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【RIZIN Y.E.S.P.Festival】久保優太戦へ、万全カルシャガ・ダウトベック「首の問題は左腕の具合にも影響が」

【写真】それでもインタビュー中の表情は柔らかくなっているダウトベックです(C)MMAPLANET

31日(水)に埼玉県さいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで開催される「RIZIN 師走の超強者祭り」で、カルシャガ・ダウトベック久保優太と対戦する。
Text by Manabu Takashima

ダウトベックは昨年、5年9カ月振りにRIZIN参戦を果たすと9カ月で4連勝を達成した。去年の大晦日のYA-MAN戦、今年3月の鈴木千裕戦の勝利でフェザー級トップの一角に手にしながらンタム級転向を公言する。

7月の超RIZINでは秋元強真戦が決まっていたダウトベックだが、椎間板ヘルニアによりドクターストップがかかり欠場を強いられた。この間、3カ月間トレーニングから離れヒーリングに努めた岩の拳を持つ男が、満を持して久保戦に臨む。

寡黙、ポーカーフェイス。今回のインタビューで笑顔を浮かべたのは、インタビュー終了を告げた時のみ……。Simple & Sturdyを地で往くダウトベックの文字通り飾り気がなく生真面目な言葉をお届けしたい。

20日(土)に行われた計量及び調印式では、対戦相手の佐藤と肩を組み非常にフレンドリーな雰囲気に醸し出していた。「空港に着いてから、本当に日本の人たちには親切にしてもらっている。だから、感謝の気持ちの表れなんだ」と言うサルドロフ。ここでは4日にリモートで行った彼のインタビューをお届けしたい。


――カルシャガ、インタビューの時間を創ってもらいありがとうございます。

「自分のほうこそ、こうやってインタビューをしてもらって感謝している」

――1カ月後に久保優太選手と戦います。今の気持ちを教えてください。

「現時点で、ほぼ仕上がっている。ここからさらにトレーニングを積んでシェイプし、より良い状態で戦いに臨むつもりだ」

――7月の秋元強真選手との試合は、残念ながら椎間板ヘルニアで欠場となりました。

「もちろん、残念だった。あの試合のためにトレーニングをしていたからね。3カ月に1度というペースで試合をしてきたから、こんなに長い間ファイトがない状態は久しぶりで、試合が恋しくなっていた」

――背中にしても、首にしても椎間板ヘルニアだと普段の生活には戻れてもMMAのようなスポーツのためのハードな練習をするにはある程度の時間を要したかと思います。

「実は椎間板ヘルニアだけでなく、色々な箇所に問題があった。そのなかでも一番の問題は首の椎間板ヘルニアだった。脚にも痛みがあり、しっかりと休息を取ったよ。3カ月、トレーニングもしなかった。この間は回復と治療に専念し、何かを持ち上げるという行為も一切控えていた」

――カルシャガが格闘技の練習をしない時に、何をしているのか想像もつかないです。

「家で映画を視たり、両親の住んでいる村を訪れたりしていたよ。村では羊と牛の面倒を見ていた。練習ができないこと、体を動かせないことはフラストレーションではあったけど、10月になってトレーニングに戻ることできた。練習を再開できた時は、本当に気持ちが晴れた。そこから、しっかりとトレーニングを積むことはできている」

――欠場発表前から前兆はあったかと思います。負傷をおして、過去数戦は試合をしてきたのでしょうか。

「そうだね。首の問題は左腕の具合にも影響が出ていた。左腕の機能が、相当に落ちてしまっていたのは事実だ。それでも首の椎間板は試合が終わると必ずチェックしていたんだ。今は全く問題はない」

――それは本当に良かったです。練習を再開した時には、大晦日で戦う気持ちでいましたか。

「イエス。大晦日で戦いたいと思っていた」

――意中の相手は?

「もし対戦相手を選ぶことができるなら、アキモトと戦いたかった。ただし、ハギワラ(萩原京平)との試合は2人ともダメージを負いながら戦っていた。ファンにとっては面白い試合だったはずだ。結果、アキモトもケガをしたから、相手は誰でも良いから大晦日に試合がしたいという気持ちでいた」

――あの激闘を見てなお、秋元選手に勝つ自信があったという理解で良いですか。

「アキモトだけじゃない。どの試合でも自信を持って戦っている。誰と戦っても、倒せる自信がある。アキモトも他のファイターと変わりない。その中の1人だ」

――押忍。勝ち筋が見えているのですね。

「いや、それは正式に対戦が決まってからだ。今はクボとの試合に勝つことに集中しているから、アキモトのことは研究していない。試合が決まれば、彼の穴をみつける」

――では、その久保選手と戦うことが決まったのは、いつぐらいだったのでしょうか。

「2週間ぐらい前かな。すぐに契約というわけではなかったから、RIZINは他の対戦相手のことも考えていたんだと思う。結果、それほど時間がかかることなくクボとの試合が決まった。去年の大晦日は一緒に出場し、彼はラジャブアリ・シャイドゥラエフと戦っていたから知っていた。良いファイターだ。とても経験のあるファイターで尊敬している」

――MMA転向前に世界のベストキックボクサーの1人でした。久保選手の打撃にはどのような印象を持っていますか。

「実は彼のキックボクシングの試合は見たことがない。ただ、数少ないMMAの試合を見る限りキックボクシングを上手くMMAにアジャストできている。クボは技術的に素晴らしいが、もう少しレスリングは強化した方が良いだろう。そういうなかでも、高いファイトIQを持っていると思う。

ただ自分の方がMMAの経験値が上で、タフな相手と難しい試合をしてきた。そこがアドバンテージになるはずだ」

――立ち技にフォーカスすると、久保選手の能力をどのように判断しているのでしょうか。

「それは今、ここでは話せない。彼の方が優れているかもしれないし、自分の方が優れているかもしれない。実際に戦って、その答えを見つけたいと思う」

――では久保選手はシャイドゥラエフにTKO負けを喫しており、日本のファンは久保選手をスケールとしてシェイドゥラエフとカルシャガの力を比較すると思います。その辺りは意識していますか。

「ラジャブアリとは、戦い方が違う。ラジャブアリにはラジャブアリのスタイルがあって、自分には自分の戦い方がある。ファンが自分とラジャブアリの比較をしたいなら、実際に試合が組まれてから判断すれば良いことだ」

――その可能性はあるのでしょうか。カルシャガは友人だからシェイドゥラエフとは戦いたくないということを言っていました。彼を倒せば、RIZINでベストになれますが、今も戦う気になれないですか。

「国も隣だし、友人だ。彼がチャンピオンである状況を顧みて、自分の気持ちは変わっていない。ラジャブアリとの試合は考えていない。チャンピオンになるなら、バンタム級という考えも変わらない。チヒロ・スズキと戦った時も、本来はチームの方針としてバンタム級で戦いたいと思っていたんだ。実際、あの試合はケガも多くて、プレッシャーを掛けることができなかった。

それもあって、ナチュラルな階級であるバンタム級で戦うべきだという気持ちになっていた。そこもまたケガが多くて、減量のこともあるから、もう少しフェザー級で戦うという選択をしたに過ぎない。今もチームの判断として、バンタム級に落とすつもりでいる。クボと戦ってみて、すぐに階級を変えるのか、もう少しフェザー級で戦うのかを決めたいと思う。ただ、スズキとの試合後から自分たちの狙いはバンタム級のベルトだったんだ」

――フェザー級での実績を持ち、井上直樹選手にチャレンジすると。

「でもラジャブアリとミクル・アサクラの試合も、ナオキ・イノウエとダニー・サバテロのタイトルマッチと同様に楽しみにしているよ」

――意味深です(笑)。では最後に日本のファンに一言メッセージをお願いできないでしょうか。

「まずインタビューをしてくれてありがとう。12月31日は全力で戦うので、さいたまスーパーアリーナに来て自分の応援をしてほしい」

■視聴方法(予定)
12月31日(水)
午前11時~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!

■RIZIN Y.E.S.P.Festival対戦カード

<RIZINフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者] ラジャブアリ・シェイドゥラエフ(キルギス)
[挑戦者] 朝倉未来(日本)

<RIZINライト級選手権試合/5分3R>
[王者] ホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル)
[挑戦者] イルホム・ノジモフ(ウズベキスタン)

<RIZINバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者] 井上直樹(日本)
[挑戦者] ダニー・サバテロ(米国)

<RIZIN女子スーパーアトム級選手権試合/5分3R>
[王者] 伊澤星花(日本)
[挑戦者] RENA(日本)

<RIZINフライ級王座決定戦/5分3R>
扇久保博正(日本)
元谷友貴(日本)

<フェザー級/5分3R>
斎藤裕(日本)
YA-MAN(日本)

<フェザー級/5分3R>
クレベル・コイケ(ブラジル)
ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)

<フェザー級/5分3R>
カルシャガ・ダウトベック(カザフスタン)
久保優太(日本)

<フライ級/5分3R>
神龍誠(日本)
ヒロヤ(日本)

<バンタム級/5分3R>
福田龍彌(日本)
安藤達也(日本)

<フェザー級/5分3R>
新居すぐる(日本)
秋元強真(日本)

<バンタム級/5分3R>
後藤丈冶(日本)
ホセ・トーレス(米国)

<ライト級/5分3R>
雑賀“ヤン坊”達也(日本)
“ブラックパンサー”ベイノア(米国)

<フライ級/5分3R>
篠塚辰樹(日本)
冨澤大智(日本)

<バンタム級/5分3R>
芦澤竜誠(日本)
ジョリー(日本)

<RIZIN甲子園決勝フライ級/5分2R>
須田雄律(日本)
ヤマザト・エンゾ・マサミ(ブラジル)

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