によっては「あの試合はまぐれだったのか」と思われるかもしれませんし。

「そうなんですよ! それが一番嫌です(笑)。やっぱりRTUに対しても、初戦敗退のままでは終われないと思っています。もう一度RTUに出るためにも次の試合は落とせないし、それこそ『この選手に勝てば来年のRTUにエントリーできる』という相手と対戦する必要もあると思っています。

RTUに出るためにはレコードが重要になるじゃないですか。ただ勝っているだけではダメで。今年初戦敗退の選手が来年も出るためには、それだけの相手に勝たないといけない。来年だけじゃなく再来年に開催されるとしても……」

――はい。

「UFCと契約するためにはレコードもそうですけど、年齢も大切ですよね。契約するだけでなく、その後も勝ち続けていくことも考えると。もし結果が良くなくても、つくり直すこともできる。だから早く挑戦できることは、どんどん挑戦したいです。もちろんそのためには毎試合、とんでもない相手と組まれるかもしれないけど、それはファイターなら仕方のないことだと思いますし。

次の魚井選手も、僕にとっては越えなくてはならない高い壁です。RTUが終わって半年――そろそろ自分のことも忘れられている頃だと思うので、ここで魚井選手に勝って僕の存在を証明します」

■DEEP123 視聴方法(予定)
12月8日(日)
午後5時05分~ YouTube DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ、U-NEXT、サムライTV

■DEEP123 対戦カード

<フェザー級/5分3R>
青井人(日本)
芦田崇宏(日本)

<バンタム級/5分3R>
ソン・ジンス(韓国)
CORO(日本)

<ライト級/5分3R>
西川大和(日本)
宇佐美正パトリック(日本)

<フライ級/5分3R>
本田良介(日本)
関原翔(日本)

<ストロー級/5分3R>
越智晴雄(日本)
多湖力翔(日本)

<ライト級/5分3R>
神田コウヤ(日本)
山田聖真(日本)

<フェザー級/5分3R>
高橋遼伍(日本)
GINJI(日本)

<バンタム級/5分3R>
魚井フルスイング(日本)
小崎連(日本)

<フェザー級/5分2R>
安井飛馬(日本)
牧野滉風(日本)

PR
PR

関連記事

Error, no Advert ID set! Check your syntax!

Movie