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【UFC328】「教科書のような戦いができる」。米国での練習仲間、コリー・サンドハーゲンに訊く平良達郎

【写真】米国の練習仲間、そしてUFCトップファイターから見た平良達郎の強さとは(C)MMAPLANET

9日(土・現地時間)、ニュージャージー州ニューアークのプルデンシャル・センターで開催されるUFC328。9度目の正直なるか。平良達郎が日本人ファイターとして8人目、9度目のUFC世界戦を戦う。
Text by Manabu Takashima

UFC世界フライ級王者ジョシュア・ヴァンに挑む平良が、米国のホームとするのがコロラド州デンバーだ。エレベーション・ファイトチーム、ハイアルティチュード・マーシャルアーツで練習を重ね、今ではコリー・サンドハーゲンとカーリントン・バンクス率いるタイガービートルMMAを拠点に練習をするようになった。

同ジムでのトレーニング・パートナーで、現UFCバンタム級ファイターのサンドハーゲンに、平良達郎ベルト奪取の可能性を訊いた。


ナイスキッドが初めてやってきた場所で強さを見せれば、ジムの人間はすぐに打ち解けて、誰もがソイツのことを好きになる

――コリー、今日は自身のファイトのことではなく平良達郎選手に関してのインタビューを受けていただきありがとうございます。

「いつでも、歓迎だよ」

――LFAなどでコーナーに就く姿を見かけたことがありますが、自らのトレーニング以外にも指導をすることもあるのでしょうか。

「プロに関してはイライアス・ロドリゲス(4勝0敗のフェザー級ファイター)とか、ごくごく近しいファイターのコーチはしている。タツローには指導をするというより、練習パートナーだね。彼は既にしっかりとしたコーチがいるし、僕はトレーニング・パートナーとしてサポートできることをしている感じかな。

ただ、タツローが今回戦うのはジョシュア・ヴァンだから、その対策として役立てることは余りなくて。ヴァンは余りにも僕とはスタイルが違うからね。でもジムには仮想ヴァンになる優秀なファイターが2人いて、そのうちの1人は僕が指導をしている選手なんだ。タツローにとっても、凄く良い練習相手になっているはずだよ」

――平良選手にとっては、コロラドを沖縄と並ぶホームになっています。

「Tiger Beetle MMAは今年オープンしたばかりのジムだけど、タツローがコロラドに来た時は僕らのジムを拠点にしてくれている。アイツは最高のヤツだよ。初めて会ったのは、もう随分と前だ。今もガキみたいに幼い顔をしているけど、最初に見た時は本当に子供かと思った(笑)。『なんでわざわざコロラドにまでやってきて、俺たちと練習したいんだろう』って最初は疑問に感じていたんだ。まぁ、今からすればそこからして特別なヤツだったんだろうね。

練習に加わると、とにかく寝技が強かった。誰だって初めての場所では周囲に気をつかい、おかしな態度を取ることはない。スパーでも危ない動きもしないもんだけど。礼儀正しくて、ナイスキッドが初めてやってきた場所で強さを見せれば、ジムの人間はすぐに打ち解けて、誰もがソイツのことを好きになる。その典型的なパターンが、タツローだった」

――平良選手は日本で持たれているイメージは同世代の選手のなかでも、大人しくおっとりしているというモノだと思います。

「そうだろうね(笑)。だから最初の頃は、どうしても思い切りスパーリングでぶつかるということはなかったけど、すぐにタツローがもっとシリアスに強度の高いスパーリングを求めていることが伝わってきた。そういう気持ちがあるヤツだった。

でもスパーでシャイだったのは、最初のやって来た頃だけだったよ(笑)。今じゃ、もう思い切りスパーでぶつかっているよ。だからといって荒い動きはない。より強く、ハードなトレーニング・パートナーになったから、僕らを強くしてくれる大切な練習仲間だよ。僕の試合前でも、タツローがこっちにいるときはかなりの数のスパーリングをこなしている。

誰と戦った時か忘れたけど、タツローがメインの練習仲間と言っても良いぐらい一緒にロールした。僕がタツローと練習をしたいのは、彼が対戦相手に似ているからじゃない。とてもハイレベルなファイターだから、練習してきたんだ」

――平良選手はファイトキャンプ以外の時も、コロラドを訪れて対策でなく強化練習を行うこともあります。

「そういう時もそうだし、今回のキャンプでも何度かタツローとスパーをしているよ。タツローはまだ若くて、学習能力が高い。教わったことをすぐに習得している。なにより、強くなることに凄く情熱を持っている。練習中や練習後にも、色々なことを質問してくるんだ。そして、僕らがそこに応えると、本当に真剣に理解しようとしている。

彼の面白いところは実戦にめちゃくちゃ強いこと。ジムでは、本当にただの良いヤツって感じで(笑)。もちろん試合の時もナイスガイなんだけど、試合での動きはジムでの動きよりずっと良くなる。彼のようなファイターは、あんまりいないよ。

何よりMMAファイターとして、本当にクリーンだ。教科書通りの技を使う。ジャブ、ライトクロス、テイクダウン&コントロールと全てがクリーンだ。そこまでクリーンな技術を駆使できるのは、本当に彼の技術力が高いからだよ。それが一番の強みになっている。

ケージの中と違い、ケージを下りた時はちょっと独特な空気感を持っていて。なんか変わったところもあるけど……僕がこれまで見てきたなかで、タツローは最高のテクニシャンの1人であることは間違いない。喧嘩屋でなく、とてもクリーンに戦い、試合をコントロールできる。だからタツローと練習をしていると、僕が学ぶことも多くなる」

――平良選手がコロラドでコリー達と練習するのは、打撃の向上。そして打撃とレスリングの隙間を埋めること。そういうタスクを持っていたはずです。まず打撃で平良選手の成長を感じることはありましたか。

「打撃は絶対的に伸びている。タツローの良さは、シンプルなことをしっかりと身につけていることだ。MMAの世界にいるダイナミックなストライカーでは決していない。別にスイッチを多用するわけでもなく、特徴的な動きをするわけでもない。それに凄い一発があるということでもない。

でも、本当に教科書のような戦いができる。あと、飲み込みが早いのと、頭で理解したことを動きに反映させることができる。運動神経が良いのだろうけど、そういう点が秀でている。それにフライ級としては、力強い……というか、動いている時の体が強い。それも彼を支えている要因だと思うよ」

ヴァンは良いファイターだ。でも、タツローの方が上だ

――ステップワークなど「トレバー・ウィットマンとコリーのおかげで、随分と上達した」と岡田遼コーチが言っていました。

「ナイス。良い発言だ(笑)。トレバーと僕は週に1度ずつ打撃クラスを受け持っている。僕も自分が知っていることは全て教えている。正直、今は僕も試合が決まったから(※7月11日にマリオ・バウティスタと対戦)、指導に全力で心を入れることができない状態だけどね。とにかく、タツローは覚えが早かった。

ただタツローの成長を一番支えているのは、僕やトレバーではなくて。コーナーにも就いているマイク・ゴンザレスだよ。マイクがしっかりとタツローには就いている」

――打撃からテイクダウンのトランジッションに関しては、いかがでしょうか。

「寝技はもともと良かったけど、打撃からレスリングの以降で間を無くすということに関しては、カーリントン・バンクスがしっかりとタツローを見てきた。カーリントンは僕のなかでは、世界有数のレスリングコーチだ。MMAにあって一番大切な部分であるレスリングをカーリントンから、しっかりと指導を受けているよ」

――そんな平良選手の世界挑戦、トレーニング・パートナーとして勝敗予想をお願いできないでしょうか。

「トレーニング・パートナーとして(笑)。タツローは物凄く良い試合をやってのける。それは間違いない。ヴァンは良いファイターだ。でも、タツローの方が上だ」

――ヴァンのテイクダウン防御の上手さは定評があります。その点はどのように捉えていますか。

「ヴァンがディフェンスが上手い? 確かにね。でも、タツローはヴァンをテイクダウンできる。そりゃあ全てのテイクダウンが成功するわけじゃない。でもラウンドが進むほど、成功率は上がるだろう。タツローの過去の試合を振り返ると、レスラー以外からだけでなく、レスラーさえもテイクダウンできている。そこを見逃してはならない。

ファンの勝敗予想やスタッツがどうなっているか知らないけど、僕はタツローが勝つと思っている。彼はそれに相応しい、戦いができるからね」

■視聴方法(予定)
5月10日(日・日本時間)
午前6時00分~UFC FIGHT PASS
午前5時30分~U-NEXT


■UFC328対戦カード

<UFC世界ミドル級選手権試合/5分5R>
[王者]カムザット・チマエフ(UAE)
[挑戦者]ショーン・ストリックランド(米国)

<UFC世界フライ級選手権試合/5分5R>
[王者]ジョシュア・ヴァン(米国)
[挑戦者]平良達郎(日本)

<ヘビー級/5分3R>
アレキサンダー・ヴォルコフ(ロシア)
ワルド・コルテスアコスタ(ドミニカ)

<ライト級/5分3R>
ドリュー・ドパー(米国)
マイケル・ジョンソン(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ショーン・ブレディ(米国)
ジョアキン・バックリー(米国)

<ライト級/5分3R>
キング・グリーン(米国)
ジャレミー・スティーブンス(米国)

<ミドル級/5分3R>
アテバ・グーティエ(カメルーン)
オジー・ディアス(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ヨエル・アルバレス(スペイン)
ヤーソラフ・アモソフ(ウクライナ)

<ライト級/5分3R>
グラント・ドーソン(米国)
マテウス・レンベツキ(ポーランド)

<ライト級/5分3R>
ジム・ミラー(米国)
ジャレッド・ゴードン(米国)

<ミドル級/5分3R>
ローマン・コピロフ(ロシア)
マルコ・トゥーリオ(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
パット・サバティーニ(米国)
ウィリアム・ゴミス(フランス)

<ミドル級/5分3R>
ベイサングル・ススルカエフ(ロシア)
ジジョルデン・サントス(ブラジル)

<フライ級/5分3R>
クレイトン・カーペンター(米国)
ホセ・オチョア(ペルー)

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