【ONE FF120】平田樹。開き直った最終回、無心の動きで逆転=3-0で判定勝ち。3年4カ月振りの勝利
【写真】ウィナーコールに涙の平田。何とか、乗り越えることができたか(C)ONE
<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
平田樹(日本)
Def.3-0
アーティ・カトリ(インド)
笑顔無しでリングインした平田。左リードフック、ローを蹴るカトリが遠い距離からシングルレッグを仕掛ける。そのまま引き込んで、左腕を差してリバーサルを狙うと平田は尻餅をつかされギロチンから下に。レフェリーがキャッチをコールするが、カトリは腰を上げてポスチャーアップ。平田はクローズドを組み直す。グローブを掴んだと注意が入った平田は、頭を抜かれるとバックを狙う。右腕を差して防いだカトリは、トップをキープしパンチを落とす。
バックに回れない平田は、ガードの状態が続き左のパウンドを打たれる。平田はクローズドを続ける。しかし頭を抱えて、上体を起こしてもスクランブルには持ち込めない。鉄槌のカトリが、ボディを殴る。オープンになっても、仕掛けがない平田はクローズドに戻して背中をつけた状態のまま初回を終えた。
2R、ジャブ、ワンツー&ローのカトリ。平田はワンツーにダブルレッグを合わせ、ロープにカトリを押し込む。クラッチを組んで倒した平田は、足を一本束ねるとリストを取って背中をつかせにいく。ボディロックを取り直した平田は、両ヒザをついたカトリのボディにヒザを突き刺す。カトリが立ち上がると、平田は首投げでテイクダウンし袈裟で抑える。
アメリカーナ&ショルダーロックをセットされたカトリだが、腕を抜いてバックに回る。コーナーから頭を出す平田はヒザ蹴りを臀部に受けるなかで、払い腰で投げる。カトリはバックを取って、両足をフック。手首を掴んでRNCを防ぐ平田は胸を合わせることができない。平田は2Rもリードを広げられた。
最終回、すぐにダブルレッグに出た平田は、右腕を差して内股気味のトスでトップを奪取する。平田は左足を抜くが、カトリがフルガードに戻す。コーナーにカトリを押し込む平田は、効果的なパンチが落とせない。残り3分を切り、平田がパス。サイドからパンチを集中させる。さらに肩パンチを落とすと、カトリがディープハーフへ。平田は足を抜いて、マウント奪取。
カトリにブリッジを許さず、胸をつけて抑える。体を起こし、アメリカーナの平田は暴れるカトリを抑えて左のパンチを落とす。ロープを蹴ったカトリのリバーサルを潰し、腰の位置を戻した平田は体を起こして右のエルボーから左右のパンチを落とす。叫び声を挙げ、パウンドを続ける平田に対し、カトリは最後の最後にシザースでマウントから逃れる。即座に平田は反転してトップをキープ、立ち上がって蹴りを見せ時間を迎えた。
裁定を待つ間、緊張の面持ちの平田は自らの名前が呼ばれると、涙を見せた。「最初は本当に緊張して、勝たないといけないとか考えてあまり動けなかったです。最後のラウンドは、もうやるしかないと思って。皆の声が力になりました。日本でできることは凄く光栄に思うし、でもまだまだ弱いんで。もっと強くならないとダメだなって思います」とインタビューで話した平田。この試合内容で勝利者インタビューがあるのは、ONEが平田を日本大会に欠かせないとしているからに違いない。
連敗を3で止め、3年4カ月振りの勝利。とはいえ初回、2回の戦い方は課題だらけといっても過言でない。頭と体にMMAを馴染ませる作業が、平田には今後も欠かせない。それでも彼女自身の言葉にあるように最終回に動きを止めず、ガムシャラに体から先に動けたことは、今後に向けて一つの指針としたい好材料だ。