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【Black Combat Rise02】ハンターと仕切り直しの一戦、大原樹理「やっぱりアウェイ。KOで勝つ」

【写真】引き続きBlacK Combatで戦う。すでに大原は気持ちを切り替えている(C)SHOJIRO KAMEIKE

20日(土)、韓国はオサン市のブラック・アゴラで開催されるBlack Combat Rise02で、大原樹理がハンターことパク・ジョンホンと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

今年1月、ファン・ドユンに敗れた大原樹理が韓国に乗り込む。前回の試合は「レフェリーストップが早すぎる」と物議を醸し、試合後は大原陣営も「二度とBlack Combatには出たくない」という意思を示していた。その大原がなぜ再び韓国で戦うことになったのか。気になるファン・ドユン戦のレフェリーストップに関する決着は? Black Combat独特のYouTube動画撮影の裏側も明かしてくれた。


――Black Combat(以下、BC)の公式YouTubeチャンネルで、試合に向けた一連の動画を拝見しました。何と言いますか……、大変そうですね。

「あの撮影のために1泊2日で韓国に行ってきたんですよ。羽田空港から朝8時の飛行機に乗って、ソウルに着いてから車で3時間ぐらい移動しました。遠かったです(苦笑)」

――動画の詳細については触れませんが、大原選手だけがストーリーラインに乗らずにド正論をかましていました。

「アハハハ! 我が道を往きました。トラッシュトークがあるから、前回の試合について触れられると思ったんですよ。『お前、前の試合で負けているじゃないか』みたいな。そう言われた時の答えを考えていると、ハンターが感情論ばかり言ってきて。そんな流れに乗っかるより、アイツを悪者にしてやろうと考えました(笑)」

――詳しくは動画を視ていただくとして、収録では台本も一切無いのですね。

「台本が無いどころか、現地に着くまで何をするのかも知らされていなかったです。僕だけじゃなく、他の選手も同じでした。とりあえず韓国に呼ばれた、っていう」

――大変ですね……。ただ、仰ったとおり前回の試合については触れられませんでした。それはストーリーライン上、敗戦については無かったことになるのかと。

「どうなんでしょうね? 撮影時にも誰もイジってこないし、今でもライト級ランキングでは僕が1位で」

――大原選手が1位で、次に対戦するハンターが2位。つまりランキング上位同士が対戦し、その勝者が王者イ・ソンハに挑むという流れなのかもしれません。とはいえ、BCのストーリーラインでは触れられないとしても、MMAファイターとしての戦績には残ります。

「正直、前回のレフェリーストップについては――納得しているかどうかといえば、納得はしていないです。それで戦績にひとつ黒星がついたわけで。でもBC側から『また出てもらいたい』という話をもらった時に、僕からもいくつか条件を出したんですよ。その条件もある程度は呑んでくれました。そうなると自分もウダウダ言っているよりは、黒星をつけられた以上は白星を取り戻しに行くしかないって考えましたね」

――再度オファーがあり、条件もいくつかは呑んでくれた。ということは、BCサイドとしても大原選手に対する評価は高いのでしょう。

「はい、評価はしてくれているんだと思います。それは素直に嬉しいです」

――では改めて前回の試合について振り返っていただきたいと思います。何よりも「早すぎる」と言われたレフェリーストップについて率直な意見を聞かせてください。

「まず相手のパンチを食らってグラついたじゃないですか。あの時は僕が前に出て、相手がパンチを合わせて来るのが見えたんですよ。だから僕は頭を傾けて、カウンターをよけようとしたところに相手のパンチが頭をかすめて。それで脳が揺れてクラッっとしたので、ヤバいなと思って組みつこうとしたんですね。それだけ一連の流れはハッキリと意識がありました。直後に僕が倒れたのは、なぜか割って入ってきたレフェリーに押されたからです。それでレフェリーが『ストップ!』とか言っているから『いやいや、なぜ?』と」

――明らかに大原選手が一発食らった瞬間にレフェリーが走り始めていました。あの展開で大原選手が追撃をもらっている、あるいは背中から倒れて追撃を食らいそうなところでレフェリーが割って入るのは理解できます。しかし、そうではなかった。

「あれで止められるなら、中村大介さんの試合も完全にストップされているはずなんです。だから、正直言って試合後は勘ぐっちゃいましたよ。『俺、やられちゃったのかな?』って」

――個人的な印象を言えば、競技運営陣のミスだったと思います。2022年大晦日に初めて現地でBCを取材した際、YouTubeで展開されるストーリーラインとイベントの完成度の高さは感じました。若いファンを獲得したうえ、今年1月の大会では試合のレベルも格段に上がっている。須田萌里選手の試合メインの対応を見るかぎり、次の課題は競技運営面のレベルアップというところでしょう。

「僕がもう一度BCに出ようと思ったのは、条件を呑んでくれたこともあるけど、そのファンたちの声によるところも大きかったんですよ」

――というと?

「試合直後は本当に『もう二度と出るか!』と思いましたよ。あんなやり方をされたら誰も勝てないし。大会後にまずブラックさん、レフェリー陣、佐伯社長、そして須田さんや自分の陣営も交えて話をしました。さらにオファーとフォローがありましたしね。何より試合映像がアップされたら、ファンの方が『ストップが早すぎる!』『もう出ない、とか言わないでほしい』とコメントを書き込んでくれていたんです」

――おぉっ! 韓国のファンのハートをガッチリ掴んでいますね。

「日本にはファンがいないのに(笑)。僕のSNSにも、韓国のファンの方々がコメントをくれて。僕はこれまでずっと、求められれば試合に出ていた人間ですから。そうやってファンの声があるなら、またBCで戦いたいと思いました」

――今日もDEEPのTシャツを着てインタビューを受けてくれていますが、いずれBCのTシャツに変わるかもしれないと思っておきます。

「いやいや(苦笑)。僕はDEEPで育ってきたので、それはないです!」

――アハハハ。今年3月にイ・ソンハが江藤公洋選手に敗れてDEEPのベルトを失った試合は、どのように見ていましたか。

「どちらかといえば『どっちが勝つかな?』という興味のほうが大きくて。一般のお客さんと同じ目線に近かったです。複雑な心境もありましたよ。自分に勝った相手が負ける姿を見るのも、自分が取られたベルトを他の選手が巻いているのも……。かといってイ・スンハが勝って喜んでいる姿を見るのも悔しいじゃないですか。だから、ぶっちゃけ『どっちも負けちまえよ』という気持ちはありました」

――それがファイターとして当たり前で、素直な気持ちではないですか。

「そうなんですかね。お客さんに近い目線で観ていたとしても、やっぱり両選手に対して『俺のほうが上だからな』と思っていました。その気持ちは失いたくないので」

――江藤選手が巻いたDEEPのベルトを取り戻したいとは考えていないのでしょうか。

「まず今はBCで借りを返したいです。イ・スンハからBCのベルトを奪って、DEEPに帰ってくる。そして、まさかのDEEPとBCのダブルタイトルマッチをもう一度――しかも日本人同士で。佐伯社長、嫌がるかなぁ(笑)」

――それは……なかなかカオスな状況です。

「超面白いじゃないですか。BCもDEEPもグチャグチャにかき回したいですよ。そのほうが観ている人も面白いでしょうし」

――まずはBCで再スタートとなる試合の相手がハンターに決まりました。

「作戦にも関わっちゃうので、あまり深くは言えないけど――ハンターって打撃は打撃、寝技は寝技っていう選手ですよね。MMAとしての繋ぎとか、際の部分がない。だからMMAとしては自分のほうが有利なんじゃないかと思っています」

――大原選手がイ・ファンソンにKO勝ちを収めた大会で、ハンターはチョ・ユンジュン(ミスターサタン)にKO勝ちしています。終始ケージに押し込まれながら、身長差を生かして勝ったという印象です。

「そうなんですよ。だから、それほど身長が変わらない自分に対して同じ試合ができるのかな、って。実際、身長が高いイ・スンハにも負けていますしね(昨年4月、1Rに腕十字で一本負け)。イ・スンハとハンターでは明確な差があると思いますよ」

――なるほど。さらに言えば、大原選手の中でもBCがアウェイという気持ちは薄れているのではないでしょうか。

「それが……去年の11月の試合までは『敵地だから倒さないと勝てない』と思っていました。でもファンの反応もあったから、その気持ちが薄れたまま臨んだのが今年1月の試合で。韓国にも応援してくれる方はいるけど、やっぱりアウェイなんですよ。だから次のハンター戦は100パーセント、アウェイの気持ちで戦います。前回の分を取り返してくることができるよう、しっかりKOで勝ちます!」

■視聴方法(予定)
4月20日(土・日本時間)
午後5時~Black Combat YouTubeメンバーシップ

■Black Combat Rise02 対戦カード

<ライト級/5分3R>
大原樹理(日本)
パク・ジョンホン(韓国)

<ライト級/5分3R>
イ・ファンソン(韓国)
チョ・ユンジュン(韓国)

<フライ級/5分3R>
イ・ソンチョル(韓国)
山本聖悟(日本)

<フェザー級/5分3R>
イ・ミンヒョク(韓国)
イム・ジェユン(韓国)

<無差別契約/5分3R>
キム・ミョンファン(韓国)
稲田将(日本)

<フライ級/5分3R>
ソン・ナクジュン(韓国)
パク・テホ(韓国)

<63.5キロ契約/5分3R>
ジョン・スミン(韓国)
ぽちゃんZ(日本)

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