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【ONE FF154 & The Inner Circle】手塚裕之、ポラリス世界王者と共にケイドロ戦へ「攻め手を潰していく」

【写真】タイで出会った頼もしいグラップラー、オーウェン・リブジーと共にルオトロ戦へ(C)HIROYUKI TEZUKA

15日(金・現地時間)、タイはバンコクのルンピニースタジアムにて開催される「ONE Friday Fights154 & The Inner Circle」で、手塚裕之がケイド・ルオトロと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

手塚にとっては昨年11月の青木真也戦以来、半年ぶりの試合に。青木戦で肋骨を負傷した手塚は、試合直後は治療に専念して年明けから本格的に再始動。タイで練習すること3度、さらに自身のジム「TGFC」のプレオープンに至っている。そんななか対戦が決定したのはケイド・ルオトロ――グラップリングで世界の頂点を迎えた男のMMA4戦目の相手に選ばれた。ともすればルオトロを上げたいと思われるようなマッチメイクに対し、手塚も最強のコーチとともに戦いに臨む。


『俺ってまだ本当に知らないことばかりで、初心者じゃないか』と気づかせてくれて、対処法も教えてくれる

――今回のルオトロ戦が半年ぶりの試合となりますが、その間も忙しかったようですね。

「そうなんです。ジムの事業を始めて、田んぼもありますし、試合も決まり……」

――そんななか2026年に入り、何度もタイで練習しているのですか。

「今年はタイで3回、それぞれ1週間ぐらい合宿をやりました」

――1月からここまで3回というのは、1カ月~1カ月半のペースで。

「タイに気に入っているジムがあるんですよ。カーウソン・グレイシー柔術(タラーン・プーケット)という、まだ出来たばかりのジムで。そこで指導しているオーウェン・リブジーというのはポラリスのライトヘビー級王者で、トミー・ランガカーにも一本勝ちしている強いグラップラーなんです(※2025年9月、Poraris33でランガカーをトップ攻めからパス→肩固めで下している)。

オーウェンは体格が低身長でゴリゴリ――僕よりもゴリゴリ度が凄くて(笑)。自分とはあまり比較にはならないかもしれないけど、それでも体格が似通っているところはあるので、彼の技が合っているというか。そのオーウェンが今年ジムを開いたので自分も行きました」

――オーウェン・リブジーとは、どのような縁で繋がったのでしょうか。

「もともと僕が何度もバンタオ・ムエタイ&MMAに行っていて、オーウェンはバンタオ・ムエタイ&MMAのコーチだったんです。それでオーウェンが独立して自分のジムを持つ、と。しかもバンタオ・ムエタイ&MMAからバイクで15分ぐらいの場所で。今年の1月は最初バンタオ・ムエタイ&MMAに行ったんですけど、オーウェンのジムが出来たと聞いて行ってみたら、そっちのほうが気に入っちゃいました。

バンタオ・ムエタイ&MMAもそうですけど、会員さんも欧米から来ている人が多い。あれだけゴリゴリの外国人とグラップリングができる環境って、なかなかないですからね」

――タイのMMAジムの場合はUFC、OFL、そしてONEなどに出場している中央アジア勢がファイトキャンプを組んでいるのも特徴ですね。

「ああいう環境は日本にはないです。かといって今は円安の影響もあって、米国に行こうと思うと、なかなか費用が掛かるじゃないですか。タイも飛行機で6~7時間掛かるけど、慣れちゃえば――米国と比べたら渡航時間も短いし、ホテル代とか経費も安い。そう考えると日本人選手にとって、タイは良い合宿地なのかなって思います」

――それだけタイで練習するようになったのは、いつ頃からですか。

「初めて行ったのは12年ぐらい前ですかね。当時はまだアマチュアでしたけどタイガームエタイに行ってみて、トップ選手が来る環境を体感しておいたのが良かったなって思います」

――アマチュア時代にタイへ!

「もともとアマチュアの試合経験も米国しかないし、海外で練習すること自体に対してフットワークは軽いと思います(笑)。

(C)HIROYUKI TEZUKA

ただ、これだけのペースでタイに行ったのは初めてですね。何よりもオーウェンの指導がすごく気に入って。日本でも特に地方の栃木だと練習相手がいないということもあるけど、本当に『井の中の蛙だな』と思うような経験をさせてもらいました。『俺ってまだ本当に知らないことばかりで、初心者じゃないか』と思うことばっかりで。それをオーウェンが気づかせてくれて、対処法も教えてくれる。自分の中でも『ここにいたらレベルアップできるな』と確信したので通っていますね。次の試合はオーウェンもセコンドに就いてくれることになっています」

簡単には極めさせず、こちらが倒してやりますよ

――青木戦のあと、肋骨を負傷していると発表していました。

「はい。さすがに去年の末ぐらいまでは打撃も寝技もスパーリングはできなくて。試合から1カ月半後ぐらいですか。年明けから徐々に動き始めて、ほぼほぼ治ってきたのでタイに行きました」

――続いてSNSでは、ルオトロ戦の発表前は「4月29日に向けて」と投稿していました。

「アハハハ。最初はONEから『ONE SAMURAIに出られる準備はしておいてください』と言われていて、結果それは叶わなかったです。でも6週間ぐらい前に正式なお話をもらって、今回はちゃんと準備することができました」

――これまでONEではウェルター級(※83.9キロ以下)で試合をしてきた手塚選手です。しかし青木戦はライト級(※77.1キロ以下)で戦い、今回のルオトロ戦もライト級契約となっています。ウェルター級の時と比べて、コンディションはいかがですか。

「ライト級のほうが調子は良いですね。そもそもパンクラスのウェルター級で戦っていた時、しっかり絞って戦っていたんですよ。でもONEだと水抜きができない。水抜き無しで77キロは無理だと勝手に思い込んじゃって(笑)。無理やり食べて84~85キロ、頑張って86キロぐらいですかね。そこから2キロぐらい絞って試合に出ていました。

そうなると、やっぱり動きのキレは悪いですよね。頑張って体重を増やしても、そんなに筋肉量は増えないですし。なので77キロのほうがキレもあって、減量自体も苦じゃないというか。『なぜ俺は1階級上で戦っていたんだろうか?』と思いましたよ(苦笑)」

――ハイドレーション有りでONEライト級に落とすのも苦ではない、と。

「まだライト級で試合をしたのが1度だけですけど、前回は楽でした。逆に試合の数日前には体重が落ちちゃっていて。逆に食べないと落ちすぎてしまう状態になっていました(笑)。今回も順調に落ちています」

――なるほど。そして今回、ルオトロとの試合が決定しました。ONEの中ではルオトロが相手だと注目は浴びるでしょう。同時にルオトロを上げたいマッチメイクだと感じますか。

「それは正直、感じます。噛ませ犬、ってわけじゃないけど……そう捉えられても仕方ないマッチメイクではありますよね。でもルオトロは僕にとってもオイシイ相手だと思うんです。柔術やグラップリングの実績では世界ナンバーワンで、まだMMAは3戦しかしていないけど柔術界もルオトロの試合を視るでしょうし。僕は自分自身を客観視して、今までルオトロが戦ってきた相手よりも骨のある相手だと考えています。簡単には極めさせず、こちらが倒してやりますよ」

――MMAファイターとしてのルオトロには、どのような印象を持っていますか。

「MMAが巧いとは思わないけど、意外と打撃は思いきりがあって良いですよね。日本だとサトシやクレベルって、そういうタイプじゃないですか。喧嘩ができる。気性も攻撃的で、倒してやろうという気持ちが見える。ああいう柔術家は厄介ですけど、MMAとしての完成度でいえば、まだなのかなって思います。そこ突いて倒したいですね」

――対して手塚選手にはオーウェンというベストなグラップラーがついている。オーウェンは今回の試合について、特にグラップリング面については何と言っているのでしょうか。

「やっぱりレベルはすごく高いとは言っています。ルオトロは手足が長いから、いろんなところからダースを狙ってくる。一番の武器はダースなので、オーウェンとダースの対処はやってきました。それでも形に入られたら、極め力は異常なんだろうということは分かっていて。だから、まずその形に入らせない。なるべく早めに対処していかないといけない、と思っています。どんどんルオトロの攻め手を潰していけば、相手もイライラしてくるでしょうし、疲弊してくると思うので。そうやって疲れさせたいですよね」

――減量も順調であれば、削り合いになっても問題なさそうですか。

「問題ないです。逆にルオトロはMMAで3Rを経験していないので、その面では僕のほうがMMAの経験値を持っている。長引けば長引くほど、僕が有利な展開になるのかなと思っています。ただ、まずは出鼻をくじかないと相手のペースになってしまうので、最初から倒しに行きます」

■視聴方法(予定)
5月15日(金)
午後8時30分~ U-NEXT

■The Inner Circle対戦カード

<ONEヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者] ウマウ・ケニ・ログログ(セネガル)
[挑戦者] アナトリー・マレキン(ロシア)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ケイド・ルオトロ(米国)
手塚裕之(日本)

<ムエタイ バンタム級/3分3R>
スーパーレック・キアトモー9(タイ)

<ムエタイ 女子アトム級/3分3R>
ミア・トレヴォロウ(英国)
KOKOZ(日本)

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