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【Road to UFC2024Ep03】Asian Dreamか、Asia’s Got Talentか。小崎連「一撃で倒せる打撃」

【写真】2001年12月15日、埼玉県秩父市出身の小崎。リバーサル久喜&KROSS X OVERの島村代表と(C)REN OZAKI

19日(日・現地時間)に中国は上海のUFC PIで開催されるRoad to UFC2024 EP03。そのメインで小崎連がダールミス・チャウパスゥイと戦う。
Text by Manabu Takashima

小崎連、その名を聞いて顔が思い浮かんだMMAファンがどれだけいただろうか。3月のDEEPで力也に初回KO勝ちを収めている小崎はKROSS X OVERでキャリアを積み、6勝0敗2分&5KOというレコードを持つ。

全くのノーマークから、MMA版シンデレラストーリーを現実のモノとするか。小崎を初インタビューした。


(C)Zuffa/UFC

――小崎選手、初めまして。MMAPLANETでは初インタビューどころか試合レポートも掲載されたことがなかったです。正直、その小崎選手がRoad to UFCの出場権を得たことは驚きでした。

「Road to UFCに出ることで自分のことを知ってくれる人は多いです。他の日本人選手と比較して、知られていないという気はしていました」

──3月の終わりごろに小崎選手が出場するという情報が入り、レコードをチェックして3月のDEEPで力也選手に勝っていることを再確認させてもらいました。Road to UFCに出場を申し込んだ時、参戦できる自信はどれほどありましたか。

「正直な話、出られるとは思っていなかったです。3月の終わりに決まったのですが、『マジか。えっ、本当に』というのが最初に湧き上がってきた感情です(笑)」

──ちなみに、それ以前のキャリアップ計画はどのようなモノだったのでしょうか。

「Road to UFC出場が一番、最良で。そうでないとKROSS X OVERに戻ってバンタム級のベルトを狙おうと思っていました」

──ではDEEPでもなかったと。

「DEEPでも試合をしたいと思っていましたけど、まずはお世話になってきたKROSS X OVERに一度戻ってチャンピオンになる。それからDEEP、RIZINとか徐々にステップアップできればと考えていました」

──ところで小崎選手がMMAを始めたのは、いつ頃でどういうきっかけだったのでしょうか。

「小学2年生から高校までずっと野球をやっていました。小さい頃に父が格闘技か野球を見ているという感じで、元々興味があって。高校は寮生活をしていたのですが、時間のあるときにYouTubeでHERO’SとかPRIDEを漁って視るようになっていました。所(英男)選手のことが動画で好きになったのですが、高校3年生の時にRIZINで堀口(恭司)選手が所選手に勝って……堀口選手が恰好良いと思うようになりました(笑)。

自分でもやってみたくなり、調べるとリバーサル久喜が高校の近くにあったんです。一回行ってみようかっていうのがきっかけで、続けることになりました」

──寮生活ということは、野球で高校に進学したのですか。

「一応、その形です」

──ちなみに高校の方は?

「花咲徳栄高校です。中村倫也さんの出身校ですね」

──えっ、名門中の名門ではないですか。

「僕はベンチにも入れなかったですが、3年連続で甲子園には出場していまし、1年の時に優勝しました」

──例えベンチ入りできなくても、進学した時点で中学の時などは相当の活躍をしていたのでは?

「中学の時にはそれなりには頑張っていました(笑)」

──野球、サッカー。多くの子供達がそれらを目指し、脱落して他のスポーツを始める。我々の時代はそうだったので、野球で結果を残せる人の運動神経は抜けていると思っています。MMAを始めて、そういうことを感じたことはなかったですか。

「バッティングやピッチングの体の使い方が、似ていると思うところはありました。野球をやっていた人はパンチや打撃が上手いという印象があります。パラエストラ八王子の高木凌選手やEXFIGHTの中村京一郎選手のように」

──小崎選手も6勝中、5試合がKO勝ちですね。ストライカーだと思ったきっかけなどありましたか。

「そんなに大したものじゃないですが、試合をしていて倒せるなと思ったのがきっかけです。感覚ですね」

──4 勝と3KOがKROSS X OVERで挙げた記録ですが、KROSS X OVERでキャリアを始め、積んできたのは?

「ジムの島村(直希)代表がKROSS X OVERを主宰していたからです。アマチュアから試合を出させてもらって、そのままKROSS X OVERでキャリアを積んできた形です」

──3月にDEEPに出たのは、どのような考えがあってのものだったのですか。

「FKTで優勝していて、去年の7月にDEEPの名古屋大会に出させてもらっています。Road to UFCの選考結果待ちの状況で、最後の試合が去年の11月だったので、間に1試合挟んだ方が良い、そこで勝てば有利になるという想いもありました」

──力也戦を見ていた人のほぼ全員が、Road to UFC行きへの小崎選手の強い想いを知らずに観戦していたと。

「ハイ(笑)。皆が思っているより、あの試合は大切でした」

──勝つだけでなくフィニッシュのインパクトがあった方が良く状況でしたが、狙い通りの1RKO勝ちだったのでしょうか。

「いえ、フィニッシュを狙うということはないです。絶対に必要なのは勝ち星で。判定勝ちを狙うなかで、自分の良さが出るとフィニッシュできれば最高だという考えでした。結果として、良い形になりました。

普段からフィニッシュを狙うということはなく、結果的にそうなれば良い……判定で勝てるよう頑張る。そういう気持ちで戦い、KOできそうなら創っていく。最初からKOを狙うと、固くなってしまって思うように戦えないと思います」

(C)Zuffa/UFC

──しっかりとした軸があって、MMAを戦っているのですね。

そのようななかRoad to UFC初戦はダールミス・チャウパスゥイが相手です。去年のベスト4、過去最強の相手であることは間違いないかと思います。

「相当、強いと思います(苦笑)。やはりダールミス選手は組みに自信があると思います。特に壁レスとか、グラウンドでのポジションキープが上手い。自分が動きを止めると、完全に相手のペースに吞み込まれます。僕と相手選手の間に力の差があるなら、そこを埋めるために何かをやらないといけない。相手が嫌なことをやり続けるのが作戦です」

──どれだけフィジカルが強くても、アゴを打ち抜けば倒せる自信が?

「あります。もちろん(笑)。そこを信じてやっています。自分が支配される展開になっても、諦めないでいれば一発で逆転できるチャンスはある。自分が戦える場所に持っていく。そこがキーポイントになります」

──同じ階級に野瀬翔平選手、透暉鷹選手という日本人選手も出場しています。勝ち上がれば日本人対決もあります。

「今はダールミス選手に勝つことだけを考えているので、その先のことは頭にないです」

──MMA界におけるネームバリューは、現時点で他の日本勢と比較して最下位です。それだけに試合で、全てをひっくり返すことができる。考えるだけでもワクワクしませんか。

「それは……知名度の低いので、逆に戦いやすいです。透暉鷹選手や野瀬選手は皆に期待されている分、プレッシャーもあると思います。自分は負けて当たり前と思われている認知度なので、挑む他ない。なのでマインド的には戦いやすいです」

──今、着ているTシャツにもKROSS X OVERの文字が見えますか。思い入れが強そうですね。

「KROSS X OVER愛はあります。ありますし、経験がないところからしっかりと育ててもらったので恩返しじゃないですけど、KROSS X OVERからでも大きな舞台に行けるんだよという道標に僕がなることができれば、KROSS X OVERももっと盛り上がっていくんじゃないかという想いもあります。

同時にKROSS X OVERだけで戦っていたら、このチャンスはなかったとも思っています。3月にDEEPで勝てたからこそ、この場にいることができる。DEEPの佐伯繁代表への感謝の気持ちは僕も島村代表も持っているので。しっかりと戦います」

──では小崎選手に注目をし始めたばかりのMMAPLANETの読者の皆さんに一言お願いします。

「そうですね、一撃で倒せる打撃。どの状態でも、例え不利でも一発で形勢逆転できるところを見て欲しいです。最後まで」

■視聴方法(予定)
5月20日(日)
Ep03午後7時~ UFC Fight Pass
Ep04午後9時~UFC Fight Pass
Ep03&04午後6時45分~U-NEXT

■Road to UFC 2024 Episode04計量結果

<Road to UFCフェザー級T準々決勝/5分3R>
リー・ユンフン(中国):61.69キロ
チィルイイースー・バールガン(中国):61.69キロ

<Road to UFCフライ級T準々決勝/5分3R>
キル・シン・サホタ(英国):57.15キロ
イン・シュアイ(中国):56.93キロ

<Road to UFCバンタム級T準々決勝/5分3R>
キム・キュソン(韓国):61.46キロ
透暉鷹(日本):61.69キロ

<Road to UFCフライ級T準々決勝/5分3R>
ルエル・パニャーレス(フィリピン):56.70キロ
松井斗輝(日本):59.87キロ
※松井の計量オーバーで試合中止

<女子フライ級/5分3R>
リサ・キリアコー(豪州):56.93キロ
ヤン・チーフイ(中国):57.15キロ

■Road to UFC2024 Ep03計量結果

<Road to UFCバンタム級T準々決勝/5分3R>
ダールミス・チャウパスゥイ(中国):61.46キロ
小崎連(日本):61.46キロ

<Road to UFCフライ級T準々決勝/5分3R>
ジョン・アルマンザ(フィリピン):57.15キロ
アンガド・ビシュト(インド):56.70キロ

<Road to UFCバンタム級T準々決勝/5分3R>
ユ・スヨン(韓国):61.46キロ
野瀬翔平(日本):61.46キロ

<Road to UFCフライ級T準々決勝/5分3R>
チーニョーシーユエ(中国):57.15キロ
チェ・ドンフン(韓国):57.15キロ

<ライト級/5分3R>
キ・ウォンビン(韓国):70.53キロ
雑賀ヤン坊達也(日本):70.53キロ

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