【Shooto】日中対抗戦 7対7の大将戦=SASUKE「僕がいい勝ち方をして、良い大会で終わらせないと」
【写真】競技者としてはもちろん、メインイベンターとしての興行を成功させたいという想いも強い(C)SASUKE
19日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるプロフェッショナル修斗公式戦昼夜大会の第2部=修斗×YFU 7対7 日中対抗戦のメインイベント・大将戦で修斗世界フェザー級王者SASUKEがジョングウェン・パンと対戦する。
Text by Takumi Nakamura
昨年12月に田中半蔵を下して、保持している修斗世界フェザー級王座を防衛したSASUKE。2024年の初陣は通常の公式戦とは異なる特別興行、YFU武林笼中对との対抗戦で決まった。対戦相手のパンはキャリア1年弱、事前情報がかなり少ない相手となるが、これまでの実績とキャリアを考えれば、取りこぼさずにきっちり勝たなければいけない相手だ。
――昨年12月の田中半蔵戦以来、今年最初の試合が修斗での日中対抗戦となりました。前回の試合を終えて、どんなことを意識して練習してきたのですか。
「これはいつもなんですけど、前回の試合で良くなかったところを確認して、そこを修正できるように練習してきました」
――SASUKE選手は試合が終わった後、試合映像を見て良い部分・悪い部分をチェックするのですか。
「そうですね。勝っても負けても試合の映像は必ず見ます。前回の良かったところは、自分が攻めようと思ったときに攻められたことですね。もっと言うなら、ラウンド終盤は自分が印象を取るじゃないけど、しっかりまとめて山を作ったことは良かったところです。悪かったところというか、もうちょっとできたかなというところで言うと、練習してきたことをもう少し幅広く出せたらよかったかなと思います」
――田中戦を見ていて早期決着よりも、しっかり相手にプレッシャーかけて危なげなくフィニッシュすることを意識しているように見えました。事前にはどういったプランを考えていたのですか。
「前回の試合は相手が左の強振というか、一発で倒せる武器を持っている選手だったので、それを被弾しないように。逆にこっちがカウンターを当てるじゃないけど、そういう練習をしてたんですよね。結果として相手が突っ込んで左を出してこなかったので、それを出させるように自分から誘って合わせることもできたのかなと。試合が終わった後に色々と考えました」
――2Rに関節蹴りをはじめ飛びヒザ蹴りやスピニングバックエルボーなど色々な技を出していました。ああいった技を試そうという狙いもあったのですか。
「ああいう技は危ないので、なかなか練習では出せないですけど、自分の中で常に使うイメージは持っていて。あの時は2Rが始まってすぐ関節蹴りを出して、それで相手がバランスを崩したんで、これはもういけるなと思って詰めました」
――SASUKE選手は試合後ごとにテーマをもって練習に取り組んでるのですか。
「そうですね。毎試合違いますけど、必ずテーマを持ってやってます」
――そのなかで今大会では中国のMMA団体=YFU武林笼中对のジョングウェン・パンと対戦することになりました。当初はWLFフェザー級王者ホワーン・ユエロアと対戦予定でしたが、ユエロアの負傷欠場により、対戦相手が変更になった形です。試合映像など情報はありましたか。
「僕の柔術の先生が台湾に住んでいて、奥さんが中国の方なんですね。それで中国の動画サイトから何試合か見つけてもらって、試合映像を見ることができました」
――プロキャリアも1年弱の選手ですが、どんな印象を持っていますか。
「体の強さと気持ちの強さで戦っている印象です。技術的にはまだまだ荒いですけど、確か19歳とかですよね? それで1年弱で6試合もこなしていれば、かなり成長していると思います。ちなみに僕が見た試合がデビュー戦の映像だと思うんですけど、1Rで4回ぐらいローブローもらってるんですよ。それでダメージを引きずりながらも何だかんだ続行して勝っていたので、根性はあるのかなって思います」
――試合当日に向かい合った時の感触だったり、そこでの対応が求められる試合だと思います。
「僕自身も過去2回中国の選手と対戦経験があるんですけど、中国という国に関しては数字じゃ測れないというか。レコードが少なくても強いやつは強いし、逆にたくさんレコードを重ねていても『あれ?こんなもんか』と思う選手もいる。だからいざやって見るまで分からないですよね」
――よくも悪くも無知の強さがあると思うので、そこは警戒も必要ですね。
「はい。過去に戦った中国人選手も行けると思ったらなりふり構わず突っ込んでくる感じがあったんで、そういうものに自分が飲まれないようにする。今回はそれが一つのテーマになるかなとは思います」
――SASUKE選手はRoad to UFCで中国人選手と対戦していて、今後、アジア圏の選手と戦うことも増えると思います。そういった相手にしっかり勝つことが今回のテーマですか。
「そうですね。絶対的にキャリアは僕の方がありますし、正直この興行は僕に全部の責任が乗ってると思うんですよ。中国チームのことは分からないですけど、日本チームは僕含めてこの7人が選ばれて、この7人で注目を集めなきゃいけないし、興行も成立させなきゃいけない。そういうなかでメインの大将戦も対戦相手が変わって。そうなったら、僕がやっぱりいい勝ち方をして、良い大会だったなという形で終わらせないと。そこはもう僕1人に全部責任が乗ってるぐらいの覚悟は持ってます」
――前回の田中戦でもSASUKE選手は興行をちゃんと締める、メインイベンターとしてお客さんに満足して帰ってもらうことを意識して試合をしているなと思いました。チャンピオンやメインイベンターはそうあるべきだという意識は昔から持っていたのですか。
「僕は初めて修斗のベルトを取ったときの試合が工藤(諒司)選手とやった試合だったんですけど、あれは初めての5Rで相手が強い選手だったということもあって、行くに行き切れなくて、ものすごい悔しい思いをしたんですよね。先日のRIZINでベイノア選手と対戦した井上雄策選手のセコンドについたんですけど、色々と物議を醸しているじゃないですか。お互い行かなかったみたいな。僕もその気持ちが分かるというか、行けなかったときの後悔って、ものすごく残るんです。僕は結果的に工藤戦で勝ちを拾って次に繋がったんですけど、そのときのツケがRoad to UFCのイー・ジャー戦に回ってきたんだと思うんですよね。メインを任されたから、というのはもちろんあるんですけど、行けない後悔は絶対したくないなと。僕のスタイルだったら行けば見せ場は作れるでしょうし、それで勝てば盛り上がると思っています。ちゃんと興行を締める意識は持ちつつ、自分がやることをやれば結果的にそうなると思って取り組んでますね」
――練習を重ねて、やってきたことは全て試合で置いてくる、出し切ってくることが大事ですか。
「そうですね。悪い意味ではなく、負けたとしても自分がやるべきテーマや課題を試合に落とし込んで、それを試すことができたら、たとえ負けたとしても次修正する材料になるじゃないですか。逆に何も掴めないまま試合が終わるのは、勝っても負けても良くないと思うんで。ずっとそういう気持ちは持ってやっています」
――ジョングウェン戦は今年の一発目の試合になります。今年はどういった目標を持って戦っていこうと思っていますか。
「まだ明確に言うべきではないと思うのですが、自分のなかでやりたいことはあります。一つ言えるのは、やっぱり僕はUFCを目指してやっていて、その気持ちは今も絶対的に変わっていません。Road to UFCでは2年連続負けてしまいましたが、まだ全然UFCを諦めてないんですよ。だからそこ(UFC)に行くための試合ができるのであれば、どこでもやるぞっていう感じです。今の修斗の世界ランキングを見ても、僕と戦えそうな選手がいない状況で、今年どうしていこうと思って、色々と考えたんですよね。そしたら今回は修斗で中国との対抗戦が決まったので、それに出る運びになりました。この試合が終わったら、すぐに修斗で相手になりそうな選手はいないと思うので、そうなったら修斗以外、海外の試合も含めて色々と考えたいです」
――それでは最後にSASUKE選手の試合を待っていたファンの皆さんに向けてはメッセージをいただけますか。
「本当は向こうの大将、中国のチャンピオンとやりたかったのですが、あっちの怪我で流れてしまいました。それは僕自身も残念なんですけど、この試合に向けて作ってきた過程は僕の中で絶対プラスになるものだと思っています。相手が変わっても自分のやるべきことは変わらずに倒しに行くので、そこに注目していただけたらなと。フィニッシュを狙うということ、そしてフィニッシュすることを宣言しておきます」